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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「異世界もの」流行の根本は「設定、世界観、コンセプトは激似・同一でもヨシ!」との”雰囲気”を構築できたからでは【仮説】

【創作系譜論】

まずマクラ的に「異世界・転生もの漫画は、たとえば韓国でも普通に作られてる」という話

例に挙がっているのは、「現実世界にもう一度転生」的なものだけど、それ以前にまずピッコマ作品はそもそもオリジナルがどの国の作品で、どの国向けに作られてるのか、一見一読ではわからない…という話でもある(意図的に分からなくしてる面もあるとか…)。

リンク集的に(翻訳機能でだいたい読めます)。そちらの説では「韓国での異世界もの流行は2000年代であり、日本よりブームは早かった」との由
https://namu.wiki/w/%EC%9D%B4%EC%84%B8%EA%B3%84%EB%AC%BC
https://namu.wiki/w/%ED%95%9C%EA%B5%AD%EC%8B%9D%20%EC%9D%B4%EC%84%B8%EA%B3%84%EB%AC%BC
https://namu.wiki/w/%EC%9D%BC%EB%B3%B8%EC%8B%9D%20%EC%9D%B4%EC%84%B8%EA%B3%84%EB%AC%BC
https://namu.wiki/w/%ED%95%9C%EA%B5%AD%20%ED%93%A8%EC%A0%84%20%ED%8C%90%ED%83%80%EC%A7%80%EC%99%80%20%EC%9D%BC%EB%B3%B8%20%EC%9D%B4%EC%84%B8%EA%B3%84%EB%AC%BC%EC%9D%98%20%EB%B9%84%EA%B5%90

まあ、これは余談でもありマクラでもあるんだが、韓国でもいわゆる「異世界転生」作品がそれなりに流行っている、という話をまず押さえておいて・・・・・・

そして日本でも相変わらず盛況。もはや「この時代の文化運動」といっていい


comic-walker.com


「悪役令嬢もの」とかいうのを聞いた時に、ある種のびっくり感があったはなし。

いま、「悪役令嬢」と文字を打って、はてなに選んでもらった作品です・・・

始めに聞いた時は、すごくびっくりしたもんですよ。
ただ、こうまで一般化してしまうと記憶が上書きされて、何にどうびっくりしたのか記憶が曖昧になっていく…だからここに、こうやって記録しておくんだけど…思いだせ……
思い出した!!
まず何より、どうびっくりしたかというと


「悪役令嬢」ってのは、読んでる側が俯瞰した状況、神の視点から「ああこいつはおなじみの”悪役令嬢”って役どころだよね」と思うものであって、作中の人物が一人称として「ああ、わたくしは悪役令嬢でござんすわいでございますことよ」と思うって、変じゃありませんことかしら、と思ったんでございますわよ。こっちまで語尾がめちゃくちゃになった。


・ただ、マンガ喫茶やブック〇フを活用して、たぶん有名どころ(おいてあるんだから有名だとおもう)の作品を数点読み、「あーなるほどね、完全に理解した」となった。つまり、多くは「自分たちが読んだりやったりしているゲーム・小説世界の中に転生している(考えてみればぶっとんだ発想の飛躍ですよホンマ…)。だから、自分の境遇や周辺の人物を『どこかで聞いたような…』となれば、そこから一気に『ああ!ここはあのゲーム(小説etc)の世界で、自分は”悪役令嬢”の役どころだ』と理解するのだ」、と。少なくとも自分が読んだ作品はそーだった。


・なぜ、こういう設定が重宝されているのか?ここからは自分の仮説…。


・こういう作品は、主人公が、本来なら直面するであろう困難・危機を回避して、成功していくところが読みどころである。


・その際に、上のようなゲーム内への転生という前提条件があるなら『〇〇という困難があると、事前に知っていたから』という理由付けができる。そりゃ事前に危機が迫りくるって知ってりゃ、回避するわな。渋川剛気以外は。

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バキ 渋川剛気 真の護身は、危機前に回避するサインが出る


・元をたどればディケンズの「クリスマス・キャロル」とかであろうか。強欲な金貸しが、それによって不幸になる人生を見せられたあとにループして、今度は慈悲深い善良な人としてふるまうことで幸せになる。

クリスマス・キャロル (新潮文庫)

クリスマス・キャロル (新潮文庫)


・元はともかく、「その後の展開をあらかじめ知っていたので、危険や難問をぶじ突破できた」は、まず「書くのが楽」だと思う。相手の陰謀や迫りくる社会の危機を見抜いて対処するのは、徒手空拳からそれをするのは「これがこうなって、ああなると予想したので…」みたいなことを論理的に説明する必要があり、その推理に至った経緯も語らねばならない。これ、アマチュアの投稿者がやるにはいささか荷が重い。それが「転生前に一連の経緯や今後を知っていて、その知識を基にした」だと、少なくとも設定的には十分に説明がつく。これは書く側にとっては「ラク」なのだろう。


・同時に、読む側にとってもそれが「リアリティ」を感じるのだと思う。実は突飛な設定に見えて……これは「アーサー宮廷のヤンキー」以来だと思うけど、『主人公が超人的な知性や能力を持っていたので、異世界や過去で大活躍できた』より『主人公は(みんなが知っているような)現在の…彼らにとっては未来の知識を持っていたので、それを活用したら大活躍できた』、というほうが”リアルな肌触り”を持てるのだと思う。
このへんの感覚、なんとなくわかるでしょ。
脚気は、びたみんびーわんというものの不足じゃ。米ぬか食うべし」といって脚気を直して尊敬される、とか、「これは小麦粉と牛乳と卵を練って薄く焼いて果物やクリームを挟む『クレープ』ですよ…え、今までに例のない美味?王宮でこれを作れと??」のほうが、自分に引き付けて実感しやすいのです。「悪役令嬢の私ですが、ここで彼女をいじめると失敗のもとなのでむしろ優しくしてあげたら…仲良くなって大成功!」とか、そういうほうに読者の、別種の”リアリティ”があるのではないか、と。



………以上のことが、自分が自分なりに「悪役令嬢ものがウケる理由」を考察したものです。
はっきり言って客観性はどうでもいい。自分が自分なりに納得いく理由になっていればいいんです。その点で、自分としては満足いく「理由の説明」になりました。
(完)

しかし残る謎「それにしても類似作品が多すぎる!」

・・・・・・・・・じゃない、じゃない!!ここまでは納得できた。だが、「それにしても、この種のジャンル多すぎね??」という謎は残ったままだった。
おれは考えた。
いろいろ考えた。
うんと考えた。

その結果・・・・・・・「俺はパーティを追放されたけど、実は隠れた実力があり、手放したパーティ側が涙目」とか「異世界いったらこっちの料理の味付けが大人気!」なものも含めて、これがそうか!!と自分なりの”発見”をした。(ナントカの再発明かなァ)


「なろう」周辺でそもそも異世界ものに関し「設定・コンセプト自体は、既出作品とかなりギリギリ共通しててもヨシ!!」という”雰囲気”を共有したことが、そのジャンルの隆盛を招いた…のでは?(仮説)

もともと、著作権的な意味において「マネしてはいけない」ものは、極めて小さい範囲にすぎない。

キャラクターも
設定も
世界観も…

真似して、いわゆる著作権やら、不正競争防止やらに引っかかるものは、本当に極めて小さいのだ。たとえば大佛次郎は1973年没の長命者で、著作権は今現在も続いているが、彼が創作するところのキャラクター「鞍馬天狗」を小説に登場させても、それだけで著作権法違反にはならない、と専門家も言っている。
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世界観や、設定や、ましてやアイデアにおいてもだ。

それは黒澤映画vs大河ドラマでも証明されている。

映像表現の利用による翻案権侵害の成否
-NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」事件-
https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/hyou/200609hyou.html


それでも!!
実際上、あまりに似た設定や似たアイデアで書くことには、絶対的に法を超えたかたちで「遠慮、躊躇、忖度」が起きがちである。それを突破して作られることもあるが、たいてい後味の悪さが残る。

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幸せな例外が、コロンボ古畑任三郎の関係…(と言っていいのかなあ。古畑側はともかく、コロンボ関係者は、腹に一物あるかもしれぬ)
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だが!!
「なろう」周辺は!! 自然発生的な何かなのか、ある天才がいたのか知らないが「設定とか世界観とか基本アイデアとか、そのへんはかなり似ててもいいじゃーん。そこをマネするのはありでしょ」という雰囲気が、できたんですよ!!!そしてそれは一種画期的で・・・・
やっぱり従来の商業誌的な感覚だったら
「自分はフィクション内の悪役令嬢に転生してしまった。知っている今後の展開を逆手にとって、幸せなルートを探る」
「自分はパーティを追放されてしまったけど、実は隠れた能力があって追放された先でむしろ大活躍。俺を追放したパーティのほうが機能不全になって、自分を捨てたことを公開している」

レベルで類似すると、いろいろな葛藤があるんだと思うのよ。
しかし、そこを一種、共有する「雰囲気/慣習/伝統」が生まれ、定着した。
結果、玉石混交ではあるのだろうけど、その「ジャンル」はとりあえず商業的には大流行し、隆盛を極め、一種の「文化運動」とも言っていい規模になった(後世の日本文学史では、絶対にこの時代の、このジャンルの隆盛が記述されるんじゃないかなァ)。

いろいろ、示唆に富むと思うのです。


・・・・・・・・・以上、異世界ものやら悪役令嬢ものやらを片手レベル、1、2巻レベルでしか読んでない人間が「自分さえ納得すればいい」レベルでの分析をしてみた次第だ。(結果、自分的には納得できたから成功!!)

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異世界ものがテンプレ過ぎると自虐する漫画

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