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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「カノジョも彼女」という「二股漫画」が、自然と「ポリアモリーの権利と自由を考える」作品になった件

ちょっと面白い話。
天下のメジャー雑誌・少年マガジンで「カノジョも彼女」という漫画が連載されてます。
内容紹介は、アマゾンに任せるか。

自分の気持ちに正直な高校生の直也には、
咲というカワイイ彼女がいる!
幸せの絶頂にいる直也。そのうえ、
突如あらわれた美少女、渚から告白される。
渚の思いを受け止めた直也は、渚に対して
好意を抱き、まさかの提案をするのだった…!!
自分に絶対嘘をつかない、
ネオスタンダード・ラブコメ


直也には咲というかわいい彼女が! しかし、渚という可愛い女の子が直也のことを好きだと言う! 渚の思いを正面から受け止め、彼女のことを魅力的に感じた直也は、咲にカノジョを彼女にしていいか、許可を取りに行くのだった!咲のOKを取り付け、3人は共同生活を始めることに…!! ネオスタンダードな恋人生活が始まる!

カノジョも彼女(3) (講談社コミックス)

カノジョも彼女(3) (講談社コミックス)

  • 作者:ヒロユキ
  • 発売日: 2020/11/17
  • メディア: コミック

自分にとっては「not for me」なテーマだし、読んでも自分の考える「面白い漫画」の範疇ではない(ファンのかたすいません)。
でも、飛ばせばいいところを、一応は目を通しているんだから何かあるんだろうな。(youtubeを扱う漫画、として最初は認識していた)
※こちらを参照
m-dojo.hatenadiary.com


で、最近の展開では…すでに同意のもとの「二股交際」をしている主人公が好きな女性がさらに現れ(この人が、動画配信で有名な女子という設定)、三股交際になるかならぬか、って展開になっている。

この第三の女子の親友が、主人公を道徳的に許せない、と批判するシーンが出てきたのだが…

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「カノジョも彼女」が自然と「ポリアモリーの権利と自由を考える」漫画になった件

「とはいえ、(何股交際しようが)個人の自由という考え方も!!!」
「そうね」
といいつつ・・・・・・・・ここもすでに大きな思想上の問題と、その結論があるのだが(笑)、その後再反論する女性の言葉で、それは決定的になる

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「カノジョも彼女」が自然と「ポリアモリーの権利と自由を考える」漫画になった件

この女性の発言で浮かび上がるのは、はい当ブログではおなじみのネタ
「複数婚の問題は、どこをどうとっても、その構図が同性婚の問題と一致している」ということなんです。

籍を入れられなきゃ税制面も不利! 保険の受け取りもできない! 手術の同意書にもサインできない!様々な問題があるのよ!

・・・・・・・・・・・これ全部、同性婚(の必要性を訴える議論)の時に問題になった話やんけ(わざと狙ってやってるな?)

それならこれ
「なるほど、その法制度はおかしいね、変えないと」
となるのか(※日本ではまだ、そうなっていないことに注意。「養子縁組があるからそれでカバーできる」との主張もあるが…)
「なるほど、だからこの関係をやめなければ」
となるのか、です。だから、この作品が、意識していないうちに、「弟の夫」がLGBTの様々な問題を語っているように、社会問題、思想問題を語る「ポリアモリー漫画」になってしまった、と。

弟の夫 [DVD]

弟の夫 [DVD]

  • 発売日: 2018/07/27
  • メディア: DVD

まだ、聞きなれないことばですかね、ポリアモリー

jobrainbow.jp
wotopi.jp
lgbt-life.com



わたくし自身がこのポリアモリーを社会生活の中で実践しているかとか、周囲で見聞きしているとかはないのですが、同様に周辺では今のところ見分のない同性婚や同性のパートナーシップと同様・・・・・・・というか、何度も繰り返しますが、概念の枠組みとして同一カテゴリだな、という点で以前から関心があります。
それは、過去記事で述べているように、「近親婚」とも関連、というかセットです。
これは法哲学の専門家の間でも、書籍で議論となっているぐらいでして。

おなじみの画像・リンク集なので、ひとつふたつだけ。
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togetter.com

…同時に、法哲学者の中でもよく議論されている「同性結婚を認めるべきだという議論の中身は、そのまま「近親結婚を認めるべきだ」「複数婚を認めるべきだ」という議論として成立する」という点が、個人的には一番興味あるし今後もこのブログ記事で追っていきたい(笑)。これもまた、同性婚推進派の方々が「現実の政局、政治動向としては誰も関心を持たない…あるいは反発を招くイッシューだから語らない」という戦略を取るの自体は「さもあろう」と理解するのです。しかし政局論と別の<論のスジ>の問題として、この件をどうか考えるのか、ひとりひとりに聞いてみたいのです。特に法哲学者と憲法学者と弁護士には、答える義務があると勝手に決めたい(笑)

この画像は「法哲学法哲学の対話」より

法哲学と法哲学の対話

法哲学と法哲学の対話


この画像は読切漫画「冬の海」。アフタヌーン 2015年12月号に掲載。

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そしておなじみのオチだが、この問題はぜひ、荻上チキ氏に議論してもらいたいと・・・・・いや、皮肉とかじゃなく、ほんとに真面目に、氏が(あの経験を踏まえて)どのように考察、結論付けるのか聞きたいのですよ。