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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

レ・ミゼラブルをいち早く漫画化したみなもと太郎が「原作にもある爆笑ギャグ」と指摘した箇所を見てみる

この話は、同作品が連続ドラマとなってNHKで放送された時に書いていたので、その部分を再録しておきます。

みなもと太郎推薦 「レ・ミゼラブルのこの部分は超絶ギャグ!!」

潮社版の無印風雲児たちで、呉智英と対談してる時に語ってた。記憶で要約すると

レ・ミゼラブルには、一か所だけすごいギャグがあるんです。ジャン・バルジャンは、人違いで逮捕されて終身刑になろうとしてる見知らぬ男のために、自分がジャン・バルジャンだと告白するため――行けば自分の破滅ですよね。 そのために、裁判所までの道中を急ぎます。途中で川が増水したりとか、いろんなトラブルがあるんですけど、彼はその都度ものすごいチップを払って、無理して裁判に間に合うよう、最高速度で急ぐんです。でも、最後の最後で、どうやってもそのままじゃ間に合わない状況になって、ついにジャン・バルジャンも、身がわりの出頭を諦めようとするんです…が、そのときにそれまでのあまりの気前の良さを見て、そこで早馬を提供してくれるひとが現れたんです。ようやく、裁判所に間に合うことができそうなジャン・バルジャンは、…「お前には、チップはやらん」(爆笑)


今回、この場面を、今では活字も翻訳もレトロ感があるが「新潮文庫版」で探してみた。

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レ・ミゼラブルの「喜劇的」場面。みなもと太郎が推薦 破滅の地に向かうための馬車が手に入ってしまう
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レ・ミゼラブルの「喜劇的」場面。みなもと太郎が推薦 破滅の地に向かうための馬車が手に入ってしまう

みなもと太郎が漫画化した「レ・ミゼラブル」、ギャグ仕立てなのに複雑なこの作品の要点はほぼ抑えた傑作。以前は無料公開されていたが…

自分、結局この大長編の「見取り図」を、この漫画で知ってたから読みとおすことができたんだと思う。そのまま小説に挑んだらやばかった。
最初読んだとき「へんてこなアレンジしてるなあ」と思ったところが、原典通りだったのもしばしば(笑)

で、以前はマンガ図書館Zで公開されていたんだけど、いまは終わっているようだ。
kenakamatsu.hatenablog.com

復刊されたのかな?
そのようでしたーーー

これはまじで、推奨に値しますよ。ただ…

数年前に、「ゲッサン」でなぜかの漫画化。画力高し。

1話、丸ごと読めます。

作品紹介
フランス文学史上に燦然と輝く超大作「レ・ミゼラブル」。
宿業の男ジャン・ヴァルジャンの波瀾の生涯を通して描かれる究極の人間賛歌を俊英・新井隆広が描き尽くす。
読破が難しいと言われるヴィクトル・ユーゴーの壮大な「原書」を基に、映像では描き切れない「真のレ・ミゼラブル」の物語が今始まる!

作者プロフィール
漫画:新井隆広(あらいたかひろ)

1982年生まれ。神奈川県出身。
2003年、少年サンデー「まんがカレッジ」に入賞。
2004年、少年サンデー超増刊号にて「グランバトラー」でデビュー。
2006年、週刊少年サンデー36・37合併号より「ダレン・シャン」(全12巻)で初連載。
2010年、週刊少年サンデー4・5合併号より「ARAGO」(全9巻)を連載。
2013年、ゲッサン10月号より「レ・ミゼラブル」を連載開始!

原作:ヴィクトル・ユーゴー
gekkansunday.net


pages.comicdrive.jp


みなもと太郎版でなく、こちらを読むという選択も十分にあり。

あと、余談中の余談。みなもと氏は、上の箇所をレ・ミゼラブル「唯一の」ギャグとしていたが、私見では少なくとももうひとつある。

ジャンはある事情で、潜伏先の修道院から脱出しなければいけないのだが、味方である修道院の下男が出したアイデアは、棺桶に入って墓地へ意気、埋められる前に墓堀のじいさんを下男が酔わせてその隙に逃げるというものだった。「酒となれば全てに優先する人だから絶対大丈夫」という目論見のもと、墓地へ来た下男と棺桶の中のジャンが会ったのは、昨日泥酔したじいさんの代わりとなった、真面目で働き者の墓堀人だった。(笑)
・・この後