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最近の漫画見てると、異世界転生なろう系とか不倫され系とか、男性向け女性向け問わず
「嫌なヤツが私に酷いことをしてきたので、逆転して相手は落ちぶれてざまあしてスカッと」みたいな話ばっかりなんだけど、
「スカッとする為に嫌なヤツが出てくる」の部分がもう無理
気持ちよくなるために一度不快感を…(略)
ちょっと、そういう作品の善悪を巡る判断は置いておいて、そういう作品が多いよなあ、というのはわかる。
ためしにいま、アマゾン商品作品の検索欄で「パーティ 追放」で探すと…
…どうせあふれるほどあるとは思っていたけど、「アンソロジー」まであるとは思わなかったよ(笑)
というか、ここから「自分に合うパーティ追放系作品」ってどうやって探すんだ、これ??
で、これはそもそも「同一傾向のジャンルが、一斉に作られてもいい。『コンセプト』部分は同じであってもかまわない」というふうに、最近なってきたからなんじゃろなあ、と思うのです。
この話は再論で、以前も注目して語ってきた。
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「なろう」周辺でそもそも異世界ものに関し「設定・コンセプト自体は、既出作品とかなりギリギリ共通しててもヨシ!!」という”雰囲気”を共有したことが、そのジャンルの隆盛を招いた…のでは?(仮説)
もともと、著作権的な意味において「マネしてはいけない」ものは、極めて小さい範囲にすぎない。キャラクターも
設定も
世界観も…真似して、いわゆる著作権やら、不正競争防止やらに引っかかるものは、本当に極めて小さいのだ。
(略)
それでも!!
実際上、あまりに似た設定や似たアイデアで書くことには、絶対的に法を超えたかたちで「遠慮、躊躇、忖度」が起きがちである。それを突破して作られることもあるが、たいてい後味の悪さが残る。(略)
だが!!
「なろう」周辺は!! 自然発生的な何かなのか、ある天才がいたのか知らないが「設定とか世界観とか基本アイデアとか、そのへんはかなり似ててもいいじゃーん。そこをマネするのはありでしょ」という雰囲気が、できたんですよ!!!そしてそれは一種画期的で・・・・
やっぱり従来の商業誌的な感覚だったら
「自分はフィクション内の悪役令嬢に転生してしまった。知っている今後の展開を逆手にとって、幸せなルートを探る」
「自分はパーティを追放されてしまったけど、実は隠れた能力があって追放された先でむしろ大活躍。俺を追放したパーティのほうが機能不全になって、自分を捨てたことを公開している」レベルで類似すると、いろいろな葛藤があるんだと思うのよ。
しかし、そこを一種、共有する「雰囲気/慣習/伝統」が生まれ、定着した。
結果、玉石混交ではあるのだろうけど、その「ジャンル」はとりあえず商業的には大流行し、隆盛を極め、一種の「文化運動」とも言っていい規模になった(後世の日本文学史では、絶対にこの時代の、このジャンルの隆盛が記述されるんじゃないかなァ)。いろいろ、示唆に富むと思うのです。
Web小説サイト、軌道に乗らなければ書くのをやめてもいいから、とにかく皆でたくさんのアイディアを出していって、誰か一人でも秀逸なアイディアを出してきたらそれに乗っかって、その上でまたアイディアを出していく、みたいなのが許される環境なので、ブレインストーミングみたいなもんだし、
— mizunotori (@mizunotori) 2021年6月10日もともと二次創作界隈の影響が強いだけあって、テンプレに対するパロディ意識も旺盛だから、いくらプロ作家といえども一人でアイディアを捻り出すだけではたいてい既出のものしか出てこないんですよね。そして商業作品は「失敗してもいい」なんてことはなく一発勝負で決めなきゃいけないからつらい。
— mizunotori (@mizunotori) 2021年6月10日
具体的作品をこうやってひきあいに出して恐縮だが、自分はやはり上の2作「あまりにも『よつばと!』の影響だ……」と思う中に、一種の揶揄や批判的感覚も確かにある。
でも、実際にああいう作品を読めること、そしてよつばと!的作品が1つの”ジャンル”となるという点では、そこに嬉しさを感じている、というのもいつわらざる事実なわけです。皆さんはいかがですか?ということ。
そいえば、この、模倣作が複数出て、その結果「ジャンル」になる……という概念というか言い回しは、自分で思いついたのではない。とり・みき先生がライオンキングとジャングル大帝の関係を見て思いついた「とり・みき『ジャングル大帝』のテーゼ」とでもいうべきもの(そのアイデアを紹介したのは、ゆうきまさみの「はてしない物語」。欄外にちょろっと書いてあった)だ…。
全体的な「アイデア・設定の共有」という点では「ゾンビもの」が考察の絶好の対象となる。
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