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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ブリトニーの人生を、彼女をネタにした全ての人が奪った。筆者(町山智浩)も含めて…/初めて過去の「悪趣味」路線自己批判か?

なんかふと「あー、最近数カ月『Dマガジン』契約してるのに開いてねーや」と、思い立ってサブスクを一気読みしようという、あるある?な展開。

やっと、今現在遡って読める「週刊ポスト」を読み、「週刊文春」を半分ばかり…それも特集記事はほとんど読まず、各雑誌のお気に入りコラムだけをまとめて読むことにした。
そうでもしないと、ほんとに物理的に無理だからでもあるが、同時に雑誌の本質はコラムじゃないかな、と…。これはリアルタイムで読んでいる時とたぶん違う価値観なんだろうな。

で、本題。そうやって、今、数か月前の週刊文春を読んでいる途中なんだが、

その7月22日号。


藤井聡太の師匠・杉本昌隆氏のつづる「師匠はつらいよ」もこの号の回は非常に味わい深いのだが…それでもなく、

町山智浩氏の「言霊USA」。
ブリトニー・スピアーズという女性……自分、かろうじてフルネームぐらいは知ってたけど、何を歌って(歌手らしい)、どんなゴシップがあるか、とか全然興味がなくスルーしてたんだが、とにかくアメリカのゴシップ界ではゴシップの常連みたいな存在で、しかしある問題をめぐって、家族と裁判になり、これまでの境遇に同情が集まっているらしい。


それを紹介するコラムの末尾で、町山氏はこう書いた。

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町山智浩氏、「自分も含めた皆がブリトニーの人生を壊した」と反省 週刊文春7月22日


ブリトニーの人生を奪ったのは父親だけじゃない。彼女のスキャンダルを面白がってネタにした人々すべての罪だ。筆者も含めて。


おー・・・・・・・・・・
どのように、ブリトニー氏をネタにしていたかは知らない(読んだとは思うけど、興味ない外国アーティストの固有名詞なんか覚えてるわけなし)のだけど、それをどうこう言う話以前に・・・・・・・町山氏が、今現在の言論の「立ち位置」に立つにあたり、「宝島30」や、「映画秘宝」時代に書いた文章のあれこれが、その「立ち位置」にそぐわない、可能性がある。というか、評価によってはコーネリアスと同じ立ち位置とされるかもしれない、との懸念すらある。

その部分を反省するような氏の文章を読んだのは、少なくとも当方は初めてだった!!だから驚いた!!!

ラジオでも語っていたらしいね

これは、一種画期的ではないかな? アップデートなんじゃないかな??
と、
m-dojo.hatenadiary.com
にて一覧にまとめた、「映画秘宝」の検証を行ってきた「増田」に問うてみたいところだが、増田が増田である以上、連絡などもとれまい。

そういうことなので、とりあえず皆さんにお伝えしておきます。運が良ければめぐりめぐって、「映画秘宝」などの記述を精査した、リンク先の増田に届くかもしれない。

「地下鉄サリン事件の際に現場で対応に当たった当時自衛隊医官のFacebook投稿記事」

もはやフェイスブックの特質とかを忘れかけてるのだけど、「一般公開記事」と「フェイスブック登録者じゃないと読めない記事」があるよね。その後者だ

だから、直にリンク張るよりは上のツイート紹介の方がいいかと思ったが、一応直接リンクも張っておくか。

www.facebook.com




豊臣秀吉が朝鮮出兵講和で「日本国王」に激怒した、は後世の俗説らしい【メモ】

センゴク権兵衛、改易から、陣借りで北条攻めに加わって奇跡の大名復帰を果たすまでで、そこで終わり…とならず、その後の豊臣政権を腰を据えて見つめ続け、描くのが非常に難しい「朝鮮出兵」にまで踏み込んで描いていて必読…という話はお伝えしました。

m-dojo.hatenadiary.com


その話がいまや、いよいよ第一回の侵攻(文禄の役)の講和交渉にまで至ったのですが……秀吉が望んだ「貿易」ではなく「冊封」に留めることを明国は決定、その冊封使節がやってまいりました。

この交渉は決裂にしろ成立にせよ…そしてその諸条件にせよ、イエズス会はじめとするキリスト教諸国が「状況次第でうちはどうなる?」と不安を抱え、大諜報戦争を実施していたそうです(記録が膨大に残っている)


そして・・・・・・・・・

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センゴク権兵衛 秀吉は「日本国王」に激怒…はしなかった?

あれれ???
ぼくがちいさいころ読んだカゴ直利(だったと思う)の「日本の歴史」では、明の使節がほっとしたような顔で「汝を日本国王に任命し…」といったらその場で秀吉が大激怒、即座に第二次出兵を決める……みたいな流れだったんですけどね。


ま、たしかに考えればうそくせー。
というか逆に、ここで激怒しないと、「天皇家をないがしろにして明から国王号をもらうのか」「とんでもない売国奴だ」「天皇への不忠者だ」という史観が、あとから生まれたからな(どうせ水戸学だ)……。その史観から逆算して、「我らの太閤殿下は、自分を『日本国王』にするという明の”無礼な”対応に激怒したはずだ!いやそうでなければいけない!!」となったんだと思うのです。


ちなみに、以前から考えですが、「朝鮮出兵は日本からしたら、史上に例を無い形での戦争だけど、歴代中華帝国から見たら「辺境の蛮族が、その地域をまとめて力をつけたんで、わが属邦に攻め込んできた。宗主国として援軍を送ったが、負けもしないが勝ちもしない。ああ、うざったいのう…とりあえず称号をやって、黙らせとけ」はデフォですよね(笑)。ちなみに周辺の蛮族をけしかけて、共食いさせる対処法も考えていて、島津に使者を送っていたそうです(笑)

call-of-history.com
…彼らの報告書は『秀吉の生い立ち(「サル」のあだ名の情報も)と天下をにぎるまでの経緯、後継者鶴松の死や甥の秀次、秀吉の側近情報、朝鮮出兵に関連して大友義統の改易や被虜朝鮮人、在日明人の状況、長崎・薩摩の情報まで多岐にわたる』(上里P155)が、特筆されているのは、秀吉に反感を持っている諸大名の存在だ。特に島津義久は『心中では一日たりとも秀吉への恨みを忘れていない』(上里P155)と報告されているという。

この報告書を元に、明政府では密かに島津氏懐柔工作が実行に移されている。1595年と98年にそれぞれ使者が島津義久の下を訪れて豊臣政権からの離脱を促した。
(略)
史世用を派遣した福建巡撫の許孚遠は1594年に軍船二千、兵二十万での日本侵攻計画を上奏、1598年に島津氏に派遣された使者は明軍が朝鮮奪還後に琉球、シャム、ベトナムポルトガル連合軍約一万隻で薩摩から日本に侵攻、島津氏はその先陣を務めて豊臣秀吉を討つという計画を打診している。また許儀後は福建の明軍が二万で薩摩から上陸して島津軍四万と共同で秀吉を討つという計画を明側に提案したという。また、明の兵部尚書石星もシャムが援軍を申し出たことをうけてシャム軍を対日戦に投入する計画を検討しており、かなり大規模な対日反攻計画案が東アジア海域を巻き込んで…


ただ、こういう話は「事実か否か」のあと「事実じゃないとすれば、だれがどのように創作したの?」という話も追っていきたいもの。

なんにせよ、この部分…最初の和平交渉での「日本国王」に、秀吉は激怒…「しなかった」は、重要知識のアップデートです。皆さん、済んでいますか。
そして、それならなぜこの第一回講和は破綻したのか?それは今後のストーリーにて…

コメント欄より

流転
1965年から1966年に週刊誌に連載された山田風太郎の「妖説太閤記」ではそれまでの天下取り戦略に従い潜在的な敵同士を戦わせて「漁夫の利」を狙う(本能寺の乱もその成果。発案者は竹中半兵衛、彼も秀吉の毒牙に倒れる)に従って秀吉にとってのの潜在的な「敵」日本中の大名に新たな「敵」朝鮮・明を与えるために始めた対外戦争だったが想像以上の泥沼化に、ウヤムヤなかたちで停戦しても良いか・・・と、考え出した秀吉を驚愕、恐怖させたのは主戦派の急先鋒と思っていた加藤清正の「こちらの面子が立つなら、まぁ勘弁してやっても良いのでは・・・」というセリフに代表される大名たちの厭戦・避線ムードの蔓延でした、そこに徳川家康北政所ねねの提携を見た秀吉は再度の出兵に踏み切る。
という展開でしたね、あと日本の対外戦争について、勝利あるいは、まぁまぁな結果に終わったものは全て主な戦闘が半年以内に終わったものに限られる、等という指摘もあります。


明国の国書を怒って引き裂く話の初出ではないかもしれませんが、世上に広く流布したのは、頼山陽の「日本外史」のようです。山田風太郎も基礎資料の一つにしていた徳富蘇峰の「近世日本国民史」にもその話が出てくるようです。

安彦良和氏「『天の血脈』結末は予定通りなのに…まったく読者は!」と怒る。ウチ…じゃないよね?(笑)

ちょっと昨日「安彦良和」がトレンドのキーワードになったりしましたが

www.oricon.co.jp

ククルスドアンを、安彦良和氏が監督して映画に、ですよ、皆さん。
ドアン、ただの「逆セリエA」の例に出てくる人じゃなかった。

http://www.yutoriweb.com/kai/083.htm
改蔵:「逆セリエA。最近ではこーゆう表記の仕方もあります。セリエ∀」
セリエA イタリアのサッカー一部リーグ。世界最高峰のリーグの一つ
アニメ「∀ガンダム」 99年放映 ヒゲ・ガンダムとして話題を呼んだ。 ガンダム者 の用語解説を参照

改蔵:「名門校野球部で補欠に甘んじ、出場すら出来ないより、弱小高で4番でキャプテンの方が楽しいということですよ。」
漫画「キャプテン」ちばあきお) 谷口くんは名門の補欠だったのが、弱小に転校した途端にレギュラーに・・・
漫画「名門!第三野球部」(むつ利之) こちらは三軍が一軍を倒してレギュラーを奪ってしまいます・・・
(略)
改蔵;「もっとわかりやすく言えば、ゲルググア・バオア・クーで戦うより、旧ザクでククルスドアンの島にいた方が幸せって事ですよ。」
アニメ「機動戦士ガンダム
第15話「ククルス・ドアンの島」 
第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー
ジオンのパイロットとしては機能の高いゲルググに乗ってもザコキャラとして扱われてしまうア・バオア・クーよりも機能の低い旧ザクでも自分だけが子供たちを守れるという役割を持っているククルス・ドアンの島の方が幸せということ


いま「ククルス・ドアン」といって通じる層に向けて作るのか、それより幅広いところに広がっていくのか。まことに興味深い企画です。



とこ
ろで。


この前、こんな本が出ました。


この中で、少し前にアフタヌーンで連載された「天の血脈」について語ってるのだが…

…自分としては計画的に終わらせたんだけど、たまたま普段あまり見ないネットでの感想を見たら「これは絶対打ち切りだ」、「こんな終わり方はない」みたいに書かれていて。全然わかってないな~と思ったね。ちゃんと読めばわかると思うんだけど。
(略)
こちらの意図が通じないというのはビックリしたね。我々は描く時に、読者の全部は理解してくれなくても、たいがいの人はわかってくれるだろうと。そういう期待を持って描くんだけどね。
『天の血脈』の最後は、相当上手く描けたと思ったから、理解してもらえなかったという意見はかなりショックだったね。
漫画を読む人の読解力に関しては難しいものがあって。やっぱり、漫画はそんなに高尚なものじゃないし、有象無象が読んでくれてこその漫画だと思っているからね。ただ、その一方で「俺の読者はこれくらいの読解力はあるよな」と思うところもあって。「俺の読者」なんていうのは生意気だけど。『天の血脈』ではそういう部分を考えさせられたね。

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安彦良和「天の血脈」ラストは計画通り。ファンは分かってない!

あー、ネットの評判とか、たまたまご覧になったのか。
そういう偶然あるんだよね。ははは、だいぶお怒りのようだ……


とか考えてたら、思い出した!!

m-dojo.hatenadiary.com
最強の「長編グダグダ漫画家」を決めるのは、ちょっと待ってくれないか…安彦良和氏「天の血脈」も、ビリーバットに劣らぬ尻切れトンボ感をふり巻き完結。

・・・・・・・・・・・・・・。
しかしまァ、まさかこんな辺境のブログなどはさすがに、目を通す範囲には入っていまい。それこそククルスドアンの島のように、ひっそりと隠れ住んでいるような小さな場所だからな。

ただ…「天の血脈」でグーグル検索するとさすがに出てこないが
「天の血脈 打ち切り」のサジェスチョンが出てきて、
それで検索すると二番目に出てくるのも、また事実だ(笑)

www.google.co.jp

しかし!!ブコメでも、賛同のコメントを頂いた!!
[B! comic] 最強の「長編グダグダ漫画家」を決めるのは、ちょっと待ってくれないか…安彦良和氏「天の血脈」も、ビリーバットに劣らぬ尻切れトンボ感をふり巻き完結。 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
これはもう、連帯責任であるとは言えまいか(笑)



それにそもそも、安彦先生いかにお怒りかといえど、「天の血脈、ラストはグダグダだった」との旗を降ろすか降ろさぬかといえば、そこは弓矢八幡にちかって。
安彦先生が描いた大久保彦左衛門のごとく、そこは一をもって貫くのでござる。

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安彦良和が描く大久保彦左衛門 (三河物語

セプク!


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安彦良和、読者に怒る(おもに「天の血脈」で)~マイ・ページ・バックより

「ウィッチウォッチ」に狼男加入。護衛が”怪物三人組”になり、則ちF(エスパー魔美)とA(怪物くん)が融合。


この作品も、シリアスとギャグを切り替えつつ進むのだろうが、最近はシリアス回が続いている。
相変わらず隙のない、「よくできている」巧さを堪能できる。そして作者側にはあまりにも理不尽な感想だろうが「よくできすぎて、上手すぎてやや引く」という感想も継続している(笑)
最初からこの感想ばかりでスマン。
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ま、「引く」というより、やや腹立つんだよな。そっちのほうがひどいか(笑)
で、なぜ腹立つのかというと、予想の上をいかれちゃうから。斜め上ではなく真上を。

今回のシリーズでは、ちょっとした意外な仕掛けがある。それは「狼男とは、人間から狼に変身する存在である」という常識と、この魔女と魔法のいる世界観から見れば何の不自然もないのだが、それを「XXXは、XXXXである」という形で効果的に使われたら、そりゃ驚く。

海外では、トップ級に人気沸騰!というわけでもないらしいのだが、まあこんなふうに話題になったりしたらしい。
これはコメント選定・翻訳するまとめ者の好みもあるかもだが、やはり「捻りのある展開」が驚かれ、評価されているようだ。

kaigaijumptsu.blog.jp
待ってくれ。どういうこと・・・? クソッ、俺はこんな捻りのある展開がくるなんて思っても見なかった。確かにウルフとケイゴが同時に同じ部屋にいる姿を見たことがなかった。


ケイゴがニコの回復魔法について尋ねた時に俺は彼が裏切るつもりじゃないかと勘繰ったが、まさか彼がウルフに変わるなんて俺の予想を遥かに上回っていたよ。


なあ、あの黒髪の男はいつの間にチームに加わったんだ? 俺は最新話を読みながら、彼らは彼のことを信頼している。少なくとも俺はそう感じた。しかし、俺が再読した後に再び最新話を読んだ限りでは、彼はYouTuberの男でバトルの前に保護された男だったってこと?


モイはケイゴを彼の友達だと紹介したので彼らはすでにお互いに知り合い同士なんだ。それに加え、モイとニコが犬を捕まえるのを手伝って更に良い情報を持ってきたんだから、モイがケイゴを信頼したことは理解できる。


なんて捻りのある展開なんだ。カンシとニコがYouTuber時代にグッズを販売していたなんて思いもよらなかった。


『WITCH WATCH』は捻りのある展開を加えてきたな。ナイス! 俺は本当に『WITCH WATCH』にハマっている。何年も連載は続かないかもしれないけど本当に楽しんでいるよ。


そして、その彼がなぜ、それをしたのかに関しても、一種のミスリードを行ってやがった。

実際、その「XXXは、XXXXである」という話、このバトルの決着がついた時も、それが当初ミスリードしたような話なら、わだかまりが大きくてこのキャラは一緒にいられまい。ひょっとして、このキャラは消えて(死んで)しまい、ちょっとハードな世界観に不可逆的に突入していくのかな……とか予想してた。
のだけれど、ああ、なるほどこの理由付けなら、無理なく罪一等を減ぜられるわと大岡越前も遠山の金さんもにっこり。
「だ、だが伏線は張ってなかったからな。読者に証拠を開示していないのはフェアじゃない」と、ミステリーでもないのにいちゃもんをつけて、予想の上をいかれたことをうさばらししておく。

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ウィッチウォッチで、新たに仲間になった狼男(変身前の形状)

さて、狼男が加わって、「怪物三人組」になったわけだが。魔女ちゃんのためならエンヤコーラ


www.youtube.com

www.youtube.com


当初、この「ウィッチウォッチ」は、令和版のエスパー魔美なんであろう、と見立てた

m-dojo.hatenadiary.com
篠原健太は自他ともに認める藤子・F・不二雄の遺伝子を受け継ぐ者だが、新連載「WITCH WATCH」は『現代版エスパー魔美はどう描けるか』に挑戦してる節もある(第2話では「能力で人助け」が宿命、という点も継承した)
(略)
ただ単に「魔女」だけじゃなく「人助けをすることが宿命つけられてる魔女」なのは、今後とも大いに活用されていく設定だろう。それがエスパー魔美とちょっとばかり被っているのは、意識か無意識か、あるいは偶然かはともかく、読み手としては勝手に「系譜」を感じるわけだ。
shonenjumpplus.com

しかし今回「怪物くん」のエッセンスまで加わったら、おいおい、FとAが融合しちゃうよ。再融合か。FとAで、ファイナルアンサーだよ。あ、元からそうか。

ところで。

はー、なるほど。



さいきん、2巻が発売されたばかり。

戦場の華「騎兵」を終わらせた鉄条網と機関銃…「軍靴のバルツァー」無料配信回で語られています。

軍靴のバルツァー26話「戦争の姿」である。現在は「くらげバンチ」で無料配信。
kuragebunch.com

この作品は先に雑誌に掲載、単行本になったものの「リバイバルネット配信」であり、自分は基本的に単行本で読んでいるのだが、だからこそ「この回は(配信期間中に)読んだ方がいい!」と強く推奨しておきます。

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軍靴のバルツァー26話「戦場の姿」鉄条網と機関銃で騎兵を破る


状況は非常に複雑なので大幅に略すが、主人公のバルツァーは、要人である隣国の王子を連れ、少年兵たちとともに敵軍の追撃をかわし逃走中。だが段違いの機動力と攻撃力を誇る敵の「騎兵隊」に捕捉される。いよいよ進退窮まった時、宿泊の農場には、最新の「とある農業用具」が残っていた・・・・・・



その威力、まさに悪魔的。近代戦争の申し子であり、隠れた「助演俳優」である・・・・・・「有刺鉄線」

いやちがった。

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軍靴のバルツァー26話「戦争の姿」鉄条網と機関銃で騎兵を破る
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軍靴のバルツァー26話「戦争の姿」鉄条網と機関銃で騎兵を破る

簡単に騎兵というが、お馬さんを戦場でもおびえず進軍するよう調教し、それを乗りこなす乗馬技術を持ち、優秀な馬を育てるのに、どれぐらいのカネと時間がかかるか。
それゆえ、貴族の子弟らが騎兵になりがちなのである。そこには勇気と名誉と闘争心あふれる「戦いのエリート」しか、参加資格がない。


だが、それを、乾いた機械音とともに銃弾を豆のようにばらまく奇妙な兵器の前に無意味になる。
そこを脱出しようと思っても、磨きぬいた腰のサーベルでも、馬の突撃でもまったく切れず破れない、ふにゃふにゃしてはいるが鋭いとげのついた針金ーーーーーーーーーーーーーー。
詩は、英雄の気概は、そこでは必要ない。


やった本人が、こうやって、ひく。

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軍靴のバルツァー26話「戦場の姿」鉄条網と機関銃で騎兵を破る

ブクマより2 昨年、こんな増田があったとか

戦場の華「騎兵」を終わらせた鉄条網と機関銃…「軍靴のバルツァー」無料配信回で語られています。 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

昨年の鉄条網増田 <a href="https://anond.hatelabo.jp/20201003080257" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://anond.hatelabo.jp/20201003080257</a> を思い出した

2021/09/15 23:56
b.hatena.ne.jp

anond.hatelabo.jp
anond.hatelabo.jp




日本もこののち?203高地でさんざんに知った近代戦。その姿が、無料配信中の「軍靴のバルツァー」では描かれている。

過去の「バルツァー」関連記事。最初の記事が、全体像を紹介した記事だ(って、2012年までの連載部分だけだけれどもね)
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というか、一巻の時点で「銃の近代化が戦争そのものを変える」「騎兵が戦場で華々しく活躍する『英雄の時代』は終わりを迎えている」は全面的に打ち出されたテーマで、それが26話で全面回収された、というかたちである、結果的には。


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そして今回の一種の”続編”が「坂の上の雲」旅順戦……。そう、つながっていく物語。

「旅順攻撃というのは、日本人にとってはきわめて不幸な事件であり、その不幸を象徴しているのが乃木希典である」

「犀の角のように ただ独り歩め」~おかざき真理「阿・吽」が完結(最終巻発売)


自分は「2014~2015年マンガ10傑」のときに、色々書いた。

野球、料理、政治がテーマなら「ライバル物語」をマンガで描きやすいだろう。しかし、ここで描くのは空海最澄、日本史上最大の「思想のライバル物語」なのだよ!
無理ゲーだよ!編集者止めろよ!
しかし…やっちゃたのである。
 
こういう無謀な旅をするだけあって、作者は伝説の剣をそうびしている。つまり、悪魔的とさえ言える画力。
描く2人の人物は基本「聖人にして狂人」。それを二つながら描く。
そして、仏教が仏教である限りに持つ弱点と、僕が思うものがある。
それは
「仏教は、すばらしい教えかもだが、フツーの人はついてけないんとちゃう?」と。
思想史的には、空海最澄もまさにこの問題と挌闘し、そして異なるアプローチをしていった。
ここには「弱い」帝王たる桓武天皇も絡むかもしれない。
そのテーマに至る伏線らしきものも感じている。

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この読みが、その後どうなったかは実際に読んでもらうとして、上のツイートに添付された画像。

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阿吽「犀の角のようにただ独り歩め」

実にうつくしい絵。

この「犀の角のように ただ独り歩め」は、仏教哲学の神髄でもあるし、
さらに、孤独な歩みを続ける者たちに対する普遍的な励ましでもあり……そうでありつつ、シンプルに

「諺や比喩って、その国・地域のお国柄が反映されるよなー」

というのを実感して好き(笑)
仏教は、やはりインドから生まれたのだ、と。サイの角のように、と言ったってさ、サイが居なければ実感もできまいよね。


仏教の地獄に「ぞうさんにお酒を飲ませて暴れさせた罪」がある、というのは「鬼灯の冷徹」でもツッコまれた話
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から孫引き

http://comicbob.blog.fc2.com/blog-entry-15.html
地獄の定例会議ーー
鬼灯たちは、地獄がより地獄たるべくルール改正を推進しています。
例えば、対象者がたった1名の「象に酒を飲ませ暴れさせた罪」の地獄について。
『何をどうしたいんだ何を!?』

必要ない地獄をばっさり切り捨てる鬼灯。


アフリカのことわざ「この世はニワトリの尻」と、それを紹介した星野ルネ氏の本を思い出す。

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