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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「岩釣兼生は、なぜ渕正信と引き分けたのか」…本当に?(「プロレス黒い霧」)

このシリーズの毎回の目玉、原田久仁信の実録劇画は、渕正信の人生に焦点をしぼった回想録です。「ターザン山本が決めていた」という説の或る平成のマッチメークの真相、アントニオ猪木引退への「幻のメッセージ」など、多数のエピソードで構成されていますが、格闘技ファン的に注目する部分があります。

それは「岩釣兼生、幻の全日入団劇」に関する話。
ほんの少し前なら、岩釣兼生という名前自体、よっぽどの好事家でないと覚えていなかったでしょうが…5万部を超える、ジャンル的に考えると相当のベストセラーでしょうこの本が、この人物の立ち位置を変えた!!

(※【注意】この本はノンフィクションながら、一種の「謎解き」を提示していますが、このあとの文章ではそこに触れます。知りたくない人は回避を)

岩釣は、木村政彦の一番弟子。
そして、同書によると、UFCに先立ち、日本の闇社会(賭博関係者)が興味津々で、当時の総力を結集して行った「異種格闘技闇トーナメント」に出場、そこで優勝した男だというのです!!
或る意味、これによって木村と、そして「柔道」は、力道山戦の屈辱を晴らし、名誉を回復した、とまで著者の増田俊也氏は位置づけている。雑誌上での連載でも最後にこの事実を持ってきたぐらいだった。

しかし…「プロレス黒い霧」では。


渕は岩釣必殺の大外刈りを防ぐなど、道衣なしのルールも利用して大健闘!!

はっきり別のコマでも「ドロー」と明記されています。
数日前に、ちょっとtwitterで何人かとやり取りしたりリツイートしたけど…残っているかな

RT @div1ito: 昭和の柔道王木村政彦の一番弟子である岩釣兼生がかって某プロレス団体に道場破りにいったことがあって、その時に相手をつとめたのが渕正信(結果は五分の引分け)って話を聞いた。ほんまなんかな?
posted at 20:21:18

渕正信岩釣兼生の引き分けスパーリングという話、自分は今回の「プロレス黒い霧」で初耳なのではなく、どこかで読んだり聞いたりした記憶があるが・・・どこだったろう?「Gスピリッツ」かな??
posted at 20:22:39

RT @fullkichi: @gryphonjapan フッチーの自己申告(笑)。ちなみに岩釣氏はフッチー覚えてなかったという(苦笑)。
posted at 20:24:58

RT @fullkichi: Gスピのフッチーインタビューかと。 RT @gryphonjapan: 渕正信岩釣兼生の引き分けスパーリングという話、どこかで読んだり聞いたりした記憶があるが・・・どこだったろう?「Gスピリッツ」かな??
posted at 20:25:00

その通りで、こういう話が出てくるとどうにも扱いに困る(笑)。しかしこういう証言がある以上、無視というわけにもいかないのでどーしたもんか。 RT @fullkichi フッチーの自己申告(笑)。ちなみに岩釣氏はフッチー覚えてなかったという(苦笑)。  
posted at 20:26:40

RT @nsfile: 渕=シューター説浮上!?
posted at 20:27:24

さっき検索したところ、昨年9月?にこの話題(渕vs岩釣)についてツイートしていた人がいました(さっきリツイートしたやつ)。
posted at 20:28:20

RT @fullkichi: @gryphonjapan まあ選手というのは自分に都合よく試合内容を解釈するものだという(苦笑)。後、フッチーにしてみれば互角の場面があっただけでも嬉しいでしょうし、岩釣氏にしてみれば何人かスパーした中の一人に過ぎないかも(笑)。

Gスピリッツの何号だろう?持っているはずだけど、例によって古い雑誌が見つからない。



で……ほんま、これをどう位置づけていいものか。
「当の当人が言ってるだけじゃん。信用に値しない」というのもできそうだし、しかしそういうレベルで言うと、かなりの「プロレス史証言」はそういうものだったりする(笑)。
推定として、こういうことは有り得るのか。
豊富なアマチュアキャリアの人も、プロレス(側がルールを決める)スパーをやったしょっぱなは、そこで飯を食ってたやつに散々にやられる…ということが存在しないかと言うと、あるらしい(自分は『佐々木健介馳浩の』スパーが、最初そうだったと聞いている…健介自伝の記述ではあるが)。ただ、岩釣は木村が育てる中で、当身や裸でのスパーも相当やっているはずだが…。あと「5分1本勝負」でおそらく打撃なしでやるとき、片方が「極められない」とか「ドロー」で大戦果だと思っていれば、けっこうな大物からもそういう結果は奪えるような気もする。

しかし、ノンフィクションの構成上、岩釣をバシッ!と切り札、ジョーカーとして出した増田氏に対し、いわばプロレス界は、価値の低い「3」を4枚の「革命」をやってそのジョーカーを無効化したような、そんな味わいだ(喩えでポーカーと大富豪がごっちゃになってないか?つうか渕を「3」扱いは失礼な)。

プロレスvs柔道の50年戦争…いやアド・サンテルから数えれば100年戦争…、それは双方、かくも知力や技術を尽くしていまも継続している。そしてそこに関わるともみえないジャイアント馬場が、かくも長く続く「秘密兵器」を仕込んでいたという、興趣尽きない物語……

追記 コメント欄より

fullkichi1964 2012/02/04 08:09
フッチーインタビュー、Gスピリッツ第8号です。ゴッチ特集があったので保存してました(笑)。38ページでハッキリ岩釣氏とドローだったと言ってます。「5分間やれって話で、決着つかなくてね」「いきなり柔道の技かけてきたけど、裸でやったから。それでスベって、そのまま俺が上になってそのまま攻めっぱなし」「ヘーシンクとスパーリングやってたのは大きかったよね」とむしろ優勢だったと言わんばかり(苦笑)。
ちなみに第9号では岩釣氏のインタビューが載ってます。フッチーの名前出しても「淵・・・はて?」(爆笑)岩釣氏の発言では「何人かとトレーニングしましたよ」「リングの中でレスリングを何本かやりましたね」「普通にレスリングの練習やって、プロレスやってるって感じはしなかった」「その後は一回もやってないです」・・・。
要は道場破りではなく、単純にプロレス参戦の交渉の過程で練習を一回やってみたと(苦笑)。
一つの事象でも、視点が違うとこれだけ変わってしまうという好例じゃないですかねえ
(^^;)。