はてブで話題。
togetter.com
この賛否は、はてブでも活発なので、そっちにまかせる。「検査の数や範囲はどうすべきか」の論はすごく興味深いんだけど、ただ上を引用したのはそっちではなく「今回のコロナウイルス感染に関して、各国の防疫・医療のもろもろは多いに比較検討すべし」というところです。それに勝手なナショナリズムやら親・反政権とか、そういう余計なものがくわわって歪む可能性もあるが、まずはそこ、「各国の手段を大いに比較すべし」といくことだけ確認したい。
たとえば、ベトナムは今、一応中国と国境を接しているのに感染が数十人レベルで「成功」を自認しているとか。
で、本題です。最初の段階から結構着目してて、はてブでも断片的に書いてた気がするけど、検査の数は置いておいて…
・感染者が見つかった時、その感染者の行動をトレースする。
・感染が起きたクラスタを特定する。
・その情報を公開する
というのがありますよね。これ、学校の休校と同じで、「やる」か「やらないか」でいえば、やった方が間違いなく効果的になる。
しかし、これも学校の休校と同じく「やることに関する、別の問題…主に社会的問題が出てくる」のですよね。
まず、これを見てみよう。
ライブハウスがクラスタになっていたという大阪で…
お客さん120名の内、30名は連絡先が特定できる前売チケット購入の方でライブハウスが名簿を持っており、ご協力で名簿入手しました。保健所から個別アプローチします。ただ、残り90名は当日チケット等特定が不可能です。保健所相談センターにご連絡頂くしか方法がありません。 https://t.co/laplHLj8BK
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) March 2, 2020
120人の中で、90人が当日チケットだからわからない、という日本社会…
…だが仮に、これが99%がクレジットや電子マネーを使うキャッシュレス社会で、そのキャッシュ利用履歴を行政がのぞき込む(というと聞こえが悪いが、活用できれば)、少なくとも「120人中90人が連絡取れない」ということはないはずだろう。
これは、韓国の政治学者(Political Science(Ph.D.), Korean)の方が言っておられる。
追跡調査の話>
— Mr.Japaneses Studies Ph.D.【2020 Goal=Write a book】 (@cityknight2000) February 13, 2020
韓国・中国・米国だとクレジットカード、もしくはPay類支払いなので動線を確認しようと思った際、時間と金はかかるが確認が出来る。
だけど、日本だとそれが難しい。タクシー運転手が誰によってどう移されたのか、移した人の動線を辿るのも難しい。
ってな状況かな。
電子マネー、スマホアプリは紙幣や硬貨という「雑菌ウイルスの接触感染の温床になりかねない物体」を減らすという効果もあり、その面でも重要だ(昨年秋から、日本でも普及が急加速していたのは不幸中の幸い!!)が、「いざとなれば決済履歴から、どこの誰がどこに来てたかが分かる」という、ステキな機能があるのだ。
ただ、日本ではこういう「感染症の疑いで人を捜しているときに、キャッシュレス決済の履歴を活用していい」というような法整備ってあるんでしょうか???
無いなら大いに推進・・・・・・し、して、いいのかなあ?? さすがに例外的なものとして、その場合はOKとすべきかなあ。
クレジット社会を警戒していたかつての識者は、この「経済活動の面から、権力が個人を監視する」点を大いに問題視している。その懸念は、確かにわかる…からこそ、「そうすべきだろうか?」ということを問いとしたい。
というか、そもそも、米国、韓国、中国(そして台湾)では、感染者の行動履歴を追う際にキャッシュレス決済情報にアクセスできる、というのが本当か、本当ならどういう法の条項に基づいているのか、その点も不明であるけれども。
顔認証や防犯カメラも、「感染症の疑いあるクラスタを追うためには使っていいか?」なんてことも考えられる。
「台湾では、マスクを買う時に住民ナンバーと紐付けられ、買占め防止を徹底できた」
(1)一人につき、一週間に購入できる数は2枚。
(2)身分証番号(日本でいうマイナンバーカードに相当)の下一桁により購入できる日数が異なる。
奇数(1、3、5、7、9):月曜日、水曜日、金曜日
偶数(0、2、4、6、8):火曜日、木曜日、土曜日
(3)日曜日は番号問わず、全ての人が購入可能。
(4)1人につき、1人分の代理購入が可能(ただし身分証は要持参)。
(5)販売店舗には、毎日大人用マスクが200枚、子供用マスクが50枚ずつ入荷する。
トレンドに上がった報道、マスクの管理政策は公的医療保険の保険証に基づいて設けられた、保険証は誰でもある身分証番号に基づいた、日本で真似をしてもマイナンバーの普及率ね……
— 敏度🅰️ (@Abalamindo) February 29, 2020
新型コロナ“神対応”連発で支持率爆上げの台湾 IQ180の38歳天才大臣の対策に世界が注目https://t.co/IFX3Qj1W9t
早速議論、そして警戒論。
mainichi.jp
…ITを活用して災害時や緊急時にマスクなどの物品を国民に普及させることについて「マイナンバーカードをしっかり普及させれば技術的に難しくない」との認識を示した。自民党の小野田紀美氏への答弁。小野田氏は、国内でマスクの品薄状態が続いていることを巡り、台湾ではマスクを実名で購入する制度や、購入履歴による買い占め防止などを行っていると説明。政府に導入を求めた。平氏は「台湾はICチップが入ったIDカードをほぼ全国民が持っている」と指摘。「日本のマイナンバーカードの普及率は14%程度。マイナンバーカードが普及すれば、ICチップを使って、(マスクを)一人いくつとかを管理できる。今後の災害や感染症も想定される」と…
新型コロナ禍に乗じて、国民の買い物を監視する仕組みを入れるなんてやめて欲しい。 →平副内閣相「マイナンバーカード普及でマスク買い占め防止」 - 毎日新聞 https://t.co/oEa9bTMVzY
— Shoko Egawa (@amneris84) March 5, 2020
マイナンバーカードと買い物履歴管理を連動させると、書籍や雑誌などの購入の際に自己規制が働くことになる。「政権に批判的なものばかり買っていたら目をつけられるんじゃないか」と思うと、買い物をためらう。権力的まなざしの内面化がおきる。社会のパノプティコン化。 https://t.co/BMfRanTJsi
— 中島岳志 (@nakajima1975) March 5, 2020
ライブとかプロレス感染(…じゃなくて観戦か)とか映画鑑賞とか、すべて「実名(連絡先登録)制を!」
ってのはどうですか、皆さん。これさえしておけば、少なくともクラスタが発生した時は、すぐに連絡が行ける。
とはいえ、そんな仕組みをどうやって構築するか……まあ、今も前売り券をぴあやコンビニで購入する時は連絡先を登録しているよね?とりあえず、そっちの前売り率を大幅に高めて、当日券は少なくして、当日券はクレジットカードなどに限るか、現金で買う人は連絡先を記入させるか、だな。窓口の時間が3倍4倍になるだろうけど……
そして最後。「感染者の行動履歴を、一般に詳しく公開しますか???」
台湾の新型コロナウイルス発生状況のホームページはグラフや地図を効果的に使用していて、どの地域にどれくらいの感染者が出たかわかりやすい。台湾にも寄港した国際クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客については、下船してから訪れた場所をすべて公開した。
headlines.yahoo.co.jp
■韓国では、感染者の情報が公開されている
もともと韓国では、韓国保健福祉部によって新型コロナウィルス感染者確定者の移動経路が公開されていた。この中には、韓国での新型コロナウィルスの感染拡大のきっかけとなったと言われている「No.31」の女性の行動も公開されており、推定される接触者の人数は1160人と推定されている。
韓国での新型コロナウィルス感染拡大のきっかけと言われている女性の足取り。
■韓国での、感染拡大のきっかけとなったNo.31の女性の足取り
韓国保健福祉部の公開データは文字による公開なので、土地勘の無い人間にはどこをどう移動したのかが、わかりづらい。中央日報の公開した「私達の街のコロナ地図」では、地図上に行動履歴をマッピングして表示してくれているので、土地勘の無い人間にとっても視覚的にわかりやすくなっている。感染拡大のきっかけとなったNo.31の女性の行動も確認出来る。この地図は韓国での感染拡大の震源地となったと言われているNo.31の女性が参加した集会の会場「新天地大邱教会」。ここから立ち寄った病院やホテル、保健所等を視覚的に見ることが出来る
news.yahoo.co.jp
たとえば今回のライブハウスの女性。
この方の足取りや位置関係のデータを、どこまで公開しますか? これを台、韓に「学び」ますか??
完全なコロナ被害者であるはずの大阪京橋のライブハウスArcの外観写真や映像を未だに使う大手メディアはそれが風評被害を生んでいることに気付いて欲しい。物凄く迅速に消毒等の対応をされ多分現在日本で一番安心安全なライブハウスなのに。千葉のホテル三日月のように皆んなで応援してあげて欲しい。 https://t.co/JqH1mlEqTH
— Ksuke (@Ksuke_hzm) March 3, 2020
追記 お馴染みこの本
ブクマより
id:mahal 監視社会のコストとリターンに伴う「プライバシーの売り渡しの判断」は、結構昔からおおやにきの中の人がテーマとして提示してた気はする(結局売り渡すのが妥当ではという予測で)
ああ、この本を毎回紹介しているのに、今回はしそこねてた
そして新書大賞に入賞してたこれ
コメント欄より
googleのロケーション履歴とかを活用して、サーバにまとめた感染者の移動履歴に照会出来るようになれば接触の可能性を調べられるので良いな、センシティブすぎてgoogleも日本政府も出来ないだろうけど、中国でならやってそう
やってたな
南京市当局は1月下旬、新型肺炎の感染者3人が過去に外出した際の詳細な移動経路を公表し、接触した可能性がある人に連絡を呼び掛けた。地下鉄の乗換駅も含めた詳細な経路やバスの乗降駅、スーパーや病院に滞在した時間も分単位でつきとめた。市当局は「ビッグデータを運用した」と説明する。
中国当局は治安維持のためにデジタル技術を活用。街中に設置された監視カメラと顔認証技術の情報に加えて、携帯電話の通話・位置情報、ライドシェアなど各種サービスの利用記録といったビッグデータを企業から収集し、個人の詳細な行動履歴を把握することが可能となっている。
国家衛生健康委員会の専門家チームメンバー、李蘭娟(り・らんえん)医師は先月下旬、「ビッグデータを利用して感染者の行動記録を追跡し、濃厚接触者を特定できる」と国営中央テレビの取材で語った。ある感染者は、感染拡大が深刻な湖北省武漢と自分は無関係と認識していたが、ビッグデータの分析により、武漢から来た3人以上の潜在患者と接触していたことが判明したという。
中国では、自分が利用した鉄道や航空機、バスなどの便に感染者が乗っていなかったかを確認できるアプリも複数公開されている。
検索サービスの百度(バイドゥ)はビッグデータを利用し、国内の都市間を移動する人の増減などを毎日グラフ化して公開。各地の当局が感染防止策に利用できるようにした。