INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

総合格闘技小ネタ集。手塚裕之、ホロウェイ、無敗選手のUFC契約、大晦日……

マックス・ホロウェイ

以前、WOWOW中継で開設の高阪剛が「ホロウェイは相手のパンチや蹴りを、顔で防御してるんです(笑)」と言ってた。もちろんジョークだとしても、今回も顔面にクリーンヒットを受けては、そこから即座に同様の強打を叩きこむのを見て口をあんぐり。
こういう戦いはシロウト好みで、通はちゃんとガードしてかわす選手をこそ評価する、とひとは言う。いうけどね……

手塚裕之、ONEで豪快勝利

なんといっても階級がウェルター。そこで日本人が勝つのは、計量級以上に厳しいのはボクシングと同じだ。
そういう点で「重みがある」。うまいこと言った。
というか、映像を見てると、パワー殺法を使ってるどっちが日本選手か一瞬分からなくなるので注意。
abema.tv
(要プレミアム登録)

シュメトフ兄弟が大晦日の「vsシュレック関根」に名乗りを上げる


そー、話は「スダリオ剛の対戦相手枠」も絡んでくる。おそらくスダリオは大晦日当確だろうから、「その相手」のヘビー級が確実に一人選ばれるのだ。

日本人選手「無敗」談義

それと合わせて、UFC参戦し得るかの分析



gonkaku.jp

ふむう

ただ、平良の契約は現時点ではやや厳しい?




ティシェイラの勝利は嬉しい

これ書いたかな。書きこそこねてるかな。何にせよ、あいいううベテランの、そして「寝技系」選手が勝ち残るだけでも厳しいみちなわけじゃん?
そこで生き残って、戴冠するのだから嬉しい限りだ。

万乗大智と藤田和日郎、夜の映画談義から始まる対話~「アグレッサーで、松本零士『スタンレーの魔女』を再現したい」「やったれー!」



※ここから、ツイートのツリーとしてはA、Bに枝分かれします


【A】

デッドゾーン

デッドゾーン

  • Christopher Walken
Amazon


枝分かれ
【B】


感想と解説

万乗大智先生は、最近ツイートで、映画についての裏話・蘊蓄などをかなり頻繁・詳細に語っておられる。

おもしろいので、一度こう”直訴”したことがある。



藤田和日郎先生は…「漫豪」である。以上。

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漫豪・不二多勝日郎 ※久米田康治かくしごと」に登場する、藤田和日郎がモデルの漫画家
いやいやいや、伝えたいことは別にある。

同氏は「自分は信じなくてもいいから『自分の好きなもの』を信じろ!」という名言を残されている。それほど、他の作品、他のエンタメから学ぶことの重要性を知っている人だ。

m-dojo.hatenadiary.com

「自分を信じろ」という薄ら寒い言葉があるじゃないですか。「わかるけど、どういうことだよ!抽象的過ぎて腹の足しにならないよ!」…(略)新人によく言うのは、『好きなものを信じろ』。僕は映画の『ターミネーター』が好きなんですけど、本当に好きだから、この信頼は裏切られません(略)…これをカッコいいと思う自分を信じている。
 
唐々 これは、強いですよね。少なくとも、揺るがないで生きていけますよね。
 
藤田 そこが、最後の宝じゃないかと思うんですよね。


にた話は以前のインタビューでも語っているんですよね。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130725/p2
にて「名言集」を抜粋した、http://booklive.jp/feature/index/id/ivkf_01のロングインタビュー。

藤田:オレは「私のようになりたまえ」って説教している漫画ってあまり好きではないんですよね。
それよりも、自分の中の「あんな風になりたい!」っていう憧れを読者に伝えたいって気持ちが強くて、だから「鳴海(なるみ)のような男になりたいんだよな」とか、「あんな風に生きたいんだよな」とか、それを伝えるために描いているのが漫画家としてちょうど良いスタンスじゃないかと思ってるんですよ。
だから、「お前の言う通りアレはカッコ良いよね」って読者から言ってもらったら、それが凄く嬉しいんだよね!

このふたりが、映画の話から始まって「自分が好きだった作品やその結末、納得いかなかった作品」をいろいろ論じ、そして最後に、
「今描いている作品で、かつて読んだ〇〇を再現したい」
「やったれー!」

これ、けっこう思うより、重みのある話。
そしてこれを思えば、さらに重い。
m-dojo.hatenadiary.com
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togetter.com



正直、万乗大智「アグレッサー」は未完に終わっても仕方ない…と思ったこともあった。

しかし、さにあらず。
アグレッサーは復活し、そして「スタンレーの魔女」の再現という野心まで、作者は持っている。


そんなことを知った、夜の2漫画家の対話。


漫画家同士(というか藤田和日郎ー〇〇〇さんの対話)ツイートを集めて、電子書籍にすりゃいいじゃん

以前も書いた話だけど、ファンのツイートとかまで収録しようとすると、確かに許可を得るだけでも手間がかかる。
だったら、小学館縛りとかでもいいから、漫画家同士のツイートに限定すれば許可をもらうことは簡単でしょ?
そこから特に興味を引くものを厳選して、上のようなまとめやtogetter的な形式にして、電子書籍などで読めるようにしたら、それだけで面白いんじゃないですかね。
とくに漫画論、創作論、キャラクター論なども多いのだから、この続編ともなる。


まあ小学館がやらないから、ここ(当ブログ)でやっておきますよ。

「日本語は百数十年探しても、親類の言語が不明。今後も見つからないだろう」とされていた(高島俊男)。だが、ついに発見?

この記事を読んで当方、たぶん人一倍おどろいた。

日本語の原郷は「中国東北部の農耕民」 国際研究チームが発表

日本語の元となる言語を最初に話したのは、約9000年前に中国東北地方の西遼河(せいりょうが)流域に住んでいたキビ・アワ栽培の農耕民だったと、ドイツなどの国際研究チームが発表した。10日(日本時間11日)の英科学誌ネイチャーに掲載された。

【写真】歴史見つめ…100歳

 日本語(琉球語を含む)、韓国語、モンゴル語ツングース語、トルコ語などユーラシア大陸に広範に広がるトランスユーラシア語の起源と拡散はアジア先史学で大きな論争になっている。今回の発表は、その起源を解明するとともに、この言語の拡散を農耕が担っていたとする画期的新説として注目される。

 研究チームはドイツのマックス・プランク人類史科学研究所を中心に、日本、中国、韓国、ロシア、米国などの言語学者、考古学者、人類学(遺伝学)者で構成。98言語の農業に関連した語彙(ごい)や古人骨のDNA解析、考古学のデータベースという各学問分野の膨大な資料を組み合わせ……
news.yahoo.co.jp


なぜ、おどろきが人一倍だったかというと、以下のような文章を読んでいたからだ。


……世界で現に話されている言語は何千もある。だいたい三千から六千のあいだぐらい、と思ってよかろう。
数が漠然としているのは、一つには調査がゆきとどいていない地域(アフリカとかオーストラリアとか)があること、一つには、ある言語とある言語とを、別の言語とかぞえるか、方言と認めるかによって大きな差が生ずるゆえである。
まったく通じなくても方言、ということはいくらもある。たとえば近いところで、琉球語(沖縄で話されていたことば)は、かつては日本語とは別のことばと考えられていたが、いまでは日本語の一方言とされている。
逆に、フランス語とスペイン語とイタリア語とはあとでのべるように姉妹語であるから、言っていることはおよそ見当がつくそうであるが、別の言語とされている。
ともあれ、そのように世界には数千種の言語があって、日本語はそのなかの一つである。かりに、世界の人口を八十億とし、言語の数を四千とすると、一つの言語を話す人の数は二百万人ということになる。無論実際には、何億という人が使っている大言語(多数の人がとている言語)もあるし、ほんの数万人が使っているだけ、という小さな言語もある。

なかにあって日本語は、一億をこえる人が使っているのだから、世界でも指折りの大言語の一つである。

世界の何千という言語をしらべて、これをいくつかの親類集団に整理する作業が、主としてヨーロッパの学者によっておこなわれている。
たとえば、フランス語、イタリア語、スペイン語ポルトガル語ルーマニア語は、わりあい近い時代にラテン語から出で分化した、ごく縁の近い姉妹語である。まとめてロマンス語と言う。英語、ドイツ語、北欧諸語は、まとめてゲルマン語と呼び、これも兄弟語である。そしてロマンス語とゲルマン語とは、いとこくらいにあたる近縁の言語である。これらをふくめて、インドからヨーロッパにわたって分布するあまたの言語が、皆もとは一つの祖先から出た親類とされ、「インド・ヨーロッパ語族」(印欧語族)と呼ばれている。


そういう大家族もあるのに、日本語は、親類の言語が一つもない。かつては、「アルタイ語族」(トルコ諸語、モンゴル諸語、ツングース諸語等)に属すると考えられたこともあったが、いまでは否定されている。なお「諸語」とは、親類関係にある複数の言語、ということである。また、アイヌ語と類緑か、と考えられたこともあるが、いまでは否定されている。また、朝鮮語と親類か、と考えられたこともあるが、いまでは否定されている。最近では、インドの一地方で話されているレプチャ語と親類、ととなえる学者もあったが、賛同者はなかった。いま、これもインドの一地方で活されているタミル語と親類、と主張する学者がいるが、賛同者はいない。


かように、過去百数十年にわたって親類さがしが熱心におこなわれたが、見つかっていない。今後も多分見つかることはないだろう。日本語は孤立した言語なのである。


ただし世界には、孤立した言語も多い。なかで最も有名なのは、フランスとスペインの国境あたりの地方で十万人が話しているバスク語だろう。これは、周囲が全部印欧語族なのに、ポツンと一つだけ「系統不明、親類なし」なのが珍しいので、著名なのである(梅棹忠夫『実戦・世界言語紀行』岩波新書〉によればバスク人の大部分は国境のスペイン側に住んでいる。現在はスペイン語を話している人が多い、とのこと)。


なお日本語は、日本国内ではどこでもこれが用いられており、日本以外ではどこにも日本語を使っているところがない、という点でも世界にあまり例がない。

(後略)

以上は、2011年に刊行された、故高島俊男氏の、この本からである


学問は日々進歩し、「今日の不可能は、明日の可能である」(ツィオルコフスキー)であることは承知だが

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今日の不可能は明日の可能である 栄光なき天才たち「宇宙を夢見た人々」ツィオルコフスキー

それでもあの碩学が、「今後も見つかることが無いだろう」とひと昔前(ほんとうに10年前だから、ひと昔だ)に語った言葉が、今回覆されるなら、大いなるロマンです。

ただ、これまでも「やったか?●●語が日本語の起源で間違いないか?」と思われたところから、あっさりそれが覆されたのも事実。
今後の行方にまずは注目する。

ルパン三世5、6話は芦辺拓脚本。「帝都」舞台に黒蜥蜴や”黄金仮面”、明智も

第5話 「帝都は泥棒の夢を見る 前篇」

「一体これはどうなってんだ!?」なぜかルパンが降り立ったのは、昭和初期の帝都東京。そこでルパンは、銭形そっくりの警部・波越に追い回される。ルパンを救ったのは、これまた不二子そっくりの女盗賊・黒蜥蜴。彼らは皆一様に、ルパンのことを「黄金仮面」と呼ぶのだった……。幻のような異世界で、ルパンは果たして何を盗む!?

キャスト
栗田貫一大塚明夫浪川大輔沢城みゆき山寺宏一ほか
スタッフ
脚本:芦辺 拓
lupin-pt6.com

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ルパン三世 芦辺拓脚本

自分がabemaTVなどの「配信」で見られるようになったら、てきめんに放送日を気にしなくなり、そして土曜深夜の「日曜」を勘違いしちゃったために、このブログ記事が地上波放送(日本テレビ)の放送後になってしまったのはうかつだった。
各種配信への未加入者は、月曜放送の「BS日テレ」がいいだろう。あした15日は第4話なので、その翌週です。

毎週月曜23:30〜
www.bs4.jp

これから見る(※その後鑑賞済み)のであらすじからしか想像するしかないが、ルパンたちなら「なぜか」で、こういう世界に降り立ってもらうのも全然アリ。
同時進行で少年チャンピオンでは、いわゆる「異世界」にも行ってるのだし(笑)


それはそれとして、こうやって、あの時代の乱歩などの古典的なミステリ世界をクロスオーバーさせるのは、芦辺拓氏の十八番だ。

さらに想像をたくましくするなら
鬼滅の刃」の時代からはそれなりに経過しており、この世界に戦いを終えた彼らがいるなら、一家を成していい年になっているだろう。
緋村剣心たちも長生きしていれば、帝都にいてもおかしくない。




しかし、芦部氏「脚本」を執筆したのかな。その場合、放送時間との兼ね合いなどもあって、小説と脚本はやはり違うんだろうな。

あとからSNSで質疑できた









ハロウィンから「2週間」(コロナ潜伏期間)が経過しました

ハロウィン当日の「人流」自体は9%増とかへちまとか、なんかパッとしない数だったんですけど
prtimes.jp


news.yahoo.co.jp


それでも、まぁ増えたことには変わらない。

そして機械仕掛けじゃないから、14日を経過すれば確実にそれが反映されてる、ってもんでもないけど・・・・・・・・・・・・・ただ、そのハロウィンの日からちょっと気になっていたので、象徴的な数として、本日以降、何日間かは感染者数をちょっと注目しておこうかなと。

「関節技」を1番組で徹底追究! 本日の「大相撲どすこい研」は「取ったり」がテーマ.。レスリングのあの人も

「第9回・とったり篇 不思議の技“とったり”の謎を解き明かせ!」

初回放送日: 2021年11月13日(土)午前11:00ほか BS1

とったりで勝ち数が一番多いのはどの力士?その極意は「寝る」ことにあり?▽現役力士が語るコツは「コンパス」?▽決まれば逃れられない「ワナ」?▽その語源はどこから?

斬新なデータ分析で大相撲の深~い世界にいざなう番組。今回は知られざる決まり手「とったり」。意外にもこのところ決まる数が急増中。その理由を徹底的に深掘り!もしかしてあの競技の影響?現役力士たちや親方も議論に参戦!さらに返し技も大研究。実は大相撲大好き“霊長類最強女子”がその秘密を華麗に解説!あまりのレベルの高さに親方降参?ひそかに稽古にも取り入れられていた?ひたすら「とったり」だけを語り合う49分間

www.nhk.jp


サブミッションで番組丸ごと作るなんて狂気は、あんまり例がない。
しかし、それは厳然としてサブミッションである。梃子の原理である。
「私に支点と棒を与えよ、さすれば地球をも動かさん」とのアルキメデスの言葉は、カール・ゴッチが好んで引用したという。

ということで、レスリングにも当然応用されるし、どこのだれか知らんが霊長類最強女史が、その原理に精通していても全くおかしくはないのである。

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とったりはサブミッション・照強の技


明日の朝午前7時からもも再放送されるし、


NHKプラスでも配信される…と思うんだがどうだろう。

新潮45などは「問題発言『掲載』の責任」を問われたが、AERA(朝日新書?)はどうなの?(瀬戸内寂聴・記事削除問題)


2020年1月ツイート


冒頭に出てくる「アセクシャル」という言葉については、たとえばこの解説を。
ideasforgood.jp

架空人物で恐縮だが、たしかカイザー・ラインハルトがこのアセクシャルじゃないか、という話題がどこかで盛り上がったのをかすかに覚えてる。

まあ、その話はその話として
そのツイートには300以上のブクマがつき、コメントは好意的なほうが多いといった感じですが
[B! 訃報] 練郎 on Twitter: "去年の冬、AERAの記事で瀬戸内寂聴さんが書いた「不倫でもいいから恋愛すべき」という記事内の「愛した人が一人もいないなんて生まれてこない方がいい」という一節について、アセクシャルの立場から抗議のメールを送ったんですよね。そしたら本… https://t.co/M05dtBzdS7"


当方のコメントはこうだった。

えっ、こ、これ「暴露記事」や!AERAにしてみたら「うわー書かれた!」ですわ。本来ならこの話(昨年ツイートはされたらしいけど)大々的なニュースとなり、作者や編集部は削除事実とその理由を述べ謝罪に至る筈で…
https://b.hatena.ne.jp/entry/4711009612412167074/comment/gryphon


で、タイトルの話になるわけですけど。
これ、ほんとはAERA編集部への事実確認と、もしそれが事実だったら、それ(該当部分削除)に至った経緯と理由説明が必要になりませんかね?(既にあるならスイマセン!その場合は、どんなものか教えてください)


※ツイート者は「AERA」となさっていますが、記事がこれだとしたら、サイトのブランド名が「AERA.dot」で、サイト運営は朝日新聞出版、末尾書名は「朝日新書」なので、直接的にAERAなのか一寸わからないです(たとえば編集・掲載の権限と実務はAERAかもしれない。名前が「アエラドット」な時点でAERAに責任があるのかもしれない)
dot.asahi.com


そして、要は「新潮45」の時のようなあれこれの処置が必要になるんじゃないかと。

【疑問点】
・上記ツイートのような事実関係はあったと、AERA,dot 運営企業(朝日新聞出版)は認めるのか
・2020年に?どこの発表文章をどのように、削除したのか。
・削除前のネット配信記事、あるいは雑誌掲載記事?の記述は、遡って無効とするのか、訂正するのか。
・その事実は当時、どのように公にアナウンスされたのか。それとも公へのアナウンスはなかったのか。
瀬戸内寂聴氏の単行本からの削除も含め「削除の理由」は何か。
・その一文が差別扇動の文章だったと認めるのか。
・謝罪・反省の念を表明したのか。これからするのか。
・その場合、それを「掲載した」責任はあるか。どのようにその責任を取った、或いはこれからあるのか。

こういった質問を、仮にオフィシャルに投げかけたら、どういう返答が返ってくるか……と、想像する(想像するだけ)。

f:id:gryphon:20211113044606j:plain
瀬戸内寂聴氏が晩年に差別発言を抗議され、削除改変したという説がある

とはいえ、別にこれに関して「そういうことをしなければならない」、と考えているわけではない。

だが
ポリコレの真似とて大路を走らば 即ちポリコレなり(徒然草より)

以上。


参考:「新潮45」休刊に際しての、朝日新聞社

老舗出版社の誇りは、どこにいってしまったのか。そう言わざるを得ない事態だ。

 新潮社がおととい、月刊誌「新潮45」の休刊を決めた。事実上の廃刊である。

 LGBTの人を「『生産性』がない」と書いた自民党杉田水脈(みお)衆院議員の原稿を8月号に掲載し、批判を浴びると、今月18日発売の10月号で「そんなにおかしいか」と題する企画を組み、7人の論考を集めた。これにもLGBTの当事者や支援者のほか、作家や文化人、書店などから抗議の声があがり、21日付で佐藤隆信社長が「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」との声明を出していた。

 休刊を伝える文書には「企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていた」「深い反省の思い」などの言葉が並ぶ。だが、そこに至った経緯はきわめて不透明だ。

 いったい、どの筆者の、どの表現に問題があったと考えているのか。この問いにも、同社は「外部の筆者だから特定は控えたい」と言うばかりだ。企画に関する編集部内での話し合い、原稿を受け取った編集者の認識、筆者とのやり取りの有無などは明らかにされず、再発防止の取り組みも見えない。

 これでは言論機関の責任放棄と言われても、やむを得ないだろう。10月号の企画の冒頭で「真っ当な議論」を呼びかけたにもかかわらず、一気に休刊に走って議論の可能性をみずから閉ざしてしまったこととあわせ、疑問は尽きない。

 出版不況のなか、「新潮45」の実売部数も最盛期の約5万7千部から約1万部に落ち込んでいた。近年、ネットでの過激な発言で知られる書き手を登場させるなどして、読者をつかもうとしたものの、歯止めはかからなかった。そんな悪循環が、結果として出版文化への信頼を傷つけてしまったのか。

 雑誌ジャーナリズムは、タブーに切り込む力や、発想の柔軟性、多様な企画力などで、大きな足跡を残してきた。しかしそれが、少数者や弱者へのバッシングに向かい、人権を傷つける道具になってしまったら、人々の信頼を失い、表現・言論の自由の危機を招く。

 ヘイトスピーチに代表される、事実を踏まえず極端に流れる言説が後を絶たないいま、社会全体で、言論の公共性とは何か、メディアが果たすべき役割とは何かを問い直したい。

 そのためにも、新潮社は今回の問題について検証し、その結果を社会に示す責任がある。


www.asahi.com