ー今回の怪獣インタビューは映画「シンウルトラマン 」が大ヒット公開中であるのに加え、来月6月には、武尊vs那須川天心 の目玉カードを軸に、東京ドームがすでに全席完売と言う注目のキックボクシングイベント「THE MATCH」が行われるというタイミングで……まさにこの方に語ってもらうしかない!という人から話を聞く機会を得ました。
タイ王国 、いや南アジア全体のカリスマでもあり、インド神話 から 仏教説話まで幅広く活躍、そしてウルトラ一族の、まさに”兄弟分”である、白猿ハヌマーン さんです!
ハヌマーン とウルトラ六兄弟ハヌマーン ウルトラ六兄弟vs怪獣軍団dic.pixiv.net
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「サワッディー(コンニチワ)、皆さんゲンキデスカ? 自分は今でも祖国タイのほか、インドやバリにも遠征しなければならなくて、多忙な日々ですが、ニッポンの話はいつでも聞いています。ムアイタイ (ムエタイ )やウルトラのビジネスがまた盛り上がってると聞くととても嬉しいし、いつでも飛んで行きたいネ。カツ丼も食べたいし」
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――カツ丼がお好きだったんですか(笑)。本日はハヌマーン さんに、ウルトラ兄弟 との出会いや、その格闘技の技の秘密など色々と聞いてみたいと思います。
まずはじめに…神話方面で活躍していたハヌマーン が、やや異色の分野であるウルトラのプロモーションにかかわったのはどのような経緯だったのでしょうか?
「はじめはね、コーチとして招待されたの。ウルトラのみんな、投げるツヨイ、ココロも強いね。だけど、ケリとヒジ、知らない。タイのヒト、知ってるね、よく。だから知りたいと…これ、ゾフィー さん決めたとか言われてるけど、ホントはウルトラのお母さん。ゴッドマザーよ。ウルトラの母 さんとうちの母さん、お友達だったの。」
――ああ、たしかに「ウルトラの母 」が映画にも出てましたよね。なんでお知り合いだったのですか?
「ウルトラの母 さんも南国…トサの出身だから、暖かいところが好きで、タイに保養によく来てたのよ。その時、ガイドをしてたうちの母さんと知り合ったね。そしてうちの母さん、ラジャダムナン でもルンピニーでも顔よ。技もナックモエ(選手たち)に教えるぐらいだし。ワタシも母さんに教わったね」
ーーそのナックモエから見て、当時のウルトラプロモーションでの打撃はどうだったんですか?
「決してワルイわけじゃないヨ。みな、カラテ知ってたね。だけど、むかしのカラテは足の裏で蹴るね。あと飛んで蹴る。これはお客さん喜ぶ技。だけど、殺すなら、ムアイタイ の蹴りとヒジ、そしてモエパン(※「首相撲 」からのコントロール 技術)あるとラク に殺せるね」
ーーこ、殺す、ね…
「脛で蹴るでしょ、ムアイタイ 。だからスネも鍛える。これタイでは普通だったけど、日本では発見。帰りマンサンは興味持って、日本のキックボクシングジムにも行ったね。サワムラサンに教わった。サワムラサンはムアイタイ からみたら、ちょっとイイぐらいだけど、マジメなひとで、彼なりの指導も帰りマンさんにしたね。でも流星キックは、タイミングとか踏み切りはムエタイ 、あとはむかしの蹴り。
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帰ってきたウルトラマン に沢村忠 やっぱり若い世代の人が、よくムアイタイ も学んだね。レオさんはカラテの王者だけど、だからこそムアイタイ は凄い!って何度も褒めてくれて、熱心だったね。アストラさんがたまに来ると、一緒に呑んで遊んだりもしたヨ」
――なるほど、ファイトスタイルからもそれがわかります
※現実の格闘技界でも、日本の格闘技・武道には「相手を脛で蹴る」という発想が無く、ムエタイ と交流してその技術を取り入れた…という話がある。この怪獣インタビューの一種の予告編がこちら
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「いまの若い子、Zサンとかのムアイタイ はいいヨ!彼がホンキでこれだけに専念したら、2年でルンピニーでもラジャダムナン でもベルト獲れるね」
――そういえばキングジョー戦でも美しいムエタイ 流のキックを見せていましたね、ウルトラマン Z。あれもハヌマーン さんのご指導とは。
※参照
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キングジョー、ウルトラマン Zに出演
「でも自分がムアイタイ をあっちに教えてあげるだけでなく、こちらも日本のウルトラのひとから極めや投げ、教わったよ。これも、怪獣とかいい感じで殺せるネ。すばらしかったよ」
ー逆にそういうテクニックをウルトラから学ぶとき、だれが凄かったとかありますか
「わたしの極めのセンセイはセブンね。あの人、強いけど強いだけじゃなくて、そういう戦いするのが好き。チャイスー(タイ語 で「戦う心」の意味)あるひと。投げと、それからプロレスは初代のひと教えてくれた。『投げ一つで、あのタフなレッドキング もKOできる』って言われて首投げ教わった。投げる方向とか、倒し方とか違うけど、それモエパン(首相撲 )とココロ、同じ。だからその投げ、教わったら自分もすぐできた。初代サン、目を丸くしてたね」
―首相撲 が案外、組み技そのものだという話は聞きますね。
「だからタイにみんな招いてウルトラの興行した時、レッドキング サンも呼びたかったね。だけどスケジュール合わなくて、ダメだった。だけどその時『あまり言いたかねぇが、俺も認めるすげえ奴がいるから』とゴモラ サン紹介された。その通りで、このひともチャイスーの固まり。だからメインイベンターやってもらった」
――ああ、レッドキング さんに少しその話聞きました。ゴモラ さんはタイなのでふだんは使わない光線とか使って、それを後日レッドキング さんにからかわれたそうですが(※このインタビュー参照)
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「それ、ワタシが頼んだね。タイではほんとのガチでウルトラのお祭りやったら、誰もわからないヨ。見た目でみんな驚くようなことしてほしかった。ゴモラ さん、ココロ強いだけでなく大きいネ。光線もタイの人のためにやってくれたの」
――なるほど…というか、タイの人から見て、所謂ウルトラの”プロレス”に拒否反応とかなかったんですか?
「ドウシテ?ムアイタイ もお祭りでやるときは、ルンピニーのやつとは別に、そういうのするよ。だからみんなプロレスもできる。同じネ。賭けの時はやらない。そこ決めておけばいいの。日本で覚えた言葉だけど『死んじゃう』と『殺す』は別のことね。ムアイタイ 、お祭りやプロレスで出した技で『死んじゃう』のはヘタ。技で『殺す』のはウマイひと。ハヌマーン は上手いよ。殺すときしか殺さない(普通に)。まあだけど、たしかにあの映画の時は、ちょっとまたどっちとも違うね…」
――さて、その映画ですけど、めずらしいウルトラ六兄弟(withハヌマーン )vs怪獣軍団という、団体前面対抗戦になりました。そして、内容的にも謎が多いんですが…この件について伺いたいと思います。
予備知識としてこちらをどうぞ。
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「あれネ。あれはタイのプロモーターが、うちでもウルトラのプロレスをプロモートしたい、というので、ワタシが声かけた。みんな、タイも観光できて、ムエタイ もこっちのジムで学べるっていうんで喜んで来たネ。で、相手が必要だったから、これも色んなところに声かけたのヨ。さっき言ったみたいに、レッドキング さんがいいな、って聞いてたんで声かけて、本人はダメだったけどゴモラ が来たり、とかネ。すごい顔ぶれでショ?」
※ちなみに怪獣軍団はこちらの顔ぶれ。
古代怪獣ゴモラ
泥棒怪獣ドロボン
暴君怪獣タイラント
宇宙大怪獣アストロモンス
妖怪怪獣ダストパン
――えー………何と言ったらいいか。決して小物というわけじゃないですが、本当に六兄弟と闘う怪獣軍団、となると、ちょっと顔ぶれに統一性が……
「エートね、その時、ワタシと同じぐらいの年で、一番仲が良かったのがタロウサンだったのね。タロウさんの人脈で、ワタシ、リクエス トしたけど、リアルディールを呼んで!と頼んだ。条件で挙げたのが、別の怪獣をやっつけたキャリアか、ウルトラ兄弟 と引き分けたり、あるいは土をつけたような、そんなタイトルを持ってる怪獣。そうでショ?」
ーーむー------。いや、レコードを見る限りは……約一匹をのぞいては…確かに別の怪獣をやっつけたり、ウルトラを倒したり引き分けたりしてるんですけど…でも、なんか納得いかねー!!! あ、じゃあまず、その件から…「約1匹」ことダストパン は、なんで登場したんですか!そもそもウルトラの世界観じゃなくて、あれミラーマン の怪獣ですよ!! なんでそんな時代からマルチバース してるんだよ!! これ書いてる筆者も、実際の映像じゃなくてフィルムブックで何の説明も無しに「ダストパン 」出てきて、どのウルトラシリーズ 確認しても見つからず、怪獣博士の面子丸つぶれでしたよ!!!
「あ、ダストパン ?? 彼,呼んでないね。たまたまバカンスをタイで取ってたら、屋台でほかの怪獣軍団の人と会ったらしいね。うちらも加わって、宴会で盛り上がった。『じゃあついでにプロモーションで一試合やる?』と言ったら、OKだったヨ。ちょっとしたご祝儀程度のギャラで済んだらしいネ」
‐―そ、そんなんが理由かよ…で、ファイトもなんか、殺伐としてましたが…。
「それは、打ち合わせなしだったから。もちろんビームもうつし、プロレスで呼んだのよ?でも日本のような、細かい取り決めムツカシかったの。タイでもお祭りのムエタイ はみんなもちろん本気出さずにやるけど、日本でいうアウンの呼吸ね。でもそれタイの仲間同士じゃないと無理よ。それで細かい打ち合わせもできないから、とにかくムエタイ の技を見せて、暴れるだけ暴れて、それを見せる…というだけでスタートしたのね。そしたら、ちょっとカタいのになっちゃったね」
――ゴモラ さんも慣れない光線を使ったりと、色々協力的だったそうですが…
「ありがたかったネ。ただ怪獣軍団のみんな、タイ料理にちょっと当たってて、みな腹が痛かったらしいネ。それ解ってたら少し手加減できたけど、でもわからないからね。あっちが本調子でないなら、そのぶんこっちがガッチガチでやってカバーしようと思っちゃったネ」
――そのせいで、アクシンデントが…あきらかに一線を越えたダメージが……
「ん?あそこでやったこと、タイではみんな普通ヨ??あれ、お祭りね言わば。お祭りだからこそ、なにが起きてもマイペンライ (気にしない)なのね」
――そんな、岸和田のだんじり や信濃 の御柱祭 みたいな発想を………いやそれでも、何となくパズルのピースがぴたっとはまったような。ありがとうございまし……
「あ!そうだ、この機会にちょっと探してほしいのヨ。ワタシ、タロウサンと同じぐらい仲が良くて、ムアイタイ の技を教えてあげた人いるのよ。レッドマン サン 」
――ファッツ???
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「ムアイタイ の技、マスターする速さははっきり言ってナンバルワンね。タイにもあんなヒトいないね。特に肘で顔を切り裂く技を熱心に学んでいてネ。『自分は武器アリでも武器無しでも、切り刻むのが大好きだ』って言ってた」
――言ってましたか…。
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あのタイでの大会の時も、ホントは呼びたかったんだけど、タロウさんもレッドマン さんには連絡が取れなかったらしいネ。今度、ワタシが来日したら、レッドマン サンとタッグを組みたいね。これ、強いチームでショ?
――強いというか、怖いよ!!
(了)