INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

安倍政権を「反知性主義」と批判してた小田嶋隆氏が専門家から「お前こそ反知性主義の典型だよ!」と名指しされてワラタ(※これ、理由があります)

我ながら長いので、論文風に要約を冒頭に置いておこう

1:「安倍政権は反知性主義」的な言い方が流行ってる
 
2:しかし「反知性主義は本来の意味、ちがうんじゃね?」という指摘が出た
 
3:実はそんな中で、1の代表者のひとり(小田嶋隆氏)と、
  2の人たちが資料として引用している本の著者(森本あんり)が
  小中高の同級生の仲良し。その流れで対談したりする。
 
4:おまけにその森本氏は褒める意図で、元々1の論者だった小田嶋氏を
  「彼こそがまさに、反知性主義者です」と認定したりする(笑)
 
5:1と2の矛盾は、どのように処理されるのかなあ…と興味津々。


ことしの流行語大賞を狙えるで、な勢いなのが「反知性主義」。
で、反知性主義というと安倍政権。論理の赴くところ、反安倍ならば知性主義、には・・・ならぬか。

たつみコータロー参議院議員 日本共産党認証済みアカウント @kotarotatsumi 9月16日
地方公聴会。東大名誉教授の広渡さん「安倍首相は反平和主義、反民主主義、反立憲主義とも言われているが、失礼ながら反知性主義だと思う」
http://ourplanet-tv.org/?q=node%2F1978
 
toshi fujiwara/藤原敏史 @toshi_fujiwara 9月19日
「確信犯の知性と理性の放棄、反知性主義をこそ安倍たちは確立したいのかも知れない。自分達がやりたいことこそ、自分達の正義であり、それが「美しい国」だか「国民の命と幸せな暮らし」を守ることなのだ」【ブログ更新】 日本の民主主義が処刑された日http://toshifujiwara.blogspot.com/2015/09/blog-post.html?spref=tw
 
兵頭正俊 @hyodo_masatoshi 9月18日
軍産複合体―日本軍需産業―安倍―佐藤ラインは、反知性主義の利権企業家ラインだな。戦争で一旗揚げるつもりだ。儲かるからね。もっとも可哀想なのが犠牲になる自衛隊。戦争の大義も理由も必然性もないのだから。今の状況に、もっとも責任があるのは犬HKと、無関心の国民ですよ

というか、こんな本が。

政治家たちの暴走・暴言、ヘイトスピーチの蔓延、
歴史の軽視・捏造、他者への想像力の欠如、
……その裏にあるものを抉る緊急論考!

集団的自衛権の行使、特定秘密保護法改憲へのシナリオ……
あきらかに国民主権を蝕み、平和国家を危機に導く政策が、
どうして支持されるのか?
その底にあるのは「反知性主義・反教養主義」の跋扈!
日本の言論状況、民主主義の危機を憂う、
気鋭の論客たちによるラディカルな分析。
『街場の憂国会議』に続く、緊急論考集第2弾!

【目次】
反知性主義者たちの肖像 内田樹
反知性主義、その世界的文脈と日本的特徴 白井聡
反知性主義」について書くことが、なんだか「反知性主義」っぽくて
イヤだな、と思ったので、じゃあなにについて書けばいいのだろう、
と思って書いたこと 高橋源一郎
どんな兵器よりも破壊的なもの 赤坂真理
戦後70年の自虐と自慢 平川克美
いま日本で進行している階級的分断について 小田嶋隆
身体を通した直観知を 名越康文×内田樹
体験的「反知性主義」論 想田和弘
科学の進歩にともなう「反知性主義」 仲野徹
「摩擦」の意味──知性的であるということについて 鷲田清一

とこ
ろが。

『そもそも、「反知性主義」ってそういう意味じゃないだろ??』というツッコミが出たのであります。はてなにおけるパブリックエネミーの界隈から…この二冊の紹介のかたちで。

アメリカの反知性主義

アメリカの反知性主義

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)



池内恵

【寄稿】『文學界』の「反知性主義」特集に | 中東・イスラーム学の風姿花伝 http://ikeuchisatoshi.com/%e3%80%90%e5%af%84%e7%a8%bf%e3%80%91%e3%80%8e%e6%96%87%e5%ad%b8%e7%95%8c%e3%80%8f%e3%81%ae%e3%80%8c%e5%8f%8d%e7%9f%a5%e6%80%a7%e4%b8%bb%e7%be%a9%e3%80%8d%e7%89%b9%e9%9b%86%e3%81%ab/
 
反知性主義」を読むならこの二冊 | 中東・イスラーム学の風姿花伝 http://ikeuchisatoshi.com/%e3%80%8c%e5%8f%8d%e7%9f%a5%e6%80%a7%e4%b8%bb%e7%be%a9%e3%80%8d%e3%82%92%e8%aa%ad%e3%82%80%e3%81%aa%e3%82%89%e3%81%93%e3%81%ae%e4%ba%8c%e5%86%8a/

この、記事タイトルがそのままURLになる仕様は勘弁して欲しい・…

山形浩生

反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」 http://cruel.hatenablog.com/entry/2015/08/20/185544
  
反知性主義2:森本『反知性主義』:ホフスタッターの当事者意識や切実さはないが概説書としてはOK - 山形浩生の「経済のトリセツ」 http://cruel.hatenablog.com/entry/2015/08/23/210630


二人が、これらの本を紹介するフリをしながら放った、怒りの鉄拳はすさまじい。

池内恵

反知性主義」が日本の出版業界のちょっとした流行りとなってこんな依頼が舞い込んだのだが、世に出る反知性主義関連本」の著者はというと、どう考えてもまさに反知性主義者そのもの、といった面々が並ぶ。反知性主義に陥りたくなければまず、声高に他人を「反知性主義」と罵っているような人々の名前で出た本は読まない、というところから始めることが鉄則だろう。

基本的には「近年の学問的話題」としての「反知性主義論」の成果はこれ(※森本&ホフスタッター)だけ。あとは全部便乗本です。…(略)そういうのは大人数で書いているからそれぞれが大声で宣伝して、実際に学術的な知見を提示している人の声がかき消されてしまう。

この本についての最もいい紹介は「週刊新潮」の匿名記者の短評紹介だったな・・・自社本宣伝とはいえ、いい線をついていた。アメリカの反知性主義とはそれ自体がある種の知性的立場でもあり、近代的の(特にアメリカ的な)な専門家支配とか世俗主義などを疑う、社会の底流から湧き上がる思想でもある。
(略)

週刊新潮』の短評が最もよく捉えていたように、「反知性主義=バカ」なんて話ではない。この本を書いている著者はまさに神学者だ。……(略)反知性主義とその批判という思想問題は、「俺はかしこい、あいつらバカ」と言い合っている次元の話じゃないんだよ。しつこいけど、何度も言わないとわからん人がいるので。

山形浩生

反知性主義」というのは、「自分とちがう考え」のことらしく(たとえば原発推進とか安部政権評価とか)、そしてそれを「反知性主義」と呼ぶのは、要するに「バーカ」というのをご立派に言い換えているだけらしいからだ。
(略)
……ぼくの(その時点で)知っていたものとはちがうので、違和感をおぼえた。
というのも、ぼくの知っている「反知性主義」というのは、決して悪いものではないからだ。「バカ」の言い換えなどではない。もっと積極的な価値観だ。それはむしろ「反インテリ主義」とも言うべきものだったはずだ。大学いって勉強した博士様や学士様がえらいわけじゃない、いやむしろ、そういう人たちは象牙の塔に閉じこもり、現実との接点を失った空理空論にはしり、それなのに下々の連中を見下す。でもそんなのには価値はない。一般の人々にだって、いやかれらのほうがずっと知恵を持っている、という考え方だ。
これはもちろん、フリーソフトの発想であり、インターネットの発想でもある。

反知性主義を「バカ」の意味で使ってる連中は、どう見てもこの本(※森本あんり本)も読んでないだろうと思った。まあそれは仕方ない。本書が出たのは2015年2月だもの。前回挙げた現代思想とかが出たのは、2014年末あたりか。ただ、そうした誤用は、単に知らなかっただけで、決して意図的に歪曲したわけではないと思っていた。その後はこうした本を読んで(だって、知性に依拠しているつもりの人たちなんでしょ)多少は反省もしてるんだろうと思った。
でも…(略)


さらにいうなら反安倍政権の姿勢では勝るとも劣らない斎藤美奈子氏が、上の内田樹編集本を

版元(編者)の意図とは異なる奇っ怪な論考集になってしまった。うっかり執筆を引き受けてしまった論者にとっては、とんだ災難だったに違いない。
http://subsite.icu.ac.jp/people/morimoto/Texts/MinakoSaitoAnti.pdf

と評する始末(このへんは氏のフェアさとしても評価したいが)。
災難って・・・…。




実は偶然小生、この種の論評が出たのとほんとに同じタイミングで、森本の本を読み進めていたのでした。ホーフスタッターのほうは難しそうなので、いつか機会があれば(笑)。

もいっかい、解説文コミで紹介すると…

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)

民主主義の破壊者か。あるいは格差是正の救世主か。アメリカでは、なぜ反インテリの風潮が強いのか。なぜキリスト教が異様に盛んなのか。なぜビジネスマンが自己啓発に熱心なのか。なぜ政治が極端な道徳主義に走るのか。そのすべての謎を解く鍵は、米国のキリスト教が育んだ「反知性主義」にある。反知性主義の歴史を辿りながら、その恐るべきパワーと意外な効用を描く。
 
内容(「BOOK」データベースより)
アメリカでは、なぜ反インテリの風潮が強いのか。なぜキリスト教が異様に盛んなのか。なぜビジネスマンが自己啓発に熱心なのか。なぜ政治が極端な道徳主義に走るのか。そのすべての謎を解く鍵は、アメリカで変質したキリスト教が生みだした「反知性主義」にあった。いま世界でもっとも危険なイデオロギーの意外な正体を、歴史的視点から鮮やかに描く。


自分はこの本のコンセプトを、実に自然に受容した、という自覚がある。というのは、それに関する「予備知識」があったからです。
というのは…山形ブログ記事「1」のほうにつけた当方のブクマがこれでした。

gryphon
http://b.hatena.ne.jp/entry/cruel.hatenablog.com/entry/2015/08/20/185544
日本における反知性主義の象徴はある意味『一代聖教皆尽きて 南無阿弥陀仏に 成り果てぬ』で全てじゃないだろうか。


いや、
おれ、
いいこと言ったよ!!!

ちなみに自分は最初、日本ナンバーワンにカッコいい彫刻である

を貼ろうとしたのだが、これは一遍の師匠格である空也だった(笑)
ちなみに川原泉氏の好きな言葉のひとつであり、ホントに彼女はこれを言いながらおどってるとか。


そういえばこのブクマのとき、もうひとりのロールモデル、アイコンとして「寅さん」も頭をよぎったが、小田嶋氏の新刊帯に「てめえ、さしづめインテリだな!」という名文句が引用されているな。ただ寅さんは、監督がインテリなんで、時々教養コンプレックス、教養リスペクトが口をついて出てくるんだよね、実は。

http://rocketnews24.com/2015/09/01/626778/
これは第40作『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』の中で披露された名言だ。吉岡秀隆演じる、甥っ子の満男に「何のために勉強するのかな?」と問われた寅さんは、こう返している。
「人間、長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろう。そんな時、俺みてえに勉強してないヤツは、振ったサイコロの出た目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがない。ところが、勉強したヤツは自分の頭で、きちんと筋道を立てて、“はて、こういう時はどうしたらいいかな?” と考える事が出来るんだ。だからみんな大学行くんじゃないか、そうだろう」

さて、自分はさらにその前に、参考になる知識を得ていた。
呉智英氏「危険な思想家」収録の「聖なる白痴の零落」という文章である。

危険な思想家 (双葉文庫)

危険な思想家 (双葉文庫)

ここで呉智英は、今では覚えている人も少ないだろう、19年前の騒動を引用している。

1996年春、京都市で馬鹿騒動があった。
京都市にある浄土宗系の仏教大学の正門に、香川県の彫刻家空充秋の制作になる「平成之大馬鹿門」という門柱が設置されたはいいが、猛反対が生じ、結局撤去されることになった。
製作者の意図は明瞭である。小賢しくあるな。すべてを放下しすべてを受け入れる大いなる馬鹿であれ。これこそが仏教大学で学ぶべき真理だ、ということだろう。
(略)
しかし、この大馬鹿門は、制作を依頼した大学には予想外ものであった・・・仏教大学は、現実には大学という近代的な教育機関なのである。それは、国民国家における教養ある市民を作り出す公的な装置なのであって、馬鹿を作り出す装置ではない。そもそも、馬鹿よ来たれ、と正門に大書された大学に、はたして学生が来るものかどうか。
(略)
この馬鹿騒動は、ただの馬鹿馬鹿しい騒動ではない。実は、この馬鹿馬鹿しさが人文主義的理想の悲喜劇的な運命をも象徴している。

いま、この「平成之大馬鹿門」は兵庫県宍粟市千種町にその居場所をうつしている。
http://chikusatown.net/tourism/around/oobakamon.html


呉智英孔子をからかった接興や、ビートルズのこの歌も紹介している。


そういう背景があったから、いわゆる安倍政権批判的な意味での「反知性主義」とは違う、山形浩生氏や池内恵氏の紹介したような意味合いの反知性主義が腑に落ちたのかもしれない。



そして、それだけに留まらず、森本本が実に面白かったのは、アメリカではその素朴な信仰感が民主主義思想とも関係しただけでなく、その後の全体としては大繁栄したアメリカ社会の隆盛の中で「素朴な信仰を持てば、繁栄も幸福も訪れる」という楽観主義のベースにもなったことを、豊富なエピソードを交えて語っていることだった。

アメリカ精神を養った「巡回説教師」(漫画でいうと村枝賢一「RED」に拳銃の名手である、かっこいい巡回牧師がいて、その素朴で単純で、それゆえに人々に訴える説教ぶりも描写されている。)

【追記 そのコマを追加しませう】




一番笑ったのは、プロ野球選手あがりの説教師サンデーの逸話。見世物と紙一重のド派手な宗教集会(アクロバット説教、と称された)をあちこちで仕掛け、歴代大統領とも親交を結ぶなど経済的にも社会的にも成功した(それをまさに、彼は「神の恩寵」と考えて隠さなかった)彼だが、プロ野球選手時代からも確かに敬虔なキリスト教信者だった。

だが、その敬虔な信仰というのが・・・

9回裏ツーアウトで、二塁と三塁には走者がいたが、最後の打者が大きくセンター越えのヒットを放った。野手のビリーは、すぐさま後ろを向いて走り始め、こんな祈りを捧げたという。
「ああ神様、たいへんです。もしわたしをお助けいただくおつもりなら、今この瞬間にお願いします。ただし、そのご決心をしていただく時間はあんまりありません」。

すると”まるでモーゼが杖を掲げて海を真っ二つに分けたように”観客席の人垣が左右に開き、彼は超ファインプレーでホームランを阻止した、由。

あまりにも世俗的すぎやしないかと思うが、日本人はわたしも含めてこれ以上に世俗的な信仰だからとやかくはいえんな(笑)。

でも、アメリカの超一流の伝道者がこういう信仰のあり方だった、というところから「反知性主義」の本来のあり方がわかって面白かった。
そういえば、自分も一週間に満たないような滞米経験があるが、テレビをつけたら、ハンドパワーをテレビ越しにおくってくれるという、キリスト教の伝道テレビが放送していて面食らったよ・・・「パーワーーー」とかほんとに叫んで、テレビカメラに手をかざしてくるんだぜ・・・

あっ、ここから本題だ。そんな森本氏が「反知性主義者の典型を挙げるなら小田嶋隆だ」と名指ししたのは……あとがきなんです。

反知性主義を成り立たせるためには、批判すべき当の秩序とはどこか別のところに自分の足場を持っていなければならない。
たとえば、小田嶋隆というコラムニストがいる。コンピューターだのサッカーだのひきこもりだのと、何かと話の引き出しが多い男で、いつもどこか別のところにある座標軸から世間の常識をナナメに切ってみせる。実は彼とは小中高と同級生だったので、わたしは彼が小さい頃から成績優秀な秀才だったことをよく知っている。明らかに高度な知性の持ち主だが、その自分の立ち位置にも常にシニカルな目線を注いで笑いの種にしてしまう。それで彼の言葉は、政治家や学者に限らず、マスコミでも芸能界でもスポーツ界でも、「その筋の権威」といわれるものを片端から軽妙洒脱に切り捨てることができるのである。
必要なのは、単に現行の秩序の上と下を入れ替えるのではなく、別の秩序でそれをぶっとばす力である。

というわけで、
この年、話題沸騰の注目の書を書いた森本あんり氏と、気鋭のベテランコラムニスト小田嶋隆氏は、小石川高校での・・・いや、その前の小中学校からの同級生だったのだ。当方、東京の高校のランキング的なことはまったく知らないのですが、すぐれた進学校なんでしょうね。

それだけなら、いい話…なんだが!!!

森本氏から、全く悪意なく「お前、典型的な反知性主義者だなあ」
褒められた時小田嶋隆氏は…素直にありがとう、とは言えないわけである。

おいおい、俺、内田樹さんや想田和弘さんと一緒に『反知性主義』を、安倍政権をDisるキーワードとして使いまくっちゃったんだよ。何でいまさら、『反知性主義は通常の秩序と別の座標軸があることだ』みたいな褒め言葉だよ、なんて言い出すんだよ。わかってんなら同級のよしみで教えてくれよ、もっと早く。池内恵とか山形浩生とかが、お前の本を紹介しながら、『あんたら、言葉の意味分かってなかったんとちゃう?ニヤニヤ』と俺たちに追い込みを今かけてるんだよ
 お前の台詞に乗って『そうそう、反知性主義ってそういう意味だよね、うん、以前から知ってた』つったら、安倍政権を俺は褒めてたことになっちゃうじゃん。それとも『ごめーん知らなかった、森本先生のおかげで誤用にやっと気付いたんです。たしかに間違ってました、池内先生や山形先生が正しいんです』と言ったら、ウチダさんやソーダさんを置いてけぼりにしちゃうだろ。ホントにもう・・・えーとこれから俺は 
1:『森本あんりの本は名著で』
2:『俺は以前から反知性主義のそういう意味はわかって使ってた』
3:けど『安倍政権は反知性主義、みたいな言い方もまた正しい』
というのをぜんぶ同じ口から言わなきゃいけないのか。なんて無理ゲーだよ…

以上、勝手に妄想した小田嶋氏の内心であります。根拠はありません(笑)
一番簡単なのは、やっぱり内田氏や想田氏を見捨ててでも「てへっ、俺は正しい意味を知らなかったよ。優秀な同級生・森本君のおかげで間違いに気付いたよ!!」と、(2)を捨てることだろうけど……


実は、傍証というか重要証言が出てくる。

山形浩生氏は、こう指摘した。

反知性主義を「バカ」の意味で使ってる連中は、どう見てもこの本も読んでないだろうと思った。まあそれは仕方ない。本書が出たのは2015年2月だもの。前回挙げた現代思想とかが出たのは、2014年末あたりか。ただ、そうした誤用は、単に知らなかっただけで、決して意図的に歪曲したわけではないと思っていた。その後はこうした本を読んで(だって、知性に依拠しているつもりの人たちなんでしょ)多少は反省もしてるんだろう…・・・


これに対になるような、担当編集者Yさんという方の重要証言があって…

実は、反知性主義には、日本語でのイメージとは別に、「権力に結びついた既存の知性」への疑いや、反逆、という意味があります。「反知性主義の『正体』には、今の日本で流布している意味内容からは思いもよらない肯定的で正当な要素が含まれている」(同書より)、ということを、森本先生の本を読んで知って、まず驚き、その上で改めて小田嶋さんの原稿を読み直してみて「そうか、オダジマさんのコラムの面白さは、反知性主義的な視点があるからだったのか」と気づく、編集者としてそれはどうなんだという己の無能っぷりにまた驚き

つ・ま・り…。
小田嶋さんの過去の文章を読んでも、森本氏の紹介した概念に沿って、「反知性主義」について述べているところはなかった!!少なくとも「一番の読者」と言われる担当編集も気づかなかった!!!
ってことなんだよな、これ(笑)。
担当編集氏が、小田嶋さんを援護射撃(少なくとも池内・山形両氏のに対して)したいなら「小田嶋さんの原稿を読み直してみたら、小田嶋さんは『反知性主義』という呼称を正しく使っていたことに気付いた」というべきで、「小田嶋さん自身が反知性主義だと気付いた」ではありません(笑)。




しかし!ここで青春の友情が生きてくる。

三田線に轢かれかけた「スタンド・バイ・ミーhttp://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/091500007/091500001/?n_cid=nbpnbo_twbn #日経ビジネスオンライン
 
「信仰」って、ライフスタイルのことかもしれない http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/091500007/091800002/?n_cid=nbpnbo_twbn #日経ビジネスオンライン

を読む限り、二人はとても仲良しだ。
極悪がんぼ」じゃないけど、都会の進学校の同級生は一種のマフィア、相互扶助組織でもあり、陰湿な足の引っ張り合いをしながらも、逆に陰湿に一致結束するのだ(極悪がんぼをそのまま信じるな)。


だから森本氏は、小田嶋氏を追い込むんじゃなくて、逆に救済する方向で動くのだと思う。もう、この本を出版している。

超・反知性主義入門

超・反知性主義入門

他人の足を引っ張って、何事かを為した気になる人々が、世の中を席巻しつつある…。

安倍政権の政策から教育改革、甲子園、ニッポン万歳コンテンツにリニアまで、
最近のニュースやネットの流行を題材に、日本流の「反知性主義」をあぶり出してきた
日経ビジネスオンライン」好評連載中のコラムが、大幅な加筆編集を加えて本になりました。

さらに『反知性主義 アメリカを動かす熱病の正体』の著者、森本あんり・国際基督教大学副学長との、「日本の『宗教』と『反知性主義』」をテーマにした2万字対談も新たに収録。

リンチまがいの炎上騒動、他人の行動を「自己責任」と切り捨てる態度、
「本当のことなんだから仕方ない」という開き直り。どれにも腹が立つけれど、
どう怒ればいいのか分からない。日本に漂う変な空気に辟易としている方に、
こうした人々の行動原理が、最近のニュースの実例付きで、すぱっと分かります。

エッセイ集として、日本の「反知性主義」の超・入門本として、お楽しみください。

だから今回の対談なり、あるいは本の構成全体が、上の(1)(2)(3)をうまくびしっと貫き、「実はこういうわけなんだよ!!」と説明するものになっているのではないか、あるいは森本氏が、そういうふうな方向に小田嶋氏をかばっているのではないか予測する。少なくとも、その方向性で何事かを説明しようとしているものになっているだろうとは確信する。
だって、そうじゃないと森本あんり本を武器の一つに使って、小田嶋氏らを含む「反知性主義=安倍政権」学派への一撃をかました諸勢力に対し、抵抗せず不戦敗を宣言したのにひとしいもの。

(※追記 その後、対談だけ読んでみたけど、二者の語っている「反知性主義」の概念が全然ちがっちょることは、ほんのちょっとだけ触れたあと、その後基本的にスルーしてた。やはりおさななじみにはよいものであるなあ(笑))


 
三菱鉛筆三菱グループと関係ない」話とはちょっと意味合いが違うのだ。(いや、同じかも知れんけど)

https://twitter.com/tako_ashi/status/645097855862992896
小田嶋隆 @tako_ashi
三菱鉛筆三菱グループの企業じゃないというお話は、オレ自身、5年ほど前ひょんなことで知った事実なわけで、このテの知識は、たとえば、トンボ鉛筆の本社は北区豊島にあるんだぞというお話と似たようなもので、知っている人間が偉くて、知らない人間が馬鹿だという話でも無いと思うのだが

三菱鉛筆三菱グループとは関係無い会社です。 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/875005


だから、そういう意味で、今回の小田嶋氏が出した「反知性主義」に関する新著、それも森本氏との対談が収録されているというこれはちょっと、いやすごく興味がわく。


実はそういう興味ですでに日経オンラインを読んだのだが、

小田嶋:だからちゃんと、「反知性主義者」的な、既存の知性を疑う素地は(※森本に)あったんだよね。今、考えてみればね。

と言ってる。
こっちは森本用法の「反知性主義?」
じゃあ、安倍氏や政権周辺も森本氏同様に「既存の知性を疑う素地がある」ということだったのか・・・いやいやいや。


ではどうするか。
もともとの言葉から枝分かれさせて、安倍政権をディスる意味での「反知性主義」は、それはそれでいいの!!森本あんりが紹介した「反知性主義」も、それはそれでいいの!!
というふうに、二つの顔を持たせるしかないかもしれない。
それは安倍政権の「積極的平和主義」を参考にすればよかろう(笑)。


或いは「反知性主義A(安倍)」と「反知性主義O(小田嶋)」にコンビを解消し、それぞれが独立してやっていくというのはどうか。
いや、反知性主義Aはそのままとして、もう片方は「反知性・O・主義」とミドルネーム的に……


山形浩生氏のいう、「反インテリ主義」という翻訳語を、「このほうがいいんじゃないか」と支持する意見もある。なるほど。


(了)

追記 翌日2015年09/26の小田嶋氏のツイートより

小田嶋隆 @tako_ashi
https://twitter.com/tako_ashi/status/647601482032787456
バカだからきらっているのではありません。きらいな人間にはバカであってほしいというのがわれらツイッタラーの小さな願いだということです。