INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

長文書評

歴史の神が選んだ「観察者」、神聖な義務を果たす―「薔薇はシュラバで生まれる」【記録する者たち】

かつて本の雑誌で古典の名著を紹介する企画があり、そこで「戦艦大和の最期」が選ばれ、紹介役として呉智英と関川夏央(山口文憲かも)…だったかな?この二人が対談したことがある。 その中で語られたのが「吉田満という知性と文才と記憶力の持ち主が戦艦大…

「文春砲」、その伝統と変化~柳澤健「2016年の週刊文春」感想

待望久しい本がついに書店に並んだ。 2016年の週刊文春作者:柳澤健発売日: 2020/12/15メディア: 単行本いま、日本で最も恐れられる雑誌と、 愚直な男たちの物語――。花田紀凱と新谷学。ふたりの名編集長を軸に、昭和、平成、令和の週刊誌とスクープの現場を描…

【メモ】ロマンを超えた「水軍」「海賊」の真実とは―「水軍と海賊の戦国史」読書メモ

水軍についての研究書として非常に有名かつ評価の高い本なので今回読んだ内容をシェアします.。 水軍と海賊の戦国史 (中世から近世へ)作者:雄, 小川平凡社Amazon「水軍」や「海賊」は本当に消えたのか―。戦国期の徒花のように語られることも多い水軍や海賊は…

アリ側から見た”世紀の凡戦”の真実―『アリ対猪木』(ジョシュ・グロス著)

アリ対猪木――アメリカから見た世界格闘史の特異点作者:ジョシュ・グロス亜紀書房Amazon世界最高峰の舞台、UFCを産み落とした「禁断の果実」 歴史的一戦の裏側に迫る米国発のノンフィクション!!なぜ、アリはレスラーと戦ったのか? なぜ、米国マット界は団結し…

新作ギャラリーフェイクで『トランプ大統領』と『プロレス』の或る一面を、細野不二彦が一挙に描いてしまった

えーと、理由はわからんのだけど……小学館の「ビッグコミック増刊」はキンドル版が出てないのだろうか?今検索した限りでは出てこない… 公式でも「電子版」への誘導ボタンとか無いから、紙版だけなんだろうね。さすが電子問題については当代きっての保守派出…

早良朋「へんなものみっけ!」〜 暴走知的奇人(女性)と、困惑しつつサポートする常識人(男性)が博物館を駆ける!(ホームズ/ワトソンもの)

※twitterから再構成。へんなものみっけ! (1) (ビッグコミックス)作者: 早良朋出版社/メーカー: 小学館発売日: 2017/07/12メディア: コミックこの商品を含むブログ (14件) を見るへんなものみっけ! (2) (ビッグコミックス)作者: 早良朋出版社/メーカー: 小学…

祝・三谷幸喜によるドラマ化の「風雲児たち」(みなもと太郎)。同作品の紹介文を再録/1巻ためし読み可能

【速報です】三谷幸喜さん、1年ぶりにNHK時代劇に復帰。お題は前野良沢と杉田玄白による〝蘭学事始〟。原作は、みなもと太郎さんの大河歴史ギャグ漫画。正月時代劇『風雲児たち〜蘭学革命(れぼりゅうし)篇〜』来年1月放送です!https://t.co/7vNn8NURKS— NHK…

熱狂的野球ファンが超重要試合の観戦前、仕事のトラブルが発生したら?「球場ラヴァーズ」が描いた「大人のおとぎばなし」

【大人のおとぎばなし】 野球も開幕し、序盤はうーん意外な展開ではないでしょうか。 シーズン予想にAiまで参戦したとか。人工知能がプロ野球予想 セ・リーグ最下位は阪神https://t.co/IQgMBsMxGC#人工知能 #AI pic.twitter.com/OXbgKXaDvF— AINOW/人工知能…

「オールラウンダー廻」ついに次号で完結。感慨深い …ひと足早く総括

おはようございます。本日発売のイブニング、『オールラウンダー廻』掲載されております。巻末次号予告に載っている様に、またサブタイトルに「エピローグ#1」とある様に、次回が最終回となります。 最後まで『オル廻』宜しくお願いします。 pic.twitter.com…

おいしいチーズはどう生まれたのか…「チーズと文明」

チーズと文明作者:ポール・キンステッド発売日: 2013/06/04メディア: 単行本古代南西アジアで誕生したチーズは、ギリシャの神々に捧げられ、ローマ帝国の繁栄を享受し、キリスト教と共にヨーロッパ各地に広がり、時にはオランダ商船によって運ばれ、産業革命…

「青い目の日本研究…って僕の目、茶色だよ!」「お流れ頂戴、って何?」昭和の香り満載の回想記「政治と秋刀魚」(G・カーティス)

この本、読んだ。 政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年作者: ジェラルド・カーティス出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2008/04/17メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 97回この商品を含むブログ (29件) を見るタテ社会の崩壊による日本人の「変化」とその変…

書評「プレジデント・クラブ」〜合衆国の頂点に立った者たちの、複雑な連帯感と緊張感

過去にtwitterに書いたものの再構成。 gryphonjapan@gryphonjapan Twitterで本を紹介。 「プレジデント・クラブ 元大統領だけの秘密組織」柏書房 プレジデント・クラブ―元大統領だけの秘密組織作者: ナンシーギブス,マイケルダフィー,Nancy Gibbs,Michael Du…

芦辺拓「真説ルパン対ホームズ」…パリ万博で若き怪盗、ベテラン探偵に挑戦す

twitterとのダブル投稿。ひとつづきの長文に修整。 【ミステリー特集】 10月7日「ミステリー記念日」に、ブログで推理小説特集をしたかったのだが、忙しくてできなかった。 少し遅れて、本日やりたいのだが、まず最初にtwitterでやっていくなり。 最初に芦辺…

芦辺拓「真説ルパン対ホームズ」…パリ万博で若き怪盗、ベテラン探偵に挑戦す

※もともと連続して書いた「ミステリー特集」の一環だったので、 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151012に移行します。

安倍政権を「反知性主義」と批判してた小田嶋隆氏が専門家から「お前こそ反知性主義の典型だよ!」と名指しされてワラタ(※これ、理由があります)

我ながら長いので、論文風に要約を冒頭に置いておこう 1:「安倍政権は反知性主義」的な言い方が流行ってる 2:しかし「反知性主義は本来の意味、ちがうんじゃね?」という指摘が出た 3:実はそんな中で、1の代表者のひとり(小田嶋隆氏)と、 2の人た…

村山富市翁、お大事にあれ。九十すぎたら神のうち…ちょうど「回顧録」読んでいました

http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000058072.html 抗日戦争勝利70年の記念行事に参加するため北京を訪れている村山富市元総理大臣が体調を崩し、入院したことが分かりました。 村山元総理は1日に北京入りし、3日に開かれた軍事パレー…

戦後70年は「引揚・脱出70年」…SF短編「逃げる」を紹介【再読かんべむさし】

こんなツイートを、この前、目にした。 dada @yuuraku https://twitter.com/yuuraku/status/633035962495295488 だいたいさあ「戦争が起きたらどうする?」って新聞アンケートの答えで「逃げる」が一位なの定番ですけどね、どう具体的に「逃げる」のかイメー…

「アブドーラ・ザ・ブッチャー自伝」の後半部分、レスラー篇の書評かきました/(togetterまとめも更新)

前回かいた、前半部分の書評はこちらです。 「ブッチャー〜幸福な流血」より”少年篇”を紹介。勤勉なワルの黒人少年が貧しさの中で見つけた知恵 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150405/p3ブッチャー 幸福な流血―アブドーラ・ザ・ブッチャー自伝作者:アブド…

「征服なき十字軍」を成し遂げた皇帝の手腕とは〜「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」(塩野七生)

この本に関しては、読む前に二回紹介していました。皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/12/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下作者: 塩野七生出版社/メ…

「アブドーラ・ザ・ブッチャー自伝」の少年篇部分の書評かきました一緒にtogetterまとめも

「ブッチャー〜幸福な流血」より”少年篇”を紹介。勤勉なワルの黒人少年が貧しさの中で見つけた知恵 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150405/p3ブッチャー 幸福な流血―アブドーラ・ザ・ブッチャー自伝作者: アブドーラザブッチャー,Abdullah The Butcher出…

「ブッチャー自伝〜幸福な流血」より”少年篇”を紹介。勤勉なワルの黒人少年が貧しさの中で見つけた知恵

元はtwitterの文章です。 なぜtwitterで書くというと、それによって多少メリハリがついて、あまりにも長くなることを抑制できるからです。ただし、それで書ききれない部分が出てくるという欠陥も勿論あるわけで、適宜補足修正しています。 gryphonjapan@gryp…

一本の映画が、そのまま「ジャンル」になった…四方田犬彦「『七人の侍』と現代」

twitterで書いたものをまとめます (指摘頂いた人名などの誤字は修正。) gryphonjapan@gryphonjapanツイートで本の感想書いて、あとでまとめるシリーズ 四方田犬彦「『七人の侍』と現代」(岩波新書) :「七人の侍」はさまざまに神話化され、そのせいで正体が…

「ユートピアを見たいなら、目を閉じろ」…「江戸しぐさの正体」原田実著

表題は、先ごろなくなった松本健一氏が、日本浪漫派の保田與重郎の名言としてしばしば紹介した「美しいものを見たいなら、目を閉じればいい」のもじり。なんか書きやすさの関係で、はじめtwitterで投稿し、それを以下に転載しています。誤字を直したり形式を…

「最も成功した政治とエンタメ」を考える―「日本の軍歌」(辻田真佐憲・幻冬舎新書)を読む

日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)作者: 辻田真佐憲出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2014/07/30メディア: 新書この商品を含むブログ (32件) を見る軍歌は、日本史上、最も国民の心を掴んだ音楽だ。初めての軍歌「来【ルビ:きた】れや来【ルビ:きた】…

ドラマ完結「アオイホノオ」の私的総括と、島本和彦氏に関する私論〜(ドラマはBSで再放送!)

まず、早くも再放送のお知らせ。BSジャパンは無料放送局です http://www.bs-j.co.jp/aoihonoo/ http://www.bs-j.co.jp/program/detail/23302_201410052400.html ドラマ☆アオイホノオ 第一話「長き戦いのはじまり」柳楽優弥×福田雄一 2014年10月5日(日)深夜0…

隠せ!ごまかせ!取りつくろえ!…特撮ヲタ女性描く「トクサツガガガ」が面白い(スピリッツ連載)

ビッグコミックスピリッツ誌上で、いま4話目ぐらいの新連載なんだけれども。 『トクサツガガガ』丹羽 庭 http://comic-soon.shogakukan.co.jp/blog/news/spirits-new-lineup-2014summer/ 仲村 叶、26歳。好きだからこそバラせない!? 隠れ特撮ファンOLの爆笑…

「見えない道場本舗」選定・2013年度漫画10傑

はい、 ぱち ぱち ぱち。(テンプレ) 当道場の漫画選です。 思えばこの漫画選(賞)は、年末に発表していたが「年末は『このマンガがすごい!』でかすんでしまうし、大晦日は格闘技イベントがあって忙しい(※当時)から」と「年度末」発表の3月末に逃げ、…

漫画界の”助演男優賞”!「白暮のクロニクル」久保園係長にみる、ゆうきまさみ漫画の一つの特徴について/担当編集者・ヤマウチナオコ氏の話

きのう発売だったか。 白暮のクロニクル (2) (ビッグコミックス)作者: ゆうきまさみ出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/04/30メディア: コミックこの商品を含むブログ (30件) を見るゆうきまさみ新境地!第2集は壮絶な悲劇! 不老不死の種属「オキナガ」。 …

「美しく面白い試合」と「勝つ試合」の永遠の相克〜新漫画「夕空のクライフイズム」を中心に。

「スポーツが単に勝つだけであってはいけない。」この命題は、当ブログが一応所属しているっぽい格闘技クラスタの中でも何度も繰り返されて言われている。実家の4軒先にある、山中のおばあさんが語る嫁の悪口ぐらいに繰り返し繰り返し語られて、飽き飽きし…

プロレス初心者・井上雄彦が、とんでもなく本質的な「プロレス漫画」を描いてしまった(「リアル」13巻、KAMINOGE24号)。

「車椅子バスケを描く漫画『リアル』が、13巻は脇役のプロレスラーを主役にした、独立したプロレス漫画として読める」という情報を知った。 REAL 13 (ヤングジャンプコミックス)作者:井上 雄彦発売日: 2013/11/22メディア: コミックリハビリ中のプロレスラー…