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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

事件・犯罪と「精神の病」の可能性について―相模原障害者施設殺傷事件、そのほか

相模原障害者施設殺傷事件をめぐる報道について - 荻上式BLOG (id:seijotcp) http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20160810/p1


…今回の容疑者は、「障害者なんていなくなればいい」と語っていたと報じられています。こうした発言は、典型的な優生思想に分類されます。優生思想とは、命を選別し、「劣った」とみなされた命は淘汰して構わないとする考え方です
(略)
こうした事件が起きると、容疑者の心理状態や過去の略歴などに焦点が当たりがちです。なかでも、容疑者が特定の疾病を患っていたこと、措置入院の経験があることに注目が集まっています。福祉の議論は重要ですが、現段階で安易に疾病等と結びつけるべきではありません。
(略)
容疑者の声明文を淡々と紹介する報道にも違和感があります。言うなれば、悪質なプロパガンダを注釈なく放送し続けるようなものだからです。

(略)
犯罪報道の多くは、「その段階で分かっている材料」のうち、それらしいテーマをピックアップして、「原因探し」をします。今回はその結果として、「措置入院」等がクローズアップされることになりました。その論点化がまったく無意味だとは言いません。ですが、その集中報道の結果として、「精神疾患=危険」というイメージを拡散することになっているように思えます。

自分は、ブクマにこうかいた。

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/seijotcp/20160810/p1

gryphon
自分は逆に、もっと精神の病の可能性を強調して「病なら、仕方ない」という結論になるかも知れない、と準備すべきかと思っている。つまりは「優生思想ですらない」かもしれぬ。アンネ日記破り捨て事件から学ぶべし。


アンネの日記破損事件」最後どうなったか、皆さんご記憶でしょうか?
最終的な記事はずっとあとだったので、読んでない人もいるかもしれない。

容疑の男「心神喪失」…アンネ本破損、不起訴へ 読売新聞 6月19日(木)7時52分配信

「 東京都内の図書館などで「アンネの日記」や関連書籍が破られた事件で、警視庁に器物損壊容疑などで逮捕されて勾留中の無職の男(36)(小平市)が、東京地検の請求で行われた精神鑑定で「犯行時は心神喪失の状態にあった」と診断されたことが捜査関係者への取材でわかった。  地検は刑事責任を問うのは困難として、近く、男を不起訴とする。」


「病気と犯罪」に関しては過去の事例で多々かいてきました。

アンネの日記」破損事件〜「誰がやったのか」の推測議論などを中心に - Togetterまとめ http://togetter.com/li/633324
事件・犯罪に対し、どこまでが「推測」、どこから「偏見」か…に関する考察集 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/637408
事件・犯罪に対し、どこまでが「(合理的)推論」で、どこからが偏見か? …の再論 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140304/p3 
ある事件が起きた時の、犯人の「推測」「テロ事件」認定に関して(「アンネの日記」問題)http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140223/p3
元厚生次官連続殺人は「過激動物愛護主義者による政治テロ」と認定すべきか?http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091128/p5
厚生省元幹部・家族連続殺害事件。いつ犯罪を「テロ」と見なすのが正しい態度なのかhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081121#p6
「元厚生省事務次官連続殺人を、当初テロ扱いしたことを反省せよ」と青木理氏(週刊現代http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090112#p6
アリゾナ下院議員銃撃事件、被告に「責任能力無し」…当時の「ティーパーティやペイリンが憎悪を煽ったからだ!」という論調の是非は。http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110622/p3
アンネの日記」破損犯、鑑定留置…昼間たかし氏の2月記事は、ジャーナリズム史に残るスクープだった! - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140417/p3
アンネの日記」破損者、心神喪失状態が認定され近く不起訴か(読売、NHK) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140619/p6
認知症患者JR事故」家族の賠償責任無しの判決、自分がその「被害者」になる可能性も含め”覚悟”しよう。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160302/p2
英国議員射殺事件、犯人が自由意志(責任能力あり)なら断固たる処罰を。精神の病なら治療と回復を祈る - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160619/p1


もう少し広く「自由意志」とかについて書いたやつ

■個性か病気か選択か。「新型うつ」「マインドコントール」「ギャンブル依存症」…etc(前編)http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120429/p3
■万引きは「病気」じゃないか、という話…からいろいろ話題は広がる。http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130110/p3 
オセロ中島氏を含め、やっぱり「マインドコントロール」って概念は使い方難しい&現在「弁護士のくず」でこのテーマをやってるhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130405/p5
統一教会信者を脱会させる”説得”に賠償命令…マインドコントロールと自由意志のあいだに http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140129/p2


それなりに、首尾一貫しているとは思う。


ただ、荻上チキ氏の仰ることも”現段階”で、「大きく二分すれば」それも、もっともだと思うです。
(1)ある人が何か(の犯罪)をした場合、とりあえずは「自由意志」によってその行動がなされたとみるのが大前提であって「ああ、精神の病だね」ということで、その言動への判断を、それに沿って扱うのは、正式な医学的診断が出たあとでいい。


大きく二分すればね!


(2)ただ、周辺情報や周辺の言動から、それを疑いえると思える時には、「その可能性を視野に入れた扱い」をするのもありだと思う。
今回はこの(2)を、今現在はやっていいんじゃないかと思っていて、というか自分はそうしてますね。




こういう意味で、今回の事件は「優生思想ですらないかもしれない」というのが、可能性としてはあるかもしれないと現時点では思っています。すべては精神鑑定の結果次第。

そしてこれは誰でもあり得る話。
精神の病を得れば、あした同じような発言を私がするかもしれないし、荻上チキさんがするかもしれない。
そういう認識を持ったり語ったりするとは、決して
『「精神疾患=危険」というイメージを拡散』することではなく、逆に収縮させる効果があるのかもしれないと思う。


似た感じの「元厚生次官連続殺傷事件」


青木理氏が「テロじゃないものをテロとして扱ったことを反省すべきだ」と、犯行の全貌が分かった時に書いていた。

ただ、極めて特異でゆがんだ、奇妙奇天烈なる思想だとされつつ、
責任能力」は認められたんだよな…


じゃあ、逆にこの事件は「愛犬思想に基づくテロ事件」なのだろうか?

wikipedia:元厚生事務次官宅連続襲撃事件
……「愛犬の殺害をした厚生省幹部はマモノであり、殺害をすることは正当である」と無罪を主張した。
2010年3月30日、さいたま地裁で判決公判が行われ、「犯行は残虐で、社会に大きな衝撃を与えた刑事責任は極めて重い」として求刑通り死刑判決が言い渡された[14]。被告人の責任能力(妄想性障害)が問題視されていたが、さいたま地裁責任能力はあったと指摘した。その上で、「被告人が宅配便に変装するなど犯行は計画的」「更生は期待できない」とした。被告人は判決を不服として即日控訴した。2011年12月26日、東京高裁は死刑判決を支持し、控訴を棄却した[15]。判決理由で「被告人が主張する『愛犬のあだ討ち』という動機は筋道において特段飛躍はなく了解できる」とする一方で「被告人の動機は動物の殺処分に限らず、国家行政への怒りや不満から元官僚らに対する殺意を抱いたことにある。被告人が主張する動機である『愛犬のあだ討ち』については、公判で無罪を主張する計画の中で口実として脚色した疑いが強く、重視するのは適切でない」とした