INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

怪獣インタビュー ハヌマーンさん編「私がムエタイをウルトラ兄弟に教えたネ」(シン・ウルトラマン公開記念)

まず大前提・世界観の紹介

再度、大前提から説明します。
・このブログでは、なぜか「怪獣インタビュー」という記事が以前からある

・これは、ウルトラ怪獣をはじめとする世界の怪獣が「プロレスラー」として展開していたかつての激闘を、裏話を中心に、回想してもらう、というもの。そう、あの戦いはプロレスだったのだ!

・こういうのは(後からわかったのだが)ある物語を「芝居であり、登場人物は演技していた」という前提でパロディ、二次創作を描く「楽屋もの」というジャンルに分類されるらしい。
【参考】ある作品を「映画」、キャラは「俳優」と仮定したパロディや二次創作は結構多いそうだ(続報)。 -
d.hatena.ne.jp
m-dojo.hatenadiary.com


・その、過去のリンク集がこちら
m-dojo.hatenadiary.com

本編

ー今回の怪獣インタビューは映画「シンウルトラマン」が大ヒット公開中であるのに加え、来月6月には、武尊vs那須川天心の目玉カードを軸に、東京ドームがすでに全席完売と言う注目のキックボクシングイベント「THE MATCH」が行われるというタイミングで……まさにこの方に語ってもらうしかない!という人から話を聞く機会を得ました。
タイ王国、いや南アジア全体のカリスマでもあり、インド神話から 仏教説話まで幅広く活躍、そしてウルトラ一族の、まさに”兄弟分”である、白猿ハヌマーンさんです!

ハヌマーンとウルトラ六兄弟
ハヌマーン ウルトラ六兄弟vs怪獣軍団

dic.pixiv.net
www.youtube.com


「サワッディー(コンニチワ)、皆さんゲンキデスカ? 自分は今でも祖国タイのほか、インドやバリにも遠征しなければならなくて、多忙な日々ですが、ニッポンの話はいつでも聞いています。ムアイタイムエタイ)やウルトラのビジネスがまた盛り上がってると聞くととても嬉しいし、いつでも飛んで行きたいネ。カツ丼も食べたいし」
www.youtube.com


――カツ丼がお好きだったんですか(笑)。本日はハヌマーンさんに、ウルトラ兄弟との出会いや、その格闘技の技の秘密など色々と聞いてみたいと思います。
まずはじめに…神話方面で活躍していたハヌマーンが、やや異色の分野であるウルトラのプロモーションにかかわったのはどのような経緯だったのでしょうか?



「はじめはね、コーチとして招待されたの。ウルトラのみんな、投げるツヨイ、ココロも強いね。だけど、ケリとヒジ、知らない。タイのヒト、知ってるね、よく。だから知りたいと…これ、ゾフィーさん決めたとか言われてるけど、ホントはウルトラのお母さん。ゴッドマザーよ。ウルトラの母さんとうちの母さん、お友達だったの。」


――ああ、たしかに「ウルトラの母」が映画にも出てましたよね。なんでお知り合いだったのですか?



ウルトラの母さんも南国…トサの出身だから、暖かいところが好きで、タイに保養によく来てたのよ。その時、ガイドをしてたうちの母さんと知り合ったね。そしてうちの母さん、ラジャダムナンでもルンピニーでも顔よ。技もナックモエ(選手たち)に教えるぐらいだし。ワタシも母さんに教わったね」


ーーそのナックモエから見て、当時のウルトラプロモーションでの打撃はどうだったんですか?



「決してワルイわけじゃないヨ。みな、カラテ知ってたね。だけど、むかしのカラテは足の裏で蹴るね。あと飛んで蹴る。これはお客さん喜ぶ技。だけど、殺すなら、ムアイタイの蹴りとヒジ、そしてモエパン(※「首相撲」からのコントロール技術)あるとラクに殺せるね」



ーーこ、殺す、ね…



「脛で蹴るでしょ、ムアイタイ。だからスネも鍛える。これタイでは普通だったけど、日本では発見。帰りマンサンは興味持って、日本のキックボクシングジムにも行ったね。サワムラサンに教わった。サワムラサンはムアイタイからみたら、ちょっとイイぐらいだけど、マジメなひとで、彼なりの指導も帰りマンさんにしたね。でも流星キックは、タイミングとか踏み切りはムエタイ、あとはむかしの蹴り。
yctyct.blog64.fc2.com

帰ってきたウルトラマン沢村忠

やっぱり若い世代の人が、よくムアイタイも学んだね。レオさんはカラテの王者だけど、だからこそムアイタイは凄い!って何度も褒めてくれて、熱心だったね。アストラさんがたまに来ると、一緒に呑んで遊んだりもしたヨ」



――なるほど、ファイトスタイルからもそれがわかります
※現実の格闘技界でも、日本の格闘技・武道には「相手を脛で蹴る」という発想が無く、ムエタイと交流してその技術を取り入れた…という話がある。この怪獣インタビューの一種の予告編がこちら
m-dojo.hatenadiary.com



「いまの若い子、Zサンとかのムアイタイはいいヨ!彼がホンキでこれだけに専念したら、2年でルンピニーでもラジャダムナンでもベルト獲れるね」



――そういえばキングジョー戦でも美しいムエタイ流のキックを見せていましたね、ウルトラマンZ。あれもハヌマーンさんのご指導とは。
※参照
m-dojo.hatenadiary.com

キングジョー、ウルトラマンZに出演


「でも自分がムアイタイをあっちに教えてあげるだけでなく、こちらも日本のウルトラのひとから極めや投げ、教わったよ。これも、怪獣とかいい感じで殺せるネ。すばらしかったよ」



ー逆にそういうテクニックをウルトラから学ぶとき、だれが凄かったとかありますか



「わたしの極めのセンセイはセブンね。あの人、強いけど強いだけじゃなくて、そういう戦いするのが好き。チャイスー(タイ語で「戦う心」の意味)あるひと。投げと、それからプロレスは初代のひと教えてくれた。『投げ一つで、あのタフなレッドキングもKOできる』って言われて首投げ教わった。投げる方向とか、倒し方とか違うけど、それモエパン(首相撲)とココロ、同じ。だからその投げ、教わったら自分もすぐできた。初代サン、目を丸くしてたね」



首相撲が案外、組み技そのものだという話は聞きますね。



「だからタイにみんな招いてウルトラの興行した時、レッドキングサンも呼びたかったね。だけどスケジュール合わなくて、ダメだった。だけどその時『あまり言いたかねぇが、俺も認めるすげえ奴がいるから』とゴモラサン紹介された。その通りで、このひともチャイスーの固まり。だからメインイベンターやってもらった」



――ああ、レッドキングさんに少しその話聞きました。ゴモラさんはタイなのでふだんは使わない光線とか使って、それを後日レッドキングさんにからかわれたそうですが(※このインタビュー参照)
m-dojo.hatenadiary.com



「それ、ワタシが頼んだね。タイではほんとのガチでウルトラのお祭りやったら、誰もわからないヨ。見た目でみんな驚くようなことしてほしかった。ゴモラさん、ココロ強いだけでなく大きいネ。光線もタイの人のためにやってくれたの」



――なるほど…というか、タイの人から見て、所謂ウルトラの”プロレス”に拒否反応とかなかったんですか?



「ドウシテ?ムアイタイもお祭りでやるときは、ルンピニーのやつとは別に、そういうのするよ。だからみんなプロレスもできる。同じネ。賭けの時はやらない。そこ決めておけばいいの。日本で覚えた言葉だけど『死んじゃう』と『殺す』は別のことね。ムアイタイ、お祭りやプロレスで出した技で『死んじゃう』のはヘタ。技で『殺す』のはウマイひと。ハヌマーンは上手いよ。殺すときしか殺さない(普通に)。まあだけど、たしかにあの映画の時は、ちょっとまたどっちとも違うね…」



――さて、その映画ですけど、めずらしいウルトラ六兄弟(withハヌマーン)vs怪獣軍団という、団体前面対抗戦になりました。そして、内容的にも謎が多いんですが…この件について伺いたいと思います。

予備知識としてこちらをどうぞ。

ablackleaf.com
ablackleaf.com

「あれネ。あれはタイのプロモーターが、うちでもウルトラのプロレスをプロモートしたい、というので、ワタシが声かけた。みんな、タイも観光できて、ムエタイもこっちのジムで学べるっていうんで喜んで来たネ。で、相手が必要だったから、これも色んなところに声かけたのヨ。さっき言ったみたいに、レッドキングさんがいいな、って聞いてたんで声かけて、本人はダメだったけどゴモラが来たり、とかネ。すごい顔ぶれでショ?」

※ちなみに怪獣軍団はこちらの顔ぶれ。

古代怪獣ゴモラ
泥棒怪獣ドロボン
暴君怪獣タイラント
宇宙大怪獣アストロモンス
妖怪怪獣ダストパン

――えー………何と言ったらいいか。決して小物というわけじゃないですが、本当に六兄弟と闘う怪獣軍団、となると、ちょっと顔ぶれに統一性が……



「エートね、その時、ワタシと同じぐらいの年で、一番仲が良かったのがタロウサンだったのね。タロウさんの人脈で、ワタシ、リクエストしたけど、リアルディールを呼んで!と頼んだ。条件で挙げたのが、別の怪獣をやっつけたキャリアか、ウルトラ兄弟と引き分けたり、あるいは土をつけたような、そんなタイトルを持ってる怪獣。そうでショ?」



ーーむー------。いや、レコードを見る限りは……約一匹をのぞいては…確かに別の怪獣をやっつけたり、ウルトラを倒したり引き分けたりしてるんですけど…でも、なんか納得いかねー!!! あ、じゃあまず、その件から…「約1匹」ことダストパンは、なんで登場したんですか!そもそもウルトラの世界観じゃなくて、あれミラーマンの怪獣ですよ!! なんでそんな時代からマルチバースしてるんだよ!! これ書いてる筆者も、実際の映像じゃなくてフィルムブックで何の説明も無しに「ダストパン」出てきて、どのウルトラシリーズ確認しても見つからず、怪獣博士の面子丸つぶれでしたよ!!!



「あ、ダストパン?? 彼,呼んでないね。たまたまバカンスをタイで取ってたら、屋台でほかの怪獣軍団の人と会ったらしいね。うちらも加わって、宴会で盛り上がった。『じゃあついでにプロモーションで一試合やる?』と言ったら、OKだったヨ。ちょっとしたご祝儀程度のギャラで済んだらしいネ」



‐―そ、そんなんが理由かよ…で、ファイトもなんか、殺伐としてましたが…。



「それは、打ち合わせなしだったから。もちろんビームもうつし、プロレスで呼んだのよ?でも日本のような、細かい取り決めムツカシかったの。タイでもお祭りのムエタイはみんなもちろん本気出さずにやるけど、日本でいうアウンの呼吸ね。でもそれタイの仲間同士じゃないと無理よ。それで細かい打ち合わせもできないから、とにかくムエタイの技を見せて、暴れるだけ暴れて、それを見せる…というだけでスタートしたのね。そしたら、ちょっとカタいのになっちゃったね」



――ゴモラさんも慣れない光線を使ったりと、色々協力的だったそうですが…



「ありがたかったネ。ただ怪獣軍団のみんな、タイ料理にちょっと当たってて、みな腹が痛かったらしいネ。それ解ってたら少し手加減できたけど、でもわからないからね。あっちが本調子でないなら、そのぶんこっちがガッチガチでやってカバーしようと思っちゃったネ」



――そのせいで、アクシンデントが…あきらかに一線を越えたダメージが……



「ん?あそこでやったこと、タイではみんな普通ヨ??あれ、お祭りね言わば。お祭りだからこそ、なにが起きてもマイペンライ(気にしない)なのね」



――そんな、岸和田のだんじり信濃御柱祭みたいな発想を………いやそれでも、何となくパズルのピースがぴたっとはまったような。ありがとうございまし……



「あ!そうだ、この機会にちょっと探してほしいのヨ。ワタシ、タロウサンと同じぐらい仲が良くて、ムアイタイの技を教えてあげた人いるのよ。レッドマンサン



――ファッツ???
m-dojo.hatenadiary.com



ムアイタイの技、マスターする速さははっきり言ってナンバルワンね。タイにもあんなヒトいないね。特に肘で顔を切り裂く技を熱心に学んでいてネ。『自分は武器アリでも武器無しでも、切り刻むのが大好きだ』って言ってた」



――言ってましたか…。
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com



あのタイでの大会の時も、ホントは呼びたかったんだけど、タロウさんもレッドマンさんには連絡が取れなかったらしいネ。今度、ワタシが来日したら、レッドマンサンとタッグを組みたいね。これ、強いチームでショ?



――強いというか、怖いよ!!

(了)







※この作品では、あえて「役割語」としての、ムエタイファイターとして日本に長期滞在し、日本語もマスターした選手やコーチたちの喋りをデフォルメした口調を使用しています。





しまった、さすがにハヌマーンにはそれほどの知名度が無い・・・・・・・・※個人的にはフィルムブックを子供のころ買ってもらったのですごくお馴染みなんです