ルーカスフィルムがディズニー傘下に。売却益の大半はチャリティにあてる意向
[ムビコレNEWS] ディズニーがルーカスフィルムを40億5000万ドルで買収、『スター・ウォーズ』シリーズの新作を2015年に全世界公開すると発表した。『エピソード7』にあたる新作では、スティーヴン・スピルバーグがプロデューサーを、キャスリーン・ケネディが製作総指揮をつとめ、ルーカスはクリエイティブ・コンサルタントとして製作に携わり、第一線からは退くという。監督やキャストなどはまだ発表されていない。・
ディズニーは『エピソード7』を2015年に公開後は、2〜3年間隔で同シリーズの次なるエピソードを撮影していくという。また、『スター・ウォーズ』シリーズ、『インディ・ジョーンズ』シリーズなどの権利も取得し、今後リメイクや続編製作にも前向きのようだ。
正直、さみしいですよね。
それは個人的な話になるけどさ・・・・理屈抜きに面白い、子供時代の体験だった。
近代的な悪の帝国に、地の利や伝統技法を生かしたゲリラ部隊(イウォーク)の活躍で勝利する場面とか、剣豪小説張りの「禅的名人による若者への秘伝伝授」(このへんは日本講談→クロサワ映画など→ルーカスという流れあり)、さらには理屈抜きで、空中バイクでのカーチェイスを画面で見せられ、おもわずひゃっと首をすくめる感覚・・・
そして何より何よりまず、SF・・・にはとどまらないです、大河ロマンというか・・・
チョイ役的なエキストラがみんな怪獣、宇宙人で、しかもジャバの下で音楽を奏でるエイリアン、酒場の賞金稼ぎ・・・そういうひとつひとつに設定があり、経歴があるってのにまず驚いたな。そしてスターウォーズは、「最初の作品は、実はエピソード4なんだって」「えーっ!」てなもんだったよ。
もちのろん、大いなる宇宙史、架空世界史なんかを最初に設定し、登場した作品はあくまでその一部に過ぎない・・・というのは多数例があることはオトナになるにつれ知ったけど、とにかくあの時代の子供にはその壮大さに目がくらんだものだった。
そんなスターウォーズが・・・思うに、キャラクターとして生きるためには、やはり寂しいし、そもそも「ディズニー」を会社として自分はあまり評価してないけど、そこに売るというのは最良の選択だったんだと思う。
権利として生きる、博物館にフィルムとして保管される、あるいは30年か50年ごとに、古い映画マニアが研究書を発表する・・・そういうことでなく、キャラクターとして常に愛され、生き残るというのは本当に難しく、ひとにぎりのエリートのみに許されたことだ。
ジョージ・ルーカスという個性は経済的にも文化的にもすばらしい成功を収めたが・・・自身も年をとり、「スターウォーズサーガ」をどうつむいでいくかを考えていく時期だったのだと思う。
かつての文学作品、シャーロック・ホームズや三銃士のように、ひろく皆が楽しめるパブリック・ドメイン化することもひとつの生き残り策だけど、ディズニー的なガチガチの権利保持によって常におもちゃやゲーム、遊園地のアトラクションになっていけば、おそらく米国での権利独占期間が終わるまで、それは生きながらえていくでしょう。
それは「円谷プロ」のそれと見比べて・・・
偶然、最近になって
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この中に「円谷プロの封印作品、タイの会社と作った『ウルトラ六兄弟vs怪獣軍団』」について調査したレポートがある。このブログでも何度か書いた、ハヌマーンの登場するアレ。そしてタイの会社とは「うちは海外のウルトラマンの仕事を全部譲り受けた」「契約書自体が偽造」というすごい争いをしたことなどが書かれているが・・・
その中で、円谷プロの三代目社長、円谷皐の采配の失敗が描かれている。彼はウルトラマンの権利をがっちりにぎりキャラクタービジネスを回す才能はあったが、新しい作品を生み出す力が無かった・・・それはいい。
だが、それ以上にウルトラマンを私物化し(円谷プロの筆頭株主なのだから、その範囲でどうしようと仕方ないが)、私的な裏金ほしさにタイと不透明な取引をしたのではないか?という疑惑を本書は提起している。タイとの裁判、別に根拠があるわけじゃないが、三代目を知る人は「あいつならやりかねないよ!」と口をそろえたとか・・・
ルーカスフィルムと円谷では規模がまるで違うが(キャラクターでは負けないと思うが!)、そんな興亡を見るとき、ルーカスフィルムがスターウォーズやインディ・ジョーンズを末永く伝えようとするとき、下手に独立独歩でいくことはむしろ障害なのではなかろうか・・・
そんな、仮説を出しておきたい。