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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

ヴィンランド・サガ、王子覚醒までの英国戦は「撤退戦もの」の傑作。他に「皇国」「アンゴルモア」「バルツァー」…/「王冠の意志」の話も傑作!

NHKで放送の「ヴィンランド・サガ」、先週書けばよかったんだけど書き逃したので今更。

この作品も本当に大河連載になったけど、はっきり「〜編」と分けられるような構成になってますよね。
ほんで、第二章ともいえる「尊敬するお父さんを殺されたトルフィンが敢えて「仇」のアシェラッドの配下となって、戦士としての実力を磨くも暗い影を持ち、英国を転戦する」話…正直、だいぶ話を忘れてて、今回見て気づいたんだけど…ロンドン攻防戦で敗北し、追われる身となったクヌート王子をアシュラッドが保護、トルケル軍の追撃から逃れていく顛末は戦記物、軍記ものでも「撤退戦」を描くものだったんだよね。

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ヴィンランド・サガ 4巻からは「撤退戦」もの
ヴィンランド・サガ(5) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(5) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(6) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(6) (アフタヌーンKC)

当然ながら、撤退戦というのは一種の負け戦で、大平原にて大軍勢が雌雄を決する、というような会戦ものや、難攻不落の砦をいかに落城させるか、あるいは守り切るか?みたいなものとはだいぶ様相がちがう。


どう追手の追跡をくらませるか、途中途中で迎え撃っての遅滞戦術を行うか、橋や道路を破壊するか、それを再建するか、迫りくる寒さや飢えの中、乏しい食料や燃料、あるいは宿所をどう補給していくか、絶望的な状況で裏切りをどう防ぎ、見抜くか‥‥


これを描くのは、ちょっと簡単そうで難しい。というか軍事物語の中で、やはりちょっと特異な位置づけのような気がする。

他の作品は……
と、これははじめから目算があって、というかそういう先行例があるから、今回のヴィンランドサガも「ああ、これ撤退戦ものという『ジャンル』だ」と気づけたんだけど……


皇国の守護者(あえて漫画版)」

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皇国の守護者「撤退戦もの」の傑作
皇国の守護者 1 (ヤングジャンプコミックス)

皇国の守護者 1 (ヤングジャンプコミックス)

※現在、堂々絶版中!!!!!!!!


「アンゴルモア 対馬編」

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アンゴルモア撤退戦



軍靴のバルツァー※王子たちがクーデター騒動で追われる展開のところね

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軍靴のバルツァー撤退戦、機関銃での逆襲
騎兵たちの追跡に、いよいよ進退窮まった逃亡軍が、まさに最新の「騎兵殺し」だった機関銃と鉄条網で、一発逆転をする場面も忘れがたい
軍靴のバルツァー 5 (BUNCH COMICS)

軍靴のバルツァー 5 (BUNCH COMICS)

軍靴のバルツァー 6 (BUNCH COMICS)

軍靴のバルツァー 6 (BUNCH COMICS)


それぞれ、見ごたえがあってなかなかによしです。

史実に依拠したものは、信長の忍びなどで描かれた『金ヶ崎の退き口』でしょう。2020年の明智光秀ドラマ『エリカが来ない』…もとへ、『麒麟が来る』でも重要場面となる筈。
m-dojo.hatenadiary.com

信長の忍び(4) (ジェッツコミックス)

信長の忍び(4) (ジェッツコミックス)


おっと「撤退戦中の撤退戦」、ナポレオン軍のロシアからの敗走記もこの前描かれたっけ。
「ナポレオン 覇道進撃」

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ナポレオン覇道進撃16 ロシアからの撤退戦





さて、ここまで読んだ読者の皆様、皆様におかれてはほかに「撤退戦もの」の傑作をご存知でしょうか?
もしあれば、漫画、小説、映画、ノンフィクションその他に関わらず、ご教示いただければ幸いです。

だが、はてな匿名ダイアリー三大撤退戦もの ヴィンランド・サガ 皇国の守護者 ほかには?とか書けば殺到するんだろうけど、こっちじゃそーはならねーんだろうな。(この話なんどめだっけ?)



余談 本日の王の独白「王冠には意思があるのだ」も、この作品の白眉でした。



多くの作品で、「邪悪な前の為政者は倒れ、英雄が新しい王になる」は描かれる。だが、その英雄は、最後まで英雄足り得るのか。
ヴィンランド・サガでもまだその末は描かれてはいないものの、クヌート王子がこのあとXXXXXXXXXXXXXで、XXXXXXXXXXXたあともXXXXXXXXXXXXをしたりするわけで…。

vodmovienavi.com
…スヴェンの王冠にかぶられる人生がみてとれました。
スヴェンにもかつては理想があった。
そういう風に私は見ました。
しかしやはり権力がそれを許さなかったのでしょう。
つまり王冠の重み。
それに耐えきれなくなってしまった。
であるとするならば。
権力という王冠の命令。
それにしたがって生きるしかない。
もはや王冠の奴隷になる……

くしくも、この前、まさに自分の理想の強国を作ろうとした英雄の視点から、『追放された悪逆の父王』とされ続けた男の伝記武田信虎が出て、人気を博している。

武田信虎 (中世武士選書42)

武田信虎 (中世武士選書42)

甲斐を統一し、名門武田氏を戦国大名に押し上げた武田信虎の生涯を武田氏研究の第一人者として知られる著者が克明に描写いたします。今川・北条と渡り合い、甲府の開府や税制改革など、数々の功績を誇る名将はなぜ息子信玄に追放されたのか!?信玄の背後に隠れた知られざる実像に迫ります。

内容(「BOOK」データベースより)
甲斐統一・甲府開府など、数々の功績を誇る名将はなぜ信玄に追放されたのか!?信玄の背後に隠れた知られざる実像を、武田氏研究の第一人者が活写する。