INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

直木賞は2作とも歴史小説。「氷菓」の米澤穂信氏は荒木村重vs黒田官兵衛、今村翔吾氏は「石垣vs鉄砲」がテーマとか。


www3.nhk.or.jp


直木賞の受賞が決まった今村翔吾さんは京都府出身の37歳。

ダンスのインストラクターや滋賀県守山市埋蔵文化財センターの調査員などを経て…受賞作の「塞王の楯」は、戦国時代、武将たちの活躍の陰で城の石垣作りに命をかける職人集団「穴太衆」の姿を描いた歴史小説で、幼い頃、戦乱で家族を失い、「穴太衆」に育てられた石垣職人・匡介が主人公です。

(略)大津城を舞台に絶対に破られない石垣こそが戦の無い世を作ると考える匡介と、どんな城でも落とせる鉄砲ができれば、戦は無くなると信じる鉄砲職人の集団「国友衆」の頭目との互いの信念をかけた対決…

越前・一乗谷城織田信長に落とされた。幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。どんな攻めをも、はね返す石垣。どんな守りをも、打ち破る鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

米澤穂信さんは、岐阜県の出身で43歳。

大学生のころからウェブ上に自分の作品を発表し、2001年には「古典部」に入部した高校生が日常に秘められた謎に挑む「氷菓」が角川学園小説大賞の奨励賞を受賞して作家としてデビュー…受賞作の「黒牢城」は、戦国時代、織田信長に背いて「有岡城」に立てこもった荒木村重が、翻意を促すためにやってきた黒田官兵衛をろう獄に幽閉したという史実を下敷きにした小説です。
織田方に包囲された城内では、密室殺人をはじめとする不可解な事件が次々と起きて村重は、ろうの中の官兵衛に対して謎解きを求めるようになり、その場でほのめかされたヒントを基に解決を図ります。

村重と官兵衛の心理戦が緻密に描かれるだけでなく、事件の謎解きという推理小説としての要素と、戦国の世の価値観や慣習を盛り込んだ歴史小説としての要素を併せ持つ作品として話題になりました。

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。

いろいろ、申す。

まず今村氏は今回の報道で初めて名前や作品を知った。経歴が面白いという事か、TBSがスケジュールを抑えていて、受賞の瞬間とかも撮影、番組(ニュース23)に生出演してもらってた。
受賞の瞬間、やはり号泣するもんなんだわな。ダンスインストラクターとかの経歴もおもしろいってことで。


作品はあらすじを聞くだけだけど、うん、おもしろそうじゃないですか。
戦国時代、技術者集団に着眼してその話を描くというと、…石垣にも関係してるし、やっぱり森秀樹の「ムカデ戦旗」を連想してしまいますが(何度もこのブログで紹介してますね)

その作品が面白かったので、こちらもおもしろかろう。




米澤穂信氏は…いわずとしれた「氷菓」(古典部)シリーズのひとなわけで、自分はアニメで推理もの、それもいわゆる殺人などのない「日常の謎」をやってるという話をどこかで聞き「へー、野心的なもんだね」と感心した…が当時はアニメってほとんど見てなかったのでそのままほっておいた。少年エースで漫画版が始まって、それで知り後追いで視聴もした、という流れだったな。

ただ、それに感心したので、読んだ本の中で「謎解き風」だと自分が感心した話を、同作品の登場人物の会話で紹介する、という記事をその後書かせてもらってる。最近もネタが一件あるんだけど、受賞に便乗して書きはじめようかな…

過去作
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com


それとは別の「氷菓」話もいくつか見つかった
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com


日常の謎」を書いてる人は、それをずっと書き続ける、というイメージがあったけど、それは本来おかしいわな。そんなひとのほうが少ないや、たぶん。
荒木村重黒田官兵衛を、「城中で(怪事件の捜査の傍ら)知恵比べ、心理戦を行う」とするなら、これは確かにやはりおもしろそうだ。


にしても、直木賞作家は、受賞前に作品がアニメ化されていた…ということになるわけで、今後はそういうことも増えていくんだろうかね。逆に直木賞作品がアニメになるってこともあるかもだ。
すでにあるのかもしれない……


三浦しをん氏は直木賞受賞作家であり、作品が2つアニメ化されているな。ただ受賞して、そのあとにアニメ化か。


そういえばもひとつ。
以前。……「映画大好きポンポさん」がらみだったな、「自主的にネットなどで発表した作品で、その後ヒットして実写化やアニメ化された作品はどんなのがある?」という俺の問いに「氷菓米澤穂信氏は、ウェブに古典部シリーズを掲載して公開、それがデビューのきっかけですよ」との答えが寄せられ、へーっとなったんだっけ。
m-dojo.hatenadiary.com

なんにせよ、おめでとうございますなり。