ビッグコミックスピリッツ誌上で、いま4話目ぐらいの新連載なんだけれども。
『トクサツガガガ』丹羽 庭
http://comic-soon.shogakukan.co.jp/blog/news/spirits-new-lineup-2014summer/
仲村 叶、26歳。好きだからこそバラせない!? 隠れ特撮ファンOLの爆笑コメディー!
スピリッツは相変わらずサイトの情報が少ないねえ…まあ補足します。
上にあるように、主人公は26歳のOL。会社内にはほのかに彼女への憧れを持つ後輩男性もいたり、女の子グループからは合コンなんかにも誘われたりします。
でも特撮ファン。
しかも隠れ。特に社内では絶対に秘密で、特撮愛はフィギュアやDVDにあふれた自室でしか発散できない……。DVDを買うための弁当自炊や、見るための速攻帰宅も「熱愛中の恋人がいるのね」と解釈されて泥沼(笑)
…てな、コンセプトは、漫画やアニメを対象にしてはすでに何度も自虐的エッセイ漫画や「げんしけん」「となりの801ちゃん」などで火が付いた、漫画・アニメオタクを漫画で描くムーブメントで既に開拓しつくされているが、おや?フィールドをほんのちょっと…お隣同然なのに、「特撮」というジャンルにずらすと、そこはほぼ未開拓の新分野だった、ちゅー展開になった次第です
(※自分の観測範囲です!すでに特撮ファンの生態を漫画にした先行作品があったとしたらすいません!!)
ただ、さっき書いたようにフォーマットはまるごと、アニメファンものや漫画ファンもののエッセイを含めて使えるのですね。特撮作品は「ハイスコアガール」の二の舞を恐れたか(笑)、すべて架空のヒーローで、実在作品のうんちくをそこに絡める、的な感じにはならないだろう。スピリッツはやせても枯れてもやや一般寄り雑誌だしね(笑)。
それにだ。
実のところ「何かの重大、あるいは重大に見えてそうでもない秘密が主人公にはあり、主人公がその秘密を必死で隠す、ごまかす、取りつくろう」という展開は、ある意味その”秘密”が何であってもコメディとしては王道であって、はずれがない。
これは秘密が「自分の正体は宇宙人or吸血鬼」であろうと「奥様が魔女or通学中の女子高生」であろうと「こっそり捨て犬を拾って飼っている」であろうと「祖国東ドイツは既に消滅している」でも「田舎からお見合いを勧めにくるお母さんに、もう恋人がいるって言っちゃったの!1日だけ恋人のふりをして!!」であろうと、何でも料理次第では面白いわけですよ。
自分がこういうテーマ、シチュエーションの作品を「取りつくろいもの」と呼んで、映画、小説、ドラマなども含めて愛好していることは、古くから読んでくださっている読者にはおなじみですかね。
詳しくはこの検索結果から⇒【当ブログ内の「取りつくろいもの」検索結果】
だから、本当のリアル特撮女子から見て、それにどの程度のリアリティがあるかは関係なく、この主人公が毎回直面する”問題”と苦悩は面白い。
「どのように通行人の目を盗んで特撮キャラのガシャポン機械を回すか」に悩む彼女。どこそこの角にある機械は、歩道からは死角だ、という情報までインプットしている(笑)。
あるいは「特撮ファン同士でコミュニケーションはとりたいけど一般人には知られたくない!そうだ!!三頭身のデフォルメストラップなら『ゆるキャラ好き』のふりをしつつ同好の士にアピールできる」と、じゃらじゃらとダミーにまぎれて一点だけヒーローものを…
最近で一番おもしろかったのは、みんなでカラオケ屋に行って、特撮ソングしか歌えるものが無い(笑)という状況に陥った主人公は、自分がリアルタイムで幼稚園、小学生だったころのヒーローを選んで「子どもの頃、なんとなく見て覚えてるー。懐かしいー」という演技をしつつ歌う。TVのOPでカットされてる箇所は「あれー?よく知らなーい」とか言いながら(爆笑)
ただ、このセーフラインうんぬんって本当にセーフかどうかは…。
「お前、宮崎アニメの話題ならセーフと思ったら大間違いだ!!!」という名言は「かってに改蔵」だったろうか、「銀魂」だったろうか。
- 作者: 小島アジコ
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ま、
ともかく。
そんなふうに、テーマは特撮ファンというニッチさがあるように見えて(いや、間違いなくニッチを狙ったというところはあるんだろうが)実は王道の「取りつくろいもの」であるこの「トクサツガガガ」。
どれだけ一般人気が出てくるかはなんともいえないけど、少なくとも当方は楽しんでおります。