これが話題ですね。
岸田氏、同性婚「認めるまで至っていない」b.hatena.ne.jpマイケル・サンデルも言ってるが、同性婚を認めるなら重婚・近親婚も認めないと論理矛盾するんだよ。婚姻を「一緒に暮らす仲良しさんを自由に決める制度」として再定義するなら。そこまで考えてそうな奴が少ない。
2021/09/18 20:30
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https://b.hatena.ne.jp/entry/s/b.hatena.ne.jp/entry/4708502633297017378/comment/flatfive
これについて、過去の蓄積があるので語ろう
サンデルとは別に、日本の複数の法哲学者が専門書の中でもSNSでも、学問的に論じている
togetter.com
toegtterまとめのタグを辿ってみるのもいいかもしれない。
togetter.com
※追加。「同性婚論争」という本には、脚注部分でわずかながらに記述があった。カナダに(否定的な)判例があるらしい
m-dojo.hatenadiary.com※以下のご意見あり追加しておく(こういう本があるのは以前聞いたが未読。ちなみに宮台真司や樋口陽一も少し語っている。下のリンク集から行けると思う)
同性婚がOKなら近親婚、重婚も良いのではないか?という議論は、(萱野 稔人)「リベラリズムの終わり」でも展開されている。 https://www.amazon.co.jp/dp/4344985753 資料追加ありがとうございました。 - shibacow のブックマーク / はてなブックマーク
ぶっちゃけ、「個人の自由」や「選択権」「他者危害の原則」などから検討した結果として同性婚は成立した。それと近親婚の間に区別をつけるのは、かなーーり難しい。
要は「自由意志による当人の選択の結果だ」「そうしたい人がするだけで、したくない人はそのまま、しないだけ。だから禁止する理由がない」
※上で紹介した、togetterまとめの前文から抜粋…考えてみたら、選択的夫婦別姓とも連動してるな!!
今、私たちがやろうとしていることは「愛し合う二人の結婚を認めよう」。ただそれだけです。
外国に核戦争をしかけるわけでも、農作物を一掃するウイルスをバラ撒こうとしているわけでもない。
お金のためでもない。単に、「愛し合う二人が結婚できるようにする」。だから、本当に理解できないんです。なんで……反対するのかが。自分と違う人を好きになれないのはわかります。それはかまいません。みんなそんなようなものです。
(略)……私は約束しましょう。水も漏らさぬ約束です。
明日も太陽は昇るでしょうし、あなたのティーンエイジャーの娘はすべてを知ったような顔で反抗してくるでしょう。明日、住宅ローンが増えることはありませんし、皮膚病になったり、湿疹ができたりもしません。布団の中からカエルが現れたりもしません。明日も世界はいつものように回り続けます。だから、大騒ぎするのはやめましょう。
上の演説は、NZで2013年に同性婚が認められた時の賛成演説で、世界的に読まれ、賞賛された…だがこれ、「近親婚賛成演説」と仮定して読むと、引用箇所はただの一点も変更しないでそのまま使えるのである(笑)
同性婚を認めたらどうなる? 世界で賞賛された国会議員のスピーチ | ハフポスト 政治
一方で「それが伝統だ」「神が許さない」とか持ち出せば一瞬で否定できる…まあ、それは同性婚もだけどね!
で、ござろう。
【追加】遺伝学的な問題? 当ブログではごく初期に、小説仕立てでこの問題を扱ったエントリ(そんなのまであるんだよ)で、その話は書いている…
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「しかし、科学的に、近親によって生まれる子供が遺伝上の問題を持つ確率が・・・」
「ひとつ、それは確率の問題に過ぎません。
ふたつ、子供を持つ持たないは私たちの選択です。
みっつ、障害のある子が必ず不幸だと決め付けてはいけません」
一郎が指をたてながら反論を列挙した。
※ちなみに、近親婚の遺伝子的な問題が統計的に発現するのは数世代が必要で、一世代ではそれほどリスクが高くないとも言われる
「支配関係にあることが問題?」それも過去記事から…
ついでに、蛇足の補足で「たとえば父親がその権力、支配的な雰囲気で未成年の娘の自由意志を奪って、意に反して関係を結ぶのは問題ではないか」という話について。
それは「未成年」や「自由意志を奪って」「意に反して」が問題…というかあからさまに犯罪であろう、というだけ。そしてそれは、血縁関係にあってもなくても同じこと。ある地域の銭湯は、汚れた体のまま浴槽に入ったり、風呂場内で洗濯も行ったりする人が多かった。そういうトラブルを発生させつ人は地理的関係、そして入浴文化の際からR国人が実際に、多かったらしい。しかし問題がある、禁止さるべきなのは「汚れたままの入浴」「風呂場での洗濯」という行為であって「R国人」の禁止ではない。
それとおんなじ。
また「冬の海」のようにほぼ同世代であるとか、ずっと別の家で育っていて接点が無かった、とか、環境的に支配関係が生まれてないと類推された関係なら問題ないのかな?
アフタヌーン2015年12月号に以前、この問題の読切「冬の海」(環縁・作)が載った。同性愛者と、きょうだいでそういう関係になった人が「俺たちの立場は同じだな」と共感する
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いまでも電書版など購入可能。この問題に少しでも興味ある人は一読し、一蔵書としておくべきであろう。海外に翻訳して紹介したいぐらいだ。
漫画(アニメにもなったか)「カノジョも彼女」は見方を変えれば「重婚・複数との恋愛(ポリアモリー)の何が悪いの?」を問いかける作品でもある
憲法学者の木村草太氏は、近親婚や複婚は(同性婚と同様に)「認めるも認めないも立法裁量の範囲」だと考えている(※あるいは「2014年にはそう考えていた」)
木村先生、突然専門家に質問する失礼お許しください。 同性婚の憲法論から発展した一種の空想として(似た実例ありますが)…「姉と弟の結婚禁止は憲法違反だ」「1人が2人を妻(or夫)にできないのは憲法違反だ」との主張があったら、現憲法は、どう答えるのでしょう? @SotaKimura
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) 2014年6月7日
@gryphonjapan 何年か前に学会でも議論になった記憶がありますが、さしあたり、それらの結合をどの程度保護するかは立法裁量の問題であって、禁止しても許容しても合憲だから、あとは立法府の判断だ的な議論に落ち着くと思います。
— 木村草太 (@SotaKimura) 2014年6月8日
ありがとうございます。ただ2点ばかり…(1)ならば「結婚は男性と女性の間に限る」というのも「立法裁量の範囲」になるのではないか。(2)そもそも<結婚の定義>は男女。相続などで同様の権利が欲しいとして、そういう別制度(シビルユニオン)のほうが自然だ論(続き)@SotaKimura
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) 2014年6月8日
@gryphonjapan (1)は立法裁量の範囲だと思います。(2)ただ、相続などでの区別が不合理なら、平等権侵害で別制度の設定を請求できるはずです。解釈改憲?的問題についてはブログ記事をご参照ください。
— 木村草太 (@SotaKimura) 2014年6月8日
この件は、少し調べて原稿書きます!
ので細かい点は少しお待ちください。
そもそも「(法的な)結婚」とは何かというと、さまざまな細かい権利が得られる「パッケージ契約」。しかし、それはなぜパッケージなの?「夫婦」にならないとなぜダメなの?
即物的にいうなら
●配偶者相続権(一)●税制・社会保障における優遇(二)●病気療養時などにおける権利・利益(三)●夫婦財産制(四)●パートナーシップ解消時の法的保護(五)●不法行為や犯罪による死亡時の損害賠償請求権など(六)●刑事法上の権利・利益(七)●性同一性障害特例法の非婚要件(八)●外国人パートナーの在留資格・帰化(九)●子を育てる権利(十)●その他家族法上の権利義務(十一)●住宅の確保(一)●勤務先からの手当支給,休暇取得など(二)●生命保険金の受取人指定など(三)●銀行取引など(四)●その他身近なサービス(五)
https://www.dropbox.com/s/smt6kosxwfs3xc0/SHIMIZU_LegalConstruction.pdfの契約を2者が結ぶ、ということにすぎない。そしてそれには国家の後ろ盾がつく、と。逆にいうと、国家権力が
「あなたとあなたが、好き同士で一緒になることを『国に認定』してもらいたいなら、両人は、上の契約を一括して結ばなきゃいけませんよ?」
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「…(日本法上の)婚姻は(1)共同体形成機能と(2)嫡出推定機能が混在した不純契約だから。同性間において(2)の機能は意味がないのだが、元々両者を結合させておく論理的必然性はなく、いわば悪質な抱き合わせ販売である」(大屋雄裕)
だから自分は、そういう「スケルトン」の部分を公は認定する。それを「結婚」と呼ぶかは、その人たちの定義次第とし、あるいは「教会」らの認定に任せる、という制度が理想的かと思う。同性婚も含め「そういう制度はあっていいと思う。だけどそれ『結婚』とは呼ばないんじゃない?」という定義の問題も重要です。以下のリンク先には、皆さんへの「アンケート」も用意した。
法的・社会的サービスを相互に受けさせる対象を選ぶというスケルトン、服や肉を除いた骸骨部分を公(行政)は認定したほうが、それも広い範囲に・・・したほうがいいんじゃないか、これのほうが使い勝手がよく、しかも手の届く部分が広い。つまり結婚というカテゴリーに新しく同性カップルを加えるなら、逆にそういうスケルトンな関係に従来の「結婚」のほうを入れさせる(笑)
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一方で重婚はともかく(伝統的イスラム圏という、成立してる文化圏もある)、近親うんぬんは構造的に、数に伴う政治勢力を構築することが難しい。だから「実際の政治課題として、これを運動で解決してみろ」というのはたぶん無理筋。ただ、現実の政策で成立し難いことは、法哲学の理論としての正しさとはまったく別種の話
過去記事より
…法哲学者の中でもよく議論されている「同性結婚を認めるべきだという議論の中身は、そのまま「近親結婚を認めるべきだ」「複数婚を認めるべきだ」という議論として成立する」という点…(略)これもまた、同性婚推進派の方々が「現実の政局、政治動向としては誰も関心を持たない…あるいは反発を招くイッシューだから語らない」という戦略を取るの自体は「さもあろう」と理解するのです。しかし政局論と別の<論のスジ>の問題として、この件をどうか考えるのか、ひとりひとりに聞いてみたいのです。特に法哲学者と憲法学者と弁護士には、答える義務があると勝手に決めたい(笑)
…みたいな話で10年以上、たぶん20本近く記事を書いてきたんだよ!!
時々、不完全なリンク集を作ってきた。
ここから枝分かれして読んでいただければ、一応網羅してると思います。
※例えば「このエントリで例に挙がっているのはマンガばかりじゃん」と考える人は、リンクから他の、現実社会の実例をご覧ください。
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おまけ まったく関係なし
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2023年にも、はてな匿名ダイアリー経由で話題になりましたね。
議論の構造自体が変わらないのだから、定期的に話題になるのもある意味当然だといえます。
anond.hatelabo.jp
上の増田が話題になった時に、文化人類学者の春日匠がブログ記事を書いていた、と知る。
blog.talktank.net
ただ、この「チュートリアル」ですでに論じた話・論点の繰り返しのみ。
なお、言わずもがなだと思うが、一応強調していくと、本論考は近親婚、例えば同父母のキョウダイ婚を許容するべきだと主張しているわけではない。それらは、社会制度がどのように組み上げられるかという倫理的な問題だということを再確認した上で、当事者同士の福祉に最大限貢献するような形で制度設計されるべきだということである。
と書いているが、その逆の「同父母のキョウダイ婚を許容すべきではないと主張しているわけではない」という記述が無いのは、これを自然に読むと、許容寄りの事実関係と論理展開しかほぼ出てきてないからである(笑)
わずかな懸念である
「キョウダイ同士で愛し合っている」と主張する両者が、誰かからの脅迫や圧力を受けているわけでもなく、経済的独立と社会的な尊厳を持って人生を設計できる環境にあることを確認する必要がある
云々は、別の所 (https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2023/02/03/075437)でかいた「アオのハコ禁止法」の話だし(笑)