大川隆法の自称「守護霊を呼んで話を聞いた」が、海外で騒動になった話。
ああ、それいろいろ過去事例あるから。にわかの皆さんにお伝えするよ。
まず、最初にひとつ過去記事を「再放送」して、その後リンク集など。
「夢」や「霊の談話」で実在人物に発言させる、点はO川隆法も「風立ちぬ」も変わらんような
幸福の科学の「霊言」「守護霊」本、今はどんなのがあるのか…
https://www.irhpress.co.jp/
あまりに甲乙、あるいは丙丁つけがたく(笑)、選べないがあえて選べば…いろいろ耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでいますな。四方の海、みなはらから。
- 作者:大川隆法
- 発売日: 2009/07/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
こっちはこっちで、何をやっているんだ。
http://dailycult.blogspot.jp/2013/08/blog-post_16.html新潮の悪魔をパトリオットする 仏説・降魔経現象編 (OR books)
- 作者:大川 隆法
- 発売日: 2013/08/13
- メディア: 単行本
という本で、霊が登場したフリーライター・藤倉善郎氏のイベントだという。
幸福の科学・大川隆法総裁が本紙・藤倉善郎主筆(実物)に無断で藤倉主筆(霊)を呼び出し喋らせた内容が、書籍として幸福の科学出版から無断で発売されました。これに対して藤倉主筆は、教団に無断で出版記念イベントを開催することを決定しました。「やや日刊カルト新聞社」主催で、会場は都内のライブハウス「阿佐ヶ谷ロフトA」。9月11日19時30分スタートです。大川総裁に霊を降ろされた本人が「霊言」の内容を公の場で報告し検証するという、本邦初の試みです
自分は以前からこの問題に興味があった。
それは
「宗教における見なしの自由」問題のひとつとしてです。
説明はややこしいので、「見なしの自由」でこのブログ内を検索してください。あるいは、一番分かりやすい過去記事はこれか。■宗教における「見なしの自由」を擁護する…彼の為でなく、我が為でもなく。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20111109/p3
「ひとつ」といっても、あの種の霊言本はある意味極北というか例外で(笑)、これがOKならほんとに何でもOKなのだろうけど、これがNGでも全部がNGとは思えない、そんな極端な例。
なにしろ本当に裁判になっている(笑)。
いま、どんな展開なのだろう
なにしろ法務局で資料まで見に行ったんですよ小生。■「幸福の科学」教祖と妻の民事訴訟は、お互いどんな言い分があるのか(「霊言」をだれが裁くのか)?〜訴状から
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121110/p5ただ。
いまだに、はてなだけでも賛否いっぱいの「風立ちぬ」だが。
こんなシーンがあります(ややネタバレ注意)http://onemore01.blog.so-net.ne.jp/2013-07-29
……カプローニ伯爵と少年堀越二郎が夢の中で伯爵の設計した飛行機とともに登場するCM(略)…
さて、今回は二郎の夢の中で語り合うカプローニ伯爵。実際には出会っていないのですが、奇抜なというか、夢のあるデザインの飛行機を何機も製作したこのカプローニ伯爵と堀越二郎の二人を共演させることで少年二郎の飛行機への夢をふくらませる手法は流石、宮崎駿監督http://ghibli.jpn.org/report/kaze-real/
「ジブリ」という名前も、カプローニ社の飛行機の名前から由来している。ジャンニ・カプローニについて、宮崎駿監督はこのように話しています。
宮崎駿:
ジャンニ・カプローニというのは実在の人物で、今でもその親族が伯爵として残っています。
実は「紅の豚」を作った後に、ジャンニ・カプローニのひ孫にあたる人が、カプローニ社の飛行機の構造物がいっぱい入ったものを送ってくれました。それがカプローニとの出会いでした。…第二次大戦の時には役に立たない飛行機ばかり作っていた会社…志…「夢」を共有する仲間は、ホントに夢を見ているときに夢が合体し、距離や時間を超えて語り合える…という設定は非常に秀逸で、この設定を流用していろいろとやれるんじゃないか、と思った、というのを、自分は映画を見た直後の雑感に書いてました。
m-dojo.hatenadiary.com
だけど。
「飛行機はのろわれた夢だ」
とか
「ぼくたちは本当は戦争の飛行機を作りたいわけじゃない」
とか、まさにかなり重要な思想、テーマが「夢の中に登場する実在人物の発言」として語られてるわけだが…どこまで彼らの実際の思想に即したものだったんだろう。
……これはこれで、「これがOKならなんでもありじゃね?」と思ったのも事実で、ついでにO川隆法(仮名)の霊言本を思い出したのも事実だ(笑)
もちろん、O川さんは「ホントウに霊が降りてくる」で、M崎…いや仮名にせんでいいわ(笑)、宮崎駿さんは当然「そこはフィクションである」と認める大きな違いがある。またおそらく、子孫との関係を考えれば彼らが宮崎映画に曽祖父が登場することを歓迎、了承しているであろうことは想像に難くないし、問われれば「第二次世界大戦で彼の会社の飛行機が役に立たない、という史実から類推した」と回答できるだろう。
対象者の了承も根も葉も資料的な傍証も、ついでに霊の降臨もおそらくない(※個人の感想です)本とは違う。
資料との矛盾も「霊界で考えを改めた」で済むこともあるらしいし(笑)だが、
そんな差とは別に…
やはり「夢の中のシーン」とか「霊が言った」といえば、それは大きくまとめて「(法的な意味では)おとがめなし」ということでいいんじゃないか。それは社会が、「保護する」のではなく「一段下に置く」という意味。要はその発言、内容を受け手がどう受けるかが重要であって、夢の中とか本人の霊(含む守護例)がしゃべった、という本を見たらば…「あー、はいはい」「アレね、アレ」と、受け手一般がそう評価すればいいのだろうと。
宗教的価値判断や認定は、ドグマである以上他者が介入できない。
・唯一神ヤハウェが、いろんな戒律決めてくれたよ
・その神の息子が降臨して、戒律の一部は「もうOK」にしてくれたよ
・その神の言葉を伝える「最後の預言者」が登場して、もっと具体的な五信六行と精緻なクルアーンを残してくれたよ
・さらにその次の預言者がインドネシアに現れたよ
・仏教の最高経典は法華経だよ
・南無阿弥陀仏と唱えれば極楽往生だよ
・東条英機は英霊だよ
・十字軍を率いたルイ9世は聖者だよ
これらはすべて、その宗教を信じない人は「お前がそう思うならそうなんだろう お前の中ではな」
と、しか言いようがない話だと思う。
あとは、信じない人たちが「霊言」を見て、ああ最近はそういう設定なのね、とか憐れむしかないんじゃないか、ということ。
存在は許可する、しかしそれを相応に評価する・・・・ そういう話。というか、O川氏とその元妻、元アフロディーテ氏との裁判の中で、O川氏側の弁護士が身も蓋もないこと言ってる。
霊言という宗教的秘儀は、それを真実と信じないものには無意味な話で、原告が被告の教義を信じているから内容を問題にしている。教義を信じず、霊人の実在や「霊言」の真実性を信じないものにとっては意味をなさないから名誉を毀損しようがない。これは「自動車がしゃべってこう言った」「机がしゃべってこう言った」が名誉毀損にならないのと同じ。つまり原告の主張は、教団内部で議論すべきもの。
いいのかなあ(笑)。この裁判に決着がつけば、ひとつの指針になることは間違いなさそうだが。
と・・・・。このエントリを書き終えた今、こういう本の存在に気づく(爆笑)
【守護霊インタビュー】
- 作者:大川 隆法
- 発売日: 2013/08/17
- メディア: 単行本
次つぎとヒット作を創りだす秘密から、
監督の映画観、人生観、政治観まで。
アニメ界の巨匠の知られざる本質に迫る!
宮崎氏のメガヒットの秘密を探ってみたかった。インスピレーション元である魂のルーツを探れば、創作の真相がある程度はわかるのではないかと考えた次第である。北朝鮮が核保有国であることを宣言し、中国海軍が日本列島をゆうゆうと周遊している時に、別の意図をもった人たちに宮崎アニメを政治利用されたくないと思っている。子供たちの夢のままで終わってほしい。
最新作の「風立ちぬ」も名作だろう。私も、もう少しで泣きそうになった。ご長命、ご活躍が続くことを祈っている。
(大川隆法「まえがき」より)さらに付記
「見なしの自由」理解に役立つ非常に適切な一例であるので、2013年のこの記事にTBを張らせていただく。
靖国神社という霊言機関
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20131024/1382626838
リンク集
リンク集をひらくとさらにリンク集、ってのもあるけど、それも含めて
m-dojo.hatenadiary.com
上の記事のひとつから、再度「賢者ナータン」に登場する言葉を紹介しよう
「私はあなたがたに、裁決ではなく、忠告を与えよう。ものごとをあるがままに受け取りなさい。それぞれが、自分こそ本物と信じるのだ…各自が本物であることを証明するように努めなさい。心穏やかに、我慢強く、神さまに気に入られる良き仕事に精を出しなさい。私は千年のちにあなたがたをこの判事席の前に紹介しよう。そのときには、たぶん、この椅子には誰よりも賢明な判事が座っているだろう」
- 作者:ミリヤム・プレスラー
- 発売日: 2011/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
イイナハシダナ―、である。ユダヤ、キリスト、イスラムの宗教の争いを知的に、そして寛容の心で解決しようとした知恵である。ちなみにこの話にはサラディンも出てきた…はずだ(記憶あいまい)
ただ!!
これは裏返せば、あんな「霊言」ですら、攻撃を仕掛けて潰すのではなく『存在』自体は一応許容した上で…そっちは無視してまず自分を磨く。「自分こそが本物だと信じ、自分が本物だと証明するよう努める」「1000年のちの、誰よりも賢明な判事(歴史の裁き、神の審判)」にゆだねる、ということなのですわな。それに耐える、超人的なしんどさを、賢者は凡俗のわれらに求めたのだ。
「じゃあ、霊言とかアホなこと言ってるあいつの「守護霊」と話したことにして、こっちも勝手なこと書いてやる!どやっ!!」
という考えを、この話のブクマでも見かけた。
だけど…それは30年前に通過したところだッッツ!!!
もう出てるねん。
内容(「BOOK」データベースより)
各界最高の有識者を総動員し、大川隆法主宰先生の著作百五十冊を徹底解剖。巻末には「幸福の科学」の天敵、宗教学者、島田裕巳の大川隆法への最後の手紙を収録。内容(「MARC」データベースより)
大川隆法の著作150冊読破という偉業に挑戦した著者。84冊を越えたとき、突然彼に、大川隆法の霊が憑依した…。著者と大川隆法の、信者も思わず笑う百問百答。巻末に「幸福の科学」の天敵、宗教学者・島田裕巳の大川隆法への最後の手紙を収録。
登録情報
単行本: 229ページ
出版社: JICC出版局 (1991/12)
すぐれたルポを多数書いている米本和広氏の書いた本で、90年代、当時の最高の水準でおもしろおかしく同教団の霊言本の矛盾やデタラメを追及してる。
これをもとに生前の影山民夫講演会に潜入して質問したら「あまり細部のあれこれにはこだわらないでほしい…」と泣き入ったもん、故人が。
ちなみに編集したのは町山智浩氏だそうだ。
しかし、内容的に優れてる(復刊してもいいくらい)にせよ、仮にそうでないにしろ、だ。そういう形…「あの人の守護霊と、こっちも話しましたー」という反撃は、理論的に実際的にも、すでに可能だということだ。
そしてセーフかアウトかといえば、両方セーフにするしかないというね。
それでもどうにかしたいときは、一点突破の例があるな
「法の華」の足つぼ何たらを、司法が裁いた時。グルの「法則」をさばいたとき。だが、逆に言うと、あれぐらい穴が大きくないと、法は神(を自称するもの)をさばくのが難しい、はずだ。
司法の専門家が、「いや、〇〇の守護霊がこう語った」を、こんな枠組みで民事でも刑事でも裁けるはずだ、という知恵を出せるなら、それは大いに多とするところで、見守りたいのだが。