ロシア軍象徴「Ｚ」表示を禁止 ドイツの２州、違反なら禁錮刑も
2022年03月27日08時04分
【ベルリンＡＦＰ時事】ドイツのニーダーザクセン、バイエルン両州は２６日、ウクライナに侵攻したロシア軍がシンボルマークとして使っている「Ｚ」について、公の場で表示することを非合法化したと明らかにした。
＜ウクライナ情勢 関連ニュース＞ウクライナ侵攻を支持するためデモで掲げたり、車や建物にペイントしたりすると、最高３年の禁錮刑や罰金が科される可能性がある。バイエルン州のアイゼンライヒ法相は「ロシア軍の『Ｚ』を使うシンパたちは、犯罪行為の是認により訴追される恐れがあるということを知らなければならない」と…（後略）
www.jiji.com
これへの反応ブクマを見てたら…ちなみに自分のコメントはこんな感じ。
本当にシンパが同州にどの程度いるかは別にして、良くも悪くも日本ではこういう禁止規定は原理的には相当難しい（というか無理に近い）。その原則は、むしろこうやって即座に禁止できるより良いと思っている。
https://b.hatena.ne.jp/entry/4717310195165537858/comment/gryphon
だが、ざっくりした多寡の比較でいうと、批判論のほうが優勢なようで、へーっと思った。
[B! ドイツ] ロシア軍象徴「Ｚ」表示を禁止 ドイツの２州、違反なら禁錮刑も：時事ドットコム
というのは、結局このへんは究極的には、「戦う民主主義（自由の敵には自由を与えない）」と「自由の敵にも自由を与える（思想の自由市場）」との対立なわけで、そして前者は、まあざっくりいうとヘイトスピーチ規制とか性表現規制とかにも思想上は近くなる。後者はそれに対しての警戒心や疑念を発する立場。
そこで、ロシア支持の「Z」を規制するドイツの２州の政策に批判的な立場が大きいなら、このふたつにおいて闘う民主主義より、思想の自由市場のほうに、いまだに好感を持つひとが多い、のかなと思いました。
ただ！こちらの反対意見は「Z」が本来的な意味においてはあまりにも使われているので、ドラゴンボールからウルトラマンからガンダムからマジンガーまでもろもろもの「Z」が拒否されるのでは、という意味で反対したのかな？？？、…という疑念もある。
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そういうなじみ深い既成のシンボルを、あとから悪の側が”乗っ取った”時にはその理不尽は分かりやすいからね。
「OK」マークが、指や手首の形をなぞると「WP」になり「White Power」＝白人至上主義と人種差別のシンボルだ！みたいになって…という奇譚があったっけ。
forbesjapan.com
ただ、その手のはなしはまた本来的な「戦う民主主主義」ｖｓ「自由の敵にも自由を与える（思想の自由市場）」とはちょっと別の話なんだけれどもなあ……。
ちなみにドイツはロシア支持の「Z」禁止に先立ち、イスラムの憎悪のシンボル……とみる人はみる、IS（イスラム国）の黒旗も、ちゃんと？禁止にしている。
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ときに、さらにちなみにだが、黒旗はISだけが神聖視するのではなく、むしろイスラムの正統な神聖シンボルであったりするからややこしい。ISは主観的には我らこそ正当なイスラム、イスラムのど真ん中を行くぞ！（これじゃISじゃなくてWJだ（一部（笑））という自認だから、イスラムど真ん中のシンボルを掲げる。
それを禁止されたら、元からその正統のシンボルを神聖視してた人間の立場は？？…ってのも仏教で「卍（まんじ）」をいただいた我ら東洋の民も、まったく無縁の話ではないし。
そもそもドイツはこれらの規制に「公共の平穏」を前面に立てていて、そこも過激といえば過激
⑴ 民衆扇動罪（130 条 1 項）
民衆扇動罪は、公共の平穏を害するのに適した態様で、住民の一部に対する憎悪を挑発し、又はこれに対する暴力的措置もしくは恣意的措置を扇動した者や、住民の一部を誹毀し、悪意で軽蔑し、又は不実の誹謗をすることによって他人の人間の尊厳を攻撃した者を処罰する。（略）
1994 年の改正により、130 条 3 項として、公共の平穏を乱すのに適した態様で、公然と又は集会で、ナチスが行った民族謀殺を是認、存在の否定、又は矮小化した者を、5 年以下の自由刑又は罰金に処す、というホロコースト否定罪が新設された48。そのため、ホロコースト否定罪には「人間の尊厳への攻撃」という要件は規定されておらず、
保護法益は「公共の平穏」と解されている。
https://core.ac.uk/download/pdf/288634148.pdf
さらに、ちなみにだが、しばしば保守派のほうが支持が多いと思われる、『国旗や国章などを法的に保護しよう』という動きも…、彼らが思想的に徹底してないからかどうかしらねーけど（笑）、考えてみれば一種の「闘う民主主義」との親和性のほうが高いのだ。
というか、国旗（などの神聖なシンボル。マイノリティのそれも含む）を損壊したり汚したりするパフォーマンスを一種の「ヘイトスピーチ」とみなせば、国旗などの善なる・神聖なるシンボルをそのようにする行為を処罰しようというのもＨＳ規制の変形、その一種なのだから。
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