「VH砲」と自分は勝手に呼んでいるが、アフタヌーンのみならず、日本漫画界でトップを走っている2大歴史漫画、幸村誠の「ヴィンランド・サガ」と「ヒストリエ」が、本日発売の最新号はアベック掲載された(滅多にない)。
で、「ヒストリエ」は、もう読者が慣れた下書き掲載だ(笑)慣れさせたもん勝ち、という点では、小林まこと先生の休載と変わらんな(笑)
こちらについては以上。
- 作者:岩明 均
- 発売日: 2019/07/23
- メディア: コミック
ヴィンランド・サガ「開拓地に剣(武器)を持っていかないのは不合理ではないか」と異議があり…
※ちなみに、ボウガンその他は、狩猟などに必要という事で持ち込みOK。武器「にしか使えない」、象徴的意味としての剣を禁止する、という話です。
なかなかに重要と思い、力を込めて紹介しているのは、主人公トルフィンに猛然と異議を唱えるこの男の主張は、かなりの部分で理にかなっている話だからです。国際政治学的に言えば、ほぼ満点だし、ディベートとして捉えれば明確にトルフィンの負けである。
しかし、ここまで20巻以上で積み重ねていた物語で分かるように、トルフィンのこの建国のポリシーは論理や理屈を超えた信念だ、ということです。
だからこそ、どんなに相手の論理が正しいと認めても、揺るがない。
ではそれは、一種のイデオロギー実験国家ではないか?宗教的実験国家ではないか?と、この賢明な反対者は弱点を突く。
モルモン教のユタ州。新しい村。キブツ。ヤマギシ会。そして文革やポルポト。もっと穏やかな話としても、禁酒法のアメリカ・・・・・・・。
人間や政治の理に反した、実験的なイデオロギーに戻づく国家や共同体が、ある意味でエゴイズムむき出しの国家より大きな災禍をもたらすこともある。
で、そういう議論をした上で、この反対討論者は物語から退場する、そんな捨てキャラだと先月号のヒキでは予測していたのだが…
どうも、一種の「防衛力強化をマニフェストに掲げた非公然野党」として、これからも話に関わってきそうなのだ。これ、どうなる???
作者の「創作秘話」も併せて読むと、さらに興味深い
togetter.com
- 作者:WIT STUDIO
- メディア: 大型本
- 作者:幸村 誠
- 発売日: 2019/11/22
- メディア: コミック
ちなみに、こんなふうに主人公と国家の在り方を討論し、しかもどう考えても正論だろうと言う形で主人公に圧倒する漫画作品として、自分はとみ新蔵の「柳生廉也武芸帖」2巻の、種子島をめぐる挿話を思い出したのでした。
【銃と漫画】資料集
— gryphon(まとめ用RT多) (@gryphonjapan) December 16, 2015
最後「柳生連也武芸帖」。
火縄銃の指南役と鉄砲鍛冶が、新兵器を手に柳生との「イデオロギー闘争」に臨む。
実は読んでいると、勝負はともかく鉄砲コンビの主張のほうが正論にも聞こえるんだよね、このエピソードは(笑) pic.twitter.com/NJQb1Qf04z
※ツイートで「連也」となっているのは誤字