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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

”平成の寺田ヒロオ”藤田和日郎の漫画論、職場論名言集。「漫画家工場」「魁!藤田道場」の実態は?

http://booklive.jp/feature/index/id/ivkf_01
の対談記事、非常におもしろかった。
ここでの、藤田和日郎先生のお言葉が(例によって)面白すぎるので名言集的に抜粋したい。省略や語尾の修正はいちいち記さない。2部にわける。

漫画家苦闘編

何とか引っかかってやろうってもがいていた頃…鍋の中で、爪も引っかからないような壁に向かって、何とか爪を立てて「この業界にいさせて!」って何か相手に届く武器を必死で探した人間だけが、何とか引っかかって生き残ってる。

エンターテインメントっていうのは公式があって、積み木みたいに組み上げていって、それに乗っかれば面白いものができる。公式を覚えて、キャラクターのギャップをより多く見せるっていうことを覚えれば何とかなる。面白いアイディアの理由を「閃いたんだよ」とか、「才能かな?」って言い方はしたくない。

うしおととら』では、オレは絶対に最後にみんなで戦うシーンを描きたかった。お腹を減らして、髪の毛もハゲながら(笑)。「絶対にやるんだモン!ボク絶対にやるモン!」みたいな気持ちでやらないと無理。

オレは「私のようになりたまえ」って説教している漫画ってあまり好きではないんですよね。それよりも、自分の中の「あんな風になりたい!」っていう憧れを読者に伝えたい。

「もっと新しいジャンルを、もっと別の年齢層に向けた作品を」って言われても全然心がそれを欲さない。だってオレ少年漫画家だもん。少年漫画家がなんでもっと複雑な人間関係や難しいこと、悲しいことを描かなきゃいけないの?オレは子供たちの一番最初の心を奪うためにここにいるのに。

長く続く連載の作品に対して聞かれる「コレ、後付けだよね〜」って言葉に対してワタシは言いたい!「後付けじゃない漫画があるかっ!」って。

この状況をどうしたら良いんだろう?って一生懸命答えを探すって大事なんですよね。休みを取っている時間は何をしているかっていえば、物語のツジツマ合わせとかに使ってる。

育成師匠編

アシスタントとは「ここでやる仕事が、アシスタントとしての最後の仕事だからな」って、「いずれお前たちは漫画家になるんだからな」って話している。

「新人の子が入ってきた時には、映画を借りて仕事場で一緒に観て、点数を付けさせたりしますね。みんなで点数つけて、「せ〜のドン!」って感じで見せ合うんですよ。
「どうだった?」って聞いちゃうと先輩やオレに遠慮して意見が言えなかったりするし、話を合わせちゃうから。
「オレは4点だけど、お前は2.5点。何が足りなかった」とかこっちが面白いと思った理由を言えば、相手も「そんな見方があるんですね。だけど自分はこう感じたんだ」って、話してくれる。「それでお前のネームはさぁ」って。そうやってようやく漫画の話ができる。

アシスタントを選ぶ基準として最初に話をするのは、「漫画の背景をキレイに描くことより、アシスタント同士仲良くしていてね」「オレの前ではみんな仲良く喋っていて」って。逆に、"シーン"って状況になると「なんだぁコイツらわぁ!」って邪悪な気持ちになって、"ドカーン!"…だから最初に、「ゴメンね。理不尽だと思うけど、キミたちに黙っていられるとオレの機嫌が悪くなるから、先ずは口を動かして欲しいんだ」

漫画家は、編集さんから、「何が欲しいのか、どんな作品を描いて欲しいのか、読者は何を喜ぶのかって聞き出さなきゃいけない立場なのに、身内に対して口ごもってどうするんだよ!」

大抵の場合はノートの上で自分の思いだけで描いてるから、いざネームにしてみると活き活きとしてこない。そんな時は「こいつはどういうキャラクターなのよ?」って聞いてあげて、それをアシスタントに「こうかな?」って考えて言語化させることで、描いてる本人が自覚できる

君達は編集者から自分の作品に対して酷いことを言われるだろう、そこで編集者さんが一通りしゃべり終わったら、『私がちゃんと理解するために、あなたの言ったことを私の言葉でもう一度復唱させてください。それで間違ったことがあれば教えてください』って言ってやれ。そうすれば、その時の経験が自分の中に残るし、自分自身も作品に足りない部分を理解できる。

膨大になったが、これでもごく一部なので。
いやー、さすが富士鷹ジュビロ、いや藤田和日郎、名言の宝庫ですな。
表題に描いた藤田和日郎寺田ヒロオ説は今回が初めてじゃなくて、以前も記事に書いている。

twitterが「21世紀のトキワ荘」、そして藤田和日郎は「平成の寺田ヒロオ」か?あまりに大きな漫画界での存在感(&マンガのゲンバ)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110125/p4

これは、「マンガノゲンバ」およびtwitterをみての感想だったが、前者の番組内容をわたし、togetterにもまとめておりマス。

藤田和日郎登場「マンガのゲンバ」(2009年)をプレイバック
http://togetter.com/li/92775

関連してtogetterの藤田和日郎タグを。
http://togetter.com/t/%E8%97%A4%E7%94%B0%E5%92%8C%E6%97%A5%E9%83%8E

「平成の寺田ヒロオ」というのは、実は「あまりに周りや後輩をヘルプすることに熱心になりすぎて、ご自身の力を十二分に発揮しきれないんじゃないか?」という懸念の意味もちょっと含む(笑)。まあ、余計なお世話で、月光条例とかでバリバリ第一線だし心配は無用だろう。

これぐらいアツい。

藤田氏のアシスタントは今から「ボクの藤田和日郎せんせい」「うしおととら創作秘話」を描くための準備を!!

だって、聞くだけでメチャクチャおもしれーもん。
こういう作品を、将来書いてくださいよ。

ボクの手塚治虫せんせい

ボクの手塚治虫せんせい


あ、どうでもいいけど、ひとつ上のエントリは松田隆智氏追悼の記事だが、藤田和日郎も実は「月光条例」に出てくる、あの拳法使い(実践者、有段者)なんだよな・・・