ミッキーの話( https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2024/01/07/083843 )のついでに、この話を論じておこう。
ゴジラは、まさにことし「古希」を迎える。
ja.wikipedia.org
ゴジラ(Godzilla)は、日本の東宝が1954年に公開した特撮怪獣映画『ゴジラ』に始まる一連のシリーズ作品および、それらの作品に登場する架空の怪獣の名称である。これら一連のシリーズ作品(ゴジラ映画作品の一覧参照)のことを「ゴジラ映画」と呼ぶこともある。本項ではシリーズ作品全般についての解説を行う。個々の作品の詳細は後述のリストを参照のこと。
70年、といえば。
著作者の死後70年を経過するまでが原則
著作権法は、著作者の権利を定め著作物を保護する一方で、一定期間を経過した後は権利を消滅させ、著作物を社会全体の共有物と位置づけ(このことを「パブリック・ドメイン」といいます)、誰でも自由に利用することができるようにしています。
日本では、著作権の原則的保護期間は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後70年を経過するまでと定められています。
また、無名・変名の著作物、団体名義の著作物、映画の著作物の保護期間は、下の表のように定められています。著作権の保護期間(第51条~第54条)
実名(周知の変名を含む)の著作物 死後70年
無名・変名の著作物 公表後70年
(死後70年以内に公表されなければ、創作後70年)
団体名義の著作物 公表後70年
(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)
映画の著作物 公表後70年
(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)
ん??
そういう、公開後70年のゴジラの著作権は、誰に帰すのか?実は、とある紛争があり、そこで「東宝の主張」「それへの異議」が明らかになったことがあった…
おお、元ネタは今は無き「BLOGOS」掲載記事だから今は閲覧不可能、引用していた俺のブログに掲載部分しか読むことができない!!!……なんとも因縁だなあ。
(※だが後日、記事が「ライブドアニュース」に転載され、そちらは2024年でも読むことができると判明。しかも、そのニュースには独自の情報訂正があった。この件については、この記事内で後述している)
過去記事から再引用しよう。この過去記事の全体像については、理由があって、あとで述べる。
なお、この記事の執筆者が、ミッキー記事で紹介した安藤健二氏である。
「ゴジラは誰の物か」泥沼裁判に 本多監督の遺族、東宝を訴える #BLOGOS http://blogos.com/outline/25808/
http://blogos.com/article/25808/?p=3
◆東宝の主張(2010年5月14日付け書面による)
1.映画「ゴジラ」の撮影用台本は、故本多氏及び村田武雄氏が共同で著作されたものとされているが、この台本完成以前に、香山滋氏が著作した検討用台本が存在している。
2.ゴジラのキャラクターは、もともと製作者である(東宝のプロデューサー)田中友幸氏が発案したもの。香山脚本は、香山氏が田中氏の発案創意に基づき創作したものであり、ゴジラ・キャラクターの基本的な特徴は、香山脚本に表現されている。
3.ゴジラのキャラクターは映画化にあたり、製作者の田中友幸氏のイメージ及びアイデアに基づき造形され、同氏の監修の下で製作された。
4.当社は、ゴジラのキャラクターの著作者である田中氏及び香山氏から、その著作権を承継取得している。田中氏は1997年4月に亡くなるまでに製作された「ゴジラ」映画シリーズ22作品全ての製作を担当。当社は、田中氏から「当社がゴジラのキャラクターの著作権を持つ」という旨を確認している。
5.故本多氏は、「ゴジラ」映画シリーズ28作品のうち、8作品の監督を務め、そのうち2作品の共同脚本家ではあることは認める。しかし、「ゴジラ」映画シリーズの製作については、故本多氏が監督していない作品も含めて、故本多氏が異議を述べたことはなかった。初代「ゴジラ」映画の公開から50年以上経過した今になって、故本多氏がゴジラのキャラクターの著作権を有するという主張には、当社は大変驚いている
◆本多フィルムの主張(2010年4月23日付け書面による)
1.「ゴジラ」の原作者としては香山滋氏がクレジットされているが、本多監督は「ゴジラ」の脚本を作るにあたって、ゴジラの誕生の理由に関する描写や、ゴジラが姿を現すシーンの描写など、ゴジラのキャラクター設定につき重要な箇所において、原作に大幅な改編を加えている。2.本多監督は、映画著作物である「ゴジラ」の監督として、同映画の登場キャラクターであるゴジラの挙動や、映像的表現を創作しており、映像面におけるゴジラを創作したのは紛れもなく本多監督である。
3.本多監督は、監督兼脚本家として「ゴジラ」に登場するゴジラの経歴・性格付けといった内面的なキャラクター設定を決定し、具体的に表現している。よって本多監督こそが(キャラクターとしての)ゴジラの著作者である。
4.さらに本多監督はゴジラの形状についても全面的に関与し、最終的なデザイン決定をしている。1954年の5月から7月にかけて、「ゴジラ」というネーミング決定と平行して、ゴジラの皮膚の質感、背びれの形、首や足の長さや太さ等のあらゆる外形的側面についても監督として最終的なデザインを決定した。この間、ゴジラの外見が数回にわたり大きく変化したことは、本多監督の意向を反映したものであることが、当社の調査で明らかになっている。
5.したがって、本多監督の著作権を相続した相続人らは、当然に「ゴジラ」のリメイク許諾権や、「ゴジラ」のキャラクター利用権を有する。
【補足】
ただしこの記事が「ライブドアニュース」に転載された後、元記事が、掲載元の「blogos」ごと終了し、その転載記事のほうが最終的に残ったため、後日、このように重大な追加訂正がライブドアニュースの方でなされることになった。
news.livedoor.com
↓(※2012年3月30日訂正:上記の記述ですが、追加取材の結果、以下のように訂正いたします。)
これまで初代「ゴジラ」の映像に関しては、「本多監督が著作者」と東宝側は認めており、DVD化やテレビ放映などの際には、遺族に脚本使用料と監督追加報酬が支払われてきた。ただし、東宝側は本多監督が関わった部分を含む「ゴジラ」の全著作権が「自社に譲渡された」と主張している。
これの「著作権の承継取得」がわからん。
「A社」が1950年に製作したキャラクターなら発表後●●年だが、A社が「Bさんから著作権を承継取得」すると、Bさんの没50年になるのだろうか?だとしたら、田中さん長生きしたからなぁ……
ゴジラのキャラクターの著作者である田中氏及び香山氏から、その著作権を承継取得している。田中氏は1997年4月に亡くなるまでに製作された「ゴジラ」映画シリーズ22作品全ての製作を担当。当社は、田中氏から「当社がゴジラのキャラクターの著作権を持つ」という旨を確認している。
ただ『提訴直前の今年10月、本多フィルムは「ゴジラのキャラクターに関する著作権」の主張は撤回している』ので、司法的な結論がでなかった。
和解については…
www.huffingtonpost.jp
日本が誇る怪獣映画『ゴジラ』の著作権をめぐる裁判が和解していたことが、11月26日までにわかった。デビュー作である映画『ゴジラ』(1954年)の監督を務めた故・本多猪四郎氏の遺族が、2011年以降、映画会社の「東宝」など4社に対して損害賠償請求をしていた。
(略)
遺族側は「ゴジラの映像や着ぐるみのデザインには本多監督が関与しており、遺族に無断で東宝がキャラクター利用をすることは不当」と主張。東宝は「ゴジラのキャラクターは、プロデューサーの田中友幸氏が発案し、東宝が著作権を継承している」として、真っ向から対立していた。問題となったパチンコ台のCMのみならず、ゴジラというキャラクターの著作権が誰に帰属するかをめぐって泥沼の裁判……裁判の長期化が予想されていたが、今年(※2013年)6月21日に突然の和解に至った。肝心の和解条項については、東宝側から「営業秘密の保護のための閲覧制限」の申し立てがなされていて、内容を確認できなかった。
東宝の法務部の担当者はハフィントンポストの取材に対し、「守秘義務があるので和解したという内容以上のことは答えられない」と回答。本多隆司氏も「裁判内容に関しては答えられない」と話しており、どんな和解をしたのかは判明していない。
と、いうことなのよ。この主張が裁判で認められたんじゃなく、和解が成立したの。だから、はっきりしっかり司法の場でゴジラの権利が確定したわけじゃないの。
だから著作権終了時期も、確定したとは言い難いの。もちろん「キャラクター」と「作品」の終了時期の違いの問題もある。今回のミッキーマウスでも「蒸気船ウィリーのミッキーマウスの権利は消滅したが、その後手袋をはめたりしたバージョンのミッキーマウスの権利は別物でまだ続いている」、という主張や記述がみられる。
2024年1月1日(月)よりディズニーの人気キャラクター「ミッキーマウス」と「ミニーマウス」の著作権が切れ、パブリックドメインになる。
ただし、注意すべき点として今回権利が終了するのは『蒸気船ウィリー』や『プレーン・クレイジー』といった1928年に公開された短編映画に登場するミッキーマウスのみ。現在の手袋を着用し、色が付いたミッキーマウスの著作権は継続されるので注意が必要だ。
news.yahoo.co.jp
するとゴジラも初代ゴジラとキンゴジとモスゴジとシンゴジは別々に権利あるのーーー??? そもそも手袋はめたらミッキーは別物、という考え方も本当にそれでいいのか納得しがたいし。
ということで、『ゴジラの著作権は田中友幸にあったが、今はその権利を東宝が持っている(「譲った」の???)』という、あくまでも東宝の主張はそもそも正しいのか。それが正しいか間違ってるかで、著作権終了期間はどう変わるのか。このへんも、福井健策氏になんなら聞いてみたいし、少なくとも「ニュース」として、このゴジラ誕生七〇年の節目に「話題」にしてほしいと思う。いまや安藤健二氏は、フリーではなく天下のハフィントンポストの偉いさんだし。…とおもったら、いつのまにかバズフィードの中のひとだったよ!!!
https://twitter.com/ando_kenji
そして!!話は「ウルトラマン」にも繋がる!!!
実はこのブログの元記事って、2016年。その年に誕生50年を迎えたウルトラマンの話がメインで、そこからゴジラについても連想を広げたものだったのだ。
m-dojo.hatenadiary.com
ウルトラマンの権利はいつまで続くのか!!!これも「権利は個人か、会社か」によって違うし、さらにゆーとまだ著作権満了期間が「50年」らしい中国(いい判断です)では、すでにウルトラマンがフリーになっている、とも聞く。それに円谷プロが異議を唱えてなければ、有力な証拠になるわけで……いや、異議は唱えて、裁判を起こしてるか。ただし、この時期の中国での裁判は「著作権が初公開時期から数えて終了しているか」を争う話と別に、例の「チャイヨー」絡みの別の争点もあり…
中国の著作権法下では初代ウルトラマンの著作権保護期間は終了している
ストーリー by hylom 2018年03月19日 20時33分いっぽう日本は保護期間を延ばした 部門より
あるAnonymous Coward曰く、
ライターで東京国際アニメフェア実行委員でもある高橋信之氏よると、中国などでは映像著作物に関する著作権保護期間が「公表から50年間」であるため、特撮ドラマ「ウルトラマン」(初代)の著作権保護期間は2017年末で終了しているそうだ(日本貿易振興機構による中国の著作権法解説)。そのため、中国では合法的にウルトラマン(初代)のリメイクや関連作品を作ることができる状況だという(氏のFacebookへの投稿)。現在中国内では独自にウルトラマンやその派生シリーズを作る動きが出ている(過去記事)。これに対しウルトラマンの権利を持つ円谷プロダクションなどは訴訟を起こしているが(読売新聞)、これによって円谷プロなどの主張が認められるかどうかは微妙なところのようだ。
こっちはそのチャイヨー関連の訴訟らしい
nlab.itmedia.co.jp
これもまとめて、取材と記事化をしてほしい!!