INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

西部邁と保阪正康は中学時代の友人だった。「Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想」発売へ

どこかで聞いたことがあるような、初耳のような……

蒸気機関車は六輛ほどの車輌を率いながら走っている。僕とすすむさんは最後尾の客車のデッキに立ちながら、木製の扉の前に身を寄せていた。通勤の大人たち数人がやはりデッキに立っていて、新聞を読んだり、タバコの煙を吐きだしたりしている。/誰も口をきかず、列車の揺れに身を任せていた。」


昭和27年春、札幌の中学に通うため汽車に乗った二人の少年は、30年余を経たのちに再会します。ひとりは気鋭のノンフィクション作家になり、ひとりは学生運動の闘士から経済学者、さらには保守的思想家へと転じていました。


再会してから30年、突然の別れがやってきます。すすむさん=Nが自裁したのです。


「斎場の隅にいる私たちのところに近づいてきたのは、Nの兄のMさんであった。/ああそういえばもう六十年以上も会っていない。しかしその面差しは依然として柔らかく、そして人を包みこむようであった。外套を脱ぐなり、握手を求めてきて、私の顔を見るなりその穏和な顔に涙が流れるのを隠そうとしなかった。私も涙が止まらなくなった。/「十三歳のときからの友だちだったんだからね……」/Mさんの言葉に、私のなかで耐えていたものが一気に爆発した。/私は人目も憚らず涙を流しつづけた。そして二人でふたたび棺に近づき、蓋を開けてもらい、その顔を見つめつづけた。いっしょに見ていると、表情は動き出しそうで、目を細めて口を尖らせて、吃音気味に話すあのころに戻ったように感じられた。私はMさんと札幌の、白石と厚別の思い出話を、Nに聞こえるように、なんどもくりかえすように話しつづけた。私はNが亡くなったとの報に接してから初めて、悲嘆という感情に触れた。」


あのときのすすむさん=Nの眼に映じていたものはなんだったのか……。不意にいくつかの光景がきれぎれに甦り、その呟きを心耳にふたたび聞いた著者はさながら廻廊を経めぐるように思いを深め、60年の歳月を往還しながら友の内実に触れるべく筆を進めていくのです

評伝や、西部自身の青春回想記は幾つか残されているが…

馳浩、元日のプロレス参戦について森喜朗に叱られる。

(1月12日の)14時40分、日本財団
森喜朗会長に新年ご挨拶。

森喜朗馳浩を叱る


「バカモン、なんで正月に日本武道館でプロレス出たんだ!あれほど出るなって言ったじゃないか💢」

※この話な。(abemaTVプレミアム会員は視聴可能)

https://abema.tv/video/episode/517-14_s10_p34
第5試合 船木誠勝&中嶋勝彦&征矢学&大原はじめ vs X&藤田和之&ケンドー・カシン&NOSAWA論外

『はは、申し訳ありません。実は、私を世に出していただいたアントニオ猪木さんの追悼、ということで出ました!』

「ん、い、い、い、猪木か。え?!そりゃ、んぐ、‥‥‥ふむ。」

『プロレスラー時代の私を森会長に繋いでいただいたのも、猪木さんと祐喜さんのおかげです。猪木さんが昨年亡くなって、その追悼大会が1月4日東京ドームでありましたが、これは県庁の仕事始めで出られません。』

「それで、元旦にしたのか」

『はは、申し訳ありません。元旦は武藤敬司引退試合の興行でもありましたので、お世話になった武藤の為にも出ました。』

「なんで事前に俺に言いに来なかったんだ。そしたらみんなに言い訳してやったのに」

『はは、それも考えましたが、ご迷惑をおかけするかと。万が一、豪雪や地震鳥インフルエンザやコロナなど緊急事態の時は、休暇中であっても災害対策本部を開催しなければなりません。そしたら当然、試合は当日にでもキャンセルするつもりでおりましたので、事前に申し上げませんでした』

「バカモン、ワシにだけでもちゃんと事情を言っとかないと、みんな俺のところに電話かけてワイワイ文句言ってくるんだからな。みんな君に直接言えないんだよ、知事さんだから。だからワシのところに文句が来るんだ。君の親代わりだからな💢」

『はは、申し訳ありませんでした』

‥‥‥

というわけで、馳浩61歳、新年早々、親(代わり)に叱られたのでありました。

深謝。


ameblo.jp

うーん何ちゅうか、この関係性が、そしてそれを公にすることが「受ける」層があり、馳浩森喜朗もそういう層に支えられているだろうな、という気がする。
そしてそれがおそらく、日本の保守政治の”岩盤”を構築しているのではなかろうかいな。
たとえばプチ鹿島氏だったら、このやり取りをどう評するだろうか。

Gyao終了に関する雑感…ネット映像配信の開拓者として、多くの問題提起をしてくれました

サービス終了のお知らせ
いつもご利用いただき、ありがとうございます。

誠に勝手ながら、「GYAO!」「GYAO!ストア」「トレンドニュース」は、2023年3月31日(金)午後5時をもちまして、すべてのサービスを終了いたします。
(終了時刻は、状況により前後する場合がありますので予めご了承ください。)

各サービスをお楽しみいただいているお客様には、多大なご迷惑とご不便をおかけすることとなり、誠に申し訳ございません。何とぞご理解くださいますようお願いいたします。
また、サービス開始より多くのお客様にご支持いただきましたことに、運営チーム一同、深く御礼申し上げます。

サービス終了まで短い期間ではございますが、「GYAO!」「GYAO!ストア」「トレンドニュース」を引き続きお楽しみいただけますと幸いです。
gyao.yahoo.co.jp

www.z-holdings.co.jp


www.itmedia.co.jp

それぞれ、多数のブクマもついた。感慨深い。
当ブログもそれなりに長く継続していて…まだ発展期のGyaoのことを語ってる記事とかも余り無いと思うので、ちょっと貴重かもしれない。

そもそも当時は「インターネットを経由して、テレビのように映像コンテンツを提供する」というのが、ここしか無い、みたいた部分もあったわけです。モデルケース、パイオニア、テストケース。


自分がその存在を知ったのは、TBS系格闘技番組「HERO'S」をここで無料中継してたからだった!!それも地上波では2時間とかにまとめていたそれの「全試合」配信!

HERO'sをいち早く全試合放送することで格闘技ファンの間に名をとどろかせたネット放送「GyaO」。

http://www.gyao.jp/

http://www.gyao.jp/sports/

わたしゃ「スポナビは重くて開きにくい」というぐらいのナローバンドッぷりなのでまったく縁がない話だが、多くの格闘ファンはこれを見ていたようだ。
今までのと何が違うかというと、ネット特有の双方向性を利用した視聴者課金ということをせず、まったくテレビと同様に、CM挿入の広告によって運営費をまかなっていることだという。
このCMが、登録した人の性別や年代に自動的に最適なCMを流すことができる上、HDRで問題になっている「早送り」が不可能な設定であることが地上波以上のアドバンテージになっている。
週刊朝日10/7によると、運営会社「USEN」は、昨年秋にアイデアが浮上し、今年1月から準備開始。そして4月に放送を開始したとか。
ただし、同社が警戒するのは、構造的には単純なビジネスモデルで技術的にも簡単であるゆえに、今後いくらでも新規参入してくるだろう、という点だそうだ。

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当初の懸念が、そのまま当たった、というべきか・・・・・・

USENは来年8月期決算時、Gyaoで約300億円の売り上げを見込んでいる。


GyaOのキモは登録時の郵便番号入力。これで地域を特定し、おり込みチラシのような特定地域向けCMを流せる。


USENは年内500万人、来年8月までに1000万人の登録を見込む。


日本テレビが10/28から「第2日本テレビ」として1本最高99円のネット放送開始。
登録は無料、最初は1000円相当のクーポン券がつく。コンテンツは200-300本ほど、ニュースは2万件も(この前の「ニュース映像図書館」がやや変則的ながら実現!)

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この時代は「将来、テレビからネットの番組が見られるか?」なんてことも「実現するか、しないか」が争点だったんですよ。テレビ局がいい顔しない、とかもあったという…

ジジババがGyaOを見られるか。見られるわけがない、今では。
クリックだ接続だ、あーだこーだはまだまだややこしい。
やっぱり今のような状態でであっては、やはりパソコンをいじるという壁、デジタル・ディバイドが存在する。
ではですね、もうそこを具体的にどーするかは「地上の星」の皆さん、技術者エンジニアに思いっきり○ミ\(・_・ )トゥ ←丸投げしますけど、要は光ケーブルをぽちっと背中のどっかに接続して、あとはチャンネル「13」とかのリモコンをぴっと押せば、テレビ画面にGyaOの画面がぱっと出て、あとはリモコン操作でふつうの番組やチャンネルを見るのと同様にコンテンツを見られる・・・・・・というようなテレビは作れないだろうか
ディバイド、壁部分はメーカーのほうで乗り越えてもらい、ジジババは普通に見比べるだけでいい、こうなればGyaOは完全に競争相手として確立するんじゃないか。
一応GyaOは無料放送で、広告によって稼ぐというスキームは同じなんだから、「ほう、1チャンネルこのテレビは余計に見られるのか。ばあさんや、次の年金でこのテレビ買うべい」てなことになれば・・・・・・・。


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これは、実現した!!!
光ケーブルを繋げるんじゃなくて「Wi-Fi」の世の中に。
そしてTVリモコンには「abemaTV」や「ネットフリックス」にワンボタンで行けるのが当たり前になり…このボタンの位置を巡って配信会社がメーカーに営業をかける時代に。


2016年の格闘技メディア記事では「いまアメリカでは、ネット映像が普通にテレビでみられますよ」という解説があった。

「(略)…こっちのテレビって普通にネットにつながるので、人々からみればもう一つのチャンネルって感覚なんですよ」
 
―米国のテレビって現在、ネット接続が主流なんですか。
「そうなんです。スマートテレビていうのが流行っていて、テレビを買うともうNF(ネットフリックス)などのチャンネルがついているんですよ。アップルTVみたいなもので、一番はじめに設定するときに自分のパスワードとIDだけ入れておけば、あとはボタンを押すだけでNFとかHULUとか選べるんです。地上波やケーブルじゃなくネット回線から来ているものですが、視聴者にとっては普通のテレビ局とかわらない。だからこそ近年、NFがすごい力をもっています。」
ゴング格闘技


今は日本でも普通の光景になった。


2020 年になって、スマートテレビに関する総まとめを行った。
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こういう、ネットと地上波テレビ…オールドメディアの比較をゼロ年代に考える時に、Gyaoはいつもとっかかりになってくれた。
惜しいことに、それだけで基本的には自分もGyao見ていなかった(笑)


果敢な挑戦を多とし、お見送りするものです。
(了)



グラフがあった

文書改竄事件描く「がんばりょんかぁ、マサコちゃん」連載中断からなんとか1巻発売と再開にこぎつけた、が…

この漫画作品はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありませんが、実在する人々の切なる想い、祈りには大きく関係しています。赤木雅子氏と相澤冬樹氏の共著『私は真実が知りたい』(文藝春秋刊)も参考にしています。

bigcomicbros.net

という作品があった。
連載時、このように自分も紹介していたのだが……
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その後、こんな告知がなされた。

がんばりょんかぁ、マサコちゃん 連載中断

『あっ、こりゃあ、こういう言い方しながらずーっと「中断」し続けて無かったことにする気じゃないか?』
と正直思ったのよ。
別に国家の圧力とかじゃなく、まず何か漫画自体も間延びして核心の話になかなかいかないというのが一点。もうひとつは、この話題で取材者・報道者同士のトラブルというか、さや当てが色々聞こえてきたから、国家権力の圧力よりよっぽど直接的にプレッシャーになる「取材対象周辺での、特に事実ベースの作品を漫画にした時の描写を巡る問題」がいろいろあったのだろう、と推測したわけだ。


だが、何とか連載再開!!!アンド一巻発売!


愛する夫の真実を知りたいと願う女性の物語

平凡な夫婦の幸せは、なぜ壊されなければならなかったのか?

国有地が不当な価格で売却された事件の渦中で、関係者の名を隠蔽するために公文書の改ざんを命じられた近畿財務局職員・赤木トシオ。
その妻、マサコが「夫の死の真実を知る」ために国と闘うことを決意するまで、そして現在の迷い、怒り、葛藤とは――!?

夫の真実を知りたいと願う、一人の女性の物語。
そして、愛する人の喪失に向き合う、すべての人に贈る物語――


【編集担当からのおすすめ情報】
この漫画作品はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありませんが、実在する人々の切なる想い、祈りには大きく関係しています。

赤木雅子氏と相澤冬樹氏の共著『私は真実が知りたい』(文藝春秋刊)も参考にしています。

本作の制作に際して、主人公のモデルであり、取材協力者でもある赤木雅子氏の望みは「夫、俊夫さんの真実が描かれること」でした。
森友学園への国有地の大幅な値引き価格による払い下げに始まった財務省の公文書改ざん事件。この事件が政治問題化されるほどに、そこに巻き込まれた普通の夫婦の「平凡な日々が突然壊されてしまった悲しみ」について、我々は見落としてしまっていなかったでしょうか。

真面目で実直な人間が、組織の圧力で不正を命じられ、その不正に反対すると組織に切り捨てられてしまった。この残酷な事実は、組織の中で誰にでも起こりうることです。だからこそ一人でも多くの方に、未だ事件の渦中にいるご夫婦のことを知ってほしい。
そうした思いで漫画の制作を開始しました。

深刻さの中にも、確かに存在した夫婦のささやかな幸せや笑い、そして涙を読者の皆さんに感じていただきたい、という願いがこめられています。

大切な人のことを思い浮かべながら、読んでいただけると幸いです。

・・・・・なのだけど、正直「熱」が世間から失われた感はある。だって、この題名でtwitterを検索してみても、ほとんどだれも連載再開を話題にしてない……。単行本発売をbot的に告知するアカウントだけが頑張ってる‥。

だからこうして告知しているのだけど、もうひとつ、連載再開とともに、作中では重要人物が登場する。

「相澤冬樹」氏がモデルのジャーナリストだ。
fuyu3710.theletter.jp



ただ、この人の情熱は疑いないのだけれども、まさに上記の「取材者・報道者同士のトラブルというか、さや当て」はこの人の経由で起きている。
それはそれで仕方ないけど、連載再開の初登場場面で、かなり驚いた。

画像は今ないのだけど(あとで追加するかも)、つまりその取材のやり方、最終的に被取材者たる「マサコちゃん」との間に信頼関係を築けたから結果オーライのノーカンだけど、それ抜きで普通に考えたら、かなり「一発アウト」の所業なんじゃなかろうかいな?…という話。やはり、あとで画像と一緒に論じておこうか。



ともあれ、連載再開です。

人気ジャンルは『時代劇翻案』席もある―『イクサガミ』漫画化(デスゲーム)、「わが殿」文庫化(内政チート)

いま、漫画版は3、4話目ぐらいになったっけかな。

今村翔吾原作による立沢克美の新連載「イクサガミ」が、本日12月8日発売のモーニング2023年2・3合併号(講談社)でスタートした。

(略)……今村の同名時代小説を原作とした「イクサガミ」は、明治時代の日本を舞台に“金十万円”をかけたバトルを描く物語。明治11年2月、深夜の京都・天龍寺に「武技に優れたる者に金十万円を得る機会を与う」という怪文書を見た、腕に覚えがある侍たちが集められた。点数を集めながら東海道を辿って東京を目指す、「こどく」という“遊び”を行うという。金を必要としていた剣客・嵯峨愁二郎は「こどく」への参加を決めるが、点数を稼ぐためには、各自に配られた木札を互いに奪い合う必要があり…

natalie.mu

comic-days.com
イクサガミ
今村翔吾/ 立沢克美
直木賞作家・今村翔吾の歴史大作『イクサガミ』をコミカライズ! 圧倒的剣術と欲望を武器に繰り広げる、命と札を懸けた死闘、開始!!

元は小説で、かなり人気ですよね。


もう、書き手側も読み手側も、いわゆる”デスゲームもの”というジャンルがあり、そのジャンルの中で新作を描いている、ということを隠したり、それでプラスやマイナスの評価をすることもない。
それを大前提として楽しんでいる。これも「進化」だと思う次第です。

イクサガミ 漫画版

で、どんな人気ジャンルでも「時代劇に翻案」するという枠、席がひとつか二つは空いている、という仮説(笑)
だいたいコミック乱が埋めている、というさらなる仮説もあるが(笑)、その検証は置いておく。


そもそも黒澤明が世界的に大ヒットさせた時代劇「用心棒」だって、ハメットのハードボイルドの翻案なわけだからね。

あるいは股旅物と西部劇。

ja.wikipedia.org
…1969年に『小説現代』編集長となった大村彦次郎は、1960年代からの中間小説誌の競争激化に応じた新しい企画の一つに、股旅小説の見直しとして『俺たちに明日はない』などのアメリカン・ニューシネマのような「ハードタッチな手法や感覚」を持ち込むことを考え、何人かの作家に意図を説明し、「新・股旅小説」と銘打って、柴田錬三郎「本邦博徒伝」を皮切りに伊藤桂一多岐川恭結城昌治菊村到、三好徹、青山光二らの作品を掲載した。1970年4月号掲載の笹沢左保の初めての時代小説「見返り峠の落日」が「スピーディーな文体、ニヒルな主人公、どんでん返しのある推理仕立て」で読者から好評となり、第1回小説現代ゴールデン読者賞を受賞、大村が吉村昭宅に行った際には津村節子にも褒められたという。タイトルに「峠」のつく峠シリーズ5篇を書き、続いて同一主人公のシリーズとして、1971年3月号の「斜面花は散った」で渡世人の紋次郎が登場し、それ以降このシリーズを毎号掲載…


そして、たとえば異世界ファンタジーやSFと時代劇というのはとても共通点がある、というのは以前から書いてた話。
関川夏央
「時代小説、といっても、現代の作家が描くわけですから、基本的には現代の物語なのですが、現代を舞台にすれば、生々しすぎたり、そらぞらしくなったりしかねない物語が、江戸を舞台にすることで、根も葉もある大人のおとぎ話になる」

逆に、時代劇をSFや異世界にもっていく、というのも既に意識的にか無意識的にか行われている。

異世界もので「スローライフもの」…本当は実力ある勇者やら魔法使いが、本人は欲が無く田舎でひっそり安泰に暮らしたいと思ってるのだが…って、あれ実は将軍(旗本や殿様)ご落胤の昼行燈浪人、剣術は達人で忍びの技も使えるーーでしょ。


で、そんな折、この前久々にリアル書店を覗いたところ、これが文庫になっていた、畠中恵「わが殿」。


一度紹介記事を書きました。

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「幕末」が始まろうとしているとき、ちょっと小さめの藩が、若き君主のもとで改革を行おうとする。その藩主を、ひそかに「織田信長の再来ではないか」と見立てていた、その近習の侍。
殿は、この侍を抜擢し、借金の整理や新しい財源を作れ、と命じる。
いきなりそんな大役を任された彼は目を白黒させつつ、鉱山開発や新商品開発、それを大阪のような消費地で高く売れるシステムの構築…などに乗り出す。
そんな中で、彼は商人や技術者からも大いに学び、生きた「経済」の在り方を一から学ぶ。

しかし、急な改革には当然ながら守旧派、反対派が生まれ、彼の失脚どころか、暗殺まで狙う一派が現れる。
そして、えっちらおっちら彼が財政再建を進めても「わが殿」は突然、あらたな”浪費”を始める。学問所?最新の銃?なぜ、そんなものが必要なのだーーーーーーーーーー


おもしろいのは、「わが殿」は、―――これはひとつのパターンにもはやなっている、まあホームズ以来なんだけど、藩政改革の実行者・内山七郎右衛門良休は、有能で能動的な主人公なんだけど、一種の「ワトソン役」を兼ねているんだよね。
彼のような有能な人物から見ても、さらに「わが殿」・土井利忠はミステリアスな存在で、本音、何を考えているかはわからない。いろいろと先駆的な構想はあるようだがーーー。
そこを”忖度”しつつ、主人公が外からその謎の主君を眺める、そこが読ませどころ。

そして、次々と新事業や新財政に取り組み、成長発展しているところは確かに俺TUEEEE的な内政チートでもあるんです。


これ、一応核となる事実はあるらしくて

畠中 以前に「実在の人物を書いてみませんか」という提案を、編集さんからされたことがあって、そこで色んな新しいことをやっていきたいし、いつか史実に基づいたものも書いてみたいですね、とお答えしたんです。

 なかなか「この人を書けたら!」という方に出会えないまま、別の資料を読んでいたところ、江戸から明治への移行期に黒字だった藩が二つしかなかった? という記述に目が留まりました。気になって調べてみると、一つは塩田を持っていたことが黒字の理由で、もう片方が大野藩でした。たった四万石の小さな国にもかかわらず、いったいどんな人物がいて、どんな藩だったのだろうとすごく興味が湧いてきたのが『わが殿』の執筆のきっかけですね。


――大野藩を最初からよくご存じだったわけではなく、幕末に黒字だった藩、ということで興味を持たれたわけですね。

畠中 はい、その時に初めて大野の名前を知った、みたいな(笑)。そこからどういう人で、どういう藩だったんだろう、と……そこから資料を調べはじめて、莫大な赤字を抱えた幕末の大野藩の財政を立て直すため藩政改革を断行しようとする藩主・土井利忠と、その殿に登用されて財政改革の実務を担った内山七郎右衛門という名臣に辿り着き…
books.bunshun.jp

この辺の問題意識は、以下の記事でも書いています。

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紹介した「イクサガミ」「わが殿」も単独で面白いですが、他に「これ以外にも、時代劇に持っていけるような”ジャンル”、お話のパターンは無いかな?」と考えると面白そうです。その逆もしかり……。

岩釣兼生vs渕正信&アイアン・シークのガチスパー?に関する”多重アリバイ”の記録。

なぜにこの話が、令和も5年になって再び論じられるかと言うと、昨年3月にこういう本が出て…

【ご購入の前に】本電子書籍には、紙版収録の一部写真が収録されておりません。
あらかじめご了承ください。

全日本プロレス一筋のレジェンドが
初めて語った馬場さん、鶴田さん、そして俺の
一番長く熱かった時代の記憶――。
団体創設50周年記念出版!

■「鶴田友美」といきなり30分スパーリング
■「モハメド・アリジャンボ鶴田
■「クーデター未遂事件」の真実
ザ・シークとブッチャーに助けられる
ラッシャー木村さん「マイク」でモテ期到来
■俺が泣いたのはあの時だけ…馬場さんの絶句
四天王プロレスはなぜ激しくなったのか
■三沢に詰め寄った「鶴田さん追悼」の違和感
■川田、渕、2人だけの全日本プロレス
■敵地・新日本プロレスに乗り込む…他

<目次>
プロローグ 口外無用の「5分勝負」

第1章 試練の再入門
「鶴田友美」といきなり30分スパーリング
マシオ駒さんから「入門OK」の返事
「俺が帰るまではいてくれ」鶴田さんから激励
ジャイアント馬場さんに「再入門」を直訴
再入門の日に襲い掛かった2つの不運
死を覚悟した「受け身地獄」…他

第2章 道場の青春、そしてクーデター未遂
ジャンボ鶴田はトレーニングしない」の嘘
ダニー・ホッジに学ぶ「壁への指立て伏せ」
なぜ馬場さんは猪木さんの挑発に乗らなかったか…他

第3章 「馬場のボーイ」アメリカ武者修行へ
ジャンボ鶴田流効率的トレーニン
テリー・ファンク、トージョー・ヤマモトと
寝不足でも容赦ないカール・ゴッチの指導
幻のゴッチ&ロビンソンのタッグ…他

第4章 飛翔する鶴、昇りゆく龍
「手を抜いている」鶴田さんが抱えていた苦悩
「第3の男」が「昇り龍」になった日
ジャパンプロレス軍団の弱点を見た!
ロード・ウォリアーズに私がキレた理由
ジャンボ鶴田最強説」はなぜ語られるか…他

第5章 激動のヘビー級戦線
横綱・輪島さんのプロレスデビュー
「天龍革命」は正直、キツかった。
鶴龍対決、そしてブロディの死
三冠ヘビー級戦線の立役者は誰か

第6章 四天王プロレス激化の裏で
ホープ三沢光晴の入門
「2代目タイガーマスク」の苦悩
鶴田さんが「四天王」を叩き潰す意義
川田は「倍返し」を食らって輝いた
小橋、田上に与えられた偶然のチャンス
ハンセンが四天王の成長に体を張った理由…他

第7章 二巨星、墜つ
ジャンピングニーの継承
「渕君、モテなくても健康が一番だよ」
馬場さんを最後に見た日
鶴田さんの引退と渡米…他

エピローグ 嗚呼、我が幸福のプロレス人生よ!


それがゴン格の名物長寿企画 吉田豪「書評の星座」でこの前取り上げられたからだ。


吉田豪書評の星座 アイアンシークvs岩釣兼生

さすが吉田豪氏は「この部分が話題を呼ぶだろう」という見立ては正確無比で、そしてさっそく議論を呼んだのである。


以下、「岩釣兼生」というあまり被りがないだろう人名で最近のtwitterを検索するとこの関連が見つかる。




www.youtube.com


岩釣側からの証言、過去資料より。



で、そもそも自分がこれが話題になっている、と気づいたのは、例によって当ブログ「注目記事」の増え方から。
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というかこの記事、岩釣兼生でグーグル検索すると2023年1月現在、2、3番目に登場するねん。ある意味、おれ当事者……。



自分の、現時点での感想。

………真面目で練習熱心、会社の為に尽力した駒に対するジャイアント馬場の信頼は非常に厚かった。その為駒が急死した際、馬場は「なぜなんだ!」と言ったきり絶句したという。
日本プロレス時代の後輩にあたる山本小鉄は、駒同様に大変に練習熱心な人物として知られるが、二人はライバルであると同時に仲が良かった[5]。日本プロレスが崩壊する過程で、駒は全日本へ、山本は新日本プロレスへと違う進路を取る事となったが、共に若手の指導を行う立場となり、両団体がほぼ断交状態にあった中でも、練習方法や指導方法について相談し合う事が多かった。ザ・グレート・カブキの回想によると、駒は山本同様若手にはガチンコを徹底指導し、大技を使うことを厳しく制限していたという。そのため、駒の死去後もこの指導方法が暗黙の了解として残り、佐藤昭雄が指導方法を改革するまで、新人や若手は大技を使うことを制限されていた。
マシオ駒 - Wikipedia

同じ構図は、新日本プロレス山本小鉄馳浩の指導者交代で発生した、と言われている

togetter.com



もう一つ言うと、渕正信が「プロレスの強さを誇示し、業界を護るためにホラ話をでっち上げた」とするには、あまりにディテールが地味すぎるんですよ(笑)。

一応、業界の時系列的にはぎりぎり辻褄が合うで?
歴史の中に埋もれていた、と言ってもいい「岩釣兼生」の名前がビッグネームになるこの本は、東日本大震災の影響さめやらぬ2011年9月に単行本が発売。連載は当然のその前から

ゴング格闘技』誌上で2008年1月号から2011年7月号にかけて連載、2011年9月30日に新潮社から単行本として発売され、発売半年で18刷のベストセラーとなった[1]。第43回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回新潮ドキュメント賞受賞作。

ここで柔道界の”反撃”のジョーカーだった岩釣を、プロレス界が「中堅」のカードたる渕正信で迎え撃つ……という見立てを、自分も上の記事でしてるけど……あらためて考えると、話を盛ったにしては地味すぎるのよ、「スパーで引き分けた」とか、さらに、花を持たせる相手にしても、全日との関係なんてあったにしてもかなり薄くて、こいつ持ち上げても全日的には何の見返りもないアイアン・シークでしょ…?


ただ、『実際に接点(スパー)したという根や葉はあった。そこに「互角だった」や「一本を極めた」などの肉付けをした』/『地味な描写の形で内容を盛るからこそ、話にはリアリティが出てくる、ということをわかっていた。梶原一騎の『私もカッコイイ報告をしたいところだが、自分の武勇伝は掌底だけ』と同じだよ』と言われれば、それもあり得る話ではある……。

梶原一騎四角いジャングル 武勇伝は掌底だけ
梶原一騎四角いジャングル 武勇伝は掌底だけ


ちょっとこの話が、脇道にそれつつも深い。



あとひとつ、吉田豪氏は「渕はその一方で馬場さんがスパーで強い、と言ってる。じゃあ馬場>岩釣となるじゃないか。本気か?」みたいな話もしてるけど…これと同じ構図は、アントニオ猪木のLA道場でシンスケ・ナカムラが言ってたんですよ

猪木のスパーやガチンコ技術はそりゃすごいけれども、引退直前直後の猪木LA道場は、やっぱりそこはレジェンドとしての猪木、あと気にいられれば新日、PRIDE、UFOやIGFなどなどに呼ばれるかもしれないVIPに対して、柔術レスリングの猛者たちがスパーであからさまに猪木に「極められ」「マスター・イノキはさすがだ!」とやる光景を、中邑真輔が見ているし、やっぱり実際にスパーをしたら、忖度して猪木に極められたんよ。

それは…まあ………許容範囲なんじゃない?
ここまでひどくはないんだし。


前田日明スパーリング伝説」も思い出したり。
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そして、これはおれの独自見解なんだけど…ジャイアント馬場を語る時「足の力は強いよね」という話に持ってく人は、実は…ぎりぎりの”忖度”、嘘は言いたくないし、さりとて率直にいうわけにもいかない…というバランスの結果、その話が出てくるんじゃないか?という。実際にまあ、あの巨体を支えてきたのだから、そうではあったんじゃないかと言い切れないかもしれなくはないかも、ぐらいのね(笑)


というか、この「足の力は強い」は、たしか長州力ジャイアント馬場とタッグか何かで初対決した時に出てきた言葉だと記憶している。子供のぼくがちゃんとそれを記憶し、しかも微妙にその忖度のニュアンスも伝わった(笑)

blog.livedoor.jp
谷津は馬場の16文キックを3度食らうも長州には決められず。長州はその後ラリアットは決めることに成功するも決定打にはならず、結果は30分時間切れ引き分け。

試合後、長州は「サソリを仕掛けた中で足の力が一番強かった。ラリアットは手応え十分。やはり闘えるのは光栄だし、誰でも一度胸を借りたいと思っている。だけど今日はオレ達の判定勝ち」 馬場は「長州たちは早かった。ラリアットは頭を打ったがハンセンのラリアットを食らっているから恐怖心はなかった。長州とは今後シングルをしてもいいと思っている」

そして一方の当事者「アイアン・シーク」のドキュメンタリー配信中。Amazonだと数百円、U-NExtは無料…?

後で詳しく紹介します

貴景勝の最近の試合がバチバチスタイル/宇良の腕取りマジック/朝乃山レコンキスタ/まわしまった

貴景勝、バッチバチ

宇良の腕取りマジック


朝乃山、来たる。


まわしまった