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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

憲法記念日特集で、リレー形式のシミュレーション小説を書こう。この結末は??

とある弁護士事務所。そこで山田太郎弁護士は仕事も無く、ひまそーにしていた。
そこにノックの音が。「コンコン」
「おお!!お客さん!どうぞどうぞ!うちは丁寧親切、どんな巨大な悪にも立ち向かうのがモットーです」
 

そこには、若い男女がいた。男がいう。
「僕たちの結婚を邪魔するやつがいるんです!そいつを訴えて、どうにかして、結婚を認めてもらおうと思って・・・」
 
「なるほど、今時お二人の意思に反して結婚を認めないと。そりゃ封建的なカテエ頭の人もいるもんですな。いやそれはけしからん、憲法違反ですよ!私は、筋さえとおりゃ着手金次第でなんでもやってのける命知らず。不可能を可能にし、巨大な悪に挑戦する弁護士です!ではそいつを訴えてやりましょう。どこのどいつです?」
 
「国です。日本国です」女性が答える。
「へ? くに??」と弁護士。
「僕たちがきょうだいだからといって、結婚を国がみとめないんです!」と2人は口をそろえた。
「きょうだい?」
「はい、ぼくは山本一郎。こっちが姉の山本花子です」と男は答えた。
 
弁護士はずっこけかけたが、かろうじて姿勢を維持した。「それは法律上の規定があってですね・・・」
「その法律が、憲法違反なんじゃないですか?? わたしたちは両方とも成人です。自由で独立した意思に基づいて結婚相手を選択した。その選択が、だれに迷惑をかけるんですか?」花子が、冷静に、しかし真剣に話す。
 
「うーん、他者危害、ほかの人権を侵害しない以外は自由だという原則か…」
弁護士は、それでも食い下がる。
「しかし、科学的に、近親によって生まれる子供が遺伝上の問題を持つ確率が・・・」
「ひとつ、それは確率の問題に過ぎません。ふたつ、子供を持つ持たないは私たちの選択です。みっつ、障害のある子が必ず不幸だと決め付けてはいけません」
一郎が指をたてながら反論を列挙した。

「よっつ、医学的にみると…ちょっと気の毒なので具体的言及は避けますが、もっと子供に遺伝子的なリスクのある属性の人がいますね。その人たちの結婚も禁止しますか?」

「五つ、生まれる子供のリスクと言うなら…近親の同性結婚ならOKになるのかしら?」(※4,5は後日の追加)


 
弁護士「しかし、人類社会が積み重ねてきた長年の伝統がね・・・」
一郎「ええ、悪しき伝統です。そういう因習を憲法の立場から打破するのがロイヤーの使命ですよ。昔、平民と貴族の結婚はあり得なかった。カソリックプロテスタントの結婚もあり得なかった。白人と黒人も・・・」
 
花子「それに、同性結婚も。特定の宗教や伝統は、それを非道徳と見なしているでしょう。でも成人2人が、自由で独立の意思に基づき結婚相手を選択し、それはだれにも迷惑をかけないから同性結婚を各国で認め始めている。きょうだい結婚も、それに準じる話ではないかしら」

弁護士「しかし・・・・」
一郎「ああ、着手金の話を忘れてましたね。少なくて申し訳ないですが・・・」

弁護士「やりましょう」(孫正義風)
かくして、「きょうだい間の結婚を認めないのは憲法違反である」という裁判が始まったのである・・・(つづく)

「つづく」とは書いてあるが、この続きは法律・法哲学憲法にくわしい皆さんに、自由に後を引きついでもらいたいのである。にしても登場人物の名前とかせりふとか、とってもぞんざいに書いてしまったな(笑)。
しろうと考えでは、かなり国も攻め込まれるような気がするんだけどなぁ。
これは以前からの蓄積があります。

■これをどう近代の法理論(他者危害原則)で裁けるのか
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080410#p3
 
法哲学的にどう「近親相姦」を否とできるかの理路が分からん。つーか訴えたら違憲判決出たりして
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100428/p5
 
■「同性婚も個人の自由である。同様に一夫多妻も個人の自由である」と訴訟を起こされたら(ユタ州)。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110730/p7

上のシミュレーション裁判、勝つにしても負けるにしても、どんな展開になるのか、そのロジックには興味しんしんだ・・・ってだれも続けてくんなきゃ、それでおわるけどさ(笑)。  あと、シミュレーションである限界というのはおそらくあり、本当にこの種の問題で悩んでいる人がいても、それへの助けにはおそらくならないとは思う。そこはお許しください。

何度か上で書いているかな。実は宮台真司氏が、この質問(もうちょっと表現は違うが)について答えている一文がある。

ただ、実はこれを読んで「あの宮台ですら、この問題を論じるときに、この論法でしか議論をなし得ないか!!」と驚き(いわゆるネットでは「Dメソッド」とも呼ばれるような議論)、それで「上のテーマは、やはり近代社会の弱点なんだなぁ・・・」という意を強くしたのを覚えている。