多くの報道があるが、NHKニュース
11日未明、東京・浅草の浅草寺で境内の仏像4体を壊したとして、サウジアラビア人の留学生の男が器物損壊の疑いで警視庁に逮捕されました。
逮捕されたのは、川崎市に住む慶応大学の大学院生で、サウジアラビア人のモハマド・アブドゥラ・サード容疑者(31)です。
警視庁によりますと、サード容疑者は11日午前0時半前から1時ごろまでの間、東京・浅草の浅草寺で、境内に置かれた仏像4体を台座から落として壊し…(略)…「外国人が暴れている」という届けで警察官が駆けつけたところ、仏像4体が倒れていて、近くにいたサード容疑者が壊したことを認めたことから逮捕したということです。
(略)…うち観音菩薩像はおよそ300年前の江戸時代に作られ、台東区の有形文化財になっています。
調べに対しサード容疑者は「ほかの寺でも仏像を壊したことがある」と供述…
この容疑者の精神状態は正常か。「アンネの日記」破損容疑者のことも思い出しつつ
もともと人間の行動は責任能力があることが大前提であって、そういう報道や情報があるまでは責任能力は「有る」として考えればいい、というのが大前提だから、まだ時期尚早ではある。
これは一種のサービスというか、過剰に忖度したものだ。
どうも、発見されることを恐れていないように見えるから。
以前、逮捕前にも「アンネの日記」を破いた人には、精神的な問題があるのでは、という推測の報道を昼間たかし氏らがしていたのに対し、「病気であっても(社会が)腐った状況だ」という意見に対し、こう書いたのだった。
ある事件が起きた時の、犯人の「推測」「テロ事件」認定に関して(「アンネの日記」問題) -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140223/p3
北田先生の「病気っぽいんでやったにせよ…よりによって『アンネ』破る奴がでてくるのは腐った状況」には賛成できない。精神の病を得てしまえば、アンネ本を破いたのは私かもしれないし北田氏かもしれない。破いたのは百田尚樹氏の本かも、天皇陛下の写真かもしれない。病気ってそういうものでしょ。
「宗教的思想に基づくテロ」「ヘイトクライム」の可能性
その可能性がある、という推測には、それなりに合理性は十分あると思う。
自分は詳しい報道を待った上で、判断したいと思うけど、
「いち早くテロ(の可能性がある事件)に対しては声明を出したり、抗議したりすべきだ。状況の確定を待ったり、言葉を濁したり、触れないこと自体が不適切だ」
とかつて主張した人たちもいる。
安倍晋三内閣総理大臣は事件を受けて直後のインタビューで「捜査当局において厳正に捜査が行われ、真相が究明されることを望む」と語ったが、言及が少なすぎるとして野党幹部らから批判を受けている。
(長崎市長射殺事件)
元厚生次官ら連続殺傷事件に対する麻生太郎首相の慎重姿勢が目立っている。同一犯による「テロ」の可能性があるにもかかわらず、首相の言動からは、卑劣な行為への非難や対テロへの断固たる姿勢がうかがえない。「政治的目的を持った暴力への感覚が鈍感過ぎる」との批判も出そうだ。
首相は事件を受け十九日午前、記者団のぶら下がり取材に応じたが、テロの可能性があるとの指摘に「単なる傷害、殺人事件なのか、そうではないのか。それ以上のことは分からない段階でコメントはできない」と述べるにとどまった。
(略)
二〇〇七年四月、長崎市長が射殺された際、当時の安倍晋三首相が「真相究明を望む」などとしかコメント
しなかったため、野党から「政治家が撃たれたことへの危機感が感じられない」と批判を浴びた例もある。
(中国新聞)
そういう人たちが今の段階で「宗教テロ(の可能性が高い)」と見なすなら…まあ微妙な案件だな。
ただ、いまワイドショーを見ている限りでは「個人的な動機かもしれない」「真相の解明が待たれる」というような論調があった。自分もこういう考え方のほうが正しいと思う。以前の論調を反省したのかもしれない。
イスラム学者・中田考氏のワッハーブ派教義解説が興味深かった。
主に質問したのはぼく。2014年6月11日深夜あたりのツイート。あとでまとめようかな?
https://twitter.com/HASSANKONAKATA
アンネの日記破損容疑者のことは別立てにしておこう。
見出しをつくるためにね。ただまあ、もうすぐ結論が出る(もう出てる?)決まりなので。
過去にさんざん書いたから、そっち読んでもらったほうが早い。
これの繰り返しみたいなもんでした。
この後、留学生の動機が分かれば、そこからまた考えることが多いが。
「アンネの日記」破損事件〜「誰がやったのか」の推測議論などを中心に - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/633324
■事件・犯罪に対し、どこまでが「推測」、どこから「偏見」か…に関する考察集 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/637408
事件・犯罪に対し、どこまでが「(合理的)推論」で、どこからが偏見か? …の再論 -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140304/p3
ある事件が起きた時の、犯人の「推測」「テロ事件」認定に関して(「アンネの日記」問題)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140223/p3■元厚生次官連続殺人は「過激動物愛護主義者による政治テロ」と認定すべきか?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091128/p5
■厚生省元幹部・家族連続殺害事件。いつ犯罪を「テロ」と見なすのが正しい態度なのか
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081121#p6
■「元厚生省事務次官連続殺人を、当初テロ扱いしたことを反省せよ」と青木理氏(週刊現代)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090112#p6
■アリゾナ下院議員銃撃事件、被告に「責任能力無し」…当時の「ティーパーティやペイリンが憎悪を煽ったからだ!」という論調の是非は。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110622/p3
しかし容疑者の動機や犯罪の性質がどうであっても、仏像が相次いで破壊されたという結果にはかわらない。
被害を受けた寺社、その信者檀家にはお見舞いを申し上げたい。
そして、怒りを持つのは当然だが、法を超えた物理的な復讐などは絶対に避けるように自制をお願いしたい。