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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

同性婚(結婚)制試論…愛と家族と「私」と、法と制度と「公」。

同性婚の問題”を含めた”議論は、ここ数日も合わせて、私はこのブログで長年論じてきたほうだと思います。その上で、アメリカでの大きな動き(オバマ、バイデンの正副大統領がそろって容認を主張)と合わせて、この機会につれづれと記してみたいと思います。

【追記】この「アメリカの大きな動き」であるオバマ大統領のTVインタビューの翻訳
http://www.kitamaruyuji.com/dailybullshit/2012/05/abc.html

さて、どこから行くかな・・・

(1)「結婚」の「定義」について

昨日のこのブログで、「同性婚関連資料集リンク」を作ったのだが、そこでぬきんでて面白かった論文がこれだった。
そこにあった「定義」に関する話をちょっと書きたい。
https://www.dropbox.com/s/smt6kosxwfs3xc0/SHIMIZU_LegalConstruction.pdf

アメリカにおいて提起された世界初の同性婚訴訟として有名なBaker v. Nelson148において,ミネソタ州最高裁判所は,ウェブスター辞書の結婚の定義を引用しつつ149,「男性と女性の結合としての婚姻制度は,唯一家庭内での生殖および子の養育をともなうものであり,それは,創世記同様,長い歴史を有するものである」などとし,婚姻とはその定義上男女の結合であること,ほぼそれのみを理由として,原告の請求を退けている

ははは。辞書で解決しやがるとは。
いや、笑い事じゃなくて、論理としてもけっこう強靭なんじゃないかなあ・・・というのが自分の感想なのですよ。

自分の「同性婚」に関する違和感というか「?」感を、以下のたとえ話で語ってみよう

ある食堂では、雑煮とお汁粉がメニューに並んでいた。
そこはもともと雑煮がメインメニューで、お汁粉はついでの添え物。
だがあるとき、お汁粉が権利意識に目覚めて声を上げた!(浦沢俊雄脚本かよ)
 
汁粉「私たちも雑煮との平等を!雑煮のほうが高い品質の餅を使っているのは許せない。自分らも同じ品質の餅を」
店主はリベラルな人だった。
「なるほどもっともだ。すぐそうしよう」
 
お汁粉 「器も雑煮のほうが豪華で、差を付けられています。同じ器を」
店主「了解した」
 
お汁粉「メニューにも同じ大きさの文字で書いてください」
店主「分かった」
  
お汁粉「というか我々も『雑煮』と呼んでください。『豆甘雑煮』でも可」
店主「えっ?・・・」

「定義」「用語」の問題ね。
どうでもいいが、上の例え小話の他の候補は「カレーを飲み物とするか」「バナナはおやつか」論だった(笑)。
国軍ではなく自衛隊とか、検非違使を「令外官」とするのと似てるかね(笑)

もっと端的なたとえを思いついた。
「人種差別はよくない。だから全ての人種を『白人』と呼ぼうではないか」
「えっ?」
てな感じ。


たしか自分はフランスに関する本だか報道を読んで「シビル・ユニオン」(市民連帯)という制度があることにほとほと感心し、うーむとうなった記憶がある。その時の感動というか、とんちへの感心を今おもえば、ブログに書いておけばよかったな。
2009年の自分のブログに、市民連帯という言葉が登場している。同性婚日本国憲法で認めていない、論も登場している(笑)。ちなみにさっき紹介した論文では合憲説を紹介している。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091106/p4
この骨抜きの仕方・・・つまり同じ機能を果たすものを、別のものとして扱うということ。これは「抜け道」にもなる(今例を思いついたが、アパートの「ゼロゼロ物件」は「賃貸」を「鍵の一時的使用権」とか言ってるよな)。
一方、別種のものを別種としつつ、処遇においては平等になるという効果を表しているものもある。シビルユニオンに感心したのはそういうところだった。

【追記2014】
それが実際に
差別の解消にならない、という
結果があるそうだが
http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20140611/p1
制度として平等で、実態上は差別があるなら
そりゃ実態のほうを変えていくことが重要じゃろうな。
 
それは「分離すれど平等だ」からダメだという論には、自分は上の「汁粉を雑煮と平等にするには『豆甘雑煮』と改称しなければならないか」「人種平等の手段は全ての人種を『白人』と呼ぶことか」という疑問を提示したとおり。

ただ、上リンクには

結婚以外の別制度を新たに作りたいのなら、フランスのPACS的なものを作って、「異性カップルも同性カップルも、結婚とPACSのどちらでも好きな方を利用できる」という風にすればいい

という提案がある。これに自分は賛成で、要はそれは後述する「スケルトンな制度」のことを言っているのだと思う。

(2)「結婚」=遺産相続と配偶者控除…その他もろもろ…「だけ」かどうか?

引用した上の論文では、「結婚」の法的・社会的ニーズとしてこれらを列挙している。

 ●配偶者相続権(一)●税制・社会保障における優遇(二)●病気療養時などにおける権利・利益(三)●夫婦財産制(四)●パートナーシップ解消時の法的保護(五)●不法行為や犯罪による死亡時の損害賠償請求権など(六)●刑事法上の権利・利益(七)●性同一性障害特例法の非婚要件(八)●外国人パートナーの在留資格帰化(九)●子を育てる権利(十)●その他家族法上の権利義務(十一)●住宅の確保(一)●勤務先からの手当支給,休暇取得など(二)●生命保険金の受取人指定など(三)●銀行取引など(四)●その他身近なサービス(五)

こういう権利・サービスが「夫婦」に認められるのはずっこい、不平等だ・・・というのは納得がいくのだが・・・ではその不平等を解消するとして、拡大する対象は「同性カップル」だけでいいんでしょうか?
 
さあ、自分的には問題はそこダ。
この前twitterをしながら考えがまとまったのだけど、むしろ、上記の権利を持つ人を「任意に決められる」仕組みがあれば、それでいいのではないですかね。
自分の、ある方へのツイート(元は今読めない)。

「これらに第一優先権を持つ人を当事者が任意に決める」仕組みが必要だなあ、という話はむしろ同性婚だけに限定すべきで無いような。(例えば同性愛関係なく親友を、とか、息子より姪に、てな人もいる筈)QT @dokkoi_show 危篤のとき手術同意書サイン・連絡来る・死後は財産の相続

パッと思いつくのは、いずれも法的な保護を受けていないこれらの関係。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120503/p5
フィクションと言われるか?ならばッ、ホイ。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080410#p3
 
そして、ホイ。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110730/p7
上の話は宗教的背景があるからさらに問題だが、日本にだってこんな事例がある。
http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=12s12120120531

「これでいいのだ! 赤塚不二夫と2人の妻」
 漫画家・赤塚不二夫には、彼を献身的に支えた二人の妻がいた…(略)赤塚は二人を「もとにょう」(元の女房)と「いまにょう」(今の女房)と呼んだ。二人の女性は親友のように付き合い、赤塚を支えた。“3人夫婦”とも呼ばれた心の通い合い。その不思議で切ない愛の物語…(略)

これは日本の現行法制度が制限したからこうなっただけで、もし上記のような優先権の保持者を「複数」決められるなら、さらに円満かつ自然な形で、もとにょう・いまにょうは平等でありえたのではないでしょうか????
 
また預言者ムハンマド(彼の魂に平安あれ!)と聖なるコーランを通じ、アッラーはこう示しておられる。
http://www2.dokidoki.ne.jp/racket/koran_frame.html

「あなた方がもし孤児に対し、公平にしてやれるならば、あなた方がよいと思う2人、3人または4人の女を娶れ。 だが公平してやれそうにもないならば、只1人だけ(娶るか)、またはあなた方の右手が所有する者(奴隷の女)で我慢しておきなさい」(第4章 第3節)

現在の法律で公的に保護されるパートナーが1人だけというのは、むろんコーランの権威と法的正統性に真っ向から世俗国家が対峙、否定しているということである。とある欧州世俗国家の政党党首は「コーランは『我が闘争』のようなものだ」とまで発言した。


まあこれらは極端かもしれないが、さらにいえば、夫婦が互いに与えている権利と同等、または準じた権利を、自分が任意に選んだ特定のパートナーに与えたい、任せたい・・・というのは、何も愛、性愛を伴わないでもいーんじゃないかいな。死後の財産分与にしろ、緊急時の手術の同意にしろ、それは所謂「夫婦・恋人」「同性カップル」としてではなくても、信頼できる他人(親友)や、おじ、おば、めい、おい などに任せたいって人は、それなりにいるだろう。あるいは「妻はいるけど、財産は別の人に・・・」とか「手術の同意権は別の人に・・・」って人もいるだろう。「妻」を「子ども」にしても成り立つ。金遣いや宗教なんかが絡んだらなおさらだ。
しかし今のところ、どんな金遣いが荒くても、へんな宗教に凝り固まって手術や輸血を拒否されそうでも、特殊な事例が無い限りは妻や息子にこういうのの優先権がある。
 
「人々の自由や権利の拡大」を遠くの目標と置くなら、これらも「抑圧・束縛」と捉えるべきだし、無視もできなかろう。話が大きくなったな。

ナチュリブカナダ‏@Natulive_Canada
2005年に同性婚憲法で認めたカナダでは、婚姻を「他を交えず2人のみの法的な結びつき」と民事婚法で定義し、性別すら問題にしていません☆

人間の営みは多様すぎ、行政は全部のメニューに対応できない。ならば逆に骨子だけを・・・

なんで話が大きくなるかというと、結局はこの小見出しに尽きる。

http://yasaka.nobody.jp/zakki/comic/dogesen/index.html

何気に空道とか使いそうな店主。
うちはメニューにあるだけと断る。
しかし食い下がる田代

さすがに自分も、この議論の流れで「どげせん」が出てくるとは思わなかったが(笑)、カレーライスとラーメンでライス無し、とかそれ以上に人間の営みは多様で、上のように赤塚不二夫と2人の女房もいれば、オーストラリアのような事例もある。行政についてけというのもね・・・

ならば、上のような法的・社会的サービスを相互に受けさせる対象、を選ぶというスケルトン、服や肉を除いた骸骨部分を公(行政)は認定したほうが、それも広い範囲に・・・したほうがいいんじゃないか、これのほうが使い勝手がよく、しかも手の届く部分が広い。つまり結婚というカテゴリーに新しく同性カップルを加えるなら、逆にそういうスケルトンな関係に従来の「結婚」のほうを入れさせる(笑)。

では、エジプトでイタリア人の夫と結婚した作者の体験談があるが、ローマカソリックのお膝元である同国でも、外国でやるとなると大使館に行って、そこのやる気も無い行政官僚に「なんやかにゃ」と確認され、書類にサインしておしまい・・・、らしい。
カソリックのお膝元だからこそ、分離的な形をとるのかもしれない。

日本だって、結局結婚とは究極的に、なんぞや?となれば、それは婚姻届の役所への提出にほかならないわけだしな。
アンケートをとってみるか・・・

結婚制度についてのアンケート
上の小見出し(2)に示されたような、現行の夫婦間で相互に持っている権利や権限を、夫婦以外に拡大することに賛成ですか? はい いいえ 分からない
上で「はいの方にお尋ねします。
同性カップルへの拡大に賛成ですか? はい いいえ 分からない
近親カップルへの拡大に賛成ですか? はい いいえ 分からない
1人が複数のパートナーに同じ権利を与える拡大に賛成ですか? はい いいえ 分からない
複数が複数のパートナーに同じ権利を与える拡大に賛成ですか? はい いいえ 分からない
既婚者が、任意にこの優先権を夫・妻以外の人に与える拡大に賛成ですか? はい いいえ 分からない
(性愛を伴わない)ただの友人・知人への拡大に賛成ですか? はい いいえ 分からない
上の項目にある関係を『結婚』と呼称しますか? はい いいえ 分からない
上の項目のような権利拡大のためには、日本国憲法第24条の改正が必要だと思いますか? はい いいえ 分からない


最後の2つの項目はどうか知らないが、残りは全部、リベラルな人なら「はい」と答えるべきもの。「はい」が足りない人はリベラルじゃないんだよっ。(そうか?)

「結婚」は非「公」が保障すればいいのでは。てゆうか、今でも・・・

最初にこの記事を新聞で読んだときに、これこぞ本質論をうがっている!と思って大いに興奮した記憶がある。朝日新聞が紹介したインドネシアの事例。
http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY201201230067.html

■法律知らず「未婚」夫婦 インドネシア アジアのイスラム(5)
 
 
西ジャワ州チアンジュール県。国民の9割近くがイスラム教徒のインドネシアでも、特にイスラム的価値観が強い地域とされる。

 狭い部屋で車座になったスカーフ姿の女性16人が、真剣な表情で耳を傾けていた。講師役は、主婦の地位向上を掲げる女性団体「母子家庭エンパワーメント(通称ペッカ)」で県支部長を務めるアディ・ヤヤットさんだ。

 「結婚とは何か。ただ夫と一緒に住み、家庭を築くことではありません。妻の権利を得るために、必ず国へ登録しましょう

 婚姻法の仕組みや、家庭内暴力から身を守る法律についての説明が終わると、女性たちから質問が出た。

 「結婚は私的なことなのに、なぜ国家に報告しなければいけないのか」

 丁寧に応じた後、ヤヤットさんはため息をついた。「結婚と法律を結びつけられる女性が、まだ少ない。本人は結婚したつもりでも、婚姻届を出さなければいわゆる『事実婚』で法律上は未婚なのです」

 インドネシアで語られる「結婚」には、様々な形態がある。土着信仰に基づく独特の手続きや儀式をする地域固有の慣習婚や、期間を定めた契約結婚などもあるが、いずれも婚姻法上は違法。唯一合法なのは民事婚で、婚姻法に基づき、宗教省が管轄する各地の宗教事務所で登録する。統計はないが、ヤヤットさんは「多い地域では『夫婦』の半分以上が事実婚ではないか」とみる

 政府は婚姻登録を義務化しているが、浸透を難しくしているのが、伝統的に一般的だったイスラムの宗教婚だ。「結婚は公になされた契約による」とするイスラム法に基づき、2人以上の証人やイスラム指導者による立ち会いのもとで契約締結を行う。「国への届け出」はなく、イスラム法的には合法でも、法制度上、イスラム国家ではないインドネシアでは違法となる

 ペッカの法律顧問、ドウィ・インダ・ウィルジュンさんによると「高いバス代を払って宗教事務所で登録するより、近所のモスク(イスラム礼拝所)で知り合いの指導者に頼む方がいいわ、というわけです」。

 婚姻法ができたのは1974年。「結婚は各宗教の教えに基づく」と規定したことでイスラム的な影響が残った。イスラム団体などは「宗教婚のみの婚姻を違法とすべきではない」と主張し、婚姻法違反の罰金(約8500円)などにも反対している。

 国宗教省のナサルディン・ウマル次官は「婚姻法に基づかない結婚は違法だ」としたうえで、「婚姻法は非常に微妙で、万人が受け入れるには時間がかかる」と話し、法制度上の位置づけの難しさを認めた。

■婚姻登録せず離婚でトラブル

 イスラムの宗教婚だけで「結婚」したカップルが、婚姻法がらみでよくもめるのが、「夫」に愛人ができた場合だ。「妻」が離婚や財産分与を求めても、法律上は「別の女性との事実婚」に過ぎない。そもそも結婚していないので、離婚や相続問題を扱う宗教裁判所も許可できない。

 だが、救済法はある。婚姻法が徹底されるまでの移行措置として認められている「イスバト・ニカ(結婚承認)」と呼ばれる方法だ。特別な事情がある場合(後略)

みよ、この国家によりかからない堂々とした態度!!!リバタリアン以上にリバタリアンリバタリアンムスリム。(※むしろイスラム共同体に寄りかかっているからコミュニタリアンかもしれないが、語感がかっこいいのでリバのほうでひとつ。)
 
君がいる、僕がいる、愛がある。あとは何もいるものか。
よく故筑紫哲也が「日本人は、お上(わざとこの言葉を使う)に頼り過ぎている」というが、実にお上に頼らないこのインドネシアの在り方を、故筑紫氏はどう見ただろう。

http://members.jcom.home.ne.jp/diereichsflotte/18CsAH/KOFUKUGEKIJO.html
老人有り、哺を含み腹を鼓うち、壌を撃ちて歌ひて曰はく、
「日出でて作し 日入りて息ふ 井を鑿ちて飲み 田を耕して食らふ 帝力何ぞ我に有らんや」と。


別の事例。

https://twitter.com/grossherzigkeit/status/577673696942252032
OGAWA Kandai
‏@grossherzigkeit
「すべての人を受け入れたい」式のことを言って、日本では法的に認められていない同性間の結婚につき、式を挙げているお寺のお話。 http://m.huffpost.com/jp/entry/6331246?utm_hp_ref=tw … 何かモヤモヤするなあ。同性愛が云々の話ではない。「宗教施設と結婚の承認」という問題に関してね。
 
OGAWA Kandai @grossherzigkeit · 3月17日
いったい「結婚」とは何なのか。その2人が何によって「夫婦関係」として認証されれば、「結婚」の成立とされるのか。歴史的にさかのぼれば、それは宗教的権威にその認証権限があるとされてきた。しかし、それは宗教が人権や社会のありようを規定できる権限の源とも化していた。
https://twitter.com/grossherzigkeit/status/577671060671201280


 
OGAWA Kandai @grossherzigkeit · 3月17日
フランスの有名な政教分離概念「ライシテ」の成立過程において、結婚の認証権限を教会から民法に移すという戦い、交渉は、かなり重要なウェイトを占める。ビスマルクが行ったプロイセンの諸改革の中の一つにも、結婚は教会ではなく法が認めるものとした、というものがある。
https://twitter.com/grossherzigkeit/status/577671848869015552

 
OGAWA Kandai @grossherzigkeit · 3月17日
つまり「結婚は法によって裏打ちされるもので、宗教権威の出てくるものではない」という考え方は、政教分離の基本の一つであり、さらに進んで言えば、近代社会を近代的たらしめている要素の一つとでさえあるかもしれないのだ。宗教の婚礼儀式は、今日では悪いが「刺身のツマ」みたいなものなんですよ。
https://twitter.com/grossherzigkeit/status/577672760438091776
 



OGAWA Kandai @grossherzigkeit · 3月17日
前傾記事に出てくる、同性愛者の結婚式を行ってる寺がそこまで考えてるとも思わないが、これは事実上同性婚支援という形で、「結婚の認証権限」を宗教が法から取り返そうとしている、政教分離的価値観への挑戦のごとく、何か当方には感じられるところがあった。うがちすぎと分かった上でね。
https://twitter.com/grossherzigkeit/status/577673696942252032



日本だって負けちゃあいねぇ。
http://www.niji.or.jp/home/dingo/rakugo2/kogotokoubei.html

豆腐屋  おれとカカアの馴れ初めなんざぁなぁ、こん畜生、仲人があって一緒になったんじゃねぇ、自慢じゃねぇがくっつきあいだ!!おめぇじゃなくちゃいけねぇ、お前じゃなくちゃいけないと、好いて好かれて、好かれて好いて一緒ンなった仲でぇ。おれがな、寒い雪の日に帰ってくるってぇとな、おれの手をギュッと握って言うんだぞ、カカアが
幸兵衛 何を言うんだよ
豆腐屋 「手の冷たい人は心が燃えてる」
幸兵衛 何をくだらねぇことを言ってやがんだ、この野郎!!
豆腐屋 一つしかねぇものは半分づつ、半分しかねえものは四半分づつ、四半分しかねぇものは四半半分づつ食うってぇ仲だ。無いものは食わねぇ
幸兵衛 当たり前じゃねぇか!
豆腐屋 枝豆のみっつ粒じゃぁいつも喧嘩するなかなんだ (後略)

ただ・・・うん、インドネシアの事例にあるように、国がおでまさないと、離婚なり相続なりの際、国家の暴力装置を背景とした強制力のにらみを利かせた上で権利を主張することができない。それがほしいというのは実に納得がいく。それは同性パートナーでも、「二人の妻」のいる漫画家でも、オーストラリアの「親子夫婦」でも同じだろう。だからこそ、上の権利はいわゆる<婚姻><結婚>とは別のスケルトンな制度として運用し、いわゆる”結婚””夫婦”とやらはそれぞれの宗教組織でも「おめぇじゃなくちゃいけねぇ、お前じゃなくちゃいけないと、好いて好かれて、好かれて好いて一緒ンなった」てな思いでも、勝手に担保すればよろしい。けっ
 
それでもやっぱり国・行政・政府に「結婚」を認めてほしい・・・という人は、アレですね。すごい「国家主義者」ですね。「愛国者」ですね。その燃えるような愛国心は、尊敬に値する。そりゃあヤソの神様や天竺の仏様より、日本だったら大元帥・・・はもうないか、象徴たる天皇陛下にこそ認めてもらいたいという気持ちは分かります。いっそ日の丸の旗に対して「私たちは夫婦になります」と誓うというのがいいのかもしれんね。
アメリカのような伝統も歴史も無い(※現在、政体としては同国が最古の国家です)国は星条旗に誓うのでしょうか。独立宣言書に誓うのでしょうか。
まあちょっと皮肉な書き方になってしまいましたが、最初に紹介した論文でも

個人的ニーズ
(2.3)
純粋に「結婚したい」という実益を伴わない感情の保障

があると書いてある。でもこれ、やっぱり「公の」ということなのかな。

最後に具体的提案。保坂展人世田谷区長よ、国・都に先駆けて「同性婚ごっこ)」を区で認証せよ!!

【※記事の日時に注目!!この主張は、渋谷区などなどが<実際に>こういう政策を実施する数年前に書いたものです。当時の世田谷区議に提案しても、非常に反応が鈍かったぐらいで。】

上の話からつながります。
まず、「3年B組金八先生」から。
腐ったみかん・・・は第二シーズンですね。そうじゃない、ファーストシーズンの目玉は「14歳の母」でした。でも、14歳で結婚できるか?できない。暴力装置を背景にした日本国が、法律を駆使して二人の愛を引き裂いているのですね。
しかし、リバタリアンどもが集まった3年B組は、祖国に公然と叛旗を翻す。後世に「キンパチ・イレギュラーズ(不正規隊)」と呼ばれる軍団である。

かれらの「国への反乱」とは?
http://homepage1.nifty.com/quinella/kinpachi/part1/0123.htm

3年B組金八先生 第1シリーズ(8) [DVD]

3年B組金八先生 第1シリーズ(8) [DVD]

  • 発売日: 2002/04/26
  • メディア: DVD
第1シリーズ 23話 「さよなら金八先生
B組の生徒たちが自ら企画した「お別れ会」の日がやって来た。浅井雪乃(杉田かおる)も歩を連れて学校へ向かう。買い出しや会場の準備は全て手作りで着々と進み、金八(武田鉄矢)には完成してから見てもらいたいと九十九弥市(大堀英樹)が付きっきりで釘づけにする。やがて用意が整い、生徒たちは入場曲を演奏して先生方を迎える。

お別れ会に先立ち、まず阿部トシエ(土屋かおり)の誕生日を祝う生徒たち。これでクラスの全員が満15歳を迎えたというのだ。続いて都立の二次募集に合格した中尾友行(米村知晃)が前に呼ばれ、全員の進路決定を喜び合う。

次に宮沢保(鶴見辰吾)と浅井雪乃(杉田かおる)が呼ばれる。結婚式を行おうという提案に二人は戸惑うが、君塚校長(赤木春恵)の「真面目に結婚式ごっこをやるのなら、私も大真面目に立会人ごっこをやりましょう」の一声でとり行われることに。感激した保は「正式に結婚できる日が着たら、みんなにまた結婚式をやってもらいたい」と言う

「大真面目な結婚式ごっこ」。
これを世田谷区でもやったら?という話です。同性のカップルに、区役所に届出をしてもらう。んで、区のほうは大真面目にそれを登録して、なんか証明書みたいなのを渡す。もちろん、まったくそれに効力はなくていい。
ああ、だけど区の権限でやれているような補助金や割引に関するようなものは認めざるを得ないかな。まあそれをやっても予算規模では、大したことはあるまい。むしろそれの不正な利用を防ぐには、登録をしてもらったほうがいいのか。


そうすると・・・リベラルっぽい。マスコミがとびつく。効果は、以上
だからここは保坂氏を名指ししましたが、ウケる話題性、効果という点では、橋下徹大阪市長がやってもおかしくない気がする。そして「国がやらないから、これ以上の実際的な権利の拡大はできないんです!」と維新に乗り出したりと・・・
これもほんとはシミュレーション小説仕立てで考えていたんだがね。


なぜこういうのを想像したかのひとつが、同性愛問題の本場アメリカ的な「州と連邦の、(首長の)イデオロギー的対立を通じた制度競争」を日本風にアレンジしたもの。今の日本では石原慎太郎橋下徹的な保守的自治体と政府の軋轢は目にするが、太田県政時代の沖縄を除いては左派的色彩を帯びた自治体―政府闘争をあんまりみないのでね。そこで「世田谷解放区」に期待したいと(笑)。ひところ「イシハラドクトリンによる世田谷への都の軍事介入」というネタがはやったことがあったな。


あとは「行政が結婚を認める」が象徴的な意味が大きいということを、世田谷区で同性カップルに対してほとんど効力の無い「登録ごっこ」があればわかりやすいかな、と。


フリードマン的な発想だが、政府以上に権威がある非政府の「結婚・離婚認定団体」が存在し、みんながそちらの権威を認めれば、「国・政府・憲法同性結婚を認めるか」なんてのはどうでもいい話になってくる。そういう解決の仕方が・・・あ、それが「国と教会の闘争」か(笑)神前結婚式ってあるけど、神社って結婚や離婚を認める宗教的権限があるのだろうか。いつも心にトマス・モア。



さて、疲れてきたし言いたいこともいちおう言い尽くしたので、これにておひらき。

2013年5月12日追記

2013年5月12日、たまたま同性婚関連の拙ツイートをリツイートしてくださった世田谷区議さんとこんなやりとりをしました

https://twitter.com/KamikawaAya
gryphonjapan (MMA) ‏@gryphonjapan 43分
同性婚関連のツイート(※大屋雄裕教授とのやりとりツイートです)RT頂き、有難うございました。さて、世田谷区議さんと聞き…実は同性婚絡みで、世田谷区と関係しこういう過去記事を書いた事があります。http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120512/p4 … 全体的な意見は違うかもしれませんが、後半部の話。(続く) @KamikawaAya
 
上川あや 世田谷区議会議員 ‏@KamikawaAya 23分
@gryphonjapan 大いに賛同します^0^v ご提案のように出来たらいいなーと私も考えてきました☆ 区の窓口で知らぬうちにリジェクトは嫌なので「区に届を出すなら知らせてね〜!」とは何度もw 沈黙ではニーズと思われない。訴えなきゃ変わらない。「必要とする人」の行動が大切。
  
gryphonjapan (MMA) ‏@gryphonjapan 19分
もし一般質問とかで出たら、保坂区長はどう答えますかね(笑)。あと「区」独自で夫婦に対して何かの補助その他がある場合、区長権限で拡大できるものってあるだろうか。象徴的にすぎないものでも。 @KamikawaAya
 
上川あや 世田谷区議会議員 ‏@KamikawaAya 2分
@gryphonjapan 戸籍事務は「法定受託事務」ですので区単体では変えがたい(っていうか、ほぼムリですね)。あとは「自治事務」の中で何ができるか?ですが、同性カップルの尊厳の回復の必要性に行政側の理解が深まれば工夫の余地はいろいろあるのでは?と考えています。ただ…
 
上川あや 世田谷区議会議員 ‏@KamikawaAya 1分
@gryphonjapan 「もしこういうことになったら、区としてどうしますか?」という架空の設問というのは訴えるものとして非常に弱いですね。架空の設問には架空でしか答えない。現実的に日々、切実さが伝えられてくる市民ニーズの種は非常に多いわけで…真剣み、切実さ、リアリティも大切…
 
上川あや 世田谷区議会議員 ‏@KamikawaAya 40秒
@gryphonjapan 人を動かすのは結局、「人」そのものーなのだと思います。状況的に厳しい問題ではあるのですが、やっぱりアツく訴える人が出てこないと。。。目の前に真剣に、そして誠実に訴える人が出てきたら、多くの職員は当然真剣にとらえ「何ができるか」を考え始めると思います。

上川区議のプロフィール
https://twitter.com/KamikawaAya

上川あや 世田谷区議会議員
@KamikawaAya
世田谷区で議員をしています。03年春「性同一性障害」を公表のうえ、統一地方選に挑戦し初当選。以来、無所属で3期連続当選。「ちいさな声、社会にとどけ!」を合言葉に性の問題に限らず、多様な社会的少数者の環境改善に取り組んでいます。拙著に岩波新書『変えてゆく勇気〜「性同一性障害」の私から』等。
東京都世田谷区 · ah-yeah.com

2015年追記

渋谷区、同性パートナーに証明書 全国初の条例案提出へ - 47NEWS(よんななニュース) http://www.47news.jp/CN/201502/CN2015021101001379.html


渋谷区、同性パートナーに証明書 全国初の条例案提出へ

 東京都渋谷区は11日までに、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例案を3月区議会に提出することを決めた。区によると、自治体が同性同士をパートナーとして証明する制度は全国で例がない。性的少数者(LGBT)の権利を保障する動きは世界的に広がっており、家族制度をめぐる論議が高まりそうだ。

 可決されれば4月1日施行、証明書は2015年度内の開始を目指す。

 同性カップルがアパート入居や病院での面会を断られるケースが問題になっていることを踏まえ、区は区民や事業者に、証明書を持つ同性カップルを夫婦と同等に扱うよう協力を求める方針だ。

追記2 東浩紀憲法

http://genron.blogos.com/d/%bf%b7%c6%fc%cb%dc%b9%f1%b7%fb%cb%a1%a5%b2%a5%f3%a5%ed%a5%f3%c1%f0%b0%c6%c1%b4%ca%b8
第二四条
基礎自治体は、住民の生存、生活、出産養育の支援および教育の実施など、地域共同体の運営と維持に関する事項について条例を制定し、その事務を行う。ただし、法律で国に授権された事項についてはそのかぎりではない。

引用もとがちょっと今削除されているのだが、この理由について東氏は

現24条を削った理由「婚姻という極めて私的な関係を、国民および住民から国家へ与える制約である憲法に記述することが適切でないと考えた」 

と語っていたのだという。