はてブで「マスク販売とマイナンバー」が話題
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ところで、この前「新書大賞」が発表されましたが、その6位は…
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新書大賞2020 6位は梶谷懐さんと高口康太さんの『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書)
— 中央公論編集部 (@chukoedi) February 10, 2020
川島真教授は「『独裁国家』中国がおどろおどろしく描かれる中で、そう単純に理解していいのかと、『一歩立ち止まって』この現象を見ようとする書籍」と高評価、「一押し」です。 pic.twitter.com/OahRYSwUWD
一体何が起きているか!?習近平体制下で、人々が政府・大企業へと個人情報・行動記録を自ら提供するなど、AI・アルゴリズムを用いた統治が進む「幸福な監視国家」への道をひた走っているかに見える中国。
セサミ・クレジットから新疆ウイグル問題まで、果たしていま何が起きているのか!?
気鋭の経済学者とジャーナリストが多角的に掘り下げる!
最近、偶然にも(この問題が起きるとは思わなかったよ)この本を読了したので、書評を書いてみます。
今回のマスク販売や行動確認、その公開に関する話題や議論は、大きく「テクノロジーの進歩と監視管理の強化。その利便性と危険性の兼ね合いを社会はどこにおくか?」という問題でもある。
中国が、その一つの例であることは間違いなく、それを新書としたのは慧眼だった。偶然、この前後に読了したので、感想文を書いてみる。
このブログではずっと追っていた話題の一つが
「テクノロジーの進歩によって、今まで管理不可能だったものが管理可能になる。その時『便利だから管理できるようにしよう』とするか『いやこれはプライバシーと言うか、管理されることにデメリットがあるから、あえて管理しないことにしよう』とするか」でございました。準タグとして「となりのビッグブラザー」というキャッチフレーズをこしらえて記事に入れているので、それを読んでもらってもいい。
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コロナウイルスの感染と、その防疫に関連した話題として、少しずつ語るようになり、 3月5日の国会での「マスク問答」で、はてな的にも一気にブレイクした。
この機会に話題の書を読んでみる。
「幸福な監視国家中国」2019年の新書大賞の中でも入賞していた。中国が90年代以降に急速に経済技術的に発展し、後発ゆえの旧式インフラのくびきがないこともあって、 itが急速に社会に登場した。
同時に、 その進歩は「西洋諸国や日本などの自由社会が、やれないことを平然とやってのける、そこに痺れる憧れるゥ」な部分もあるわけだ。そういう話を、ある程度整理して 、実は「その話はオーバーだよ」「この問題は中国だからということではなく 普遍的な問題なんだよ」ということも指摘しながら紹介考察しているのがこの本だというわけです。
面白いところを箇条書き的にメモ
・そもそもアリババはなぜ Amazon などに対抗して中国で確固たる地位を築けたのか。1995年に起業したアリババは、2000年代前半に進出してきたアリババやイーベイを迎え撃つことになる。なぜこの戦いに勝利したか。 Amazonは日本でのページを見れば分かる通り「何を買うか」がわかる一覧性だったが 、アリババは「売る人」「売る店」を紹介する仕組みだった。 中国では物そのものより「売る店、売る人が信用できるか」が重要になってくるのだそうだ。 そこを重視したアリババの仕組みの方が、より中国で支持を得たという理由。
あと日本でのLINEに位置するのはテンセントの「 WeChat」 だが、 WeChat のアプリはその中にミニプログラムという機能があって、簡易なアプリは WeChat さえインストールしておけば、その中でこのミニアプリを起動させればインストールいらずで使えるんだそうな。それは便利なんじゃないかな。
この辺は自分の興味が
「 Amazon や Facebook や YouTube がその国の市場を席巻したところと『民族 it』 みたいなものがシェアを持っている国との比較」
にもあるので、その知識として面白かったです
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m-dojo.hatenadiary.comギグエコノミーは中国に合っていた?
ギグエコノミーとは。 ミュージシャンのギグセッションのように、極めて短期で一件いくらのような単発短期の仕事を色々やって、その総計で食っていくようなそんな経済のことらしいんだ。 実は転職が多く雇用の流動性が高い中国は元々それと親和性が高くさらに固定の仕事を持たずに屋台や露店、出前配達、町の便利屋など「固定ではない、ちょっとした仕事を単発に入れて食っていく」人呼んで『無業の遊民』が、2億人いるとも言われている。ネットでこういう人たちに仕事を割り振り逆に人を集めていくそういうプラットフォームはこのマンパワーを組織して大きな仕事をすることができる「個人事業の長距離トラックドライバーのプラットホームだった「満幣集団」は、そういう個人トラック運転手をを500万人登録しているのだそうだ。
監視カメラを連動、AI化すればここまでできる。
監視カメラ技術顔認証技術で世界の先端を走るのがMEGVIIという会社で2011年に設立され既に評価額10億ドル以上のユニコーン企業となっている。 その顔認証や AI 技術を組み込んだカメラは最低でも中国で2000万台以上。
このカメラ網を「天網工程」とよぶ・・・。こっからちょっとメインのテーマに入るけど
2017年深セン市で誘拐事件が発生した(中国で誘拐事件は非常に多いという。子供を一人で登校させるなんて大丈夫か、中国の人が日本で驚くぐらい)。同地区の監視カメラもはファーウェイが構築したが、事件発生後子供の特徴を警察によって入力されたカメラ者はすぐに子供と誘拐犯の居場所を特定。24時間せずに事件は解決した…という。
一方で日本では、2019年6月大阪府吹田市の交番で警官が襲撃される事件があり、警察は容疑者の行方を監視カメラ映像を頼りに追ったが、日本に防犯カメラがいくらたくさんあると言っても全くネットワーク化もAI化もされていない。結局警察は容疑者映像をそれぞれから入手するために各種を駆けずり回ったのだった…。
さてこうなると 「どっちの社会がいいですか?」という問いが途端に難問になってくる。
犯罪率が劇的に減少
中国の発表ではあるんだが
2017年、中国では人口10万人あたりの殺人件数が0.8件しかない殺人発生件数の最も低い国のひとつになったという。そして暴行罪の件数は2012年より51.8%減少。重大交通事故の発生率は43.8%減少。社会ちゃんに対する人々の満足度は、2012年87.55%から、2017年は95.55%に上昇したと言う。すべて人民日報の調査だからそこは割り引く必要があるが治安が非常に良くなっているのだと言う。そこに確実に監視カメラを含めたテクノロジーの進歩があることは間違いないだろう。 だから香港デモは、覆面やスマートフォンの位置情報をオフなど、監視システムの警戒感を打ち出すものだったのだ。
雇用技術の進歩や普及具合には地域差があるが 山東省威海市のとある都市では「交通違反は監視カメラですぐ見つかるのでスピード違反すれば次の交差点で警官が待っている状態。だから違反はほとんどない」のだと言う。
ビーチの砂浜も監視カメラで常時違反者を摘発しているので非常に綺麗だと言う 。
微博の「見えない検閲」
中国版ツイッターである「微博」規制だが、、民主化のオピニオンリーダーを強圧的に封じ込めるのと並行して「見えない検閲」を強化しているのだと言う。
例えば書き込んだ本人には普通に表示されているのだが、それが他のユーザーには全然表示されないようにする、リツイートが表示されないようにするというバリエーションも出ているらしい。これだと書き込んだ人間も「あんまり反応ないツイートだったな」と思うだけで実に世の中平和に検閲が完了するのである(笑)
こういう話を、筆者らは「リバタリアン・パターナリズム 」という概念や中国流の「公論としての法」や「天理」という概念を紹介しつつ、問題点を指摘している。
突き詰めていけば、「何を『善政』とするか」の定義にもよるので、ハイテクやビッグデータを議題としておきながら、結局は各文化圏の、伝統的な何かが確かにそこに絡んでくるのかもしれない。
大屋雄裕氏はこの書をどう読むだろうか
この新書を読みながらずっと
ならば、本格的な書評をどこかでしていただきたいものである。
今回のコロナウイルスとその防疫については「『法学セミナー』2015年4月号に掲載された特別企画「パンデミックと法」がWeb日本評論で公開」だという
パンデミックと法 | Web日本評論
パンデミックと他者への信頼(大屋雄裕)(特別企画/パンデミックと法) | Web日本評論
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