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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ヤプールさんインタビュー。「俺の超獣路線を進めていれば、ライダーにウルトラが遅れをとることは無かったんだよ!」(映画公開記念)

※追記 その後、リンクを全体的に張り、世界観の説明もしたポータル記事がこちらです
m-dojo.hatenadiary.com



からのー

怪獣インタビュー・リンク集 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140302/p1


今回のインタビューは、今までとは変わった経緯がある。
もはや完全に、当方の取材のアドバイザー&コーディネーターのようになってくださったエレキングさんだが、その人脈を通じて、あちらから連絡があったのだ。

エレキングさん曰く
「何度も『なぜ、あいつは俺にインタビューしないんだッ?』『連れてこい』と言われましてね……」
「なにか、今までのインタビューに文句を言いたいことでもあるんですかね?」
「いやー、そういう人なんですよ…悪い人じゃあないんですけどね……どうも自慢が多くて、それから自分の業績が、正当に評価されてない、という思いが大きいんですよね。しょちゅう、そういう話は聞かされますよ。栄えある怪獣を「超獣」に置き換えたり、いろいろ型破りなことをやった人だから賛否両論、毀誉褒貶激しいですけどね。重要な人であることも事実ですから、話を聞くのも面白いんじゃないでしょうかね? まー、話がくどいことは、覚悟してください(笑)」


そんなことで、ヤプールさんのインタビューに向かったのだが……

「ヘイ、お前さんのこれまでのインタビューを、俺も読ませてもらってたぜ。なかなかにクールじゃねえか。ある、大きな欠点を除いては、読ませるインタビューだと思うぜ。大きな欠点を除いてはな」
  
― はー。欠点、と申しますと…?
「そりゃー、怪獣界の黒幕、すべてのアイデアの源泉であるヤプールさんの話を聞いてないって大欠点があったってことよ!!それを惜しむから、チャンスをそっちに与えてやったんだぜ!なんでも好きに聞いてくれ。俺の波乱万丈にして、あらゆる苦難に立ち向かった、不屈の物語をな」
 
― ご自身で「黒幕」と言われる人も珍しいですね(笑)。お言葉に甘えて、いろいろ聞きたいと思います
「おー、…そうすると、やはり『ヤプール前』と言われる時代と、『ヤプール後』と言われる時代の比較から語る必要があるな」

― …そういう時代区分が、言われてるんですか?
「そんなの当然だろ? よし、歴史の授業の時間だ。 俺の前の、ウルトラ・プロモーションはどうだった?ビジネスはうまくいっていたかっ?」
 
― えー、初代ウルトラマンさん、ウルトラセブンさん、帰りマンさんとスターが交代し、多士済々の怪獣の集まった『黄金時代』と言われていますね。いまでもスター怪獣、レジェンドのメインイベンターは、その時代の怪獣が占めていますよね。
「そこがプロブレムだったんだよ!!つまりだ、個々の怪獣のタレントに頼りすぎて、ストーリーラインってものを考えてなかったんだよ!!エンターテインメントってものはそうじゃねえんだぜ。言い換えるとだ。『あー、面白かった、大満足だ』で客を帰らせるのは、旅芸人の発想なんだよ。真にクールなエンターテイナ―のお見せする芸ってのはこうだ。『あー、面白かった。だけどあの最後はなんだ?もやもやするな…来週も見逃せないぜ』。初期ウルトラの兄さんたちや、怪獣たちがグレートなことは認めないでもないさ。しかし、昔堅気なんだよ、あの時代の連中はプロモーション全体が。わかるか?」
  
―つまり、それはウルトラの『一話完結』性、つまり毎週の怪獣がどこからともなく出現して、ウルトラマンのみなさんと対決しては、次週は別の怪獣が出てくるという…そこが古いんだよ、とおっしゃりたい?
「イエス、ビンゴだぜ!! クリスピー・クリーム・ドーナツなら、もうひと箱が当たりだ。そういう古臭い、旅興行のテイストが抜けないウルトラプロモーションを、21世紀のエンターテインメントに引きずって連れて行ったのが、このヤプール様だというわけさ。やつらにとっては、こういうのが異次元の発想だったんだろうな。まあ、俺は異次元人だから当然だけどな、ガッハッハッハ」
 
―そういえば、そもそも「異次元人」という発想はウルトラシリーズの中ではあまり傍流というか、縁がなかったのではないですか?なぜ、ウルトラと関わることになったのですか?
「そこだぜ、俺は良くも悪くもウルトラのアウトサイダーだったわけさ。異次元というマーケットとウルトラの縁ができたのは…ブルトンだよな。フジツボとホヤの貝怪獣から、次元を操作し行き来する前衛怪獣というギミックにチェンジしたとき、実際に異次元で修業をしたんだよ。それで俺たち異次元人と縁ができたんだ。その前も…Qの『あけてくれ!』とかでこっちにロケに来てたのかな?そのとき、そういう修業やロケの場を、紹介するコーディネートを俺が担当してたわけよ。そこで俺が才能を見出され、いろいろ以前からアドバイスしてたってわけさ」
 
―そして「エース」では敵役に抜擢され……
「オット!!俺は別にエースの仇役、ってだけじゃないんだぜ。そうだなあ…まあ、あまり大きなことは言わない、謙虚にいうとだ…『ウルトラマンエース』の世界そのものが、俺が作った作品だ、ということかな」
―(け、謙虚?)エース自体が、ヤプールさんの「作品」…とは??


<続き>


「つまりだな。それがヤプール前と、ヤプール後ってことさ!! 俺が古いウルトラをぜんぶぶっ壊して、まったく新しいウルトラを作りはじめたんだよ。それは何かというと、俺様、ヤプールが軍団の兵隊として、地球を侵略するために超獣を送りこむ。こういう点ではない、線としての興行をやろうぜ、って提案したわけだよ。カテエカテエ、溶岩石のように凝り固まったウルトラプロモーションの連中に、これだけの路線変更をやらせるっていうハードさがわかるかい? まあ、俺じゃなきゃ無理だったろうな」
 
―たしかに伝統を破った、大胆な改革でした。しかしプロモーションもそうですけど、独立独歩、お山の大将というイメージのある怪獣が、よくそうやってヤプールさんのマネジメントの下に統制されることを了承しましたね。
「そこだっつーの!! ほんと、あいつらのカテエことといったらプロモーションの連中の何倍もひどかったぜ!! と、いうかさ、はじめはレッドキングとかゴモラとか、そういう連中を俺の軍団に入れたほうがスケールでけえだろ…しかし、あいつらと来たら…」
 
―参加しなかったのだから、断ったのでしょうけど、あの人たちだと…あの、ひょっとして、かなり乱暴な形で拒否を
「(苦い顔で)言いたくねぇな。……まあ、脳みそが足りねぇ連中には困る、ってこった」
 
―は、はあ…しかしヤプールさんは結局、「超獣」を率いるというギミックを…これも実に新機軸ですよね?
「『新しい酒は、新しい革袋に入れろ』…とはよく言ったものだぜ。結局、ヤプール式の新しいウルトラ・エンターテインメントは、クラシックなレスリングしかできないカテエやつら…オールド怪獣には理解不能だってえことだよ。だから、俺は一からそのレボリューションに参加できる新しい才能をスカウトしたんだ。もともと超獣は、そういう連中がストリートで使ってた言葉でな。『チョーやばくないっすか』『チョーすげえっす』、そんなあいつらの口癖から、俺が命名したんだ。パテントでも取っておけばよかったぜ」
 
―原色を派手に使った姿が、超獣の特徴ですよね。
「だからあれが、ストリートの『超クールな怪獣』=超獣が、かぶいているってことよ。超獣は現代の傾奇者なんだよ。てか、オールド怪獣は、まず白黒映えみたいなのを考えているんだよ、ウルトラマンの代からカラーだったくせにな。『放送はカラーだけど、テレビ受像機は白黒のものもあるからそれに配慮した格好を』とかプロモーターもいうし、それより年功序列や控室の『空気』で、派手な体色はご法度扱いだったんだ。ナンセンス!! 怪獣ってのは秩序の破壊者じゃねえか。だから俺は、ど派手な連中の傾奇っぷりをそのままリングで見てもらおうとしただけでな。それがエンタメってもんだろ?」
 
―超獣の色のあの毒々しさ、いや失礼、派手な色使いはそういう理由だったんですか。たしかに画期的といっていいのかもしれません。
「そしてだ、ここが肝心だが、そういう新しいウルトラをやる才能があるやつとして、こちらがエースをエースにするよう提案したのさ」
 
―な、なんと!! さきほどの「『エース』は全体が俺の作品」というのはそういうことも含めてでしたか!!どうしてエースを選んだんですか?
「なんといっても、光線の派手ささ。それまでのやつらとは、いっとう違ってたろ?お客ってのは非日常を見に来るんだ。怪獣とウルトラがどんな取っ組み合いや高度な打撃戦を見せたからといったって、それじゃ人間界のプロレスや相撲、キックボクシングとそんなに違いはないだろ? 光線は、ウルトラならではの非日常だ。どこのリングでも土俵でも、人間界では…当時で言えば、『仮面ライダー』のプロモーションでも見ることはできない、ウルトラだけの武器だった。それを突き詰める才能はエースだけにあったんだよ。あいつはメキシコで修業してたのかな、とにかく次元の違う光線のバリエーションだった。だから異次元人の俺の目に止まったわけさ、ガハハハ!! だから俺とエースは、徹底的にハイスパット(戦う前に打ち合わせておく、試合中の見せ場)は議論して、細部まで決めてたな。カテエ頭のオールド怪獣は『そこをアドリブで、以心伝心でやってこそ本当のウルトラのファイトだ』って言ってて、そこがやりにくいったら…そのへんはたぶんエースも、ウルトラ内部で言われて浮いてたんじゃないか?兄弟が共演したときも、さすが大物はそういうことを言わねえやな。だけどちょっとぎくしゃくしてるというか、スタッフの忖度がな…エースキラーのときは、エースを立てて、ほかの兄弟をエースが助ける、という感じだろ?だけどヒッポリトのときは、そういう序列をあいまいにしてたじゃん。あっちには俺は直接かかわらなかったけど、『父』がリングに上がったのも、結局はさらに上を出すことで、兄弟の誰が誰を助けるか、誰が才能がある最強のやつか、をうやむやにするためだったんだろーさ」
 
―そういえばエースは、どうも初期ウルトラのファンの側からも「彼のところからちょっと変わった」というか…もっと端的にいうなら『エースは嫌いだ』という人も多いような気がします。
「ユーもそうなんじゃないか?」
 
―あ…いやいやそんなことは。 
「まあ、いいけどよお。とにかくそういう連中…というかな、昔の「伝統」という、形の無いあやふやな空気のようにも、大きな岩のような硬くてでっかいものにも見える”何ものか”が俺たち…ヤプール超獣軍団のほうにも、エースのほうにも立ちふさがって、道をふさいでいった。だからなあ、俺のような天才も、結局は思ったことの半分もできなかったんだよ!!」
 
―そういえば結局、ヤプールさんは「途中降板」されてますね。
「ひでえもんだぜ。俺とエースの軸ができてんなら、最終回で俺が派手にやられてこそ、お客がヒートするんだろうよ。その俺が途中でやられる。それに新しいギミックだった『エースの変身前は男と女が合体する』という話が無かったことになってんだからな、信じられねぇよ。まあ、女役がギャラでもめたとも聞くけどな…」
 
ヤプールさんの退場も、南隊員が「月に帰る」のもたしかに唐突でした。
「俺が辞めさせられるときにも、天才の俺様は『じゃあ、より強い悪の組織が生まれて、俺たちはそれに取って代わられて滅びるってのはどうだ?』て提案したんだけどよお…結局梨の花になっちまって、ふつうに一匹ずつ出てきては倒されるって元の木阿弥よ。で、結局、最終回はひと目見ても間抜けなサイモン星人が『ヤプールが変身した』って設定で登場するわ、合体超獣といいながら、いまだに全く人気のないジャンボキングなんてしょっぱいやつが出てくるわ…一口食っただけで脳卒中になりそうなしょっぱさだったぜ」
 
― …("^ω^)・・・
「考えてもみろっ、もし俺のやった路線……悪の組織が、組織的に怪獣を送り込むというのが定着していたら、もっと壮大なドラマがウルトラからは生まれたんじゃないか?、例えばシリーズごとのボスだけでなく、その複数のシリーズにまたがる大ボスだって設定してもいいだろうしな。それができないからみろっ、完全に最初は弱小団体だった「ライダー」に抜かれて、いまじゃ追いつけないほどあっちがでかくなっちまった…。というか、『メビウス』になって、やっと俺の路線が正しかったことをウルトラ側もわかって、エンペラー星人なんてのを仕立てて悪の側を組織化したじゃねえか?エンペラー星人、うん、あいつはヤングマンだがよくわかってるやつだった」
 
―四天王のひとりとして登場されたのには驚きでした。
「いまさら、ウルトラプロモーションが俺に出てほしい、ってのも筋が違うだろ、って言ってやりたかったんだけどな(一時期、どうしても食えないときは出たけど…)。エンペラーはあっちからあいさつに来て『若輩者の私が、宇宙の帝王のようにふるまうには、みなさんのような大物の、さらに上という設定じゃないと無理なのです。どうかご協力いただければ…』と丁寧に頼むからなあ。そこで北向く(へそを曲げる)のもヤプール様らしくないよな。あいつは相手のメビウスとも信頼関係が強くてな。最後の決戦のときには、親に『もし今日のファイトで俺が死んでも、メビウスさんを恨まないでくれ』と言い残してから出かけてったんだとさ」
 
―へえ…
「まあな、そういう形で、今は俺の『悪の組織路線』も再評価されたし、男と女が合体してヒーローになる、というのも今は男女平等の視点から見直されてるな。国民的映画だった『釣りバカ日誌』にも『合体』とか出てるんだろ?そんなホームドラマにまで、ヤプールさんのアイデアは影響を与えてるんだぜ」
 
―そ、それは違うような…
「あとな、これだけは言っておきたい。『超獣は名前だけで弱っちい。派手な光線とかピカピカ光らせるだけだ』とかいう手合いがいるだろ?とんでもない話だっつーの。だいたい、光線ってのはストリート育ちの連中にとっちゃ、本当の実戦で使う武器だったんだぜ」
 
―そうなんですか?
「ストリート育ちの連中にとってみりゃ、オールド怪獣の怪獣レスリング、寝技や関節技なんてのは、逆に安心安全のお遊びやお遊戯にしかみえなかったもんさ。ある超獣は俺に言ったよ。『ボス、ウルトラっていいですねえ。光線で撃たれるにしても正面からで、路地で背後から一斉に光線を打たれる心配はないんだから』ってな…超獣は、そういうところで生き残ったやつらばっかりなんだぜ!」
 
―超獣が、そういわれるのは、タロウの最初でアストロモンスが超獣を倒したゆえでしょうか?

http://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9
※余談だが超獣であるオイルドリンカーを倒した事で、「超獣は怪獣より強いという概念が消えた」とか「タロウの怪獣は超獣より強い大怪獣だ!」等とも言われるが、「これはオイルドリンカーが弱すぎるだけだろ」、「ベロクロンやブロッケンならアストロモンスが負けてたぞ」等ファンの間で論争になることがある。

「それは……結局俺のせいなんだよな(涙ぐむ)。俺が失脚したから、超獣は結局『超獣はぐれ軍団』になっちまい。巻き返したオールド怪獣のかませ犬にさせられたんだよなあ…アストロモンスと戦った超獣のオイルドリンカーは、『仕事ですから…』と笑ってたけどな…」

 
―敗れざる者たち、ですね。
「しかしな!!超獣の武闘派たちは、はっきり言って爆発寸前なんだよ!!『もし超獣が怪獣より弱いっていうんなら、俺たちがいつでもやってやりますよ!!連れて来いってんだよ!ウルトラファイトルールでもいいぞ!!』ってな。これ、書いておいてくれよ」
 
―な、なんと!!ヤプールさんから見て、シュートな超獣というと…
「まあ、ベロクロン、バキシムエースキラーは鉄板としてだ…バキシムムエタイをやっていてな、空間認識能力、距離を盗む能力が優れているんだ。空間を切り取る技は、そこから来ている。 あまり目立たないところでは、シシゴランとか、ブラックピジョンかな」


―また正直、意外な名前が出てきましたね。
「とにかく、超獣はストリートで暴れてた連中を、天才の俺が拾って育てた、ハンパじゃないやつらばっかりなんだよ。最近仕事もベロクロンやバキシムは増えてきたけど、ほかの超獣にも、また暴れる場を与えてくれれば、それはわかるはずだ」
 
―……ひょっとして、ほかの超獣にも仕事の場を与えてほしい、それを訴えるためにこのインタビューの提案を?
「さてな…」



(了)

もう一回映画の宣伝

ウルトラマンX]「きたぞ!われらのウルトラマン」 歴代ウルトラマンと共闘 | マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2016/03/11/567/
 
特撮ドラマ「ウルトラマンX」を映画化した「劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン」(田口清隆監督)が12日に公開される。「ウルトラマンX」は2015年に放送された特撮「ウルトラマン」シリーズの最新作で、ウルトラマンXは41代目のウルトラマン。劇場版ではウルトラマンXのほか、ウルトラマンウルトラマンティガウルトラマンネクサスウルトラマンマックスウルトラマンゼロらウルトラ戦士が集結し、地球壊滅をもくろみ、地獄へ変えようとする強敵怪獣軍団とバトルを繰り広げる。

そして、これまでのインタビューの一覧

怪獣インタビュー・リンク集 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140302/p1