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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

再登場!ガヴァドンさんインタビュー~「かわいい怪獣と言われて昔は悩みも、反発もしましたが……」

ウルトラマンブレーザー』第15話「朝と夜の間に」-公式配信-

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★STORY↓
ゲントの息子ジュンには、一風変わったクラスメイト・アラタがいる。ある日アラタの秘密基地に連れられていったジュンは、アラタが描いた怪獣の絵の熱量と彼の自由さを受け、心を開いていく。ジュンが自主性をもって描いた怪獣はガヴァドンと名付けられた。
夜になり、秘密基地に空から怪光線がふりそそぐと、ガヴァドンの絵が鼓動し始める。

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まず「怪獣インタビュー」の大前提・世界観の紹介

再度、大前提から説明します。
・このブログでは、なぜか「怪獣インタビュー」という記事が以前からある

・これは、ウルトラ怪獣が、「プロレスラー」として展開していたかつての激闘を、裏話を中心に、回想してもらう、というもの。そう、あの戦いはプロレスだったのだ!

・こういうのは(後からわかったのだが)ある物語を「芝居であり、登場人物は演技していた」という前提でパロディ、二次創作を描く「楽屋もの」というジャンルに分類されるらしい。
【参考】ある作品を「映画」、キャラは「俳優」と仮定したパロディや二次創作は結構多いそうだ(続報)。 -
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・その、過去のリンク集がこちら
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そこから、世界観がつながった状態で、今回の記事になります…

ーー「ウルトラマンブレーザー」で、ひさしぶりのリング登場、往年と全く変わらないような生き生きとしたファイトを見せてくださったガヴァドンガバドン)さん。わたくしも元気なお姿に感無量でした。ご自身の手ごたえはいかがでしたか?



「自分のパフォーマンスが、どれほどの出来だったかは、自分ではわからないものですが…今できる、せいいっぱいのことをさせていただきましたよ。そして、この前と同じように、キッズたちがリング・ストーリーに組み込まれて、私のファイトをサポートしてくれたことに感激しました。昭和も令和も、子供たちの瞳の輝きはかわらないものですね」



ーーまったく同感です!今回はいい機会なので、その昭和のご活躍から今までを振り返っていただこうと思っています。まず…私の手元にある、発掘した資料にあったのですが、実はウルトラ登場の前に、子役としてデビューされたんですってね?



「そうですね、関西ローカルの番組なんですが、『番頭はんとガヴァどん』という掛け合いスタイルのコメディドラマで子役を演じさせていただきました」



ーー子役として、大変な人気だったそうですが…ただ活動期間はすごく短くて、その後ウルトラシリーズまで長い沈黙の期間がありました。…これは?



「そうね…思えばその『大変な人気』が、そもそも…『沈黙』のほうにつながるんですよ。たしかに、自分でいうのもなんですが、デビュー当時は大変な人気だったと思います。ただ、なんというかね…これはけっきょく、ずっと付いて回ったんですが、自分の人気というのはしょせんアイドルというか、はっきりいえば”ぬいぐるみ”的な人気でね。『握手して!』『さわらせてえ』とかで。いまのように多様な怪獣ファイトが認められる時代なら、それを素直に生かして、人気とドルがガッポリころげこむぜ!という怪獣人生もあったかもしれないんですが…」

プロレススーパースター列伝 フレアー人気

ーーそうはなりたくなかった?



「はい、自分はゴジラさんとかゴメスさんとか、正統派怪獣にとにかく憧れてましたから、そんなぬいぐるみ人気なんていらない!シュートの実力を磨いた、リアルディールになってやるぞ!!と意気がったんですね、今となればお恥ずかしいはなしですが」



ーーシュートの実力を磨く、ということで…これはテレスドンさんに聞いたんですが、そこで「四足レスリング」をみっちりやりこんだとか?
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「コネというとあれですけど、そういう一族のつてをたどって、あの技術を学ぶのが一番近道でしたから」



ーーあっ、そうだ。テレスドンゴルドングドンラドンなどの「ドン一族」の系譜にガヴァドンさんもいらっしゃったんですよね。



「あの先輩方、顔を合わせるたんびに『おまえのようなアイドル顔のやつが、ドン一族とは信じられん』、『宇宙線の神秘だ!』とか、いじってくるんですけどね(笑)まあどういう方々に揉まれると、シュートの実力は否応なくつくわけですよ。といっても創意工夫が必要ですし、自分はグドンさんやテレスドンさんのように鋭い牙や棘、あるいは鞭のような武器はない。そこで工夫したのが…」



ーー初代マンさんをもてこずらせた、あの体重を使った、あまり「動かない」スタイルですね。



「結局、武道的に考えれば、動くというのは隙を作るということなんですよ。自分はじっとしてるぞ、さあどうするんだ?ということです。ただ、これは一方で、自分の性格にも合ってたんですね。意気がってシューター王に俺はなる!と最初は思ってた自分ですけど、結局のとこ、自分はぎりぎりと斬り合う、骨を砕き合うような激しい争いごとが大好きな性格じゃなかったんです。レッドキングさんとか、キングジョーさんとみたいにね(笑)」
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ーーあれはあれで、皆さん特殊だと思います(笑)



「ただ、じゃあシューター指向じゃないのかといえば我ながらフクザツなとこで(笑)、自分のその動かないファイトスタイルは一種の”護身”としては完成したものだぞ、というプライドはあったんです。ただ、これまた別の話ですけど、興行的には……」



ーーちょっと困る、プロモーターは(笑)



「だけれども、そこが天才的なマッチメーカーというか、演出家としての初代ウルトラマンさんのすごいところです。この若造の、頭でっかちな……動かない四足レスリングのプライドを懐深く受け入れてくれた上で、自分に『寝ぼけ怪獣』というキャラクターを与えて、それを興行の目玉にしたんですね。その当時はあれよあれよで、そんなことに気づかなかったけど、やはり天才ですね」

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ーー四足レスリングが通じたという手ごたえはありましたか?



「いや、どうでしょうかねえ…というか映像残ってますよね?見てくださいよ、まず無造作に尻尾をつかんでジャイアントスイング、そしてレッドキングさんやテレスドンさんをKOしたあの殺人首投げを自分にもやって、その上、巴投げまでですよ!さらにこともなげにリフトアップ…まあ、自分が本領を発揮したのはウルトラマンさんとからまない前半の素顔で、vsウルトラマンさんの時は”別人格”ギミックの時でしたね。だから、そこでは意図的に自分からも動きましたが、けっこうやる気ではあったんですよ、投げられる前までは(笑)」



ーーあっ、そういえばあのいわゆるBタイプは・・・



「メキシコやテキサスを転戦している時に、メーキャップ…ペイントで姿を変えることを思いついたんです。現地のプロモーターから『ユーはちょっとベビーフェイスすぎるから怪獣として使いにくい。どうだ、覆面をかぶっては?』と言われたんですけど、覆面はありふれていて嫌だな、とにかく素顔を隠せばいいんでしょ?とヒラメいて、ペイントで”別人格”になるというギミックを思いついたんです」

どうだ、覆面をかぶっては? プロレススーパースター列伝 


ーーあれがペイントですか(説得力ねぇな)…まあ、それはともかく、その後もっと活躍してほしかったんですが、正直その後はシリーズに継続参戦とか、あまりなさいませんでしたね。




「実はウルトラマンさんとの対決は本当に充実して、やりがいがあったんですけどね…。シリーズのプロモーターを、ちょっと信頼できなくなった、というか」




ーーそれは初耳です…。



「もうだいぶ時間もたったし、こうなったら正直に言ってしまいますか…実は、その後出てきた、こちらもドン一族のスカイドンさんのことでね」



ーーん?そういえばスカイドンさんも、ガヴァドンさんと同様に、動かないことを売りにした、四足レスリングでした。




「そこです、実のところ僕のメンター、直接的なレスリングの師匠はスカイドンさんでした。というか、僕たち二人でみっちりスパーをしながら、四足レスリングの中で地味だけれども、護身としてそれなりに完成したあの技術を構築した、そういう流れがあるんですよ。だから、自分もスカイドンさんも同じようなルートで、実相寺プロモーションの売り興行に出場したわけです、続けて。」



ーーなるほど。スカイドンウルトラマンさんを苦しめたレジェンド怪獣のひとりでした。



「だけれども……ここも複雑でややこしいんですが、スカイドンさんは確かに”本来は”とんでもない実力者なんです。それが、自分以上の動かない四足レスリングをしたら、ウルトラマンさんも危うしだったんですよ、本来なら」



ーーでも実際に、相当苦しんで……



「残念ながら、時の女神が二人をすれ違わせたんです。ウルトラに出場した時、スカイドンさんは本来のコンディションでなく、あきらかにオーバーウエートでした。それと言うのも…実は当時も、スカイドンさんの体長が伸び続けていたんです!だからもう、あのかたは『太く短く』と決めていたんですね。常に酔った状態だったし、みなですき焼きに行った時も、スクランブルした卵を肉につけてはそればかり頬張って、付き合いで一緒に食べに行った、菜食主義のケロニアさんが『野菜も旨いぞっ』と言っても、『そんなにうまいならぜんぶケロニアにやるっ!』と笑ってばかりで…」



ーーあのスカイドンさんはベストな体重、体調ではなかったのですか…



「万全のスカイドンさんとウルトラマンさんの、興行論抜きの時間無制限での試合とか見たかったですね。でも、ウルトラマンさんは、さも大強敵を苦戦の末に倒した、みたいな感じのファイトをしましたね。それがうまさだとわかるのは今だからで、その時は『あの病気同然のスカイドンさんを、そんな”格”として扱うのか。それがウルトラか…』なんて青臭いことを考えて、怒っちゃってねえ。今から考えると、実力では、衰えたスカイドンさんより自分が上回ってるのに、扱いはあっちの方が上じゃないか!なんだ!差別待遇だ!!というジェラシーもあったんでしょうねえ」



ーーいや、わかります。



「だから武者修行します、とかそんなことを言って…実際にまた四つ足レスリングをみっちりやったから嘘じゃないんですけど、結局そこから、ウルトラからはつかず離れず、だけど長くフェードアウトした感じですかね。今回お話をいただくまでは」



――何かお仕事をしてらっしゃった、とも聞きますが。



「最初の仕事だった子役の縁で、芸能界ともかかわりがありまして。そして、僕は『次元怪獣』でもありますでしょ。」



ーーそういえば絵=2次元と、実物=3次元を渡り歩く存在でしたね、ガヴァドンさんは。



「だから、その人脈を生かして…異次元界の知り合いとしてブルトンヤプールさんともいろいろ連絡を取ったり、共同事業したりね」



ーーヤプールさんには以前インタビューしましたよ。
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「そうですか…じゃあご存じの通り、ヤプールさんは目立ちたがりで口が悪くて、自慢話が多くて、しかも長かったでしょ。そして、実はそう言いながら実直ないいやつで(笑)」



ーーはい、はい、全面的に「はい」です(笑)



で、そこから…ミラーマンさんだったか、ミラーマンさんのお父さんだったかな、そっちと協力して「二次元の男の子たちを、三次元のファンのためのアイドルとして送り込む」というのを、1980年代前後から始めました。「トリトン」から始まって「キャプテン翼」とか「聖闘士星矢」とか、多くの人気者を送り込んだんですよ。2.5次元というのも仕掛けて、芸能界では定着したと思います。



ーーその仕掛人だったんですか!!



「ただね……やってみると、確かに人気があったんだけど、どうもその業界にも、ちょっと一筋縄ではいかない、不透明なところがあったようで・・・だから、そのビジネスには深入りせずに、手放しちゃったんだけど・・・今思えば、逆に積極的にかかわって、健全さを重視するような世界にしていくべきだったのかな、と思ったりもします。あのあと、業界のことはとんとわからないけど、大きな問題はなかったのかな?」



ーーふーむ……生きた次元裏面史ですね!!その後は。



「はんぺんなどの練り物業界に行きました。お前にははんぺん魂がある!とか、その道の第一人者に言われましてね。魚系のはんぺん、かまぼこ、ちくわも作りますが、豆腐系の生揚げ、がんもどきなども修業しましたよ。生揚げの方は手軽にできるのでございますが、がんもどきの方がなかなか手数のかかるものでございまして……と申しますのが、蓮にゴボウに紫蘇の実なんてぇものがはいります。蓮は皮を剥きまして、これを細かにいたしまして使うだけなのでございますが、ゴボウは何しろこれが皮が厚うございますので、包丁で撫でるように剥きまして、そのあとであくだしをします。紫蘇の使い方が一番面倒なんだそうで……。紫蘇の実がある時分はよろしいんでございますが、無いときには漬物屋から塩漬けンなっているものを買って参りまして、これを塩出ししてから使うんでございますが、この塩出しの加減が難しゅうございまして、あんまり塩出しをし過ぎますと水っぽくなってすっかり味が落ちてしまいますし、と申しまして、塩出しをしませんと、塩っ辛いがんもどきができあがる」



ーー…な、なるほど。その練り物、豆腐物の話も興味深いのですが、時間のこともありそこは大幅に割愛し……そこから、敢えてウルトラに今回戻った理由は?



「時間という名の魔術師、ですかね…。今となれば、さっきまで話したそれらの愛憎もいい思い出。そのひとことですよ。そして、ウルトラの勝ち負けと、シュートの実力の関係とかそういう野暮と言えば野暮なあれこれも、今のファンは大したもので、認識したうえで呑み込んでくれる。いわゆる『サスペンションオブディスビリーフ』というやつなんですかね。そして、ウルトラマンブレーザー君というヤングマンが、それ…四足レスリング、それも動きを抑えた私たちの流儀を体感してみたい、と直々に指名があった、と。そこで出てこない理由が無い」



ーーなるほど。



「そして、最初に話したことと関係するんだけど、これだけ年月が経って、やっと自分が『ぬいぐるみみたい』『かわいい』と言われることも、怪獣らしさの否定とかじゃなく『こういう怪獣もいる、いていい』という多様性の意味で、同じ境遇の怪獣をエンパワメントできるんじゃないかと思ったんです。同じようにかわいいと言われ続けた怪獣にエレキングさんとかいますけど、彼らとチームを組んで暴れても面白そうですね」




――そういう終着点になったとしたら、見ている側からしても実にうれしいことです。古きよきレスリングをブレーザーさんも体感して…



「オット!ではありますが、同じことを繰り返すのも芸が無い。この期間中、新しく身に着けた『脱力』の技法……体を極限まで柔軟にして、相手の攻撃を跳ね返す、そんな技術を強化したんですよ。そこを見てもらえたら、うれしいですね」



ーーああ、確かにすごかったです!あれは確かに、敵の攻撃を無効化するすごい技!新たに会得されたんですか。



「ええ、南斗という武道に入門して一からね。師匠が面白い人で、ふだんは穏やかなんですが、血を見ると『いてえよ~~~!』と…」



ーーなんと。(ダブルミーニング



===(了)====