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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

最終盤の絶対可憐チルドレンで「保護者的オトナとコドモの恋愛」に一つの回答…例によって批評的パロディで

まず、かの少年サンデー長期連載「絶対可憐チルドレン」が最終盤である、という確定情報をば。

……絶チルとは2003年の夏からのつきあいで、もう17年半になります。生まれた赤ちゃんが高校三年生になる期間。当時10歳だった子供は27歳。始めた頃にはiPhoneはもうありましたけど、まだ「iPodに電話機能がついただけでしょ?」って感じでガラケーが主流だったし、Googleの画像検索もいまほど便利に使えなかったと記憶してます。読み切り版で出した輸送機の画像を、当時の担当が海外サイトで集めて大量にプリントアウトしてくれたのをよく覚えてます。「え、機内の写真もこんなに高解像度でたくさん手に入るの!?」って驚きました。

(略)私のネットとのつきあいはほぼツイッターのみになっておりました。

 そんな中、実はそろそろ絶チルが最終回までのカウントダウンに突入という運びになりました。まだ正式に何号で終わるとかは決まってないものの、いちおう単行本の切れ目なんかも考慮しつつ、ラストシーンに向けて、執筆は最終段階に入ったという感じです。なので絶チル執筆の苦楽を共にしてきたこのブログ、せっかくなので最後もちゃんと締めてやりたいなと。そんなわけで、またしばらくの間

http://cnanews.asablo.jp/blog/2021/03/14/9357162cnanews.asablo.jp


でまあ、盟友の富士鷹ジュビロ…じゃねえや唐巣神父…でもねえや藤田和日郎(あっちの連載も最終盤だってさ)や、「不可侵条約を結んでいる」久米田康治らと同様に、けっこう丁寧に風呂敷を畳んでいる先生ですが、連載を始めた2003年ごろと比べても、ちょっと問題になっている話があります。
それが「保護監督者的立場のオトナと、庇護されるコドモの恋愛」の描き方に関する、どうかすると法を超えた道徳的な意味での批判ですわ。
かつて一覧を作りましたが、そこに後日この作品も追加していました。
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なにしろ、なんとかいうアイドルグループの人……ああ、城島ってひとか、そのひとが結婚した時に、両方とも成人であるのにキモいという人が出たりしたわけよ


絶対可憐での、主人公とその指導者との年齢差はいくつだったかな…まあ最初に出会った時に皆本は社会人、主人公が小学生だったことは間違いない。

そのへん、どうすんかなーと思ってたら、やっぱり三つ子の魂百まで、虎の縞は洗っても落ちぬ…で、例によって「批評性をこめたギャグ」によって、このへんを風刺しまくりました。

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絶対可憐チルドレン」における年の差恋愛問題
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絶対可憐チルドレン」における年の差恋愛問題


皆本というキャラは、椎名高志漫画になんで登場してるの?と言いたくなるぐらい(笑)、マジメなキャラクターなので、ちゃんとキャラ設定には沿ってはいるんですが、それも含めてやっぱり「パロディ、ギャグに『批評性』を加える」というのが、作者の創作性の中でほとんど骨絡みになっているんだよな。ゴルゴ13が背後の男を誰彼構わず殴りつけるように、無意識の行為だと思う(笑)

これとおんなじ
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話もどって、今回作中で皆本が表明した態度は法哲学的・コンプライアンス的には満点というか、100点中150点だろうと思いましたが、これでもやはり法・コンプライアンスを超えた道徳的な判断として「いやこの年齢差、仕事の中で保護者・監督者的立場だった人と、その保護指導を受けていた人が恋愛関係になるのは道徳的な汚点、罪である」と考える人もいるのだろうか。そこは知らぬ。

法哲学的な部分で議論するなら、かなり平々凡々な結論になってしまうからなぁ。
「その被保護者的な人物が、自由意志を尊重できる年齢―――18歳だか20歳になったら、性的な関係を含めた恋愛・婚姻関係になったっていい。そりゃ自由である」
「むしろそれでも反対嫌悪するならエイジズムという差別偏見である」
「そのいい・悪いを区分するのは、単純かつ唯一の基準がカレンダー、生物学的年齢である。上のような区分の年齢に一日でも足りなければ不可、一日でも超えれば可」
「性的な関係抜きの、精神的な恋愛ならどうか? まあそりゃ、それを妨げるべきものはあるまい」


みたいな感じであろう。
あまりにも平凡である。ここからいろいろと考えられないかと思ったが、そんなには広がらないな。

・これが、いわゆる未成年者(※国などによって微妙に差はあることに注意)と成年のそういう関係なら、いわゆる判断能力のない人間と性的な面も含めて関係しようというのは人権上の問題がある、ということでもちろん正当性がある。
・ところが、若い方の相手の年齢が成年に達したらなら、とたんに話はひっくり返り、「年の差があるなんてキモイ」は『エイジズム』という差別と認定される。
・これが一瞬で、攻撃していた側が反則を取られるオフサイドに似ているので、”ポリコレ・オフサイド”と命名しました(俺が)って話(笑)
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「年の差恋愛」は人権擁護の立場の批判が「エイジズム(差別)」になる”ポリコレ・オフサイド”が頻発する案件 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

相手が未成年の時は、確かに人権問題として批判できる。しかし相手が1日でも成年を過ぎたら、どんな年齢差の恋愛・結婚であっても「気持ち悪い」とか言ったらその人はエイジズムの差別者。微妙なもんですネ。

2020/11/13 09:25
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結論としては、「絶対可憐チルドレン」は皆本が真面目キャラであることを活用して終盤うまく逃げ切ったので、むしろ連載当初や、或いは作者の昔の作品のほうがいろいろ燃やす燃料があるかと思います(笑)