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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

南野森氏「電話の集団的抗議は、民主主義社会に危険」~「表現の不自由展」論・後編

分量的に書ききれなかった「表現の不自由展」話つづき。こちらが本題。

本題に至る前の前編はこちら
m-dojo.hatenadiary.com


この記事内で、憲法学者の南野森氏がコメントを寄せている
www.asahi.com

表現の自由をめぐる問題に詳しい南野森(しげる)・九州大教授(憲法学)の話 

……主張に反対する「敵対的聴衆」が押しかけてくるというだけでは、施設の管理上支障が生じるとはいえず、それで表現や集会の自由を制限できるわけではない。電凸(でんとつ)と呼ばれる電話による集団的な抗議などで、気に入らない言論や表現活動を封じ込めようとする行為は、民主主義社会を極めて危険にする。行政のトップが威圧的な妨害活動には屈しないという毅然(きぜん)とした姿勢をとらなければ、そうした行為をする人たちに「成功体験」を与えてしまう。違法でなければどんな抗議も良いかのような吉村洋文大阪府知事の発言は、電凸を許容しているようなメッセージに受け取られるのではと危惧する。東京展のような民間ギャラリーの場合も、電凸などで抗議する人たちに成功体験を与えないために…(後略)

注目、ちゅうもーく。
電凸(でんとつ)と呼ばれる電話による集団的な抗議などで、気に入らない言論や表現活動を封じ込めようとする行為は、民主主義社会を極めて危険にする」

電凸」「電話による集団的な抗議」は「民主主義社会を極めて危険にする」のよ、紳士淑女諸君。
「今回の」話ではない、普遍的な話として。

こういう意見は、たとえばこういう主張と対立する。

このツイートは何に関してかというと、2018年に、いまだに名前を憶え難いあの…ああ「RADWIMPS」のHINOMARU という歌が物議を醸した時の話だ。「廃盤にして、二度と歌わないと表明を」とかなんとか。


togetter.com

というか、「抗議が殺到」したとかの話で言えば、最近のネット界隈をにぎわしたものを、ザーッと記憶をたどってランダムに…
・ろくでなし子講演
百田尚樹講演
竹田恒泰講演
香山リカ講演
会田誠アート
・「人工知能掃除ロボット表紙
ガルパン展示
・宇崎ちゃんポスター
キズナアイNHK登場
・駅の車いす問題
・呉座勇一発言
毎日新聞「万能川柳」
NIKEのCM
岡村隆史発言
あーめんどくせー
togetter.com
とかで。

で、これに関係する議論を2019年に、同じ憲法学者の木村草太氏が語っていた。どっちが学問的業績があるかとか、論文が引用されているかとか、知名度があるかとかは知らぬ。

その重要部分…というか「抗議と表現の自由」に関連した部分を当方が既に論評しているので、そこを再掲載しよう。もう元記事は、普通には読めない。当時注目して保存していた俺のセンスのよさよ。

・さて、今回の目玉はこれ。記号を便宜上ふっておく

A:電話での抗議についてはどうか。今回、多数の抗議電話により、事務局や愛知県の業務はパンク状態にあったという。通常、一人一人が電話で意見を伝えること自体は、脅迫などを伴わない限り、禁止されるべきものではない。
B:しかし、今回、抗議電話をした人たちは、抗議メッセージを伝えることを超え、不特定多数の力によって、展示会を中止させようとする意図があったのではないか。

まず、先に「B」だが……こりゃいわゆる「ゲスパー」論で、「…という意図が有ったのだろう」だったらねえ、たとえば上の100田さんの話でも『抗議メッセージを伝えることを超え、不特定多数の力によって、百田氏の講演会を中止させようとする意図があったのではないか』となりますしねえ。


そして「A」が今回、わざわざ記事を書いて紹介する理由である。こう、非常に重要な見解を述べている。

 ■抗議を拒否できる正当な理由とは

 法律家たちは、個人による意見表明の自由を確保しつつ、展示主催者や行政機関の業務遂行を妨げないようにするにはどうするべきかについて、新たな理論を提示せねばならない。例えば、抗議を受け付ける方法を手紙やメールに限定したり、匿名での抗議を拒否したりしても正当と言えるのはどのような場合なのかを、理論的に整理する必要があろう

そう、つまり、「抗議の電話、ファクス、メールがじゃんじゃか寄せられてくる」ことに関して、それが表現の自由を脅かすかどうか、どうも憲法の専門家の中でも、まだ未整備未議論の状態だ、と木村氏は認めたのだ。
ここが重要。頑張って論じてほしい。そして「憲法学」は、その結果をあなた方の上司である「法哲学に伝えて、法哲学の側もフィードバックしてほしい。

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ということで、木村氏が「新たな理論を提示せねば」「理論的に整理する必要」と慎重だった「抗議」についての問題を、ゴルディアスの結び目宜しく、まとめて「民主主義社会を極めて危険にする」と一刀両断したのが南野森氏。ここ覚えときましょう。

なお
「違法でなければどんな抗議も良いかのような吉村洋文大阪府知事の発言は、電凸を許容しているようなメッセージに受け取られるのではと危惧」というくだりだが、大阪で今回、会場を主催者に貸し出すように命じた(つまり表現の不自由展側に配慮した決定)地裁の判断では、抗議に関して

抗議活動も表現の自由の一環として保障されるべきで、一定の限度で受忍するしかない

としているそうだ。



しかし、実際、「電話などで抗議する行為」が危険……もう一度正確に引用しよう、【電凸(でんとつ)と呼ばれる電話による集団的な抗議などで、気に入らない言論や表現活動を封じ込めようとする行為は、民主主義社会を極めて危険にする。】という命題が真なら、これは以後、いろんなところに反響がいくわいな。

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この問題、自分ももう少し端的に考えたことがある
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厄介な部分は、幸福の科学朝鮮総連が組織的に行うもの…」たとえばこういう例…
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とは別に、「結果的に」驚異的な数の批判、抗議、異議申し立てが殺到したら…である。これについての考察は、以前これらを参考にした。

kensuu.com


上のCDB氏のツイートは、キズナアイに関するものだった。一応ツリー全体を紹介しようと思ったが、なんか途中で枝分かれしてしまって、どこが着地点で上のツイートにつながるのかわかんなくなった。
消すのも惜しいので、一応保存しておこう。

※このへんから、上のツイート(5RTと5万RTは違ってくる)に至るはずだったのに、遡っていたら途中で枝分かれが起きてしまい、なんか違うルートに入ってしまったようです(※twitterのツリー形式は、実はこの問題があるのです)


その他、ちょっと興味深い「表現の不自由展」に関する記事
news.yahoo.co.jp
news.yahoo.co.jp
www.sankei.com


※クリックすればツリー形式になってテキストが読めます

小学館「女性セブン」が「日本製ワクチンを待て!」特集

dマガジンにもあるのかな?あとで一応読んでおくか…読んだ

f:id:gryphon:20210709104952j:plain
女性セブンのワクチン記事

どの雑誌の医学記事がいいかも、慎重に見極める必要がががが

「表現の不自由展」妨害事件について(前編)~あるいは「トリカエナハーレ」との”同時開催”について。

 8日午前9時半ごろ、名古屋市中区栄4丁目の市施設「市民ギャラリー栄」で来場者が避難する騒ぎがあった。ギャラリーでは、6日から国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止された企画展「表現の不自由展・その後」出展作品の展覧会が…(略)捜査関係者によると、この日、ギャラリーの職員が郵便物を警察官立ち会いのもとで開けようとしたところ、爆竹のようなものが破裂した…

まず、関係者にお見舞い申し上げ、警察に犯人の逮捕摘発を強くお願いしたい。最初につけたブクマと同じ

「爆発物を送り付けての実力行使だから、明確にテロだろう。警察の奮起による容疑者特定と摘発を強く願う。」

表現の不自由展会場に爆竹?入り郵便物 破裂し避難騒ぎ:朝日新聞デジタル

爆発物を送り付けての実力行使だから、明確にテロだろう。警察の奮起による容疑者特定と摘発を強く願う。/南野森氏のコメントは「集団的な抗議」についての危険性を語ってて、だいぶ踏み込んでるな。

2021/07/08 12:53
b.hatena.ne.jp

ただ100字なんで盛り込めなかった留保をここで述べておくと、精神状態が正常でない人間の行為の場合はこの限りでは無い。アリゾナ上院議員狙撃事件、厚労省幹部刺殺事件、アンネの日記破損事件など。ただ、それに類する有力情報がない場合は、当然、精神状態が正常な人間の自由意志による行為との前提で話す。
この辺の話も何度か書いてるんだが、ちょっと枝葉の話なので無視してくれていい。一応リンクを

厚生省元幹部・家族連続殺害事件。いつ犯罪を「テロ」と見なすのが正しい態度なのかhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081121#p6
「元厚生省事務次官連続殺人を、当初テロ扱いしたことを反省せよ」と青木理氏(週刊現代http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090112#p6
アリゾナ下院議員銃撃事件、被告に「責任能力無し」…当時の「憎悪を煽ったからだ!」論調の是非は。http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110622/p3
アンネの日記」破損犯、鑑定留置…昼間たかし氏の2月記事は、ジャーナリズム史に残るスクープだった! - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140417/p3
アンネの日記」破損者、心神喪失状態が認定され近く不起訴か(読売、NHK) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140619/p6

なんにせよ、規模や人的被害の大きさとは別に令和の「狼煙を見よ」であり「テロルの決算」である。


さて、本題に入ろうかなと。本題で語るコメントはこっちの記事だった

www.asahi.com

ここで語られる話は、個別にすべてが議論の材料に値する。

…「エル・おおさか」は府が所有している。その指定管理者が6月25日に突然、「安全を確保することは極めて困難」との理由で利用承認を取り消し……脅迫めいたものは確認されていないが、抗議の電話やメールが約70件寄せられ、街宣活動も加わったため……吉村洋文知事は「行政として表現内容に立ち入って評価するつもりはない」としつつ、「安全な施設管理運営が難しい」との理由で利用承認取り消しは「賛成」の立場だ。「違法でない限り、展覧会を不快に思う方々が様々な活動をすることもまた自由だ」と抗議活動に理解を示した。

 名古屋市では7月6~11日、市の施設で同様の展覧会が予定されている。一方、9~11日には向かいの展示室で、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)元会長が「党首」を務める政治団体の関係者らによる実行委が、「トリカエナハーレ」と題する別の展覧会を開く。この団体が過去に開いた展覧会は、大村秀章・愛知県知事が展示内容を「明確にヘイトに当たる」と指摘した。

 施設を管理する市文化振興事業団は双方の主催者と協議し、「現状で差し迫った危険はない」として予定通りいずれの開催も認める立場だ。2019年の不自由展に激しく反発した河村たかし市長も「公金でなく自分の金で主催するなら表現の自由を認めないといけない。公共施設は多くの人に使ってもらいなさいという法理がある」と、市事業団の判断を支持……


これだけで、本題前なのに論点が多いな。

・まず、「内容には立ち入らないが、安全確保が危惧され、保障できないので中止する」という話、これは一言でいえば「成り立たない訳ではないが、八方努力して努力してそれでもどうにもならない時だけ認められる最後の手段」のはずだ…ってことで判例的にも間違いじゃない筈。
提訴された時のブクマにもそうかいたっけ

表現の不自由展実行委が提訴「会場使わせないのは憲法違反」大阪 | 毎日新聞

プリンスホテル日教組拒否事件(ホテル敗訴)てのあったよね?そういえば「混乱が予想され、警備が過大になるので中止」のロジックは百田尚樹講演中止でも使われたな。同論法は基本、最低限のみカバーすべきもの

2021/07/01 03:06
b.hatena.ne.jp

そして大阪で使えるようになったとか(施設側は控訴)
www3.nhk.or.jp


あ、ブクマにも盛り込んだが、百田尚樹氏の大学講演が中止になった時の理由のひとつもコレだったわけだ。

……実行委員会の男子学生(20)が産経新聞の取材に応じた。言論の自由を重視し、反対派とも話し合いを重ねて開催の道を探ったが「何かあった場合に責任をとれるのかと迫られ、何も言えなくなった。講演を聞いてみたい個人の思いは、大学祭成功のため封印した」
(略)……席上で「講演開催の事実や内容にショックを受け、自殺する人が出たら賠償責任を取れるのか」「講演をきっかけにヘイトクライムが起きて負傷者が出たらどうする」などと詰め寄った。「責任を追及されると、もう何も言えなくなってしまった」


・「トリカエナハーレ」も再度やるのか。偶然というか、この記事を素直に読むと「内容に立ち入らないのが吉村・河村。(トリカエナハーレの)内容に立ち入ってるのが大村。」という構図になってしまってる。……
togetter.com


なんというかな、「元在特会」の関係者だそうだから、爆竹や(大音量・攻撃的な)街宣などに相当するテロ行為も過去に関係していたと思うが、今回「自分達も”展覧会”を開き、同じ構図を作る」という手法を取ったのはかなり ”狡猾” だと言わざるを得ないし、提起された問題はすべて厄介な難題になるはずだ。はっきり言って、今回朝日の編集委員氏も加わった大型記事なのだろうけど、その記述や取材したコメントも『これ、トリカエナハーレに関しても適用されますか?』と問われると混迷しそうな記述ばかりなんですわな。
たとえば志田陽子氏はこう書いた。

不快で、常識に反すると感じるものもあるだろう。だが、作品に違和感を持つ人も含めて議論が起きることは、市民社会を活性化し、強めることにつながる。見たくないものを封じることを繰り返せば、社会の弱体化を招き、社会自身にとっての損失になる。批判は作品を見た上でないと成り立たない。

このコメントが、【一緒の会場で元在特会関係者もかかわる展示会「トリカエナハーレ」も開かれてる】という前提で、そちらにも適用されるんですか、という前提で読むと……あれれ……とな。

トリカエナハーレの狡猾性は、2019年にも記した。
m-dojo.hatenadiary.com

【本題】は後編で書きます

分量と時間の関係で、そこだけ独立で書いた方がよさそうだと判断し、そっちは後半で書く。
憲法学者・南野森氏の

電凸(でんとつ)と呼ばれる電話による集団的な抗議などで、気に入らない言論や表現活動を封じ込めようとする行為は、民主主義社会を極めて危険にする

という意見について。

「スポーツしかできないバカって本当に世界的にこんなにゴロゴロいる」(中野晃一氏)

すごいな。
で、なぜか理由がわからない(本当によくわからない)のだけど、このかたが海外メディアの取材に答えてコメントしたり寄稿したりする回数が、本当になぜか非常に多い。
ある意味では、日本の知の代表。知の巨人 なのです。

読んだ書籍は、個人的にはそれほど興味深いものではなかったのですが……


余談・追記 こたつぬここと木下ちがや氏がこのツイートを批判


絶対可憐チルドレンで「ポリコレ」なあの問い(歳の差恋愛の是非)、正面からされてて笑った。最終回は目前。


あのお方、というのは、ここにいう「突然現れた男の正体」なんですけど


最終回はすでに描き上げたそうな。
cnanews.asablo.jp



次回掲載号が本日発売されたので、それに合わせてネタバレを語ります(嫌な人は回れ右で)
この人物とは、こんな間際になってオチつけ要員として登場した、明石薫の父親。
だが、このひとは前回のラストで、非常に重要な問いを発したのだった(笑)

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絶対可憐チルドレン 年齢差は10歳、知り合った時年下の相手はまだ10歳。仕事上の上司と部下の関係にあった…その2人の恋愛って道徳的にどうか


「絶年齢差は10歳、知り合った時年下の相手はまだ10歳。仕事上の上司と部下の関係にあった…その2人の恋愛って道徳的にどうか」という。


これ、その男女2人の間でその発言が出た時に、このブログではすでにネタにしています。
作者・椎名高志氏ははっきりと、批評性あるパロディ、ギャグとしてここに焦点を当てている。
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なぜ自分がそこに興味を持つかというと、いま法哲学的な分野で、ちょっとばかりホットな問題になっているからです…この「年の差恋愛」が。
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いや簡単にいうと、この作品における年長の男性・皆本氏は、この問題に対して一種模範的な態度(100点中150点)をおとりになっておられて、逆に逸脱しようとする年下側をいさめ、絶対に合法の範囲をはみ出さない。それ自体(その回りくどさ)をギャグにしてるし。

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絶対可憐チルドレン」における年の差恋愛問題
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絶対可憐チルドレン」における年の差恋愛問題

いまその小学生時代のアニメ篇が、アマゾンプライムで無料配信だとかなんだとか
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07VP67VD1/ref=atv_dl_rdr



まとめれば、この作品設定に限らず、普遍的な一般論としてもこうであろう。過去記事ですでにまとめてる。

法哲学的な部分で議論するなら、かなり平々凡々な結論になってしまうからなぁ。
「その被保護者的な人物が、自由意志を尊重できる年齢―――18歳だか20歳になったら、性的な関係を含めた恋愛・婚姻関係になったっていい。そりゃ自由である」
「むしろそれでも反対嫌悪するならエイジズムという差別偏見である」
「そのいい・悪いを区分するのは、単純かつ唯一の基準がカレンダー、生物学的年齢である。上のような区分の年齢に一日でも足りなければ不可、一日でも超えれば可」
「性的な関係抜きの、精神的な恋愛ならどうか? まあそりゃ、それを妨げるべきものはあるまい」

しかし、一方で既にこうも書いていた。

だが、一方で
これでもやはり法・コンプライアンスを超えた道徳的な判断として「いやこの年齢差、仕事の中で保護者・監督者的立場だった人と、その保護指導を受けていた人が恋愛関係になるのは道徳的な汚点、罪である」と考える人もいる


そう、「相手が18歳以上になるまで待ったとしても、それで法律はクリアしても、以前に保護者・監督者的立場だったひとと、それの対象だった被保護・被監督的な立場の人が恋愛関係になるのは道徳的にNG。むしろ脱法行為である」


と考えるひともそれなりにいるっぽいんですよ。
そういうひとにとっては、この長編SF漫画「絶対可憐チルドレン」の最終盤のあれ、”ファイナルファンタジー(最終回発情期)”は道徳的にアウトなわけです。

m-dojo.hatenadiary.com



で、すでに本日店頭にならんでいるはずの615話では、親御さんの問いに皆本が回答するターン。ギャグで返すか、マジメに王道を語るかはともかく、一種の作者の”批評”があるだろうことは間違いない。
とくに「相手が18になるのを待ったとしても、教え子と恋愛関係になるのは法ではなく道徳的な部分で許されないことだ」と考える論者にこそ、読んでもらいたいところだ。



そういえば、いまぐんぐん人気があがっているフィギュアスケート指導者漫画「メダリスト」も、もし万が一終盤に”ファイナルファンタジー”が発動されたら、そんな展開に成ったりそんな批判を浴びたりするんですかね???

『八年前、同僚に半殺しにされました。「調査委員会」はそれを…』と大学教授。新世紀ユニオンが昨年、関西学院大と交渉

たまたま昨日、以下のようなツイートがなされた。


すこし遡ると、6月に以下のようなツイートがなされている。


このアカウントには本人確認マークがないが「関西学院大の李建志教授」の存在を示す同大の公式ページはある。

researchers.kwansei.ac.jp
学内職務経歴【 表示 / 非表示 】
職務遂行組織:関西学院大学 社会学社会学
経歴名:教授
職務期間:2010年09月 ~ 継続中

職務遂行組織:関西学院大学 言語コミュニケーション文化研究科
経歴名:教授
職務期間:2014年04月 ~ 継続中

このツイートで書かれている、「八年前、同僚に半殺しにされました」の8年前とはテン年代の前半になるから、「同僚」とは、『関西学院大の同僚』ということになるのであろう。

ご本人も2014年に同趣旨のツイートをされている。

これって、一種の #MeToo ではなかろうか?



実は、これに関しての記述がある著名人の実名ブログや、出版物を読んだことがある。

ブログは、多数の著作のある、小谷野敦氏によるものだ。

関西学院大学の闇

 李建志君は、私の後輩である。中央大学を出て東大比較に来た。在日である。ちょうど私が阪大へ赴任する時に修士課程を終えたのだが、私と、つくば国際大学に就職する加藤百合さんの歓送会が平川先生宅であって、その時李君が…(略)…
…その後李君は『「朝鮮近代文学ナショナリズム 「抵抗のナショナリズム」批判」』『日韓ナショナリズムの解体 「複数のアイデンティティ」を生きる思想」といった本を出した。私にも送ってはくれたが、朝鮮近代文学を私はまったく読んでいなかったし、こういう政治的怒りの本は好きではなかったから、ちゃんとは読まなかった。だがどちらかに、小森陽一の研究会に出ていて、その弟子から「在日はいいよなあ」などと言われ、小森が笑いながら「それは言っちゃダメだよ」と言ったことを告発しているところがあり、これは印象に残って、それを書いた…
(略)
李君は、昨年、大学の同僚に十三発殴られたということを言い出した(「殴り合い」ではない)。私は、その後遺症で誰も信じられなくなっているのだろうと思った。李君は警察に届けたが、双方弁護士を立てて示談にしたということだった。私がそれらをRTすると、何人もフォロー……

(略)
…私は、関西学院大学に電話してみた。はじめ社会学部に電話したら、事務の男が出て、えー先生がたはただいま会議中で、と言う。事務長も出ているはずで、私は、ツイッター上で言っているのだから公開されているわけですよと言い、また連絡すると言って切った。翌日、今度は広報に電話したら、いや知りませんと言うからまた同じことを言って、切った。
 さて二週間くらいたって、李君が、殴られたことを年長の教授に話したら、
 「君のほうにも殴られるような理由があったんじゃないか」
 と言われた、と書いていたので、もういっぺん関学社会学部へ電話したら、まあ58歳くらいのでぶっとした悪人を想像させる声のおじさんが(と書くとき自分もおじさんであることを忘れているのだが)、また「分かる人は席をはずしておりまして」と言うから、あなたは何も訊いていないのかと糺したら、
 「まーそれは、双方弁護士を立てて示談にしたということで」
 と言うから、大学として、そんな他人に暴力をふるうような教授に何の処分もしないのかと訊くと、
 「いやープライベートなことですから」
 と………(後略)

jun-jun1965.hatenablog.com



もうひとつは、鹿砦社から出ているムック「真実と暴力の隠蔽」


ここには、両者の「和解書」の画像が掲載されていたと記憶している。記事では被害者の名前は伏せられているが、内容的にも今回の李建志氏のツイートと一致しているので、この事件だと言っていいだろう。そして和解の相手「乙」は金明秀氏、となっている。

f:id:gryphon:20210706021812j:plain
鹿砦社サイトより。暴行事件に関する金明秀氏と被害者の和解書画像

関連まとめ
togetter.com

関連したこの記事で鹿砦社は、こういう話も描いている。
www.rokusaisha.com

『真実と暴力の隠蔽』で木下ちがや氏が述べてる通り、金明秀教授は過去木下氏を殴ったことがあるのは、被害者木下氏が認めているところである。これについては「謝って来たから許した」と木下氏は納得しているようだが、金明秀教授による「暴力事件」はこれだけではなかった。

木下ちがや氏は「こたつぬこ」のハンドルネームでtwitterでも活動される方。



そして今回調べてあらためて知ったのだが、大学当局の管理責任を問う流れで、李氏と当局の間に入ったのが「新世紀ユニオン」。
同ユニオンと大学側との交渉は、昨年行われており、そして全く決着を見ておらず、そういう点ではぜんぜん過去の問題になっていない、現在進行形の問題であるようなのだ。
詳しくは、同ユニオンブログの、これらの記事を読んでいただきたい。
shinseikiunion.blog104.fc2.com
shinseikiunion.blog104.fc2.com
shinseikiunion.blog104.fc2.com
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shinseikiunion.blog104.fc2.com
shinseikiunion.blog104.fc2.com
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一方、このツイート群へのリプなどで批判をしている「怪人β」というアカウント名の方がいる。

twitter.com
「2021年1月からTwitterを利用しています」とのこと。


当事者ふたりのウィキペディア記事(というより、その編集履歴&ノート議論)に注目を

「李建志」の版間の差分 - Wikipedia

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org


作業が極めて細かくなるゆえ、その任に耐えないが、だれがいつ、両者の記事をどのように編集したかを追ってみると分かる部分もあるかもしれない。たとえば、片方には以前「不祥事」という小項目があったが、それは削除された様子。

【再掲載】『こんな低投票率じゃ、完全な信任とは言えない』という主張を見る。…なら、あなたの棄権には意味があったのだ(笑)

東京都議会議員選挙が行われました。

その結果が、自分の理想と合致するものも、しないものもあったでしょう。

しかし、すべての示された民意は、結果を超えて敬意を払うに値するーーーーーーーーーーーーー私は、そう考えたい。 そう考えないひとも、いるのでしょうね。



……で、大きな選挙のあとには故マケイン氏の「敗北演説」を紹介することが多いのですが、ことしは衆議院が任期満了で選挙になることが決定しているから、それはとっておこう。リンクだけはっておきます
m-dojo.hatenadiary.com


今回、全文を張る「再放送」をするのはこっち(笑)


では使わせていただこう

選挙事務所の向こうに甲子園が見える
小田嶋 隆
>>バックナンバー2014年12月19日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20141218/275321/

選挙前に「大義なき解散」という言い方で安倍さんの決断を批判していた人たちも、与党圧勝の結果をつきつけられると、意気地なく黙ってしまっている。

 どうして黙っているのだろうか。
 実際には、戦後最低の投票率に終わった今回の選挙戦の低調さは、彼らの言う「大義なき解散」という主張を裏付ける結果だったわけで、そう思えば、選挙後にもう一度、選挙前の話を蒸し返して、解散の是非を問う声をあげても良かったはずだ。
〜(中略)
今回の衆院選が戦後最低の投票率に終わったことは、解散の決断をした安倍さんの失点として数えられるべきだということだ。

 得票率や議席の数とは別に、投票率の低さそれ自体も選挙の結果の一指標として真摯に受けとめなければならないはずで、このたびの低投票率は、安倍さんが、解散権という「伝家の宝刀」を私的に利用したことに対する有権者の反応である、というふうに読み取ることもできる。
 そう思えば、圧勝と言って喜んでばかりいられる結果ではない……(後略)

「声なき声」に謙虚たれ 安倍政権継続へ:社説:中日新聞(CHUNICHI Web) http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2014121502000207.html

その足元は、強固とは言い難い。

 投票率は史上最低の52%台にとどまる見通しだ。与党の得票率が40%程度だとしても、全有権者数に占める得票数の割合「絶対的得票率」は30%にも満たない。

 それが選挙制度だと言ってしまえば、それまでだが、安倍政権の側はまず、全有権者の三割に満たない支持しか得られていないことを自覚しなければならない。
(略)
安倍首相の祖父である岸信介首相は一九五八(昭和三十三)年、国会でこう述べている。

 「最後の審判は選挙で決まりますが、世論の動向、国民の意向には絶えず十分に耳を傾け、『声なき声』にまで耳を傾けて誤りなきを期することは、政権を担当しているわれわれが、かねがね考えていることであり、考えていかなければならぬと思います」

 選挙結果に傲(おご)ることなく、野党はもちろん、選挙結果に表れない国民の声にも耳を傾けねばならない。「一強」であればなおさら、胸に刻むべき政治の要諦である。

まだまだ例はあったが、ふたつでよかんべい。
で、表題の通りだよ(笑)。

「選挙結果はXXXXXXXXXXXXXXXXだったけど、投票率は…%にすぎなかったじゃないか。だから選挙後の政権は、自重するように」という主張ができるだけでも一定の意味があるし……そして万が一、こういうものが実際に政局に何らかの影響を与え、たとえば多少の慎重さが生まれたとしたらばだ、
 
それは棄権した皆さんのお力だ。棄権者の勝利だ。
 

……という話に、なるんじゃないかいな?リクツをたどっていけば。
関連

本日の荻上チキ「session-22」は「選挙で投票する意味」を特集。北田暁大呉智英氏など出演 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141210/p2
 
あずまん、謎の団体…「白票」の話題、選挙の定番だが、再度考えてみた - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141206/p3