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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

新書大賞(中央公論社)2020が発表。1位は大木毅氏『独ソ戦』(岩波新書)

中央公論 2020年 03 月号 [雑誌]

中央公論 2020年 03 月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/02/10
  • メディア: 雑誌


独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)


ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)

  • 作者:宮口幸治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: Kindle


教育格差 (ちくま新書)

教育格差 (ちくま新書)





幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)


女性のいない民主主義 (岩波新書)

女性のいない民主主義 (岩波新書)



一切なりゆき 樹木希林のことば (文春新書)

一切なりゆき 樹木希林のことば (文春新書)



オスマン帝国-繁栄と衰亡の600年史 (中公新書)

オスマン帝国-繁栄と衰亡の600年史 (中公新書)




www.chuko.co.jp


この新書の賞、だいぶ権威感、ステータス感を増していると個人的には思う。「賞」としての成長も併せて見守りたい

ドラえもん・ひみつ道具の「AI手塚治虫」、そのAIに「敬語を使う」ドラがエモい。

と、いう視点から。



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ドラえもん、AI手塚治虫にも思わず敬語を使う

藤子不二雄コンビが、というかトキワ荘グループはほとんどみな、手塚治虫を神のごとく仰いで漫画の道に入ったことは論を待たないが、ある時期に手塚との葛藤があった石ノ森章太郎…などなどとは別に、藤子・F・不二雄先生が、晩年までかなり純粋な手塚崇拝者だったことは事実のようですね。


晩年、大御所になったときも、うっかり編集者が手塚治虫を揶揄というか批判したところ、その人が藤子プロ出入り禁止になったという話は有名。

この話は大全集のあとがきのどこかにあることは間違いないのだが、今回改めて検索してみた所「ミラ・クル・1」の回に、当事者の千葉和治コロコロコミック初代編集長が回想しているようだ。

藤子・F・不二雄大全集 ミラ・クル・1/宙ポコ/宙犬トッピ

藤子・F・不二雄大全集 ミラ・クル・1/宙ポコ/宙犬トッピ

巻末に初代コロコロコミック編集長の千葉和治さんの
あとがきが掲載されています。
千葉さんが手塚先生を批判したときには
温厚で誰にでも優しかった、あのF先生が
ひどく怒ったというこぼれ話なども楽しかったです
plaza.rakuten.co.jp

手塚治虫をdisった編集者が藤子・F・ 不二雄に大激怒され、1週間の出禁になった話は知っていたのだが、
後書きが月刊コロコロコミック初代編集長、千葉和治で、その事を書いていたので編集者が誰だったかが解った。
でも、この文面を読むに千葉和治は「手塚治虫の新人潰し」を批判した事だったらしい。
だとすれば、石ノ森章太郎とのジュン事件を筆頭に「手塚治虫の新人潰し」は事実だから言われても当然だろと。
read.seesaa.net

関連まとめ

togetter.com



とりあえず、こういう人とは大違いであった

「インターネットが初めて来た時代」を描く漫画「オンラインの羊たち」という作品がある

viewer.heros-web.com

1999年、とある片田舎。3人の中学生男女は、誰にも知られることなく情報を発信できる新たなツールを手に入れた。時間も距離も関係なく、顔の見えない相手とも繋がれる自由なネットの海に、彼らは飛び込んで行って……。忘れられないオンラインの青春が今、始まる! チャットでマニアックな会話を楽しんだり、お絵かき掲示板に常駐したり――“テレホタイム”が待ち遠しくて仕方なかったインターネット黎明期を描いた、ネット時代の新感覚ノスタルジックストーリー!

オンラインの羊たち 1巻 (ジヘン)

オンラインの羊たち 1巻 (ジヘン)

  • 作者:詩原ヒロ
  • 出版社/メーカー: Nagisa
  • 発売日: 2018/11/29
  • メディア: Kindle
オンラインの羊たち 2巻 (ジヘン)

オンラインの羊たち 2巻 (ジヘン)

  • 作者:詩原ヒロ
  • 出版社/メーカー: Nagisa
  • 発売日: 2018/11/29
  • メディア: Kindle

と、いう作品なわけです。

全然存在をしらなかったけど、作者は 詩原ヒロ というかたで
twitter.com

この作品はどこかのアプリで連載されてた。 で、これがアプリ時代、ネット漫画時代のおもしろさだろうけど、そのサイトなのか、また別のサイト?なのか「リバイバル連載」というのが始まったらしいのね。
ああ、あれか、月刊HERO'Sの公式サイトか…以前「異世界もう帰りたい」の時で見つけたよ。そのまま忘れてたよ(笑)


あと、この前のひろゆきインタビューに出ていた「初期のインターネットはほとんど男性がやっていた」が事実かどうかって議論とかするんで、その流れで話題になり、紹介されているようだ。

www.huffingtonpost.jp

その時代の「あるある」も一般常識も、言い残しておかないと伝わらない、と実感

パソコンがテレホーダイの時間じゃないとつなげないなんて当たり前のことじゃん、とかいうのも肌感覚でわかる。だから正直「この作品、当時の当たり前の日常と、それへのリアクションを当たり前に描いてるだけでちょっとひねりがないんじゃない?」と思う部分も最初の最初はあった(笑)

だが、ネット黎明をWIN95の出た1995年とするなら、もう25年、四半世紀。ど根性ガエルの先生の、教師生活と同じ年数なのだ(笑)
そして自分に置き換えてみたまえ。テレビが来てから生まれた子はテレビが当たり前、ビデオが最初から家にあった子はビデオが当たり前だった。
家に初めてテレビが来た日、ビデオを初めて買った日を鮮明に覚えている世代とは、感覚が違っていて当然だったではないか。


それはインターネットも、2ちゃんねるも、Iモードも、ブログも、togetterも、youtubeも、スマホも…まったく同じ道をたどっているのだ。


だから、天下のNHKだって「インターネットの歴史を振り返る」特番を流したし、なんといっても、そういう黎明期を回想する「インターネット老人会」という洒落た造語も生まれた(この造語者は誰ぞ?あなたには、名誉を受ける権利がある)

ゲームには、そんな黎明期を回想する漫画がかなり出ている。

ピコピコ少年

ピコピコ少年

ピコピコ少年EX

ピコピコ少年EX

8bit年代記 (GAME SIDE BOOKS)

8bit年代記 (GAME SIDE BOOKS)



その他リンク集
plan-ltd.co.jp

ならば、
ほぼ隣接ジャンルというか、そこからつながってネット黎明期を語る作品もないではないけど、ゲーム回顧からの派生ではなく、真正面から「インターネットの時代を回顧する漫画」があっても、それは面白いはずだ。

いまは昔のものがたりか、今なおなのか…漫画やアニメにはまったり、その絵を描く人は「オタクだオタクだ」とはやされた時代。

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インターネット黎明期を描く「オンラインの羊たち」


特に田舎、地方だと、マイナーな趣味を「同じように愛好する人」がどこに何人いるのかもわからない。雑誌には「ペンフレンド募集」コーナーが並ぶ。

f:id:gryphon:20200209092833j:plain
インターネット黎明期を描く「オンラインの羊たち」

そんな中でインターネットには、周りでは誰も話をしていない、自分が大好きなあのジャンルの「ファンサイト」がある!!

f:id:gryphon:20200209092901j:plain
インターネット黎明期を描く「オンラインの羊たち」


はい、これらの感覚を、基本、今の20代、30代は「知らない」「実感していない」のです。
ならば、語り継ぐべし。
と、いう作品なわけです。

・人は、自分が生まれた時に既に存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる
・15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられる
・35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる

ダグラス・アダムスの法則
togetter.com

f:id:gryphon:20200209095105j:plain
杉田玄白は「蘭学事始」で解体新書の苦闘を記録する(みなもと太郎風雲児たち」)

書洩かきもらしは? と歴史家が聞く。
 書洩らし? 冗談じょうだんではない、書かれなかった事は、無かった事じゃ。芽の出ぬ種子たねは、結局初めから無かったのじゃわい。歴史とはな、この粘土板のことじゃ。
 若い歴史家は情なさそうな顔をして、指し示された瓦を見た。それはこの国最大の歴史家ナブ・シャリム・シュヌ誌す所のサルゴン王ハルディア征討行せいとうこうの一枚である。話しながら博士の吐はき棄すてた柘榴ざくろの種子がその表面に汚きたならしくくっついている。
 ボルシッパなる明智の神ナブウの召使めしつかいたもう文字の精霊共の恐おそろしい力を、イシュディ・ナブよ、君はまだ知らぬとみえるな。文字の精共が、一度ある事柄を捉とらえて、これを己の姿で現すとなると、その事柄はもはや、不滅ふめつの生命を得るのじゃ。反対に、文字の精の力ある手に触ふれなかったものは、いかなるものも、その存在を失わねばならぬ。
www.aozora.gr.jp

そんなわけで「ふらっとヒーローズ」で「インターネット黎明期回顧マンガ『オンラインの羊たち』がリバイバル連載中」と覚えてもちかえってください。
viewer.heros-web.com


あと、この作品は今現在、「マンガ図書館Z」に載っていたが、「リバイバル連載」に伴って(かな?)マンガ図書館Zから作品公開を引きあげるらしい。
こういう仕組みもあるんだね。

オンラインの羊たち 1
著作者:
詩原ヒロ
提供出版社:
Nagisa
閲覧数:7,087

本作品は2020年02月14日にて掲載を終了しますので、お早めにお読みください!「WEB本棚」に登録されている場合には
終了日に自動で削除されます。
www.mangaz.com
www.mangaz.com

参考別記事

この作品は、あとから当時を回想したものだから、この一覧で探した資料とは違うけど、隣接はしているので。
m-dojo.hatenadiary.com

『8.6秒バズーカー』は「原爆投下日との連想に『十全な検討』が無かった!(意図的でなくても)」と怒られて然るべきなのかなあ(イヤイヤイヤ)

headlines.yahoo.co.jp
集英社は7日、『週刊少年ジャンプ』2020年10号に掲載された連載漫画『僕のヒーローアカデミア』第259話に登場したキャラクター名について、「中国をはじめとする海外の読者の皆様に不快な思いをさせてしまいました」と謝罪した。作者の堀越耕平氏も「大勢の方に大変不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません」とコメントを発表した。

【画像】ジャンプ編集部が投稿した『ヒロアカ』キャラ名についての謝罪文

 同作に登場したキャラクター「志賀 丸太(しが まるた)」について、「過去の悲惨な歴史の記憶を想起させるとのご指摘を、中国をはじめとする海外の読者の方々から多くいただきました。『志賀(しが)』は他の登場人物名の一部から、『丸太(まるた)』はその外見から命名したもので、過去の歴史と重ね合わせる意図は全くありませんでした」と説明。

 その上で「しかしながら、『悪の組織の医師』というキャラクターの設定とこれらの名前が合わさった結果、中国をはじめとする海外の読者の皆様に不快な思いをさせてしまいました。事前に編集部が表現について十全な検討を行うべきでした。深くお詫び申し上げます」


「ヒーローアカデミア」未読の作品ですので、当初はあまり追っていなかったのですが(ほぼ、はてブ経由)、そんなブクマなどでちょっと目にしたのが「8.6秒バズーカー」という名前。(その連想に、最初に至った方々に敬意を表します)
これも、すべてはてな経由で見知った話題だったなァ…と思い出すのっでした。もう遥か以前……とオモタら、まだ5、6年前の話かいな!! 
これも自分、ネタ自体はほとんど目にしてねーーー。ラッスンゴレライがコンビ名か、8.6秒バズーカーがコンビ名かもわからんかったし、バズーカじゃなくて最後に「ー」が入るのも初めて知ったわ。


ただ、世界に開かれた窓、はてなブックマークのおかげで、うっすらと騒動は覚えている。

その総括、後日談のような記事が昨年出て、話題になったよね。

times.abema.tv

で、これではなく、配信されたヤフー記事に多くのブクマがついた。
b.hatena.ne.jp
※記事自体は消えてる。ブクマを読んでください


で、当時も、何しろコンビ自体を知らないものだから、とりたてて大きな関心はなかったけど、
「8.6秒の8.6が広島原爆投下の8月6日に由来するなんてこじつけ、デマのたぐいだろう。そりゃまた災難だな」と思った。
いまでもそれにはまったくかわりない。
意図的に、広島原爆投下にちなんだ名前をコンビがつけた、なんて意図にまで踏み込んで決めつけるのは邪推のたぐいだ。


だが。
世は令和になり、テン年代も境を迎えたいまとなっては、別の解釈と判断があろう。

なにしろ、「8.6」は数字としても、そのあとにつくのはバズーカー…軍事用語である。しかも「爆発」と関りある言葉である。

いつしか成立、施行されてた「事前に十全な検討を行わなかった罪」には問われるんじゃないかな???
(※罪とは法的な意味ではありませぬ)


abemaTVのニュースで書かれているこれら……

f:id:gryphon:20200209012833j:plain
8.6秒バズーカーが言われたあれこれ。「意図的」とするのはデマでも「事前に十全な検討を行うべきだった」???


これらも、「意図的にこんな意味を込めてやってた!!」は「バカバカしい、そんなことあるかい」でございますが、「そういうふうに連想されないよう『事前に十全な検討を行うべきだった』のでは?」と言われたら…はてどうしよう。


というか、今回の「ヒーローアカデミアの一件」に関して、8.6秒バズーカーコンビにご意見を伺う、語ってもらうという企画はどうでしょう??
これ、けっこうリーズナブルなギャラで引き受けてもらえるんじゃないでしょうか???

最後の最後に、すごい企画を思いついてしまった。ネットメディアでも活字メディアでも、当方に無断でやってもらってかまいませんよ。(了)


先におの二者の共通性を論じた方がいたようだ

コメンテーターで「BuzzFeed Japan」記者の神庭亮介氏は「まず(お笑いコンビ)8.6秒バズーカーの『ラッスンゴレライ』を原爆投下と関連付けるデマが広がってすごく叩かれたことを思い起こした。実際に読んでみて『731部隊』を強く想起させるような内容ではなかったので、批判がやや強引かなと感じました」と同問題についての印象を語った。

times.abema.tv

漫画「望郷太郎」に説明抜きで「ポトラッチ」が登場したので、超絶おもしろSF「ポトラッチ戦史」(かんべむさし)も紹介したい

まず山田芳裕「望郷太郎」に関しては説明は省く。なぜならこの前、こういう記事を書いたし
m-dojo.hatenadiary.com

1-3話が無料で読めるコーナーもまだあるからだ。
comic-days.com


ようはそういった、いつの時代かわからなけど今から遥か未来……。
それも文明がいったん滅び、前近代的異世界っぽい世界になったと地球を、冷凍睡眠で「現在」から来た日本人が旅をするってSF話。


で、旅するなかで出会った村で、別の村とのまつりがあるのですが、これが「ポトラッチ」なんです。

ポトラッチ。
はいこれ、基礎教養だよね?みんな説明抜きでしってるよね……?  ってことがあるわけねー。サブカルというかSF的、民俗学的伝奇的なことを知りたがる界隈でしか通じない。
togetterで結構話題になる「あなたの『四神』はどこから?」「あなたの『臨兵闘者皆陣烈在前』はどこから?」と同じよーなもんだ。少なくとも義務教育で教えてくれるような知識ではないはず。

ところが山田芳裕はやっぱりガチで、これをナレーションで説明とかしてくれない。白土三平梶原一騎は、実はお母さんのようにやさしかったのだ。

しかし、まったく説明抜きにポトラッチが出てくるから、その異様な迫力や、「全く理解できないが、何かの論理と共有されている常識が、あの世界にはあるんだろうな」…と感じさせるものがあるのも事実。
では、実際に見てみよう。

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山田芳裕「望郷太郎」で描かれた『ポトラッチ』
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山田芳裕「望郷太郎」で描かれた『ポトラッチ』
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山田芳裕「望郷太郎」で描かれた『ポトラッチ』
以上、週刊モーニング7、8号より

例によって、サイト「コミックDAYS」有料会員なら、まだまとめて読める。
comic-days.com

ja.wikipedia.org

チヌーク・ジャーゴンで「贈る」または「贈り物」を表す言葉に由来する。ポトラッチは太平洋岸北西部先住民族の重要な固有文化で、裕福な家族や部族の指導者が家に客を迎えて舞踊や歌唱が付随した祝宴でもてなし、富を再分配するのが目的とされる。ポトラッチは子供の誕生や命名式、成人の儀式、結婚式、葬式、死者の追悼などの機会に催された。太平洋岸北西部先住民族の社会では、一族の地位は所有する財産の規模ではなく、ポトラッチで贈与される財産の規模によって高まった。ヨーロッパ人と接触する以前は、保存性のいいキャンドルフィッシュ(Thaleichthys pacificus)の油や干物、カヌーが贈与され、特に裕福な者のポトラッチでは奴隷が譲与されることもあった。

白人との交易が活発になると、先住民族社会の富の偏在が先鋭化し、また疫病の流行により部族内の重要な地位に空きができたことから18世紀後半から19世紀初めにかけてポトラッチのインフレーションが起こった。食料では、干物の他に砂糖や穀粉が分配されるようになり、毛布や金属製品、等価交換の媒体として用いられる装飾された金属、現金までが贈与された。等価交換の度が行き過ぎて、片方が貴重な品を破壊するともう片方もそれと同じ価値の品を破壊する、というふうに、分配された品物が受け取られた直後に破壊されることもあった。クヮクヮカワク族などでは社会的地位をめぐりポトラッチ開催の競争が起こった。


頼みのウィキペディアもいまいちわかりにくい。俺なりにもっとざっくりいうと
アメリカ大陸先住民の風習で、部族同士で「贈り物」をする。
・それは単なる好意ではなく「こんな贈り物をできる俺らはSUGEEEんだぞ。お前らはその下な」を意味し、上下関係や主従関係を左右する。
・それはどこかで過剰になり「貴重なものを相手にあげる」ではなく「貴重なものを目の前でぶっ壊す」にまでなる。


・・・・・・という、実在した風習なんです。初めて聞いた時はおいらも「いやー、なんて奇妙キテレツな風習なんだろう」と思いつつ「いや、そこに至る思考過程は、なんとなーくわかるな」とも思ったものでした。

で、これを題材に、80年代の現代思想、ゲンダイシソーは「過剰と蕩尽」だとかバタイユだとか栗本慎一郎だとか、そのへんがこのへんをあれこれ言ってたらしいし、自分も確かにそれで断片的に知識を得てはいるのだが、そんなものを紹介するほど俺は暇人ではないし、悪人でもない。
金銀財宝盗んでも、畜生外道と現代思想語りは許せねえ。



だから紹介するのはかんべむさし「ポトラッチ戦史」のほうなのである。長編化ものちにされたらしいが、そっちは未読だ。

中核は、けっこう単純なワンアイデア・ストーリーなのである
世の中、いいんだかわるいんだか、最近はこういうフィクションのあらすじ書いていかがでしたかなサイトもあり
ara-suji.com
実際にこれを読めばあらすじはつかめるんだけど、ちょっと業腹なので自分なりに語る。

コロンブスが、探検の旅の中でポトラッチに出会う(事実)
コロンブスはこの風習を、タバコや梅毒のように(笑)、欧州に持ち帰る。そしてポトラッチはたばこや梅毒のように、欧州から世界中に広まる(笑)
・ポトラッチはある意味戦争の代わりであるから(事実)、以降の世界の歴史は「戦争」に「ポトラッチ」が代入される。
・つまり、第一次世界ポトラッチの惨禍のあと、ヒトラースターリンルーズベルトや東條が、さらにすさまじい「第二次世界ポトラッチ」を……


ここの「パピルス」という電子書籍サイトでは、一篇から読めるっぽいが。
サンプルより。

… 「ええ、それでは唯今より、ソ連邦の名において、米中両国に対し、礼をつくさせていただきます」
 アナウンサーは言い、採掘されたダイヤモンド鉱を無造作につかんで、かたわらに設置された超高熱炉の中へ放り込んだ。
 「さあ、皆もやってくれたまえ」
 声に応じて、採鉱夫達がワッとむらがり、我がちにダイヤを投棄しはじめた。
 「この、この」
 「ダイヤ鉱、燃やしてみればただの炭」
 画面がかわり、シベリアの大森林地帯が写った。飛行機からの空撮だった。
 「紹介しましょう」
 別のレポーターが快活に言った。
 「ピオネール少年団の諸君達です」
 眼下にひろがる無限ともいえる巨木の陰から、これまた無限とも思える子供達が現われ、空を見あげて手をふっていた。それぞれの手の先でキラキラと光っているのはノコギリらしい。
 「この母なる大地の大森林と、それを倒す彼らの貴い労働力。この二つの価値を同時に提供いたしましょう」
 合図があったらしく、少年達はいっせいに巨木の根本でノコギリを使いだした。何十万何百万本の銀の刃が、キラッキラッと規則正しく光っている。光って地の果てまでつづいている。
 「ふうむ」
 大統領は腕を組み、ため息をついた。
 「手強い奴らだな」
 「こちらも、よほど覚悟を決めませんと」
 「中国はどうなんだ」
 「すぐ写ります。これもなかなかです」
 地肌に蟻の大群が写った。ウジャウジャと集まり離れ、動いている。これも空撮だ。
 「奴ら、何をしているんだ」
 「いまに分ります」
 グッとカメラがアップした。
 「あっ」
 ブラウンは思わず声をあげた。
 「万里の長城を崩している」
www.papy.co.jp

書いててなんだけど バカバカしいな、この話!!

しかし、そのバカバカしさこそが、異能のSF作家かんべむさしの真骨頂であり、われわれはそれに熱狂したのでした。

うちでは「かんべむさし」について以下のような記事を書いていたけど
かんべむさし の検索結果 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

気合を入れて本格的に書いたのはこれぐらいか。
m-dojo.hatenadiary.com

かんべむさし作品を再度紹介して、再ブームを作りたい、という夢想はしているんだけど、力不足で果たせていません。
少しツイートしたものを、ほかの人がまとめてくれてた。
togetter.com


補足続報 「20年25号」にて、文章での『ポトラッチ』解説記事が掲載された。筆者は中沢新一氏だが…

描いたあと、「あっ、ポトラッチの説明全然してねーや、通じないかもしんね」とやっと気づいたんだなコレ(笑)

連載が再開された、週刊モーニング 2020年25号にて、ポトラッチの解説記事が載っていた。
ただ、執筆したのは、学問的な姿勢にさまざまな批判のある中沢新一氏であったことも、批判的に付け加えておきたい。

シャーロック・ホームズが『どう愛されてきたか』を追ったノンフィクション『〈ホームズ〉から〈シャーロック〉へ』



ドイルによるその創造から、世界的大ヒット、無数の二次創作、「シャーロッキアン」の誕生とその活動、遺族と映画/ドラマ製作者らの攻防、そしてBBCSHERLOCK』に至るまで――

140年に及ぶ発展と受容のすべてがわかる、初めての一冊。
ミステリマニア必携の書!

受賞!
スウェーデン犯罪小説作家アカデミーベスト・ノンフィクション賞/ドイツ・シャーロック・ホームズ協会青いカーバンクル賞/アガサ賞ベスト・ノンフィクション賞/ロンドン・シャーロック・ホームズ協会トニー&フリーダ・ハウレット文学賞


(…)これは「シャーロック・ホームズ」というキャラクターの創造と発展と受容を本格的に総合し俯瞰した、世界で初めての研究書なのだ。
コナン・ドイルの伝記は、彼が亡くなった一九三〇年で終わる。しかし本書では、ドイルの遺族たちがその後「シャーロック・ホームズ」に振り回される姿が、辛辣に描き出されている。また映画の研究書ではあまり描かれることがない、クランクインに至るまでの関係者の駆け引きや苦悩、さらに作られずに終わってしまった顚末までが語られる。
そして今まで日本ではほとんど知られることがなかったのが、「シャーロッキアン」がどのようにして生まれ育っていったのかということだ。(…)本書のおかげで、英米シャーロッキアンたちがどのようにして「シャーロック・ホームズ」を受容し育てていったのか、そしてどのような騒動に巻き込まれ、道を阻まれようとしてきたのかが、わかるようになったのである。(平山雄一「監訳者あとがき」より)
内容(「BOOK」データベースより)
ドイルによるその創造から、世界的大ヒット、無数の二次創作、「シャーロッキアン」の誕生とその活動、遺族と映画/ドラマ製作者らの攻防、そしてBBCSHERLOCK』に至るまで―140年に及ぶ発展と受容のすべてがわかる、初めての一冊。ミステリマニア必携の書!

著者について
マティアス・ボーストレム(Mattias Boström)
1971年、スウェーデン生まれ。作家、編集者、シャーロック・ホームズ研究家。ベイカー・ストリート・イレギュラーズに所属するシャーロキアンとして、30年にわたり精力的にホームズに関する執筆活動と、書籍、冊子の編集に従事している。本書のスウェーデン語版Från Holmes till Sherlock は、スウェーデン犯罪小説作家アカデミーのベスト・ノンフィクション賞を受賞した。また、英語版はアガサ賞ベスト・ノンフィクション賞を受賞し、エドガー賞候補にもあげられた。ストックホルム市郊外に妻とふたりの娘と暮らす。

平山雄一(ひらやま・ゆういち)
1963年、東京都生まれ。東京医科歯科大学大学院歯学研究科卒業、歯学博士。日本推理作家協会、『新青年』研究会、日本シャーロック・ホームズ・クラブ、ベイカー・ストリート・イレギュラーズ会員。著書に『明智小五郎回顧談』(ホーム社)、『江戸川乱歩小説キーワード辞典』(東京書籍)など、訳書に、ジャック・フットレル『思考機械【完全版】』(全二巻)、バロネス・オルツィ『隅の老人【完全版】』(以上作品社)、ファーガス・ヒューム『質屋探偵ヘイガー・スタンリーの事件簿』(国書刊行会)など。

ないとうふみこ
上智大学英語学科卒業。翻訳家。訳書に、アンドルー・ラング『夢と幽霊の書』(作品社)など。子どものころからの野球ファンでもあり、フィル・ペペ『コア・フォー──ニューヨーク・ヤンキース黄金時代、伝説の四人』(作品社)の訳書もある。

中村久里子(なかむら・くりこ)
立教大学文学部心理学科卒業。翻訳家。訳書に、ヨナス・ヨナソン『世界を救う100 歳老人』、『国を救った数学少女』、スザンヌ・ジョインソン『カシュガルの道』(以上西村書店)など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ボーストレム,マティアス
1971年、スウェーデン生まれ。作家、編集者、シャーロック・ホームズ研究家。ベイカー・ストリート・イレギュラーズに所属するシャーロキアンとして、30年にわたり精力的にホームズに関する執筆活動と、書籍、冊子の編集に従事している。スウェーデン語版Fr〓n Holmes till Sherlockは、スウェーデン犯罪小説作家アカデミーのベスト・ノンフィクション賞を受賞した。また、英語版はアガサ賞ベスト・ノンフィクション賞を受賞し、エドガー賞候補にもあげられた。ストックホルム市郊外に妻とふたりの娘と暮らす

平山/雄一
1963年、東京都生まれ。東京医科歯科大学大学院歯学研究科卒業、歯学博士。日本推理作家協会、『新青年』研究会、日本シャーロック・ホームズ・クラブ、ベイカー・ストリート・イレギュラーズ会員


まだ読んでいない。
上に紹介した北原尚彦氏の3ツイートとAmazon紹介文を読んだだけだが、これはもう推理ではなく、俺の直感が、「この本はおもしろい」と言っている!!!


9日UFCはジョン・ジョーンズ登場!!…なんだけど、相手の計量がギリギリだったようで…


――JJはUFCの“パウンド・フォー・パウンド”ランキング1位と、まさに“最強の中の最強”ではありますが、2018年12月に復帰以降の戦いぶりに「ちょっと物足りない」との声も一部であります。高阪さんはどう感じていますか?

「たしかに、以前のように超アグレッシブに攻めるシーンは少なくなっていますね。大人の戦いをするようになったというか。ただ、要はポテンシャルがそもそも高いので、相手の攻撃を流しながら自分の距離やタイミングでしか攻撃を出さない、という戦い方をしても、そこまで攻め込まれることがないと思うんです」

――やや安全策をとっても、しっかり勝つことができている、と。

「例えば、アグレッシブに攻めることを信条としていた選手が“ちょっと俺は戦い方を変えた方がいいんじゃないかな?”と思って、ややディフェンシブな戦い方に変えると、大概やられるものなんですよ。でも、JJはそうなっていないということは、より無駄のない攻めができるようになっている。だから競技者目線からすると納得できるんです。それが昔のJJらしくないと言えば、そうなんですが(笑)」


gonkaku.jp


しかし、隙の無いJJに挑戦する立場の相手は…


だいじょぶかね。いまやってる「はじめの一歩」の木村みたくなるんじゃないか? 1R序盤からもうラッシュとかさ。