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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ここに”歴史”がある~多くの疑問に答えてくれた『ウェブ小説30年史 』(飯田一史)

文芸市場の「半分」を占めるまでに成長した、ウェブ小説の歴史。

多くの人がウェブ小説に漠然とした印象を持ってはいる。しかしその歴史を扱った書物はほとんどない。2022年現在、世間的には、ウェブ小説といって真っ先に思い浮かぶものは「なろう系」「異世界転生」というイメージだろう。実際にはウェブ小説は、1990年代には「分岐する物語」「集団創作」志向を持ち、「自費出版」「ケータイ小説」などのかたちでも展開、小説家になろうや他の思想の異なる「ウェブ小説投稿サイト」の隆盛といった数多の試みと多様化を経て現在に至る。本書は「ウェブ小説の書籍化の歴史」を主に扱う。今や日本の文芸市場の「半分」を占めるまでに成長したウェブ小説の歴史を、ネットビジネス史と出版産業史的な視点から紐解く。

以下、本書目次より抜粋

はじめに

第1章 1990年代ウェブ小説の書籍化
 ―分岐・集団創作・マルチメディアの夢

第2章 2000年代前半のウェブ小説書籍化
 ―自費出版掲示板文化・ガラケーサイト

第3章 2000年代後半
 ―第二次ケータイ小説ブーム

第4章 2000年代年代後半
 ―アルファポリス、エブリスタ、小説家になろう

補章 2000年代までの隣国のウェブ小説動向

第5章 2010年
 ―初の異世界転生書籍化と「ウェブから書籍へ」の流行の波及

第6章 2011年
 ―「新人賞からウェブ投稿へ」という投稿先変化の萌芽

第7章 2012年
 ―なろう系文庫レーベルと複数のテキスト系サービスの出現

第8章 2013年(1)
 ―MFブックス、ビリギャル、櫻子を当てたKADOKAWA

第9章 2013年(2)
 ―多様化する女性向けウェブ小説と出版社系サイト/電子小説誌の苦戦

第10章 2014‐2015年
 ―なろう系がラノベになり、ライト文芸にウェブ発が合流する

第11章 2016‐2018年(1)
 ―なろうダイジェスト版禁止、成年向けと児童への広がり

第12章 2016‐2018年(2)
 ―SFと純文学におけるウェブ小説書籍化の明暗

第13章 2019‐2022年
 ―日本式の「ウェブ小説書籍化」は終わらない

まず、基本のコンセプトが面白いし、応援したくなるものだ。
「ウェブ小説」は、いろいろなところから芽が出て、育って、大きな果実も花も付けて、そして太い幹となり、巨大な森を造成した。
…だが、その「歴史」は、誰もまとめるものがおらず……、どこの誰も手を付けなかった。つまり、「通史」がそもそも描かれていなかった。
だから、それに挑戦し、記録に残そうとした。

これだけで、その志がいかに素晴らしいことかと、称賛するしかない。
【記録する者たち】の面目躍如だ。

上にコピペしたようにAmazonには各章のタイトルが転載されていて、それだけでも興味を引くが、
さらに各章に付された小見出しだけで実に興味深いし、これを読んでみたくなるのではないか。画像で紹介しよう

ウェブ小説30年史


実際に読んでみたが、実に面白かった!
ただ、どんなふうに面白かったかが、多すぎてちょっと書ききれないので後にする(笑)…※いずれそのうち。

だが、そこからちょっと自慢したいことがあって。
自分がこの「ウェブ小説」に持っていた疑問や謎が、この本では数多く「回答」を示してくれた。だから俺的にはすごい高評価なんだけど、逆に言うと、俺の「疑問」って、結構的を射た、芯を食った問いだったんじゃなかろうか、と自画自賛するのですよ。


実際、おいらが今まで発したウェブ小説、ウェブ小説投稿サービスへの「問い」を共有していただくと、この本をこれから読もうかという方にも一種の「補助線」となると思うのだ。あらためておさらいしておく。

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ドラえもんパロ「ネット黎明期の王さまに」(25年前に行ってネットビジネスを独占)

・いったいどうやって、ウェブ小説は始まったの?
・いま勝ち残っているウェブ小説投稿サイトは、何が優れていたの?
・そういうウェブ小説に一種の「傾向」が生まれがちなのはなぜ?
・同じような動きは世界各国にあったんじゃないの?諸外国のウェブ小説はどうなってるの?

こういった疑問に、「30年史」は、かゆい所に手が届くように答えてくれている……。と同時に、上のリンク集では、当方の疑問に対してブクマやコメント欄などなどで、いろいろなご教示が寄せられ、自分なりの「仮説」的な答えを構築できたりもしていた。
その「仮説」と、この本による「答え合わせ」が、ほうほう、なるほど……といった感じで、自分的には大変スリリングだったのでした。



それぞれの内容に関する記事を、あとで改めていろいろ書きたいと思うけど、まず最初にこういう本が面白かったという報告と、そのテーマに関する拙ブログの関連記事紹介という形で。



ちなみにネット小説史研究では、このへんのまとめも欠かせない
kazenotori.hatenablog.com

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【創作系譜論】【記録する者たち】※これらは準タグです。この言葉でブログ内を検索すると関連記事が読めます。