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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「表現の不自由展」妨害事件について(前編)~あるいは「トリカエナハーレ」との”同時開催”について。

 8日午前9時半ごろ、名古屋市中区栄4丁目の市施設「市民ギャラリー栄」で来場者が避難する騒ぎがあった。ギャラリーでは、6日から国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止された企画展「表現の不自由展・その後」出展作品の展覧会が…(略)捜査関係者によると、この日、ギャラリーの職員が郵便物を警察官立ち会いのもとで開けようとしたところ、爆竹のようなものが破裂した…

まず、関係者にお見舞い申し上げ、警察に犯人の逮捕摘発を強くお願いしたい。最初につけたブクマと同じ

「爆発物を送り付けての実力行使だから、明確にテロだろう。警察の奮起による容疑者特定と摘発を強く願う。」

表現の不自由展会場に爆竹?入り郵便物 破裂し避難騒ぎ:朝日新聞デジタル

爆発物を送り付けての実力行使だから、明確にテロだろう。警察の奮起による容疑者特定と摘発を強く願う。/南野森氏のコメントは「集団的な抗議」についての危険性を語ってて、だいぶ踏み込んでるな。

2021/07/08 12:53
b.hatena.ne.jp

ただ100字なんで盛り込めなかった留保をここで述べておくと、精神状態が正常でない人間の行為の場合はこの限りでは無い。アリゾナ上院議員狙撃事件、厚労省幹部刺殺事件、アンネの日記破損事件など。ただ、それに類する有力情報がない場合は、当然、精神状態が正常な人間の自由意志による行為との前提で話す。
この辺の話も何度か書いてるんだが、ちょっと枝葉の話なので無視してくれていい。一応リンクを

厚生省元幹部・家族連続殺害事件。いつ犯罪を「テロ」と見なすのが正しい態度なのかhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081121#p6
「元厚生省事務次官連続殺人を、当初テロ扱いしたことを反省せよ」と青木理氏(週刊現代http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090112#p6
アリゾナ下院議員銃撃事件、被告に「責任能力無し」…当時の「憎悪を煽ったからだ!」論調の是非は。http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110622/p3
アンネの日記」破損犯、鑑定留置…昼間たかし氏の2月記事は、ジャーナリズム史に残るスクープだった! - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140417/p3
アンネの日記」破損者、心神喪失状態が認定され近く不起訴か(読売、NHK) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140619/p6

なんにせよ、規模や人的被害の大きさとは別に令和の「狼煙を見よ」であり「テロルの決算」である。


さて、本題に入ろうかなと。本題で語るコメントはこっちの記事だった

www.asahi.com

ここで語られる話は、個別にすべてが議論の材料に値する。

…「エル・おおさか」は府が所有している。その指定管理者が6月25日に突然、「安全を確保することは極めて困難」との理由で利用承認を取り消し……脅迫めいたものは確認されていないが、抗議の電話やメールが約70件寄せられ、街宣活動も加わったため……吉村洋文知事は「行政として表現内容に立ち入って評価するつもりはない」としつつ、「安全な施設管理運営が難しい」との理由で利用承認取り消しは「賛成」の立場だ。「違法でない限り、展覧会を不快に思う方々が様々な活動をすることもまた自由だ」と抗議活動に理解を示した。

 名古屋市では7月6~11日、市の施設で同様の展覧会が予定されている。一方、9~11日には向かいの展示室で、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)元会長が「党首」を務める政治団体の関係者らによる実行委が、「トリカエナハーレ」と題する別の展覧会を開く。この団体が過去に開いた展覧会は、大村秀章・愛知県知事が展示内容を「明確にヘイトに当たる」と指摘した。

 施設を管理する市文化振興事業団は双方の主催者と協議し、「現状で差し迫った危険はない」として予定通りいずれの開催も認める立場だ。2019年の不自由展に激しく反発した河村たかし市長も「公金でなく自分の金で主催するなら表現の自由を認めないといけない。公共施設は多くの人に使ってもらいなさいという法理がある」と、市事業団の判断を支持……


これだけで、本題前なのに論点が多いな。

・まず、「内容には立ち入らないが、安全確保が危惧され、保障できないので中止する」という話、これは一言でいえば「成り立たない訳ではないが、八方努力して努力してそれでもどうにもならない時だけ認められる最後の手段」のはずだ…ってことで判例的にも間違いじゃない筈。
提訴された時のブクマにもそうかいたっけ

表現の不自由展実行委が提訴「会場使わせないのは憲法違反」大阪 | 毎日新聞

プリンスホテル日教組拒否事件(ホテル敗訴)てのあったよね?そういえば「混乱が予想され、警備が過大になるので中止」のロジックは百田尚樹講演中止でも使われたな。同論法は基本、最低限のみカバーすべきもの

2021/07/01 03:06
b.hatena.ne.jp

そして大阪で使えるようになったとか(施設側は控訴)
www3.nhk.or.jp


あ、ブクマにも盛り込んだが、百田尚樹氏の大学講演が中止になった時の理由のひとつもコレだったわけだ。

……実行委員会の男子学生(20)が産経新聞の取材に応じた。言論の自由を重視し、反対派とも話し合いを重ねて開催の道を探ったが「何かあった場合に責任をとれるのかと迫られ、何も言えなくなった。講演を聞いてみたい個人の思いは、大学祭成功のため封印した」
(略)……席上で「講演開催の事実や内容にショックを受け、自殺する人が出たら賠償責任を取れるのか」「講演をきっかけにヘイトクライムが起きて負傷者が出たらどうする」などと詰め寄った。「責任を追及されると、もう何も言えなくなってしまった」


・「トリカエナハーレ」も再度やるのか。偶然というか、この記事を素直に読むと「内容に立ち入らないのが吉村・河村。(トリカエナハーレの)内容に立ち入ってるのが大村。」という構図になってしまってる。……
togetter.com


なんというかな、「元在特会」の関係者だそうだから、爆竹や(大音量・攻撃的な)街宣などに相当するテロ行為も過去に関係していたと思うが、今回「自分達も”展覧会”を開き、同じ構図を作る」という手法を取ったのはかなり ”狡猾” だと言わざるを得ないし、提起された問題はすべて厄介な難題になるはずだ。はっきり言って、今回朝日の編集委員氏も加わった大型記事なのだろうけど、その記述や取材したコメントも『これ、トリカエナハーレに関しても適用されますか?』と問われると混迷しそうな記述ばかりなんですわな。
たとえば志田陽子氏はこう書いた。

不快で、常識に反すると感じるものもあるだろう。だが、作品に違和感を持つ人も含めて議論が起きることは、市民社会を活性化し、強めることにつながる。見たくないものを封じることを繰り返せば、社会の弱体化を招き、社会自身にとっての損失になる。批判は作品を見た上でないと成り立たない。

このコメントが、【一緒の会場で元在特会関係者もかかわる展示会「トリカエナハーレ」も開かれてる】という前提で、そちらにも適用されるんですか、という前提で読むと……あれれ……とな。

トリカエナハーレの狡猾性は、2019年にも記した。
m-dojo.hatenadiary.com

【本題】は後編で書きます

分量と時間の関係で、そこだけ独立で書いた方がよさそうだと判断し、そっちは後半で書く。
憲法学者・南野森氏の

電凸(でんとつ)と呼ばれる電話による集団的な抗議などで、気に入らない言論や表現活動を封じ込めようとする行為は、民主主義社会を極めて危険にする

という意見について。