以下はとりとめのない、話になる(いつもだ)。箇条書きで申す。
・タイトルのようなことを考えたのは例によってtogetterまとめを読んで連想したからだ。
togetter.com
日本史の先生
— 吉村英崇@ホットミルク、飲むの助 _(:3 」∠ )_ (@Count_Down_000) January 8, 2022
『えー、今日は令和の話だな。安室、読んでみろ』
安室
『はい!昭和に生まれたガンダム信仰ですが、次第に解釈の違いにより分派し、時には激しく討論が行われました』
『しかし、令和の大疫病の際には多くの信仰者の願いを込められ、会派をこえて多くのガンダム建立が行われました』
いやこういうのって、宇宙人や未来人の視点を借りて、誤解も含めて、今の社会を面白おかしく語るというSFの「型」が以前からあってね…
広瀬正「もの」とか。
二つの隆起と三つの穴を持つ奇妙な出土物をめぐって議論を戦わせる学者たち。タイムマシンで連れてこられた古代人の意外な答えは……。著者のSF処女作であり、星新一に激賞された傑作「もの」をはじめ、「時間」を自由自在に操るタイムマシンの魅力にとりつかれた人々の悲喜劇を多彩な切り口で描いた短編とショートショート24編および付録を収め、シリーズ最終巻を飾る贅沢な作品集。
で、これを敷衍させて考えれば、31世紀当たりの日本史では「この当時、最も広く信仰されていたのは、死後に異世界に生まれ変わるという『異世界信仰』でした」が定説になってるはずですよ。何しろエビデンスには事欠かない。
・あらためて、冬アニメ一覧を。
www.animatetimes.com
ここから、「異世界もの」をカウントしてみろっ! 俺はもう何がなんだかわかんないし、疲れるだけなので放棄する。「多い」ことは数えるまでもねぇ。
・しかし、なぜこんなに作られるんだ!といえば、その理由の一つが「売れるから」である。ただ、補足すべきは「売れるから。それも、海外に」ということである。
海外のアニメ・マンガ業界の人と打ち合わせしたら「我が国ではISEKAIが人気。Slice of Lifeはあんまり」と言われ、「異世界転生系は直訳か。え、スライス…?」と思ったけど日常系のことだった。なるほど!
— 細野修平@少年ジャンプ+編集長 (@HosonoShuhei) September 14, 2020
なろう系やら異世界物のアニメが量産されてるのも海外で人気があるからであってあまり人気のない日常系のアニメがここ数年減少してるのも何ら違和感はないがやはり寂しく思う
— かりがね (@karigane_cha) November 13, 2021
最近のアニメは配信が好調だから、海外に人気のある少年漫画系や異世界系が伸びる一方、アイドル系や日常系が縮小傾向らしい。
— りくごう (@rikugou361) February 19, 2021
ていうか円盤の値段をお布施としか形容しようのない値段設定にしてなければ、少年漫画系や異世界系は以前からもっと利益出せてたのでは🤔と思わないでもない。
* 異世界系アニメは結構海外受けが良い
— 海水瓜 (@Umisuika) November 18, 2021
* 日常系アニメはあまり海外受けが良くない
* しかしメイドラゴンは海外受けがいいらしい
つまり、海外はケモナーが多いな?(偏見)
・以前も書いたな。「異世界ものがこれだけ受けるのは、日本特有の社会病理が…とつい一席ぶちたくなるけど、このジャンルが海外でも人気で他のジャンルのアニメより買い手が付きやすく、ウェブトゥーンなど海外作品も多数(「俺だけレベルアップな件」など)ある以上、そう言えなくて困る」と……。
・しかし、やはりそうはいいつつ、これだけの「異世界もの人気」はとりあえず、平成令和の「現象」として把握される、記録されていく価値がある!!
・いや「文学運動」として位置付けられるのかもしれない!
・しかし一方、時代のあだ花としてなぜか急に消滅し、消滅したことさえも気づかれないこともあるだろう。それは「視聴者参加クイズ番組」が昭和時代に、それこそ異世界アニメに負けないほど作られ、放送されていたが今はついに消滅し、消滅したことが話題にすらならない、という話のように…
・それは「突然、消滅する」かもしれない。たとえば「捕物帳ブーム」が、昭和30年…1955年に、「突然」終わったらしい。
捕物帳ブームは1955年に突如終焉したとの捕物出版さんの指摘。言われてみれば映画、ラジオ、タブロイド紙、倶楽部雑誌、児童読物、中間小説……どれもびっくりするほど全盛期は短く、あっという間に消えていった。燃え殻のようなものが残れば、まだいい方だ。 https://t.co/MjBRwrng6P
— 芦辺 拓 (@ashibetaku) December 19, 2021
土師清二「鏡屋おかく捕物帖」の校正中。初出順に並べた一覧。捕物ブーム最盛期の昭和27~29年の作品が中心なのは他の捕物帖にも共通するが、昭和30年にいきなりブームは終焉する。その理由は?
— 捕物出版 (@swCIQMHJ9jR5jte) December 19, 2021
剣豪小説の週刊新潮の創刊(昭和31年)、推理小説松本清張「点と線」(昭和32年)以前で、それではない。 pic.twitter.com/dA210efCaj
たとえばマンガ界、ライトノベル界で「とつぜん、異世界ものが描かれなくなった」みたいなこともあり得るのだろうか。https://t.co/XRDyGqUjRI
— INVISIBLE DOJO (@mdojo1) 2021年12月20日
ありえますよ。テレビ時代劇と同じで、何だかつまんねぇけど延々と作られてるなぁ……という積み重ねの果てに突然終焉の日がやってくるということが、これまでいろんなジャンルでありました。
— 芦辺 拓 (@ashibetaku) 2021年12月20日
・その一方で、「これらが定着し、”高級”なジャンルになる」世界線もあるのだろうか…
いま隆盛のジャンルも、いずれ……
あと何年かあとには「2010年代、20年代にはなぜか『異世界もの』が流行し…中でも「悪役令嬢」「パーティ追放もの」という特異なジャンルが…今ではまったく見ませんが…」となっているかもしれない。逆にゆるぎない一ジャンルとして、新聞に「ことしの悪役令嬢文学賞/ヤンキーと陰キャラ友情文学賞に●●さん」という記事が載っているかもしれない。未来のジャンルのはやりすたりは、誰にもわからないし、案外こういうのの”復権”を目指す旅の中で、金鉱を掘り当てるかもしれない。
https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2021/10/01/104938
・これから異世界ものを履修したいという人は、その中の、又細かいジャンルに絞って読んだ方がいいかもしれない。そうしないと収拾がつかないのよ。疑う向きはブックウォーカーなどのサブスク活用して「ドラゴンエイジ」と「少年エース」読んでみな?最後はどの作品で何が描かれたか、混合してわかんなくなるって(笑)
・自分は「内政チート」を専門履修しよう、と前も書いたけどそれで。まもなく「天才王子の…」ってやつがはじまる。それはこういう、時代劇歴史劇的なとっかかりがあるからじゃ。
m-dojo.hatenadiary.com
tensaiouji-anime.com
・最後に。森恒二「創世のタイガ」は、石器時代にタイムスリップしたー現代社会の歴史線上の移動だから厳密には異世界じゃないけど、スタイル的にはほぼ同じなのでここで扱うね。
この作品では、普通の原始人のコミュニティに入った主人公のタイガの敵として「ネアンデルタール人を、同様に現代の歴史・技術の知識で無双して支配し、王となったナチス軍人たち(とその息子ら)」が登場する。

「へー、敵側にも同様に現代から来た人がいて、それぞれが現地異世界人の中で地位を築き王・軍師として対峙する。こりゃ面白いコンセプトだね」と、俺の観測範囲では思ったんだが…たぶん、これだけ膨大な異世界ものには山ほど先行アイデアとしてあるんだろうな。
そもそも異世界に来た人間が別陣営に属して、それぞれの中で指導的立場になって対決する、って「ドリフターズ」も「信長のシェフ」も同じだったしね。