「ガンダムORIGIN」の地上波テレビ放送が始まりました。
www.gundam-the-origin.net
その結果、同作品の中心人物である安彦良和氏→以前の安彦氏のいしかわじゅん批判(これ)
m-dojo.hatenadiary.com
→「うしおととら」でも、BSマンガ夜話に関すして同じような例があったよな…と、うち周辺で話題が広がったので資料紹介します。
かつてのこの記事にも、少し資料を増やしたけど、どうせその1リンクの手間を惜しむ人が多いんだろうし、また追加で書きたいことがあるので、ここにも再度引用します。
https://twitter.com/mdojo1/status/1123381052645318657
BSマンガ夜話で2000年に「うしおととら」が論じられたんだけど、この時に、サンデーの重鎮たる2者…、椎名高志氏と、作者本人たる藤田和日郎氏から反響があったんだよ。
それがこれさ。
◆椎名高志
http://web.archive.org/web/20010413145558/www.ne.jp/asahi/cna100/store/okini02/0115.htm
2/28日未明に放送された、BS2の「マンガ夜話」のお題は「うしおととら」でした。例によって見てない人は置いていきます。
この番組見るたび、いつも思うことなんだけど…何様のつもりだ、いしかわじゅん。何言ってもムカつく。知り合いがネタにされてるのを見たのは初めてでした。そしたら、ムカつき度十倍。岡田斗司夫や夏目房之助はいいんだ、何言っても。あの人達にはプロの評論家としての芸があるから。なんだっての、あのオッサンは? 偉いの? なんで? どして? なんか権力持ってんの? 才能…ま、そのことは言うまい。あんまり腹の虫が治まらないので、見終わったあと藤田和日郎先生に電話をかけた。一緒に怒りをぶちまけて憂さを晴らそうと思ったのだ。ところが、自分では見てないし録画もしてないという。ネームの最中で、ゆっくり話す時間もなさそうだった。本人は自分の創作に忙しくて、そんなくだらないことは歯牙にもかけていなかったというオチ。
ところで、番組終了近くでの岡田斗司夫のコメントにものすごくイイのがあった。物語のエンディングで、とらがまだ人間を食う気があるのかを聞かれて「もう腹いっぱいだ」とこたえる名場面がある。岡田氏はそのときにうしおがとらの胸を叩いているカットを取り上げた。私を含めて、たぶんかなりの読者がその意味を見落としていたと思う。つまりこれは、とらが人間を食おうとしていたのは空腹だったからではなく、心の穴を埋めたいと願っていたからだったということを、象徴的に、しかしはっきりと…(略)
◆藤田和日郎(作者本人)
websunday.net
(前略)…
あ、そうそう。BS漫画夜話っていう番組で『うしおととら』特集されてね(3月くらいかな)、そのときは観てなかったんだけど、最近ビデオで観ましたですよ。複数の方がひとつのまんがを題材にあれこれしゃべるものなんだけど友人たちで話すようなツッコミをいちいち「プロですよ的見方」で話す、この番組は前から好きじゃなかったんですわ。
案の定、言われてましたですな。
頭の良さげな人たちが分析する。
ほめてはけなし、けなしてはほめず…
ま、自分からの感想はいいや。それより、うれしかったのは、椎名先生が、怒ってくれてねえ。それはもう、オンエア直後に、電話があって、もうぷんぷん。それで、今になってビデオを観ても、椎名さんの声が聞こえてきて、とってもクールに受けとめることができました。
椎名さんの電話がなかったら、斜に構えてまんがを描かない自分は番組の意見の直撃を受けて爆発していたかもしれなかったよ。だいたい絵がヘタであきらめてるってよォ……とか何とか書いているうちに、故郷のおふくろの電話。「人間 怒られなくなるとダメさァ」
……はい… そうでしょうな…
やめとこ。では、みなさん、また。
まさに盟友!!
ちなみに騒動のもととなった番組
https://www.youtube.com/watch?v=hzllwwgGViE
BSマンガ夜話 「うしおととら」 藤田和日郎 (2001年)
ただし、それだけならわざわざ新エントリにはしない。ひとつ、この2人に対して新しく知ったエピソードがあるんで、それを紹介したいのだ。つまりここから本題(あまりいい構成ではない!)
二人の巨匠が若き日に散らした火花…その個性の違い。
古くからの、ある作者のファンのジレンマとして、「当初発行された単行本を持っているから、その後復刊した文庫などは読む機会が無く、おまけ追加ページや解説などを読むことも無い」ということがある。
椎名高志氏の「GS美神 極楽大作戦」が自分にとってはそうで、文庫が出ていたのは知っていたが、そのままだったのですよ。
しかし、ごく最近、ちょっと目に触れる機会があって……まさに数日前から上で話題になっていた、椎名―藤田の盟友関係に関するものだった。いや、盟友といっても、いかに仲良しこよし「ではない」か、ということだ。
それは、GS美神の文庫版1巻に収録された、藤田和日郎氏の寄稿である。
以下はうろ覚えの再現になるので、それをご承知の上で。
マンガを描くのと同じくらい、漫画を熱く語ることが大好きな藤田氏。その暑苦しさは、小学館忘年会後の二次会で、カラオケルームを「漫画論ルーム」にしてしまうとも言われるし、「島本和彦描くところの『富士鷹ジュビロ』はデフォルメとかじゃなく、だいたいそのまんま」とも言われるわけだ。
読者ハ読ムナ(笑): いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか (少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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そんな、藤田流の熱い漫画語り、は若いころからそうだったんだろう。やはり若き時代の椎名高志に、話をしていたと思いねぇ。
藤田和日郎
「99%死ぬことが分かっている場所に、微笑んで向かっていく!!!そんなヒーローが大好きなんだ!そんなふうなのを描きたいねぇ…」
これに対して、椎名高志の返した返事がすごい。
「でもさ、残りの1%に賭けて、生きて帰ってくるつもりのヒーローのほうが、かっこ良くない?」
※以上、「GS美神 極楽大作戦」文庫版1巻の藤田和日郎氏の寄稿より。
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うーむ……深い、というか、両方の個性が出ている…ような、そうでもないような。
というのは、この椎名氏の回答にほとほと藤田氏は感心、感服したようで、そこから十分にエッセンスを吸収した、ようにも見える。また椎名氏のほうだって、藤田氏から影響を受けないはずがない、あの暑苦しさでさ(笑)
でもまぁ、ほんとこれはまだ若手(若手でありながら、サンデーの中軸を打っていたわけだが)の時代の話。
そして李白と杜甫、清少納言と紫式部のように、両人の個性が対照的なきらめきを見せていて
「さても両人ながら名人!」と思った次第です。
【追記】この藤田和日郎による文庫解説は、そのまま椎名高志氏のデビュー30年記念本「椎名高志の漫画術」に掲載されました。細部の表現は違っているところもあるが、趣旨はほぼ同じでした
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そのほか
俺命名するところの、少年サンデー90年代の黄金期を牽引した「ナインティーズ・マフィア」の相互交流はいろんなところに痕跡があって、河合克敏「帯をギュッとね!」の単行本カバーに収録されているおまけ四コマにも、みんなで温泉旅行に行った話が描かれていた。そこでも椎名氏は「モンティパイソン」の笑いが参考になると皆に薦めるなど、ほかの漫画家にはその智、知識量で一目おかれていたようだ。
帯ギュは実家にあるので、GWに機会があったら探して紹介してみましょう。
藤田和日郎について、かつてネタにしたもろもろ。
・漫画の創作の秘密を惜しげもなく語る
・他の作者や作品を臆面もなく、真正面から褒めまくる
・富士鷹ジュビロである
…などの理由で(笑)、興味深い話題が多く、何度も紹介させていただきました。そのごく一部
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今週の少年サンデー『サンデー非科学研究所』
— レバオン (@continental_777) 2016年11月2日
漫画家の作画メシを探る。再登場の藤田和日郎は鉄板で面白い。
カールやカッパエビセンが好きなの意外。
横山裕二が逃げ出す熱量は相変わらず…(笑) #weekly_sunday #漫画 #感想 pic.twitter.com/eiHzXrSHed
椎名高志について、かつてネタにしたもろもろ。
こっちはけっこう、真面目な作品論が多い。というか、絶対可憐チルドレンの連載開始当時の記事が残ってるブログも、今となりゃあ少ないですかね…
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