みなもと太郎「風雲児たち」の作中時間は、文久2年(1862年)をもって、未完となった
ペリー来航の1853年から、明治政権が樹立された1868年までを幕末とするとして、あと6年ある。
■2020年7月5日(日)お仕事場
先生からご病気についての詳しいお話を伺う。
「3月までは飯もうまかったし呼吸も苦しくなかった。今は食事は面倒なのでおかゆ。肉食えうなぎ食え、体力つけるために動物性タンパクようけとれ言われてる」「仕事してる時の方が楽。横になって休んでいる時が一番苦しい」「治療でぐったりして仕事ができない状態があまりに長びくようだったら治療はやめようと思います」
(電話がかかってくる)
「はい、はい、それでひとつよろしく。」すごい元気な、威厳すらただよう声。電話を切り、こちらを振り返る。「ねえ、そんな中でもこうやって古本売ったり買ったり…」古本の売買の電話だったらしい。
34巻は予定通り出す。
35巻までは出したい。
文久2年を終わらせないと。文久2年は大変な年なんだ。新撰組は描かないとファンに怒られるかな。
コピペして写すだけで涙がにじむが、その、死の淵で単行本作業を行ったのが、今出ている34巻なのだ
35巻は・・・・・・・・・・・。
「継ぐ者」は、必ず現れよう。そこでまず、岡田屋鉄蔵「無尽―MUJIN」を。
みなもと太郎氏は、その画風やギャグセンスも含めて、とくに令和の世にあってはワンアンドオンリーな存在ではあったが、それでも未完に終わったこの史劇の、「後を継ぐ」ものは現れるだろうと思う。
ただ、その現れ方はどうなるかはわからない。
というのは、今更振り返れば(基本的に)「史実をベースにした歴史漫画」自体が少数といえば少数派なのだ。もちろん歴史というジャンルは人気の一つだし、実在の登場人物や事件が出てくるのも多いが、マンガの特質上そこにはやはり奔放な想像力、伝奇的な展開が加わるのが普通で・・・・・・・・
そんな中で、「史実をベースにした」「幕末もの」の商業マンガって、いまはそもそも……自分は1作しかしらない。選挙で言えば「無投票当選」のようになってしまい恐縮だが、ただ、”後継者”としても大いに期待したい作品はある。
このブログでは紹介済みだが、岡田屋鉄蔵「無尽―MUJIN」だ。主人公は幕末の講武所で「小天狗」として名を轟かせた剣士、伊庭八郎。ヤングキングアワーズで、長谷川哲也「ナポレオン覇道進撃」、平野耕太「ドリフターズ」とかといっしょに連載中(※後者はめったに載りませんが)
m-dojo.hatenadiary.com
天保15年(1844年)[4]、「幕末江戸四大道場」の一つに数えられる御徒町の剣術道場「練武館」を営む心形刀流宗家を、養子となって継いだ伊庭秀業の長男として江戸に生まれた……幼少の頃は剣術よりも漢学や蘭学に興味があり、剣術の稽古を始めたのは遅くなってからだったが、次第に頭角を現し“伊庭の小天狗”“伊庭の麒麟児”と異名をとるようになる。江戸幕府に大御番士として登用。文久4年(1864年)正月 家茂公が再度上洛の為、八郎をはじめ直新陰流、北辰一刀流など腕利きの剣客50名で奥詰隊が発足 その後1866年 家茂公逝去のため解散 又、幕臣子弟の武術指導のための講武所がつくられると教授方を務める。
慶応2年(1866年)に元奥詰隊が改編され遊撃隊となると、八郎も秀俊と共に一員となった。慶応3年(1867年)10月、遊撃隊に上洛の命令が下り…(略)
ja.wikipedia.org
こちらでは最新作の段階で慶応元年、1865年。伊庭は将軍家茂の警護役として三度目の上洛に帯同している。
既刊は8巻まで。
作者の岡田屋鉄蔵は、「乱」でも別の連載「雲霞仁左衛門」を持っていて、みなもと太郎と同じ舞台での共演者だった。
※余談だが、いま史実ベースの商業漫画というと「信長の忍び」「ナポレオン覇道進撃」、あと本宮ひろ志がウルトラジャンプでやってる伊能忠敬伝…、イブニングの終戦期の防空隊漫画……「逃げ上手」はさすがに史実ベースというのは(苦笑)。あとなんだろうな。
こんな情報をもらった
ブログで書かれていた「史実ベースの商業作品」ですがこちらは如何でしょうか。
— ムジナ (@gesosubmit) 2021年8月28日
当時の貴族の腐敗、公王と貴族の政争が生々しく描かれています。
歴史物としてかなり面白いと自分は思いました。 pic.twitter.com/qXRD59WBxu
なぜ、MUJINを後継者として連想するかというと…みなもと太郎「風雲児たち」幕末篇で最後の主要トピックが、文久二年の「生麦事件」だったからである。
そして生麦事件は、そこから「薩英戦争」を引き起こすわけですが、最近学界でも言われている、「薩英戦争引き分け論」をみなもと氏はどう解釈するか、が自分の興味があるところでした。
同作では上のように、日本とイギリスの全面戦争に至れば「どう戦ってもイギリスが勝つから作戦の立てようがない」「江戸に船で運ばれるコメの輸送を封鎖して断ってしまえばそれだけで勝つ」「見せしめにお台場の砲台を完全破壊してもいい」と描かれていましたが…
実際の「薩英戦争」はどう書かれたか。
それは永遠の謎ではあるが、一方で昨年2020年に、このMUJINが「薩英戦争引き分け論」に基づくような描写をしてるのですよ。
こういう点では、読者的につなげればある意味スムーズに『それからの「風雲児たち」』として、この作品を読んでいくことができるのではないか。
勝手に、そんな期待を岡田屋先生には持っております。
おれも「後継者」たらんと思うのだ(ハリセンでツッコまれる)
いや、むちゃくちゃ言ってるようにみえて無茶でもない。
自分も、いちおうマンガが、かける。
これは「コマ割りって何だろう?」という研究の一環として、自作したのがきっかけではあるが、
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これは「燃えよ剣」のコミカライズ。
その後、時々印象に残った挿話を、とつぜん「これは絵…漫画で表現したい」と思って、書くことがあった。
それはだいたいにおいて、歴史上の実話、挿話、エピソードである。
もう、そもそもこれらの作品を描いている時点で、実の所「風雲児たち」の影響が大いに入っているのであります。
今後も、とりあえずこの種の作品は時々描いていくだろう。おそらくメインはやはり、この種の実録ものとなる。
そして時々は意識して、幕末の風景などを描くかもしれない。
それは客観的にはともかく(笑)少なくとも主観的には、一種の草莽崛起。身は匹夫なれども、志は風雲児たらん…そんな決意表明だけはしておく。
とりあえずは、漫画が本格的に描ける無料アプリ「ジャンプペイント」はダウンロードしてるので、徐々にこれになれて、これでマンガを描くのが目標だ(マジ)。だが「レイヤー」とかいうのがある時点でなんだかわからん…