ああ、曜日を勘違いしていたのと、昨日の多忙で事前の告知をしたかったのに、当日となってしまった・・・でもまだ午前中、意味はあるよね。
こういう次第です
画像にあるけど、サービス良く他の作品からもキャラクターが登場するらしい。
以下、この復活への感想を執筆・・・の前に、まず「ヒーローズ・カムバック」の再説明からしたほうがいいか。
震災復興支援協力企画[ヒーローズ・カムバック]
少年サンデー13〜14号では『GS美神 極楽大作戦』が復活!!
http://websunday.net/news/#n_hcb「自分たちの作品で復興を支援できないか」という細野不二彦先生のご提案から、3.11を忘れないために8名の漫画家が特別に描き下ろす読切シリーズが生まれました。それが[ヒーローズ・カムバック]です。
少年サンデーからも4名の漫画家が賛同しました。『うしおととら』藤田和日郎先生、『犬夜叉』高橋留美子先生、『銀の匙 Silver Spoon』荒川 弘先生。そしてただ今発売中の少年サンデーでは、椎名高志先生の『GS美神 極楽大作戦』を読めます!!
それぞれ描いていただいた作品は各誌掲載の後単行本化、必要経費を除く全ての収益と印税を寄付します。
ぼくは震災支援云々以前に、ふつうに好きでこの情報をおっかけ、紹介してきた。
以下主な関連リンクです。
■細野不二彦「ギャラリーフェイク」復活。舞台は東日本大震災の被災地、宮城
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121003/p4
■本日発売のスピリッツで「ヒーローズ・カムバック」スタート。そして…「究極超人あ〜る」復活も正式決定!!
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121022/p3
■来週いよいよ「究極超人あ〜る」復活・・・「自然体」な予告がすばらしい。細野不二彦「ギャラリーフェイク」復活篇もいい出来。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121031/p3
■いよいよ本日、復活「究極超人あ〜る」スピリッツに登場!で総まとめ的回想
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121105/p4
■究極超人あ〜る、復活のその後。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121106/p4
■藤田和日郎「うしおととら」復活に際し、現在は独立した有名漫画家までアシに復帰(笑)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121121/p2
作品感想を書き損ねたが、「うしおととら」ももちろん、素晴らしい出来だった。
他に「感染るんです。」も復活している。
そしてまず、作者本人の言葉を
ブログやtwitterを作ったはいいが、書かないつぶやかない漫画家が全体の8割を占める。
たくさんつぶやく人もいるが、同時に一定のペースと量でブログも更新している人は、もう片手で数えられるぐらい。その一人が椎名氏だ。
摩天楼の足もと、時代錯誤の罠♪ :週刊少年サンデー13/13号
― 2013/02/20
http://cnanews.asablo.jp/blog/2013/02/20/6725918……絶チルは2週間お休みです。その代わり、チャリティー企画「ヒーローズ・カムバック」参加作品として、『GS美神・極楽大作戦!! スペシャル・リポート: ブレイク・ユア・ディスティニー!!』を前後編でお届けします。
発起人の細野不二彦先生から話をうかがって、二つ返事で引き受けたものの、実際に描くとなるとなにをやるのかずいぶん悩んじゃって…(略)どのくらい当時のノリを再現するのかとか、彼らが何をすれば今の自分にとって納得が行くのか…(後略)
作者twitter
https://twitter.com/Takashi_Shiina
この人がこれだけ「語れる(あるいは「語れてしまう」)」クリエイター(何しろブログではかつて、「BSマンガ夜話」での友人の作品が論じられた時、詳細に反論したこととかまであるのだ)なのは、俺は大好きだが全体的にプラスかマイナスかはちょっと判断がつかないところがある。
当時の「極楽大作戦」に触れた自分の回想
まずそもそも、この作者が四コママンガ「Dr椎名の教育的指導!」で登場したとき、向田邦子を山本夏彦が評した言葉じゃないが「突然あらわれてほとんど名人」としか言いようが無い完成度に驚愕した記憶は鮮明だ。
そもそも、その四コマってたしか「感染るんです」ブームとも連動し「不条理四コマ」が大人気だったために四コマの枠が各誌で増えていた、という気がするが…特筆すべきはめちゃくちゃ面白いのに「不条理さ」は影も形も無く、全部「条理ギャグマンガ」だったと。
「バカには見えない戦闘機です」
「いろんな国や職業の人が書いた世界地図」
「ペットをおもちゃのように扱う人が増えています」
など、今思い出せる人はこのフレーズから思い出して笑えるような傑作を連発していた。(ただし、論理で繋がる4コマなので思い出せない人は当然ちっともわかるまい)
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そこで活躍していた作者たちを自分は勝手に「ナインティーズ・マフィア」と読んでいるけど(笑)、名称はともかく、彼ら自身も連帯意識は強い。
■サンデー黄金時代(俺認定)を築いた「ナインティーズ・マフィア」が集まり震災復興支援イベント
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110521/p7
■90年代サンデー作家”ナインティーズ・マフィア”たち、集いしその後に。(椎名高志ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110619/p5
ああ、そういえば何かの作品の文庫版解説で「そういう若手の集まりで椎名さんはよく『いつまでも高橋留美子、あだち充の時代にしとるわけにはいかんやろ?』と言ってた」と誰か書いてたぞ(笑)。そういう野心も含めてリーダー格、というか仁義なき戦いでいえば若頭っぽかったな(笑)。いや誌面ではたぶん、その大御所も抑えてトップを既に張っていたような気が・・・。
ようやっと作品論に入る・・・のだが、正直本気でこの作品論を書くとしたら旧作を読み直し、準備をしてえいやっと書きたかった。自分の曜日勘違いなどで不意打ちなので、断片のみ語りたい。
まず、この作品で最初に「すげーなー」と思ったところ・・・で真っ先に思い出すのが「吸血鬼の王ブラドーが数百年の眠りから復活する。『余は全世界の王者になるのだっ』と宣言したのはいいが、指し示す世界地図が天動説に基づくむちゃくちゃな大陸図で、登場人物は『こいつ、完全に中世で頭が立ち腐っとる…』とあきれる」
というシーン。
分かりづらいといやあ分かりづらいギャグだが、編集者もいい人材を得てOKもらったんですかね。ともあれ、こういう知的な・・・作者が好きだったという「モンティ・パイソン」を彷彿とさせるようなギャグが強烈だった。
だいたいにして、本日の別エントリで偶然同じ作者の現在の連載「絶対可憐チルドレン」のギャグコマを紹介したが、
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130227/p4
これだって色んな映画的教養、歴史的教養の上に成り立つコマだ。
局長のセリフへの部下の反応、また3エスパー少女のクーデター計画が、わざわざホントの図上演習で使う道具まで書き込んでいるところなんかも・・・
最近「チルドレン」の10〜20巻ぐらいをまとめて読む機会があったのだけど、実をいいますとこういうギャグの練り具合、密度に衰えが無くて驚いた。また、ちょっと難しい言いまわしで複雑なギャグを飛ばす(とくにツッコミ部分)って…実は、「全盛期こち亀」の
雰囲気にも似てるんだよ!!!これは自分も読んで、気づいたときには驚いたです。
そんな才能はGS美神の中にも当然開花している。
また、主人公や語り手をギャグの時には「卑怯」「臆病」「強欲」などの欠点をバーンとネタにして、またその上で人間関係も描写しつつ、本当に強い敵役を迎えたシリアス回では、勇気、友情、信頼、自己犠牲…などを前面に出して「1作品で2度おいしい」やり方を本格的に行ったのは・・・・すまん、前にもあるかもしれないけど、自分的にはこの作品がパイオニアだ。
(もっと薄い感じの「普段はおとぼけ(皮肉屋)、やるときはやる」的なデカや探偵はいたけど、GS美神のギャグパートはもっと性格の悪さを前提にしたギャグが極端なのだ)
そして今は「銀魂」と「劣化銀魂」…じゃない、SKET DANCE(スケットダンス)がやっているよな。この形の少年漫画的元祖のような、そーじゃないような・・・・
そして、なんといっても椎名氏の作品を自分が好きなのは、「SFの風」が常に流れていること。
「SFの風」っていってもわからんよね(笑)。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121014/p3
でちょっと書いたけど、最晩年の立川談志が、こういったそうだ。
立川談志は晩年の著作で「落語は江戸の風が吹く中で演じられるべきものである」と説いた。談志が「江戸の風を感じる演者」として五街道雲助を挙げ・・・(略)他にも意外な落語家の名が挙がっていた。橘家圓蔵だ。圓蔵は「江戸の粋」を感じさせるタイプではない。むしろ正反対の爆笑派だ。その圓蔵に「江戸の風が吹いている」と談志が指摘したことは、極めて大きな意味を持つ。
江戸の風じゃ抽象的で、何がよくて何が悪いのかわからん、ちゃんと詳しく示せ、という批判はしごくまっとうだと認めたうえで、椎名高志を上のような意味で「SFの風」と言ったのです…すまん、これはほんとに手抜きだな(笑)。談志(落語家)の示す「江戸の風」とは違い、椎名高志のSFマインド、センスオブワンダー…とくにその独自性はちゃんと分析すればきちんと本来は分かるはずだ。
手を抜いたことを認めた上で、暫定的な感想だったという。
だからこそ、この前も書いたように「MISTERジパング」がおそらく構想半ばで打ち切られたことはSF的にも哀しい事件だったし、見え隠れする細部の歴史考証から歴史好き的にも悲しかった。
はっきりいえば雑誌への貢献度や質から言っても「目先の人気とかは別にして、これは最終的に傑作になります。アンケートとは別枠の連載と考えております」とするべきだったんじゃないかと思うよ、今でも。
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その後の「一番湯のカナタ」は正直迷走ぶりがやや見て取れたけど、大人向け雑誌に載せたSF短編は藤子・F・不二雄の短編とも比較しえる何かがあったと思うし、
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あの作品も「これがヒットしないわけがないじゃないですか!」と作者や編集部が自信満々で始めた、わけでないらしい。
ああ、このブログは同作の連載開始からフォローできてるわけか・・・長いねこのブログも・・・
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050722/p4
実は本人が、その道の苦難は一番良く分かっていたようで。http://www.ne.jp/asahi/cna100/store/news/050622/050622.htm
今の少年誌にはビミョーな路線なんですが、それに懸けたこの執念、同世代の大きいお友達にはわかってもらえるよね(笑)? 勝ち目があろーとなかろーと、俺はこーゆーの好きだし簡単には捨てられない。俺が打ち切られたら、誰かがあとをついでくれ。光は絆だ。そうか、頑張れ。骨は拾うぞ。
第二話は、超能力SFではお馴染みの「超能力者への一般人の恐れ、差別(ちょっと一ひねりありそうだが)」がテーマ。SFは「異人」を自由に想像力豊かに設定できるから、差別問題をうまくエンターテイメントの文脈にのせつつテーマにしやすい。
そしていま、
作品は二度目のアニメ化をされ(自分はどうも漫画はすきでも、アニメに縁遠いのが申し訳ないが・・・)そして90年代の作品はリバイバルを要請されるようになった。
そんな彼の、作品による一種の「回想」でもあり「未来系」でもある「テン年代の極楽大作戦」。果たしてどうなることか、自分はこれから買って読みます。
追記「MISTERジパング」終了過程について
本人ブログ
http://cnanews.asablo.jp/blog/2013/02/28/6733376
・・・ジパングはね、あれは画面に必要な要素や考証が、私の作業ペースだと週刊ではキツい作品だったのですよ。それと、いま思えば作者は『銀魂』みたいなことをやろうとしてたんですが、編集者は闘争でのし上がってくヒエラルキー漫画にしたがってて、そこの落としどころが見つからなくて、もう限界だなと思ったほどほどのところで終わりました。ただまー単行本はかなりの部数売れてたんで、「あれは打ち切り」とか知ったかぶりしてる子がいたら、そう教えてあげてください(笑)。打ち切りは『一番湯のカナタ』だけ!