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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

小川直也vs橋本真也の真実とは?「古典部」メンバーが「証言1.4」を読んで推理する。

1990年代以降のプロレス界、“最大の謎"がいま解き明かされる!

1999年1月4日、新日本プロレス・東京ドーム大会で行われた
橋本真也vs.小川直也の“シュートマッチ"。

試合開始直後から橋本を殴る、蹴るなどの“暴挙"に出る小川。
これは「プロレス」ではない――。
騒然とする観客とリングサイドの新日本勢。
結果、橋本は大観衆の前で醜態を晒すことになった。

試合は「無効試合」判定となったが、試合後、長州力佐山聡らが
リングに上がり新日本、UFO勢が乱闘騒ぎに発展、遺恨を残した。

小川はなぜ“暴走"したのか。そして橋本はなぜ反撃しなかったのか――。
現在もプロレスファンの間で語り継がれる“疑惑の試合"。

20年を経た今、当事者、関係者がその深層を告白する。



はじめに ターザン山本

第1章 小川を「取り巻いた」男たち
佐山聡 「猪木さんが大阪からの新幹線で小川に“指示"を出したと聞いた」
村上和成 「絶対に譲れない猪木さんの思想が、小川さんを暴走させた」
ジェラルド・ゴルドー 「ミスター猪木との約束がなければ、小川をぶちのめし、殺していた」
X(元猪木事務所・UFOスタッフ) 「小川さんのことが好きな人は誰もいなかった」

第2章 橋本を「守った」男たち
山崎一夫 橋本の控室で、猪木を罵倒し続けた長州に感じた違和感
藤田和之 「1・4は、試合後の乱闘も含めてプロレスだと思っていました」
安田忠夫 猪木にとって1・4の小川の相手は、話題になれば誰でもよかった
加地倫三(元『ワールドプロレスリング』ディレクター)
「引退特番に関わった僕が、橋本さんのケツを拭かないといけない」

第3章 橋本を「見守った」レスラーたち
前田日明 「次、小川をスパナでカチ食らわせ」と橋本に電話した前田
武藤敬司 「あの試合は、俺や長州さん、健介、藤波さんが辞めた原因の一つ」
大仁田厚 「1・4の橋本vs小川戦は、猪木さんの俺への当てつけ」

第4章 橋本vs小川「至近距離」の目撃者たち
金沢克彦 “シュート指令"を出した猪木の想定を超えてしまった小川の暴走
辻よしなり 「橋本は小川を『自分の人生を懸けて闘うにふさわしい男だった』と」
田中ケロ 「はしごを外され、裏切られ、橋本は解雇されたんだと思います」
上井文彦 1・4後に橋本の年俸は3800万円から3000万円に
中村祥之(元新日本プロレス営業) 橋本vs小川は、猪木の「魔性のプロデュース」が生んだ悲劇
永島勝司 試合後、電話で「ガチに見えるプロレスをやっただけ」と主張した小川
橋本かずみ 「なにかあったらラーメン屋をやりたい」と言っていた橋本

橋本真也 小川直也 完全年表

※ちなみにこんな続編もある

プロレス「証言」シリーズ第5弾は、昨年末に発売され好評を博した
『証言1・4 橋本vs.小川 20年目の真実』に続き橋本真也がテーマ。
今回は2000年4月7日に東京ドームで行われた小川直也との最後の対戦
(テレビ朝日がゴールデンタイムで生放送し、視聴率は15.7%。瞬間最高視聴率は24%)
の舞台裏を中心に、橋本の死までのエポックな出来事の「真相」を関係者に徹底取材。

プロローグ 古典部、ふたたびの登場!


「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!謎を明かせと俺を呼ぶ!『氷菓』でおなじみ、古典部が5年ぶりに参上!」



「あたしたちの登場する法則は、ひとつ……」

本やネット上で『謎』→『推理』→『証拠』→『解決』の鮮やかな展開を見たとき、作者は『まるで推理小説だな…日常の謎だな…じゃあ、そういう仕立てで読んでもらおう』と思って、僕たちを招集する。」

「不思議なものだが、なぜか普通にミステリー、推理ものを紹介する時は俺たちは呼ばれないんだよな。何か別ジャンルが、偶然に推理・ミステリー的な展開になると呼ばれる……しかし5年越しに登場したって、誰も知らないよな」


「でもその間に原作が、新作出ました!ギリいけます!!」




「過去の登場回はこちら」

とある野球記録を「日常の謎」(氷菓)風に紹介〜「なぜオールスターの成績が、長嶋は王より上なのか?」(宇佐美徹也) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130616/p3
のらくろ漫画から怪獣の歴史を「氷菓」の古典部メンバーが考える(或るtogetterを受けて)。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150508/p3
司馬遷史記」が『面白すぎる』のはなぜ?〜「氷菓」の古典部員が謎に挑む(※宮崎市定の論考がベースです) - https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/20160613/p1

本題 「1.4、小川直也vs橋本真也の真実とは?」


「さてさて、今回のお題は?」 



「ブクマでゆるーく話題になったこれ。」
news.yahoo.co.jp




「ブクマは60ぐらいか。でも、プロレスネタだとこれぐらい集まれば人気コンテンツと言えるんだよな。コメントも比較的多いし。」
[B! プロレス] 小川直也VS橋本真也『1・4事変』真相ついに判明…小川に「蹴りまくってリングから出すまでやれ」暴走王を作った男(関西テレビ) - Yahoo!ニュース



「でも、この記事で「真相」がわかっちゃったんでしょ。このブログの作者もブクマでこうコメントしてるじゃない」

小川直也VS橋本真也『1・4事変』真相ついに判明…小川に「蹴りまくってリングから出すまでやれ」暴走王を作った男(関西テレビ) - Yahoo!ニュース

あれま「正解」出たのか。真相を推理する本が出ているんで、「氷菓」の古典部メンバーがその本を紹介しながら推理する対話劇の構想ができてたのにな(笑)。あんまりアイデアを寝かせちゃいけない。

2021/08/24 08:39
b.hatena.ne.jp



「ところが!! ちがったんだよ!!」
「今回の小川が云々という記事を受けて、もともと元ネタにしようと思ったこの本をちょっと再度読んでみたのね、確認のために…そしたら、やっぱりすごく面白い!」
「というか、上のような証言を、大まかな意味では既に網羅しているし、その上でやっぱりそれを否定する、矛盾した事実のピースがいろいろあるんだよ!!」
「むしろ今回の記事をきっかけに、この本が再度読まれるべきなんだよ!!」


1999年1月4日、新日本プロレス・東京ドーム大会で行われた
橋本真也vs.小川直也の“シュートマッチ"。

試合開始直後から橋本を殴る、蹴るなどの“暴挙"に出る小川。
これは「プロレス」ではない――。
騒然とする観客とリングサイドの新日本勢。
結果、橋本は大観衆の前で醜態を晒すことになった。

試合は「無効試合」判定となったが、試合後、長州力佐山聡らが
リングに上がり新日本、UFO勢が乱闘騒ぎに発展、遺恨を残した。

小川はなぜ“暴走"したのか。そして橋本はなぜ反撃しなかったのか――。
現在もプロレスファンの間で語り継がれる“疑惑の試合"。

20年を経た今、当事者、関係者がその深層を告白する。


「また、男子だけで盛り上がってる…」

「まあ、いちおう聞いてやりましょうよ」




そもそも、1.4小川vs橋本は、どんなだった?



「これについて、ついに真相が語られた!と話題になったのはこういうことよね」

それを受けて小川さんは「これはまだみんなに話したことはないんですけど」と前置きした上で、「猪木さんに『ちょっと来い』って言われて。『これはもう世紀を懸けた一戦にするから、ちょっとお前、やって来い。一方的に蹴りまくって、最後は蹴ってリングから出すまでやれ』って言われたんですよ」と当時の真相を告白。

「もう猪木さんからやれって言われたら、NOとは言えませんから、やって来なきゃいけないわけです。こっちは」



「大状況はリング上そのものが回答だ。小川が圧倒するような形で大攻勢、橋本はなんどかタイガー服部に手を出すが、服部が不自然に倒れることでむしろ小川はやり放題のエスカレート。最後は無効試合…」




「猪木さんに言われてやったんです、も、別に根も葉もない責任逃れ、とか事実自体が存在しないとかじゃないんだよ。そうだろうさ。だが、何のためどうなったとか、誰がグルなの?とか、わからないことはやっぱり多いんだよ」




「たしかに正男(タイガー服部)が、ああいうジョー樋口張りにひ弱に倒れるムーブしてなかったら、もう少し試合をコントロールしてますよね。正男は御小(長州力)の子分だから、当時あれこれ待遇で不満やワガママを言い出してたチンタ(橋本)をこの機会に潰すか…と一枚かんだ可能性をはいじょできませんよね」





(何で突然、お前が詳しくプロレス業界の隠語や裏事情語りだすんだよ……)



「じ、実はそういう疑問を、現場の当事者で抱く人もいてね。同「証言1.4」より。」

試合後控え室

長州力「何がアントニオ猪木だ!何がUFO だ!」

山崎一夫(内心でこう思っていたという。)
わざわざ橋本に聞こえるように猪木さんを罵倒してる…本来なら向こうの控え室で、小川や佐山さんに大して怒鳴り散らしたっておかしくないのに…『俺はこの件に関わっていない』とアピールしてるんじゃないか?」



「とにかく、謎のひとつは「タイガー服部レフェリーや周りが、もっと早く止めれば橋本はあそこまで恥をかかなかったのでは?」ということね」




ところが、これについても、証言「1.4」は答えらしき証言を残しているんだ。当事者中の当事者の言ではないし、見出しや項目も立っていないが、実は極めて重要な手がかりである。一番重要なヒントは、記述の中ですごくあっさり書かれているってのも、まさに「ミステリー」風だな。その証言者は…金澤克彦。」




「あー、あいつも、最初はあのカブトムシ(長州)の太鼓持ちで『おい金沢。』『GK金沢』がそういう立場の代名詞になったぐらいだけどだったけど、いろいろ書いてるうちにすっかり嫌われてしまって、だから逆に客観性があるともいえますね」





「ま…まあそうだな。ただ、この1.4の裏話も含めて、そもそもアントニオ猪木と新日本の坂口・長州体制の確執……プロレスと格闘技の問題も合わせて記述した『子殺し』という本は、プロレスのジャンルを超えたノンフィクションの傑作だよ」

元「週刊ゴング」編集長が世に放つ衝撃作。98年以降のマット界の暗黒はなぜ起きたのか。専門誌編集長として業界のすべてを知る立場にあった著者だけが書ける、大仁田参戦、小川vs橋本、総合格闘技の「プロレス喰い」、幻の「ヒクソンvs長州」。団体の迷走と読者の狭間に立たされた苦悩を軸に、プロレスの「本質」を描き切る。新日本プロレス史に残る「暗黒時代」の真実といまはなき「週刊ゴング」への墓碑銘。




「このブログでも12年前、一読して感動の余りに長文紹介を書きました。とくに試合直後の、橋本-小川の電話内容がスゴイ。スゴすぎる」

m-dojo.hatenadiary.com
「小川、オマエ、これはどういうことなんだ!?」
「すいません。アタマが飛んでしまって・・・すいません」
「オマエには俺を救う義務があるんだぞ!俺を助けなきゃいけない。どうする?」
「分かってます、すいません・・・」
「本当にそう思ってるなら直接会って話をしよう!」
「すいません、明日はちょっとダメです」
「じゃあ、明後日は?」
「明後日も予定があって・・・」

「こちらにも衝撃を受けた感想が描かれている」
goldhead.hatenablog.com




「ちょっと!脱線よ!!いま謎を解かなきゃいけないのは、タイガー服部は試合を止める、止められる立場だし、橋本が『助けて!反則負けとかノーコンテストで終わらせて!』と彼を衝き飛ばしたりしたのに、なんで逆に「ジョー樋口倒れ」をして、かえって小川にやり放題にさせたの?ってことでしょ」




「そ、そうだった。これは金沢氏自身も他から聞いた証言だが、とても腑に落ちるので、おれはこれが正しい理由だと確信する。223-224Pだ。要約すると……」
・実はこのとき「ストップ」の最終判断はタイガー服部でなく、放送席のマサ斉藤にこそ委ねられていたらしい。
アメリカで何度も修羅場をくぐり、長州と猪木の信頼もあつく、現場でも圧倒的に慕われたマサ斎藤に託すのは、まさに適任であったろう。


・だが、おしくもマサさん「テレビ解説とこれを一緒にこなす」のは難しかった!テレビ解説に集中したマサさんは、この止め役であることを、どうも失念してたらしい…




「納得するしかない。」




「しかしまあ、わからんじゃないんだよね。非常脱出装置、あるいは学校の非常ベルボタンみたいなもん…あるいはタイトルマッチで、タオルを投げることのできるセコンドと同じで、「権限がある」からといって、自分の手ですべてを決める…それも悪い方への、あきらめの決断をするって難しいんだよ。上で、長州陰謀論を疑った山崎一夫はそもそも、直接的に橋本真也のセコンドについてて、むしろ自分が試合を止めることもできたんだよ。だけど、自分については、「証言1.4」でこう率直に告白してる」

山崎一夫証言の要約

1.4当日、橋本から「今日セコンドついてもらえませんか」と要請される。「何か今日嫌なことが起きるような気がする」と言われ要請に答えることにした。控え室の様子もいつになくピリピリした感がありました。
抗争相手であるはずのゴルドーが、小川のセコンドについている姿は、橋本のセコンドに山崎がつく以上に異例かつ不自然で、用心棒としての役目を担っているのは誰の目にも明らかだった…
試合が始まる。
ああー、こういうことだったのか(山崎一夫
「レフリー止めろと、何度も叫びました」
「本当はリングにあがって試合を止めたかった。だけど僕が止めていいのかどうなのか分からない。やはりこれだけの大舞台で注目を集めるトップ同士の試合を個人の判断で止めるというのはすごく難しい……」

 
 

実際にリング上で起きたことで、個々の「貫目」が問われる。

 
 

「私は小川vs橋本、試合それ自体より、試合後の選手たちの口論や乱闘の様子で、誰が一番本当に権力あるのかなー、だれが一番ガチで強いのかなー、とか推測するのが本当に楽しみです! 私、気になります!!」





(ひく)
「…ま、まあ、たしかにそういう面がある」「『証言1.4』も、まさにそこの部分で、複雑な光彩を放っていました」


山崎一夫
「どういうことですか!あれはないんじゃないですか」
佐山聡
「わかってるよ、分かってる。山ちゃんが言いたいことは分かるよ」「そりゃ怒るよね、こうなっちゃったら」




藤田和之
「僕はまだデビュー2年で若造のぺーぺーだったから、何が起こってるのか全然わからなかったんですよ。なんかいつもと違うなとは思いましたけど、最後の乱闘も含めて全部プロレスだろって思ってたんですよ」


安田忠夫
「何かあったらヤス頼むな、と言われ俺も「気をつけてくださいね。何かあったら行きますから」って答えた。」

小原さんが控え室からリング上に突っ込んできて「行けーっ!」って言うから。
誰も行かないから俺が言ったんです。
こっちは人数で勝ってるから負けるわけないし、でもそれなのにみんなビビって。
長州さんも潰せって言ってるのに行かない。健介や中西も行かない。小原さんに対しても内心「お前は行かないのかよ」と思ってた。
(そう思いつつ突っ込んだ安田だが)
「最初は目の前がゴルドーだったから、そこは怖いから避けて村上の方に入った。佐山さんも飲んだら人が変わるとか、橋本さんから聞いてて怖かったからそこにも近づかなかった。」


佐山聡
「猪木さんと話していたのは、この試合はナチュラル(ガチっぽい、アドリブ多めの試合ということ)で行こうと。ナチュラルでやらないと小川の良さが出ない」
だが、小川のパンチが入ったのを見た時、これはちょっと違うと佐山もびっくりする。
それでも「これはちょっとしたナチュラルな試合なんだ」、と言い訳できる範疇だと思っていたが、グラウンドの橋本の頭を小川が蹴り、踏みつけてるのを見て「これは言い訳できない。全面的にこちらに非がある」となった。
試合前、佐山聡は「騒動になれば自分が出て行き事態を収拾する」とアントニオ猪木から言われていた。だがアントニオ猪木はリングに上がることなく、会場を後にした。


ジェラルド・ゴルドー
「あんなのはガキのケンカさ。でもまあしょうがない。Shit Happens(クソみたいなことも時には起きる)」

そもそも、事前にはどう決めていたの?

「これも本には記載されているようだな。」
・「ルールミーティング」と称する両陣営の打ち合わせ(勝ち負けや展開の決定も当然なされる)に、小川直也は欠席した。安田忠雄はいう。「小川は遅れてくるのかな、と思ったら、車がパンクした(ので来ない)って情報が入って、そんなに都合よくパンクするかよ!って俺でも思ったから。」

接触を、小川陣営は不自然に減らし続けた。それが、橋本陣営には不信感=仕掛けてくるのか?という警戒感になった。
中村祥之はいう。
「僕は東京ドームで、選手の送り出しをする係でした。控え室から、センターのウェイティングルームに選手を連れて行く。そこから花道に送り出す。だけど「小川選手は控え室に入ってきません」と連絡があり、ドタキャンかと心配したが、試合直前に「控え室には入らず、そのままセンターに行きます」と。ギリギリでの東京ドーム入りでした。控室に入らないのはあり得ないことなので、嫌な予感はした。ウェイティングルームの小川さんはセコンドにガードされて新日本の人間は誰も近づけない。つまり新日本と一度も接触しないままその日はリングに上がったみたいなんです」
(※ただし、控室に入っていない、新日の誰とも接触しない、という証言は他と矛盾する)


村上和成はいう。
「あれっと思ったのは佐山さんが両手にバンテージを巻いてたんです。 UFO は格闘技ティストですけど、セコンドがそんな準備をするのは…出来になってたんですね。後、外から誰にも入れないように控え室の鍵をかけてたんですよ。ノックする音が聞こえて誰かが小川さんを呼び出したんですが、言い争いになってるんですよね。その相手は坂口さんでした」

小川は坂口に「そんなことは会長に言ってくださいよ。俺に言われても困ります。俺は猪木会長に言われた通りにやりますから!」
語気を強めて言い放つ声が村上の耳にも聞こえてきた。





「結局、ぐだぐだで何も決まらないからああなっちゃったの?そんなアホなことある?」




「自分も、何も決まらないなんてアホなことがあるものか、と思っていたんだ。だがその後、少しづつ、この業界の何かが…どういうふうにアップダウン(勝ち負け)が決まるのか、あるいは揉めるのかがわかって来たんだ。こんな漫画のこんな場面でな……」


「昭和のこのファイトだって、当時は東京ドームに負けずとも劣らぬ大会場での注目カード。しかしそれでも、当日…というかその日の前座試合が半ばを過ぎてからやっと展開が決まったのだというぞ。こちらは打ち合わせが白熱し、細部まで決めていったから、ではあるが……」




「この時もさあ、俺の勝ちだいや俺だとか、引き分けなのか、じゃあおれが優勢で終わらせろとか大揉めに揉めて、結局決まらずグダグダになる可能性があったわけで…」



「実際、それに近いようなしょうもなさすぎる結末を、この1.4の当事者、あるいは目撃者がやらかしちまったことがある」

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でまあ、唐突でへんてこなフィニッシュでしたよね。
自分はウラ舞台のことなんかまったく知らないし、ここのインサイダー情報なんかもわかんないんだけど、ごく単純、平凡に「打ち合わせがうまくいなかった」んじゃないかと思うわあ。

これだけの大一番、スター同士が戦うメインイベントで、そんなことがあるやろか、と思う人も多いでしょうけど、猪木の常識、非常識。
(略)
あまりにも両者がラフでノーコンテストだ、両者反則だ、というのもひとつの<ブロードウェイ>の手段だし、ひょっとして今回はお客さんが

「藤田が猛攻→レフリーがストップ!→あれ?小川はすぐ立ったよ、ノーダメージ!レフリーの誤認?→この結果はおかしいよ!よし再戦をまた見に行こう!」

となるとでも思ったのかな。だとしたらナメてるから、さすがにそんなことはあるまい。
でもどういう決着が良かったのかな…「ここで海賊男が乱入し、藤田に手錠をかける」とかしか思いつかない(笑)。また両国焼かれるぞ。


「考えてみれば、大物が闘ったはいいけど、結局どっちも譲らなかったからお茶を濁すブロードウェイ(引き分け)、それも両リンとか両者反則とか……そんな話が昭和は通常営業でしたね。それじゃ語り継がれる名勝負にはならない、なんでもいいからインパクトを見せろ、とペリカンアントニオ猪木)が考えて、チキン(小川直也)に指示したとしたら、結果的には正しかったんですね」




「そ、その評価が正しいかはさておき、ペリ……いや猪木はそういう発想をする、というのは間違いない。藤波vs長州の札幌決戦をぶち壊す、ベイダーのデビューを、長州力から変更!の小芝居で行いファンの暴動まで発生させる、IWGPの決勝戦で自身がKO負けして病院に運ばれる……こういうの、ほぼ全部背景には『そっちのほうが話題になるから』『なんかやりたくなっちゃったから』意識があり、それが道徳的に許されるか、とか関係ないんだよ、あのひとは」



「『このカギを無くしたら入れませんよー、たいへんですよー』と言われたらつい、草むらにカギを投げ込みたくなる『あずまんが大王』のキャラじゃないんだから……」




「ただ…俺はいろいろ葛藤があった中で、最終的に形式としては、こういう「無効試合」になる、というのは、一応合意があったと思ってる」




「な…なんだってー!!!」




「つまり……それが『合意』の程度の問題でね。さんざん揉めた末に、とにかく最後はラフ展開がらみでノーコンテスト、という合意はできたと。それで片方は『やれやれ』と思い、片方は『殺れ、殺れ!!』だったという…」



「あほなダジャレ言ってるんじゃないわよ!」




いやいや、こういうことだよ。1.4の試合で、直接橋本にも、あとはメディアにもさんざん苦言を呈したのが前田日明なんだが…前田日明の名言に「プロレスは主導権を奪い合うゲームだ」というのがある。

プロレスは真剣勝負、競技ではないけれども「主導権を奪い合うゲーム」であると。そして昭和の新日はこの「主導権の奪い合い」に関しては相当寛容であり、やったもん勝ちだったと。そしておそらく前田は、「おれはこのプロレス内の主導権の奪い合いで、アマレス上がりや超巨体のファイターを相手に、ゴッチさん譲りの技術を駆使してかなり勝ってきた」という自負があるのだろう。
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「つまり、『結果は無効試合』と決まったら、『よっしゃ、その中で小川が強さを誇示しまくって、橋本と新日のブランド価値を奪い、小川直也及びUFOの価値を高めまくれ!結果さえノーコンテストってのを守れば、それはルール違反じゃないし』と、猪木とか佐山は思ったってわけかい」



「ところがだ……実は小川直也、すでにメインイベンターだったけど、試合回数は20行くか行かないかそこら。どうしょうもないグリーンボーイなんだ。しかも、その後いくらキャリアを積んでもそうだったように、致命的なまでにプロレスのセンスも頭もないしょっぱさだったんだ。だから性能の悪い機体に『結末は無効試合ってとこだけ守って、あとは自分の強さを徹底的に誇示して、相手より強いぞとアピールしてこい』みたいな雑なプログラミングしたら、あの図太い猪木・佐山がひいちゃったり逃げちゃったりするぐらい、橋本をルール違反でぼこりまくったと。でもプログラム上は、言われたとおりにしたといえばしたんだよな……という、それがこの試合の”真相”なんじゃないか


金沢克彦は語る。
「これは取材の中で複数の関係者に確認した事なんですけど、猪木さんは最初は「仕掛けてしまい』と言っていたのが途中で考え直して、試合直前になって佐山聡さんに対して「やっぱり普通の新日本の試合でやれ」とストップをかけたらしいんです。佐山さんが試合開始直前のリング上でそれを伝えたんだけど小川もアドレナリンが出ちゃってるし、その「仕掛け」がなくなったらどうすればいいのかもよくわからない。最後はノーコンテストでいいということでボコボコにして。」


ジェラルド・ゴルドーはいう。
「乱闘は小川が礼儀知らずだったせいだ。顔面に蹴りを入れて勝った。それで十分じゃないか。それなのに挑発を続け、騒ぎを起こしたんだ」
「あんなのは、まったく武道的な態度と言えない。」
「武道家は試合では互いに殺し合うつもりで闘う。だが試合が終われば一緒にビールを飲んで冗談を言い合うのさ。それが武道というものだ。多くのファイターは試合前も試合後も遺恨を残しているが、俺がそういうのは好きじゃないんだ」




あのゴルドーがそれ言うかー!!(だから逆に、試合で信じがたいほど非人道的なことしても悪びれないのかもしれないけど)」




「しかし、そうやってみると、けっきょく何とも後味の悪い話ですね…」




「こんな話をぐだぐだしちゃったけど、実は橋下真也の付き人で仲がすごくよかった安田忠夫ですら、直後に焼肉を食べながら橋本に諫言した。その諫言が実にその通りで、ある意味この話に尽きると思うので、最後に紹介しよう。」


「橋本さん、もし仕掛けられたら対応できないといかん、それがプロレスラーだって、いつも自分が言ってたじゃないですか」
「橋本さん、だまされたことぐらい、みんなわかってますよ。その先でしょう?」

www.youtube.com
遠いビルの影に 今日も 日はまた昇る
昨日よりも 1日だけ 未来が近くにある
あどけない寝顔に さし込む光が揺れてる
守る物が たったひとつここに きっとここにある……

(平成新日本プロレスED「ターンバック」より)