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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

篠原健太「WITCH WATCH」は『エスパー魔美』が現代で描けるか、の試み―その魔美の傑作も無料公開

https://dorachan.tameshiyo.me/WIN2021D1dorachan.tameshiyo.me


ブクマもにぎわっている。
この作品は、評論に対するスタンスが、ひろく言論を考えるときの参考になるとしてその場面がネットミームになっていることは有名だが(当方も紹介したことあり)、なんと本編を今回初めて読んだというかたもいるのだ。
なんかもう、このへんはみんな読んでる、というイメージがあるが、世代の違いもあるし、よく考えればそうなのだろうな。
b.hatena.ne.jp


で、例によって自分のブクマコメントは…

篠原健太は自他ともに認める藤子・F・不二雄の遺伝子を受け継ぐ者だが、新連載「WITCH WATCH」は『現代版エスパー魔美はどう描けるか』に挑戦してる節もある第2話では「能力で人助け」が宿命、という点も継承した
https://b.hatena.ne.jp/entry/4698616341729332866/comment/gryphon


後半、(  )で描いた部分が特に重要だと思うの。

www.youtube.com

shonenjumpplus.com

ほかの連載を見る限りでは、第二話も来週にはネットで公開されると思う。そうするとさらによくわかるんだが、設定だとだいたいこんな感じ。

・魔法ができるようになり始めた使いは、その魔法を他人のために役立てて、認めてもらうのが魔法を安定させる条件
・そうできないと、魔法使いは「孤独」に呑み込まれてしまい、なんかえらいことになるらしい

※のちに第二話公開きた
shonenjumpplus.com

f:id:gryphon:20210325035009j:plain
ウィッチウォッチ 魔法使いが人と交流する理由付け(第二話)エスパー魔美的に…

へー、もうそういう義務的なものが組み込まれているのか。エスパー魔美より縛りキツイな。魔美は超能力のおかげで、ピンチの助けを求める、誰かの心のSOSサインがテレパシーで伝わってしまう。そこまでは設定だが、無視しても別にいいのに、そこに飛んで行って人助けをするのは彼女の性格、ボランティアだ(笑)



「だれか困っている人を助ける」を基本コンセプトにすると、1話完結・数話完結のシリーズは作りやすい。めっちゃ作りやすい。それが有料であっても無料であっても関係なく、だから私立探偵事務所の物語も刑事ドラマも作りやすかったりするのだ。そういう依頼人がいないと、探偵のほうもやることがなくなり、コカインに手を出してしまうわけだが(笑)

「僕の心は」彼は言った。「停滞に反逆を起こす。僕に事件をくれ。僕に仕事をくれ。僕に最も難解な暗号文をくれ。さもなくば最も入り組んだ分析を。そうすれば僕は適切な環境の中にいられる。そうすれば人工的な覚醒剤なしでいられる。しかし意味のない生活の繰り返しにはうんざりだ。僕は精神的高揚を渇望している。僕がこの特殊な職業を選んだのも、それが理由だ。というよりも作り上げた理由というべきかな。これは僕ただ一人だからな」
四つの署名 第1章

ひところ昭和の人情喜劇では「困ってる人をみるとほっておけない」的な、理由もいらないおせっかいものがいて話を勧めてくれたし、いまもその痕跡は多少残っている。
魔美も「困っている人を感知する」ところまではSF設定で「じゃあ助けなきゃ」はその昭和風おせっかい精神であることは前述のとおり。


それがいまでも多少変形して残っているのが「絡んでくるギャル(a,k.a オタクに優しいギャル)」じゃないか、という話は以前書いた。
m-dojo.hatenadiary.com




だからその折衷案的に、篠原先生も過去作では「学園生活支援部」といってなんでも人助けをする部活動がある、なんて”大ウソ”の設定を作って大成功したわけで。
そういう点で、ただ単に「魔女」だけじゃなく「人助けをすることが宿命つけられてる魔女」なのは、今後とも大いに活用されていく設定だろう。それがエスパー魔美とちょっとばかり被っているのは、意識か無意識か、あるいは偶然かはともかく、読み手としては勝手に「系譜」を感じるわけだ。

たぶん、使い魔の鬼くんは、今のところ完璧超人に近いクール系二枚目。たぶん背中に傷はひとつもないし、第一話でも凶器は使ってない。

だが、たぶん何か苦手な小動物か小道具があるよ。鬼だから豆かね。ひいらぎかね。あるいは夜明けを告げる鶏かね。

あと、どんな困った頼み事でも、それをもらうと断れないぐらいの大好物があるよ。鬼だから…人肉かな?(かな、じゃねえよ)



そしてこの第二話でも、魔法で人助けをする…のだが
・魔法≒ひみつ道具の力で、最初は大成功!
・でも予想外の副作用で大騒動!!

な展開になるんだが、その描き方がめちゃくちゃ令和っぽいというか、「だれがうまいこと言えって言った」的な、綺麗な展開。
これが以前書いた「ロジカル・コメディ」ってやつだよ!!なお手本でした。前の段階でうまく、ネタふりもしてるしな。

そういう点で安定のクオリティだし
「上手すぎて、多少引くわ」と思ったところも第1話通りでした(爆笑)

詳しくは
2話のネット公開を待て。




エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)

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第26話 占いとミステリー

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