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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

藤木俊の新連載がド直球の「戦隊パロディ」で「このジャンルもおなじみだねえ、例えば…」と思ったらあんまり無かった。異世界ゲームパロや魔法少女パロは隆盛なのに…

ビッグコミックスピリッツで、こういう新連載が始まった。


https://bigcomicbros.net/comic/gigagreen/

“斬新すぎる”新米ヒーローコメディー!!
ヴィラン(悪役)とスーパーヒーローが対立する世界。
念願かなってヒーローチームに就職できた主人公・緑川リュウセイだが、出勤早々チームリーダーにとんでもないトラブルが!?

 


で、この前twitterでこれを紹介するときに、こう書いたのだった

ビッグコミックスピリッツ藤木俊氏が新連載「進め!ギガグリーン」を開始。
もう、ちょっとお馴染みすぎるジャンル「戦隊パロディもの」であるけど、この方は何年前かな、なかなか面白かった悪の組織パロディもの「はじめてのあく」描いてた人だよね。

その持ち味が出るかには期待。

ところが・・・・・・・・

戦隊シリーズ(あるいは特撮ヒーロー全体)のパロディ漫画、それほどたくさんあったっけ?あまり無い??

自分が書いた【ちょっとお馴染みすぎるジャンル「戦隊パロディもの」】……てぇ話、本当にそうなのか?と。

いや、はっきりいって間違いじゃあないはずだ、社会全体に広げるとネ。テレビ番組では、実際の戦隊シリーズとは別に、けっこう存在しているし、なんと言っても、「ご当地ヒーロー」のほうで、あるいはちょっとした地方公共団体のPR活動で、「戦隊シリーズのパロディ」はいろいろと登場している。どうも自治体の課長会議辺りで企画が通りやすいようだ(笑)

茨城県

お猿戦隊サルレンジャー - 石岡市東筑ユートピアで行われている猿による演劇に登場する戦隊ヒーロー。
出動!クリーンレンジャー - 茨城町のポケットファームどきどきで子どもたちと清掃活動を行う。
常磐戦隊イバラきマン - ストラップで展開。
元気戦隊トリディンジャー - 取手市ローカル戦隊

栃木県

絢爛郷土カヌマン(けんらんきょうど-) - 鹿沼市より特別住民票を授与された鹿沼市公認のローカル戦隊。主に鹿沼市限定でイベントへの出演、衣装貸し出しのボランティア活動で展開。2014年1月に株式会社東映より正式なライセンスを取得。
窯業戦隊クラッシュレンジャー - まちづくり戦隊マシレンジャーの前身。
防犯戦隊サブレンジャー - 大田原市ローカル戦隊。地元の小学校教師や保護者による。
地方戦隊キタカントー - 自主制作コメディ映画発。

群馬県

上毛戦隊グンマン - ストラップなどのグッズで展開。
草津温泉マン - 草津温泉ローカル戦隊。ストラップなどで展開。
群馬県隊グンマレンジャー - 五人で構成される。ストラップなどで展開。
町中レンジャー(まちなか-) - 館林市ローカル戦隊

埼玉県

埼京戦隊ドテレンジャー - 戸田市ローカル戦隊
環境戦隊ワコレンジャー - 和光市ローカル戦隊
保育戦隊パパレンジャー - 志木市ローカル戦隊
環境戦隊エコレンジャー - 川口市ローカル戦隊
彩ノ国戦隊サイタマン - ストラップで展開。
稲穂戦隊スイハンジャー - 加須市北川辺地区のローカル戦隊

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E6%9D%B1%E5%9C%B0%E6%96%B9%E3%81%AE%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E4%B8%80%E8%A6%A7

たのしそうで、何よりだ(笑)
しかし、そもそもの話だが「パロディに多用されるのは、元ネタが説明不要で知られているものだけだ」という大原則がある。
むかしは時代劇であり、歌舞伎であり、西部劇だったろう。


西部劇が、日本でも「誰もが知ってる人気のジャンルと世界観」だった時代―それが”消滅”するまで https://togetter.com/li/1243945

半世紀にならんとしている戦隊シリーズ。高視聴率もあれば低視聴率もあり、放送時間も次々と変わっていったが、それでもほぼ共通したコンセプトのシリーズを、主体を変えつつ1年交代でリレーしてブラウン管(古い表現)に、そしておもちゃ屋にゆるぎない存在感を発揮してきた。全放送局で戦隊ものは1年に一作だけ、増えもしなきゃ減りもしないのだが……それでもここまで続けば、ゆるぎない「文化」になる。
その生きた証拠なのだと思うのです。

それにぶっちゃけ
「戦隊が名乗りを上げている間に攻撃されないの?」
「怪人たちも一体じゃなく集団で戦えばいいのに…」
「なんで日本ばかり標的なの?アメリカやヨーロッパも攻めろよ」
「飛行機が合体してロボットになる必然性ある?つうか最初から出せ」
など、戦隊の「お約束」にツッコミ入れたり、また戦隊や悪の組織が何をやって経済的に自立しているか、日常は何をして暮らしているか、上司や部下の悩み、同僚間の恋愛や喧嘩などのフツーの話を敢えてヒーローや悪の幹部にやらせる…というのをちょっと想像すればすぐにパロディが作れる。
非常に「パロディしやすい」ジャンルだともいえる。



しかしだな!!
最初の話に戻るけど、戦隊シリーズのコンセプト(色分けのメンバー、巨大ロボ、悪の組織との抗争…)などなどを、正面からパロディとして扱った漫画作品、実はそんなにたくさんは無いっぽいんです。

自分が覚えている限りでいうと・・・・・・・・・


 
ヒーローカンパニー1(ヒーローズコミックス)

ヒーローカンパニー1(ヒーローズコミックス)

   

ちなみにサンレッドもシュヴァリオンも基本は単体ヒーローなんだけど、元は戦隊の仲間がいて、それが解散してピンのヒーローをやっている、という設定が作中で語られている。


追加 コメント欄より

mondojirou 2018/07/29 09:34
今は確か「ぷ〜ねこ」を描いてる北道正幸が「ぽちょむきん」という特撮パロディものをやってました。
全体にライダーパロが多かったですが、ヒーローがチームで名前の末尾が色というのが戦隊パロだった。メタルヒーローのように衛星からコスチュームをビームで付着させるのですが、外しまくって女の子が半裸になったり、犬や幼児を変身させてしまったりという感じです。
唐突に終わったので、あまり知られてないかも。


ykk 2018/07/29 11:13
昔の漫画になりますが特務戦隊シャインズマンという現在のイケメン揃いの特撮のはしりのような女性向けぽい戦隊漫画がありました。
本筋は異星人と戦う戦隊ものですが、メンバーがモスグリーンとかセピアとか地味な色のばっかりだったり普段勤めてる会社員とヒーローの両立が大変とかのパロディ要素のあった戦隊漫画だったと思います。


たうざぁ 2018/07/29 18:02
漫画ではないですが、「戦隊パロ」というジャンルを普通の日本人に広げたという意味ではゴレンジャイの意義は大きいと思います。(上から目線)

あとはアニメですが、戦隊物ネタのローカルヒーローをさらにネタにした(ややこしい)アクションヒロインチアフルーツという作品が。こちらはコミカライズもされてますね。


gryphon 2018/07/29 12:22
そういえば石黒正数短編集にもあったな!(思い出した)

探偵綺譚?石黒正数短編集? (リュウコミックス)

探偵綺譚?石黒正数短編集? (リュウコミックス)


とおりすがり2 2018/07/30 06:49
桂正和の初期作品に「学園戦士サンパロカン」ってのがあったね。
それもすでに「お約束」の世界を書いてた様な作品だった様な気がするが正直良く覚えていない。


トム鈴木 2018/07/30 20:32
すみません、私にも一言言わせてください。
戦隊シリーズのパロディ」は漫画よりも演劇・映画で盛んだと思われます。
演劇で利点は「派手な全身タイツと手袋、派手な見得を切れば必ずウケが取れる。」

下北沢の小さな演劇公演だけでなく
最近では山口良一熊谷真実芋洗坂係長と言ったメジャーな役者さんも
世襲戦隊カゾクマン』シリーズに毎回出演しておられます。
毎回好評・チケット完売で続編が次々と作られています。
映画だと『女子ーズ』?


木村 2018/07/30 21:45
特撮ガガガで描かれている毎年新しい一喜一憂する戦隊ファンの生態ですが、最初に見たのは「無敵看板娘」の戦隊オタの八百屋の太田ですね。
作中では放映される戦隊ものがエコレンジャー→ブシレンジャー→スターレンジャー→ブツレンジャー→シーレンジャーと5回代替わりし、その度にめんどくさい特オタとして文句言ったり反省したりを繰り返してました。

無敵看板娘 〈期間限定生産〉 [DVD]

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トクサツガガガ (13) (ビッグコミックス)

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まー、上の紹介作品でジャンルを網羅しているとは、自分でも全然思っていない。

そもそも元祖の「ゴレンジャー」にしてから、とちゅうで石森章太郎先生が路線変更して、マジに描いたコミック版「ゴレンジャー」を「ゴレンジャーごっこ」にしたらしいからね(笑)


さらにいうと、80年代に「ウイングマン」が少年ジャンプの中堅どころとして一定の人気を保っていた時も、それは「特撮ヒーローものを漫画でやりたい」という欲求と「でも、そのまんまじゃうまくいかないからパロディ要素を加味した、『ヒーローものパロディ』漫画でやろう」という計算の上でバランスを取った作品で、あの作品を特撮パロディ漫画と考えても違和感はあまりない。

MANGA REALIZATION ウイングマン -ANIMATION Ver.-

MANGA REALIZATION ウイングマン -ANIMATION Ver.-

その加減を知ってか知らずか、おれは少年漫画で特撮ものをやりたいんじゃー!!と正面からぶつかっていって、そして敗れていったのが、最近亡くなった故・黒岩よしひろ氏だと思っている。


あと、「戦隊パロディ」は作品そのものになるというよりは、ギャグマンガで一話のエピソードとして使えるという感じのものなのかもしれない。
(もちろん「究極超人あ〜る」「究極戦隊コウガマン」をその好例とするべきであろう)


しかし、同じように「数十年の積み重ねで、単なるサブカルジャンルというのにとどまらず、老若男女に「お馴染みのアレのパロディだね」とわかる基盤ができた」「お約束に常識の視点から突っ込んだり、キャラクターの日常を想像するだけで簡単に初歩的なパロディが楽しめる」という点では共通している
異世界ファンタジー」(あるいは「ドラクエもの」)のパロディに、なんか完全に水をあけられてるじゃないですか(笑)

異世界ファンタジードラクエ的な魔王と勇者のパロディ漫画、いまここで列挙したら完全に溢れて決壊するぞ…さらにいえばパロディかマジか混然一体で判別がつかない、マニアには「アレのパロかー」だけど、初心者には単体として楽しめる作品もあるみたいだし…

これについては、過去に書いたこの記事に任せよう。

たった30年…?で「ファンタジーのお約束」を国民が共有。既に一ジャンルとなった、パロディ化の歴史を誰かまとめてください。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150314/p3

さらに、構造的にはまったく戦隊ものと同じな魔法少女もの」のパロディのほうに、戦隊(特撮ヒーロー)パロディが圧倒されてないかしら?観測範囲は自分は後者よりだと思うんだけど…

俺とヒーローと魔法少女(6) (ポラリスCOMICS)

俺とヒーローと魔法少女(6) (ポラリスCOMICS)

魔法少女になれません。(1) (ヤンマガKCスペシャル)

魔法少女になれません。(1) (ヤンマガKCスペシャル)

魔法少女 俺 上巻(POE BACKS/Beコミックス)

魔法少女 俺 上巻(POE BACKS/Beコミックス)



そんなわけで、「実はパロディであふれかえっているように見えた戦隊シリーズ、特撮ヒーローもののパロディ漫画は意外なほど少なく、異世界ファンタジードラクエもの)のパロディ漫画には完全に差をつけられ、魔法少女もののパロディ漫画に抜かれているのではないか?」という問題意識を共有してほしいと思います。(どうでもいい?何が問題かわからない?? まぁ、そうだろうねぃ…)


そしてひょっとしたら、「戦隊パロディは、東映著作権を握っている関係で、ちょっとやはり制約がある」のかもしれません(仮説)
もちろん、「アイデア著作権なし」なので、赤青黄…と色分けされたメンバーが巨大ロボットに乗って悪の組織と戦う、というアイデア自体はいくら真似したっていいわけだけど、やはりどこかに天井があるのかもしれないし、本家へのリスペクトという自粛機能もあるのかもしれません。
というのは、上に紹介したローカルヒーローの記述を見ていたら

絢爛郷土カヌマン(けんらんきょうど-) - 鹿沼市より特別住民票を授与された鹿沼市公認のローカル戦隊。主に鹿沼市限定でイベントへの出演、衣装貸し出しのボランティア活動で展開。2014年1月に株式会社東映より正式なライセンスを取得


ほんとだった
https://localchara.jp/catalog/1844/

http://kanuman.com/


東映は、ローカル戦隊にライセンスを与えるなんてビジネスもしていたのか(笑)

おまけ 「戦隊」という語釈と辞書

三省堂
せん たい [1][0] 【戦隊】
軍隊の戦術単位。水雷戦隊・航空戦隊など。
https://www.weblio.jp/content/%E6%88%A6%E9%9A%8A

だよなあ…いくら社会的に「ああ、戦隊と言えばアレね」とコンセンサスが得られていても、一番組、一シリーズの特殊な用法と言われればそれ以上ではない。
今後「戦隊」が、「赤青黄…のチームのアレ」と【辞書に記される】ことがあるのでしょうか。あとで飯間浩明先生に聞いてみよう。