マンガに精通する書店員らが「その年一番面白いと思ったマンガ」を選ぶ「マンガ大賞2021」(実行委員会主催)が3月16日に発表され、「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中の「葬送のフリーレン」が大賞に選ばれた。2020年4月の連載開始から1年足らずで栄冠を獲得した。
「葬送のフリーレン」は、山田鐘人さんが原作、アベツカサさんが作画を担当。勇者一行が魔王を倒した後の物語を描く“後日譚”ファンタジー。勇者一行の魔法使いで、エルフゆえに長寿であるフリーレンが仲間の死を経験し、人を知るために旅をする姿を描いている。人気マンガをランキング形式で発表するガイドブック「このマンガがすごい!2021」(宝島社)のオトコ編の2位に選ばれたことも話題になり、3月17日発売のコミックス第4巻で累計発行部数が200万部を突破する。
mantan-web.jp
第一話読めます
shogakukan.tameshiyo.me
というか期間限定無料お試しの一巻あり
感想
たしかに高い評価を受けてしかるべき良作と思うのですが、その背後にあるのはやはり
「エルフや人間たちが魔王を倒し世界を救うべくパーティを組む」という設定が、ひとつの世界観として浸透し定着している、ということではないでしょうか。
そこから派生して「エルフやドワーフは長寿であり、仲間たちの人間が次々老いて死んでいくのをひとり見守っていく…」というコンセプトも、なんか読んだことはいろいろある。
ネット上にある二次創作的な短編だったか、どうか…
そもそも、日本風異世界ファンタジーのパイオニアのひとつであると間違いなく断言できる「ロードス島」において、(最近の続編ではあるが)最初の仲間たちはとっくになくなり、子孫(孫ぐらいの世代だっけ)たちが再び戦乱を起こすロードス島で「永遠の乙女」として、最初の物語に登場するディードリットが登場する話が描かれているからね。
でも、もちろんながら、そんなアイデアが断片的にあったからといって、誰もが「葬送のフリーレン」を描けるかって描けるわけがないのである。ちょっと物悲しくユーモラスで、とにかく新人離れした作品だ。
だけれども、それを支えるのが、本当にタイトルを覚えようがないくらいに、毎月のように量産されていく、有象無象の「異世界もの」世界が作った共通設定・共通のお約束―――そういったものが下支えしているのだと思うのですよ。
それは全盛期のチャンバラ時代劇や西部劇がそうであったように。
こういうのを見ると「白砂糖は、黒砂糖から作るのだ」とか「SFの90%はクズである。そしてすべてのジャンルも、同様に90%がクズである」という言葉を思い出すのです。
「最終防衛線の指揮官」市原編集長の戦略がついに花開く?今後は反転攻勢か?
「いま全然新人がいないんですよ」と嘆いてる雑誌を複数知ってるので、あの時の「少年サンデー」市原編集長の方針の選択は間違っていなかったと自信を持って言えるよ。
— 七月鏡一 (@JULY_MIRROR) 2021年3月20日
有言実行でしたねえ(^_^)
— ゆうき まさみ (@masyuuki) 2021年3月20日
そしてちゃんと実を結んでいるのが素晴らしいです。
— 七月鏡一 (@JULY_MIRROR) 2021年3月20日
僕の改革はもともと8年計画だったんです。僕の8年計画の中でできることっていうのは、強い強い成長軌道に入るための礎を築くこと。数字だけで言えばサンデーは5年前から500パーセントくらい業績が跳ね上がっていて、右肩上がりで順調に復活はしているんです。僕はゲッサン時代を含めて12年間編集長をやっていますけど、業績が悪化したことは1年もないんです。でもそれは僕にとっては当たり前のことで、毎年業績を伸ばすことが僕の最終目的ではない。僕の夢は「サンデーを日本最強のブランドにする」こと。サンデーを本当に強いブランドにすることなんです
(略)
(Q:)5年前に「古見さんはコミュ症です。」のオダトモヒトさん、「魔王城でおやすみ」の熊之股鍵次さんが本誌で読み切りを発表されて、翌年には2作の連載をスタートしていました。それが今ではおふたりともサンデーの看板作家という立ち位置にまで来ていますよね。
それは新人育成の正しいサイクルができたということですね。2016年に彼らは連載をスタートしていますけど、連載が始まったということはその前に長い長い新人時代があるわけで。優秀な新人さんを誠実に探してきて、きちんと担当して育成を開始する。そこから連載に辿り着くまでに最低でも3~5年はかかりますから。すごく早い人もいますけど、平均すると早くて3年。2016年に「古見さん」や「魔王城」が始まって、「魔王城」が映像化されたのが今年ですよね。だから連載開始して4〜5年後、新人さんと出会ってからだと7~10年後くらいに収穫の時期が来る…
「古見さん」が世界的に人気だという話
m-dojo.hatenadiary.com
5年前の所信表明
natalie.mu
自分個人は、今のサンデーでそれほどに読みたいと思う作品はそれほど多くないのだが…自分が好む作品が一般人気を得られるかというと超微妙なので(笑)、市原編集長は気にせず(するはずないけど)どんどん老舗雑誌を復活させてください。