最近、そういう話題を連続で見たので、古い話題と合わせて備忘録がわりに。
視聴者参加クイズ
アタック25が本日を以て最終回を迎えた事で
— こば@ジェミニのサガっ子クラブ (@koba200x1) September 26, 2021
昭和テレビ文化で令和の世でもギリギリまで残っていた
「視聴者参加型クイズバラエティ」
というジャンルがテレビ文化から遂に撤去されたという寂しさが本当に凄いね pic.twitter.com/BTGFW1f1ct
たしかに。
今さらそういうのが見たいかといえば別に見たくない話ではあるが、じゃあ昭和の時代はなぜに揺るがぬ一ジャンルだったのか。クイズ番組そのものに限界があるのか、「回答者にもお馴染みの芸能人や笑いを取れる芸人を置けば、2倍面白くなる」というメソッドが標準になったからなのか……
視聴者参加クイズの名残は、「ちびまるこちゃん」や「こち亀」に残るのだろうか。
【#こち亀】50巻490話『クイズDEお金もちの巻』 文無しになった両さんはクイズ番組での賞金を狙う。東大卒の北条を連れ、中川の知人のクイズチャンプの元で特訓。0.25秒以内で押さなければ電流が流れるイントロクイズ等で訓練を積む。 pic.twitter.com/8PldMmXJED
— 赤松 (@akmk2) January 13, 2016
QMAで一時期かなり正解率低かった「こち亀」に出てくるクイズ番組「ダウンアップクイズ」の話結構面白かったw pic.twitter.com/BaCm7wiXzs
— 馬場ばば男 (@puyorinu_qma) 2016年5月16日
ボクシング、プロレス、総合格闘技
逆に、ジョー以前の頃は週に何回か普通に各局でボクシング中継をやってて、ウルフ金串の亜細亜拳の大高会長はTBSで番組があった極東ジムの小高会長みたいに、モデルもはっきりしてたのよ。今となっては関連性言われないけれど。そんなボクシング中継乱立時代も考えると面白いかも。
— イエデビ【黄色い悪魔】 (@yelldevi) September 20, 2021
「沢村忠に真空を飛ばせた男」にも、その高度成長期の「毎週ゴールデンでボクシング中継がレギュラーだった時代」が描かれていて、えーそんな時代があったの?と思いました。テレビ番組で或る時期に集中的に、或るジャンルが人気だったことって、本当にすぐ忘れ去られる気がする。
— INVISIBLE DOJO (@mdojo1) 2021年9月20日
こんな記事も。キックを含めて勢力争いあったのは、梶原劇画も彷彿させますね。https://t.co/7e4rNzaCpt
— イエデビ【黄色い悪魔】 (@yelldevi) 2021年9月20日
大高会長や!(笑
— タケダ1967 (@takeda1967) 2021年9月20日
いやー、当時の海千山千の雰囲気がわかってとても面白いです。食うか食われるか。堅気感ないなあ。
自分の生まれるはるか前、1960年代ぐらい…テレビが始まってまだ間がないころは「毎週ボクシング中継が地上波(そのころBSと区別する「地上波」なんて言葉もある訳ないが)のゴールデンで流れていた」のだそうだ。
「有名選手の世界戦が組まれた時は、特番で放送されること『も』ある」がデフォルトだった時代しかしらず、まったく想像がつかないが……ただ、テレビ創成期はテレビの技術的な許容度も低く、その中では6メートル四方のリングにカメラを向けておけば番組が成立するボクシングは、野球やサッカーより放送しやすいスポーツ・コンテンツだったそうだ(もちろん、アングルなども今より単純だった)。これは50年代のアメリカンプロレスが隆盛だった時代に通じる話でもある。そうそう、まさにプロレスも「毎週、複数の番組がゴールデンで中継されていた」ことを今では想像しにくいコンテンツだな。
この「以前はボクシングが毎週のレギュラー番組だった時代」は、キックボクシング登場の前史として、この本でも詳しく描かれている。
そこから、言わずもがなだけど総合格闘技(MMA)じゃ。2003年大晦日に3番組が放送されたとか、大晦日で紅白を視聴率で上回った民放番組とか、爪痕がまだ残っているから「かつては総合格闘技が人気番組でした」の記憶をまだ喚起できるけど、忘れられるよねー。
で、その一方でアレなのは、「だけどプロレスは2団体から100団体に増えた。総合格闘技はジムが日本中にでき、世界最高峰の舞台(UFC)の最も売れっ子は、スポーツ長者番付で世界屈指の選手になっている。なのに衰退かい?」という問いもできるということ。ほかの、「滅びた」ジャンルもそういうふうに視点を変えれば衰退って何のことですか、なのかもしれないね。ボクシングだって、チャンピオンの数とクオリティ的に「日本のボクシングはまさに黄金期」というひともいる。
時代劇・西部劇
時代劇の地上波新番組は、今いくつぐらい残っているかな?「土方のスマホ」を時代劇扱いするのもアレだし。NHKはけっこう「意識的に」時代劇を残しておこうとするんだが、それを報じる番組紹介とかで「時代劇の灯を消すな!とかかかれると「意識的に『無くすな!』と思うこと自体が衰退の証拠だよなあ」と思ったり。
西部劇については,過去のこのまとめなー。
togetter.com
衰退したというより、「昔はこのコンテンツが天下を取っていた」ことを、遡ってお勉強して学ぶような感覚だな。
上のまとめの中心で語っている芦辺拓氏は「昔の『なろう』的、『俺TUEEE』的コンテンツとして、遊び人の侍とかが活躍する『明朗時代劇』というジャンルがあった」ともよく語っている。
その言葉で検索してみるか。
しかし何ですな、こういう鬱屈した時期に自分が何でしのいでたかというと、ハヤカワ・SF・シリーズですよ、創元推理文庫ですよ、清張以前の探偵小説ですよ、テレビでしょっちゅうやってた吹き替え洋画ですよ、古い明朗時代劇とかですよ。今、猛然とそういう底抜けの娯楽小説が書きたくなっている。
— 芦辺 拓 (@ashibetaku) 2021年8月4日
こないだ作った画像ですけど、こういう感じの明朗時代劇が好きなんですよ。これとポッピンQを混ぜ合わせた感じで。RT @36madcooky_jp: @ashibetaku @bf021hugtlang いやぁ、萬屋錦之助さんが夢枕にたちまして(笑) pic.twitter.com/VWQRtUYhw7
— 芦辺 拓 (@ashibetaku) 2017年8月29日
楽しい映画ベストテンを選べば必ずや入る明朗時代劇ミュージカル、シリアスな方向でも傑作、例えば間諜、とかがあった沢島忠監督。 pic.twitter.com/aF1lxtCLM0
— マッチポイント (@matchpointinc) 2018年1月28日
豪華キャストで贈る、これぞ明朗時代劇!銭では買えない男の意地に、惚れて捨てたは大名稼業! 風来坊と若殿の、明るく楽しい喧嘩旅!『濡れ髪三度笠』9月26日(金)発売! pic.twitter.com/7vQLYYYqKK
— 角川映画DVD (@kadokawa_DVD) 2014年9月11日
うん、最近では作られないねえ
歌番組
このジャンルは、俺のふわっとしたイメージでは「歌番組が衰退→復活させよう!と、けっこう意図的意識的に作り手が努力→なんとか、やや復活した」というイメージがあるけど、違うのかな。
まあ、どっちにしろ…人気の時代も不人気の時代も見ていないのでわからない。
椎名誠など、源氏鶏太など
この前「昭和軽薄体」がラーメン評論家に関連して話題になったらしい(詳細未把握、すまん)が、そこから飛び火して
なんかこの話題で椎名誠のなまえをはじめて知ったひともいるみたいですけど、いや凄かったですよ。
立てば小説座ればエッセイ、歩く姿はドキュメンタリと、なにか所作すればたちまちコンテンツになるいきおいだった。
それが完全に忘却のかなたに追いやられてる現況のほうがむしろ信じられないくらいで。
いやいやテン年代も多数の対談本を出してる!
それに、ドキュメンタリーは基本、氏の体力任せに結構ハードな未踏の地を生かせるのが多いから、年齢との兼ね合いもあり!77歳じゃできなくて当然!
もう後は印税とか、旧作のアンソロジー再編集とかだけで充分に生きていける勝ち組!!!
・・・・・なんだろうけど、それをひっくるめて、ああそういえば露出減ってんなー、と、「言われて気づく」ぐらいには存在感を小さくしているのはまことにもっとも。
どういうのが一番「現役感」を保つことができるんだろうね。そんな現役感を自分で持ちたいと思っているかもわからないが。
そういう、「忘れられた作家」が話題になる時によく名前が出てくる有名作家(矛盾だ……)が「源氏鶏太」で…ほらIMEでも名前登録されてないや…。この前親戚の物置整理を手伝ってたら、これの文庫がどっさり出てきて、なるほど昔は人気だったんだなあと。
小学生の私が最初に読んだ大人の小説は、獅子文六の『箱根山』で、次が橋本忍の『悪の紋章』だった。どちらも子供が読むような小説ではないがw、私が小中学生の頃によく読まれながら、その後、忘れられたような作家は、先の獅子文六から石坂洋次郎、源氏鶏太その他、かなり多い。
— 千坂恭二 :『哲学問答2020・ウィルス塹壕戦』 (@Chisaka_Kyoji) 2013年12月18日
昔の本屋に行くと文庫本のコーナーに山岡荘八とか源氏鶏太の本がドドンと占めてあって「あぁ、俺もおっさんになったらああいうの読むようになるのかな。」とか思っていたが、結局そういうおっさんにはならなかった。源氏鶏太なんか、ほとんど忘れられた作家になりつつあるし。
— Snowkuouks K. (@diveintocloud) 2010年5月27日
この時代のサラリーマン小説、特に源氏鶏太のものを少し探してみようか。多作且つ映像化作品も多いらしいけど、ほとんどが絶版で忘れられた存在になってる。
— H.883 (@h883) 2010年10月16日
源氏鶏太や獅子文六は著作権継承者に金を払ってでも復刊する価値があるとされたわけで幸いにも筑摩書房が出してくれているけれども、まだまだ忘れられた作家はおり、パブリックドメイン化が復刊の強い後押しになったろうに……。
— 灰色の海 (@FloralRaft) 2018年6月29日
源氏鶏太(1985年9月12日没)
— 命日の本棚 (@yahachi3) 2019年9月12日
昭和の国民的サラリーマン作家。1951年『英語屋さん』他で直木賞、『三等重役』は流行語になって映画化もされた。古すぎる、忘れられた大衆作家…などと酷い言われようだったが、最近は少しずつ復刊されている。小説版「サザエさん」のような位置づけ? 安心して読める。 pic.twitter.com/GQyvxHIYGJ
「忘れられたベストセラー作家」(著・小谷野敦/イースト・プレス)読了。名前が残る作家、残らない作家の違いについては、よく考える。源氏鶏太とか森村桂とか、ほんと私が子供の頃、たくさんの人が読んでたのにな。 pic.twitter.com/B8OMzCae2w
— 花房観音・新刊「果ての海」 (@hanabusakannon) 2018年3月23日
小谷野敦『忘れられたベストセラー作家』を読む。すっかり忘れ去られた源氏鶏太の位置づけに興味があって読み始めたのだが、1冊丸ごと近現代文学史になっていて面白い。文学史というやつはなぜか1970年ごろで終わっていることが多いが、最近の事情まで詳しく語っていて興味をそそられる。おすすめ。
— 竹内正浩@『妙な線路大研究 首都圏篇』好評発売中! (@takeuchmasahiro) 2018年3月25日
源氏鶏太さんの作品は沢山読みましたね。あの人はサラリーマンものばかり書いてる作家ですけど、そしたら将来サラリーマンにだけは絶対になりたくないなって痛切に思うようになりましてね。中学の時には朝早く、起きて行かなければならない仕事にはつきたくないって思ってました -塩沢兼人
— 吹替俳優発言集bot (@ateshibot) 2021年9月21日
ん?こんな本が出ているんだ??
文学史に名を刻む、森鴎外、夏目漱石、志賀直哉、芥川龍之介、川端康成、……
しかし、そんな「文豪」よりも遙かに「愛されていた作家」たちがいる!菊池幽芳『己が罪』、『乳姉妹』 / 矢野龍渓『経国美談』、『浮城物語』 / 菊亭香水『惨風悲話 世路日記』 / 東海散士『佳人之奇遇』 / 村上浪六『当世五人男』 / 村井弦斎「道楽」シリーズ / 徳冨蘆花『不如帰』 / 桜井忠温『肉弾 旅順実戦記』 / 半井桃水『胡沙吹く風』 / 渡辺霞亭『渦巻』 / 柳川春葉『生さぬ仲』 / 木下尚江『良人の自白』 / 田口掬汀『伯爵夫人』 / 小杉天外『魔風恋風』 / 小栗風葉『青春』 / 島田清次郎『地上』 / 江馬修『受難者』、『山の民』 / 倉田百三『出家とその弟子』 / 奥野他見男『学士様なら娘をやろうか』 / 白井喬二『富士に立つ影』 / 直木三十五『南国太平記』 / 尾崎士郎『人生劇場』 / 小島政二郎『人妻椿』 / 島木健作『生活の探求』 / 豊田正子『綴方教室』 / 火野葦平「兵隊」三部作 / 小川正子『小島の春』 / 大迫倫子『娘時代』 / 岩田豊雄『海軍』 / 石坂洋次郎『青い山脈』 / 田村泰次郎『肉体の門』 / 富島健夫『おさな妻』 / 原田康子『挽歌』 / 源氏鶏太『三等重役』 / 柴田翔『されどわれらが日々――』 / 森村桂『天国にいちばん近い島』
……など彼らはどうやって人気作家となり、なぜ「忘れられて」しまったのか?
明治から昭和までの人気作家たちの悲哀に迫る、もう一つの文学史。
もともと「読者は虱に似て、死んだものからは離れていく」(山本夏彦)というように、作家の8,9割は、自らが死んだらその人気は保てないのがふつうであるようだ。作者の死亡後もなお読まれている作品は、本当に全体の1、2割であろう…それが名作ということなんだろうな。