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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

創作者が「もう自分は(肉体的に)この物語を最後まで描ききれない」と感じた時、どう決断するのだろうね…

高橋陽一が漫画としてのキャプテン翼を終える理由

natalie.mu
……『キャプテン翼』の連載を始めてから2024年で43年目になります。ここ数年、この先の物語をいったいどこまで描けるのか、ずっと考えていました。そして今回、最後まで連載にこだわり体力の限界まで“漫画”を描き続けるよりも、連載をやめ『キャプテン翼』の最終回までの“物語”を残す決断をしました。
今、頭の中には『キャプテン翼』の一応の目安の最終回までの構想があります。現在、『キャプテン翼マガジン』で連載中のオリンピック編『ライジングサン』の、その先のシリーズまで含めてです。ですが計算すると、この構想をすべて漫画化するにはこの先40年以上かかってしまうかもしれません。それを実現させるのは現実的ではないと感じた一方、たとえばネーム(漫画制作の元となる絵コンテのようなもの)などの形で“物語”を残す…

キャプテン翼」については全くいい読者じゃなくてさぁ。「ファンロードではなんでこんなに人気があるのかねぇ?」と首をひねるとか、そういう話だった。



ただ「創作物(創作世界)と創作者の関係…そして、その世界は別の誰かに継承され得るのか?」ということについては、人一倍考察してきた、とは思う。
どうも、以前からこの話がなぜかずっと気になっていたのだ。
ルーカスがスターウォーズの権利をディズニーに売ったころから、それを文章にするようになってきた。

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いま、こうやって並べたところで気づいたが、これはすべてひとつながり、ひとかたまりの話なのだ、俺の中では。


そんな中でも天命、寿命によって物語が完結させられずに終わる、というのはなんとも言えないものがある。
突然、死など全く想像もつかない青年、壮年が急死することもあるし、客観的には大往生、やりきったご年齢で旅立たれることもある。一話完結の物語と、大河ドラマの違いもあろう。


その上で「ネームとか、そういう形なら、もっと手間と体力がいる漫画を自分で描くより物語を進めることができるかもしれない」と、そう決断した高橋先生の胸中はいかばかりか。
偶然、親友と徹底的に相互の作品の今後の展開をディスカッションしていたことで、結果的に誰も予測し得ない急逝だったにも関わらず、最終回までのストーリーがこの世に残るという奇跡が現出した「ベルセルク」も。

ベルセルクの展開は、こういう経緯を経て「細部まで」親友に遺された


ぶっちゃけ、こういう形でいいから、最後までの展開を残しておいてほしいなあ…と思う人がいるよね!!頑張って、のこしてくれない?てんにょ。
おそろしい子!!


・・・・・・・いや、それ以上にあれだ、年齢はぐっと若くなるけど、さっさと陰陽トーナメントの展開だけ誰かに残しとけ、もう本人は民事訴訟に備えた準備だけしてろ、ってのもいるな。
「今現在 『喧嘩稼業』の今後の連載予定は 決まっていない」

この調子で列挙してるときりがないよな!!!きりは無いけど、さしさわりのほうは有るよな(笑)!!




だから列挙はやめて、最後にこの人のことだけ書こう。

ぼくは、病気です。
 言葉を書く、物語を書かずにはいられないという病気です。
 毎日物語を書いて、飽きません。
 無人島でも書く、地球で最後の人間になっても書きます。これは、ほんとうのことです。賢治もそうだったんだと思います。
 西行の物語を書いていて、わかったことがあります。
 西行というのは、日本人が桜を愛でる時の、その愛で方の基本的な感性のようなものを、意図せずに、この世に造ってしまった人ですね。平安時代という巨大な桜が、花吹雪となって散ってゆくのを見とどけるために、天がこの地上につかわした人物が西行であると思っています。

 西行──

  ねがはくは花の下もとにて春死なむ
  そのきさらぎの望月もちづきのころ

 という歌を詠んでいます。
 そして、この歌の通りに亡くなった方ですね。

 その西行のことを物語に書きました。
 十年かかりましたが、そのラスト近くで、西行が、
「もう、自分は歌を作らなくていい」
 と決めるんですね。
 でも、作らぬと決めても現象に出会う────つまり、打たれると西行は響いてしまうんですね。
 響けば、その響きがそのまま歌になっている。
 それが西行です。
 そうなってくると、歌を作る、作らないと自分で決めることが、どれほどおろかなことかわかるわけですね。
 心が響けば、そこに歌ができてしまうのですから。
 それを書きとめるか書きとめないか、それはもうどちらでもいいんですね。
 西行は、そのことに気づく。
 ぼくが、無人島でも書くというのは、そのくらいの意味です。

 作品は、音楽であれ何であれ、人に向けられて発信されるものですが、最後の最後では、それは、自分に向けられたものなんですね。
 それが違うというのなら、神でもいいんです。
 作品は、神への供物です。
 そうでないのなら、それはもう、風や水のように、自然じねんのものとして、宇宙にただようものですね。
 そういうものでいいんですね。
 ぼくの場合は、物語です。


yomitai.jp

そう、こう書いたのは、夢枕獏だ。
この人はいま、自分の体調という点ではこういう問題を抱えている。

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 今月23日、北海道内の空港に降り立った姿は、数年前とは別人のように痩せていた…(略)
 2020年11月、人間ドックで胸に異常が見つかった。

 翌21年3月の診断で、告げられた病名は「悪性リンパ腫」。約6カ月にわたって抗がん剤治療が続き、体重は10キロ以上減った。それでも治療のおかげで、10月には医師から病状が治まったことを意味する「寛解」と言ってもらえた。

 ところが、その後もせきが止まらない。精密検査を受けると、今度は心不全と診断された。抗がん剤治療の副作用だった。

 医師から告げられた悪性リンパ腫の5年生存率は50%。そして、この心不全の5年生存率も50%だった。

 「両方とも5割って一体どうなっているんでしょう。もう来年のことは考えないようになりました」


と同時に、公言し続けている。
「自分が頭の中に持っているアイデアは膨大すぎて、すでに一生かかっても書ききれないことは確定している」
「そもそも物語を終わらせたくはない。なぜ物語には終わりがなければならない?誰が決めた?」
「尻切れトンボ、いいではありませぬか」

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・物語は長いほうがいいに決まっている。そういう信念がある。
・どうして、そういう(自分が好きな)物語にはラストがあるのか。本を読んでいて、残りページが少なくなっていくのが悲しくて悲しくてしかたなかった。物語に終わってほしくない。
・永遠に書き続けられて、永遠に終わらない物語・・・これが物語の王道であると思う。

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おれは怖くなった。
いくらでも広がっていきそうになる風呂敷を、なんと、このおれは、押さえながら書いているのであった。(略)ようするに、思いつきの垂れ流しになってしまうのではないか。

【註:そうしたら、ある編集者が】
「かまうことはありません。大風呂敷、結構ではありませんか。いくらでもがんがん広げてしまえばいいではありませんか」
どん。
「しかし、そうなるとプロとして結末の責任をどうとってゆけばいいのか、非常にむずかしくなってしまうのではありませんか」

(略)
「これこれという作品をごらんなさい。だれそれさんのあれはどうですか。それに、あの作品があるではありませんか。それらはみな、どれも、伝奇小説としては傑作と呼ばれているものです。しかし、どの作品も例外なく結末が書かれていないのです」


やはりこの先生にも、実際に小説を描いてもらうより、その後の展開についてのメモとか聞き書きを作成してもらって…とか一瞬思ったんだけどね!!
この記事を書くために、資料を検索してたら!!昨年2022年に!!

夢枕 僕はまだハードSFに未練があって、死ぬまでにそれをどうしても書き上げたいんですよ。
  
北方 山の小説も釣りの小説も書いた。獏ちゃんなら書けるでしょう。
  
夢枕 いや、『三体』というすごいSFが登場しちゃってね。あれを読んだら、書く以上はこれを超えなきゃだめだと思ってハードルが余計に上がりました。今やっている連載を全部終えるのにあと10年、SFの世界で勝負するためにさらに10年欲しいですね。
  
北方 俺が書いている『チンギス紀』はあと2年くらいで完結で、続きを書いたらフビライの蒙古襲来になる。どこまで行くか分からないけど。
  
books.bunshun.jp


北方謙三とともに、今後の壮大な構想を語っているという、とんでもないオチに。フリーレン並みの長命種かお前ら。