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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

ブロゴスの「同性婚/近親婚」の比較論は『NOとは言い難い』と、裏から証明してくれてる

m-dojo.hatenadiary.com
という記事に、id:hate_flagさんからブクマを頂いた。ありがとうございます
とはいえ、だいぶん口調が剣呑ではありますね

緊急に再論しとく。「近親結婚の議論は、必然的に同性婚許容・合法化と同じ理路に辿り着く」でしょ? - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

なんねーよバカ <a href="https://blogos.com/article/314300/" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://blogos.com/article/314300/</a>

2019/04/15 02:45
b.hatena.ne.jp

で、そこでリンクが張られている。井戸まさえという前衆議院議員のかただ。

blogos.com
読んでみた。まあ、水準的には杉田水脈議員のカウンター・パート的な人、ということかしら。
ただ、これを議論のとっかかりにはしやすいので、そういう点ではありがたい。


そこで、全体的に論じてみることにした。

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1:「異常」や「病気」の定義を巡って

かつて、同性愛は異常であり、病気であるとされたことがありました。
しかし、現在では、WHO(世界保健機関)や米国精神医学会、日本精神神経学会などが同性愛を「異常」「倒錯」「精神疾患」とはみなさず、治療の対象から除外しています。
文部省(当時)も1994年に指導書の「性非行」の項目から同性愛を除外しました。

とくに異論はない。異常だという杉田氏のほうが珍妙滑稽なのだ。ただ、一種このへんは異常かどうかは外からの「定義」によって動く、という一面もあることは押さえておきたい。
<参考>
medicalnote.jp


2:キンゼイ・リポート

ついでに、これは脇道、余談だが「キンゼイリポート」といえば……

キンゼイ報告 - Wikipedia

方法論問題
キンゼイ報告は、方法論問題で批判された。「ランダム」であるべきサンプルの内の25%は刑務所(当時から刑務所内での強姦は存在した)にいたことのある前科者、5%は男娼であり、また、タブーである性行為を赤の他人に面接で打ち明けること恥じない人間をサンプルにすれば、当然そのようなタブー行為を経験したものが高い割合で存在するのではないか、という意見はレポートの発表当時から学会では存在した。

社会的タブーに関する情報を面接によってサンプリングすること自体が、学術的客観性に欠け、そのようにして集められたサンプルには全体のポピュレーションの傾向を推計する上で何の統計的な意義はないとの批判も、レポートの発表年の1948年にアメリ統計学会によって発表されている。

キンゼイリポートへの批判を検索で探すと、宗教右派系のこれまた一方に偏った資料なども出てくるので注意が必要だが、それを除いても問題点の指摘は多い。
ま、これは枝葉の話だがここでわざわざ持ち出すこともなかったんじゃないかね。

愛についてのキンゼイ・レポート [DVD]

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3:結婚や性交渉の年齢制限と違法、合法(道徳、不道徳)について

続き。

現在日本においては、児童福祉法第34条ならびに各自治体の淫行条例により、既婚者を除く18歳未満の青少年との性交渉は「淫行」に当たる場合があり、処罰の対象となることは当然ながらご存知だと思います。

なので、そうしたものと同性婚と同等に議論すること自体が不適切、不見識、また偏見に満ちたものと私は捉えています。


「場合があり」と、はなから腰がひけとる(笑)。
別に個人的にはそういう法や条例があって一向に差し支えないが…ただ、井戸氏は知っているのか知らないか、「婚姻」については、2022年まではこういう状況であってな…

www.moj.go.jp
http://www.moj.go.jp/content/001261887.pdf

女性の婚姻開始年齢の引上げについても,2022年
4月1日から施行されます。
なお,2022年4月1日の時点で既に16歳以上の女性
は,引き続き,18歳未満でも結婚することができます

こういう年齢制限は道路のスピード制限や右側通行か左側通行か、と同じで、「そう決めたから、それが根拠である(しかない)」という面は多かれ少なかれある。16歳の女性と結婚する行為は法律上は20122年以降「適法」から「違法」になるわけだが、道徳的な意味での『罪』や『不道徳』に、2022年まではならず、それ以降はなるのか?というふうに考えてもらえば面白かろう。

なので

そうしたものと同性婚と同等に議論すること自体が不適切、不見識、また偏見に満ちたものと私は捉えています。

については「思うのは勝手だが、論理性には欠けてる」と言わざるを得ません。


4:そして近親婚ー「政策課題にのぼってない」をめぐって

現在政策課題にのぼっていないことを持ち出し「同性婚を認めたら次はこれ」とすることに違和感があります。
問題のすり替えとも取れます。

まず、「政策課題にのぼっていない」ってえのは、どんな定義でどの範囲で見てる話なのかな。日本限定?

だが、世界的に見ると、はい。
irorio.jp
togetter.com


f:id:gryphon:20190410031801j:plain
法哲学法哲学の対話」(有斐閣)より同性婚、複婚、近親婚
f:id:gryphon:20190410032003j:plain
法哲学法哲学の対話」(有斐閣)より同性婚、複婚、近親婚

法哲学と法哲学の対話

法哲学と法哲学の対話

法哲学の専門家が書いた本の中でイッシューとして論じられている、というのも広くいえば「政策課題にのぼる」と言ってもいいかもしれんけど…日本国の政治課題としてマイナーだ、という話だろうと思うのだが。

てか、政策課題になっているかどうか、でいえば、アメリカでは「デススターの建設」や「南部諸州の独立」まで政策課題だわさ(笑)
m-dojo.hatenadiary.com
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とはいえ、このような弱小泡沫ブログで語ってるような話題は、確かに今現在は「政策課題にのぼっていない」ことではありますが、ただ過去の実績を自慢するなら、東京の渋谷区や世田谷区で現在導入されている「国が認定しなくても、自治体が独自に同性のパートナーを認定する制度を設置する」という話は、当ブログの前身で「実際の政策課題」となる前に提言、考察したのでありました(えへんぷい)
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id;hate_flag さんも井戸まさえさんも他のはてなブロガーもブクマカも、2012年当時にこんなこと、考えたこともなかったやろ。うーむ勉強になるなあ、ここ

5:「国会で法律を変えればいい」のブーメラン

記事に戻って…


そして、井戸氏はこう議論する。

「親子婚」「きょうだい婚」については、現在ではそうした婚姻制度を採用する国は少ないものの、過去においては行なわれていた地域や、現在、少ないながらもいくつかの国ではこうした婚姻制度について立法を求める動きがあることも承知しています。
(略)
このように時代や地域によって婚姻制度のみならず制度や法は変化するものなのです。

ご承知のように、国民主権の日本では、全ての法律は国民が選挙で選んだ国会議員により改正、創成、廃止することができます。
現行の民法では「婚姻障害」として婚姻できない事由を定めています。
① 婚姻適齢(731条)② 重婚の禁止(732条)③ 再婚禁止期間(733条)④ 近親婚の禁止(734条~736条)⑤ 未成年者の婚姻についての父母の同意(737条)
です。
もし親子婚やきょうだい婚や社会に必要という場合は、この「婚姻障害」の規定が定められた民法を改正する必要があります

それを望む国民は国民的議論を起こし、この政策を実現しようという議員を立法府に送るもしくは議員に陳情・請願をし、その議論を堂々と国会でやればよいと思います。
不必要と思う人々は反対し、その意を組む国会議員や政党に投票する。いたってシンプルな話です。

ちょっとばかり苦笑するのだが、それこそ流行りの俗語”ブーメラン”ってやつで、今現在の法律では、日本では同性結婚も「同様に」できないわけなんだけど、これも…というかそもそもすべての”政策課題”は、『それを望む国民は、この政策を実現しようと…(中略)いたってシンプルな話』って話に収まる。今現在、日本国で同性婚が認められないのも、そういう国会の政治勢力の比率の結果であるよね、と認めるしかない。べつに変更しても個人的にはいっこう差し支えないが。
ちなみに、井戸氏が『選挙と国会』だけに触れているのは、同性婚や近親婚について「認めないのは憲法違反だと主張して訴訟を起こすような、司法の力で変更しようというやり方は認めない」という意味かもしれない(そうでないかもしれない)。


6;なんだ、結局それ自体への「反対」はしてないし、できないやん

そして…

私個人に対して「親子婚」や「きょうだい婚」についての婚姻障害規定を改正すべきかと問われれば、それは「否」です。
今の日本で現行制度を変える必要性を認識するには至らないというのが理由です。

ぶはは、id:hate_flag さん、これ、まさに近親婚に対して「禁止したり、反対する理由を構築できなかった…」という白旗ですよ!!!!

「必要性を認識するには至らない」というのは、「反対ではないが…」ってことなんとちゃう?
そういうことなんですよ、井戸氏も100%誠実とは言えないが、まぁ良心的なところもあるというか、正面切って、反対はできないんですよ。「同性婚の議論と近親婚の議論に、論理的な一体性がある」ということに。
だから、「今の日本で現行制度を変える必要性を認識するには至らない」という長ったらしい、ものいいになる。


7:憲法の「両性」記述について

同性婚は法的に認めるべきだと思っています。
自治体のパートナーシップ等はありますが、現在の日本でふうふになることは認められていません。日本国憲法の「両性の合意」の「両性」が議論となっていることも、ご承知かと思います

まずここ。それが議論だというなら
『国民的議論を起こし、この政策を実現しようという議員を立法府に送るもしくは議員に陳情・請願をし、その議論を堂々と国会でやればよいと思います。不必要と思う人々は反対し、その意を組む国会議員や政党に投票する』
という話が、当てはまってしまうんじゃない?いまは「両性とは男と男、女と女も含むのだ」という、そういう論法によって、それを回避したいという流れだけども。

8:「戸籍には実態を反映したものが記載される(べき)」について。家族の多様性とは

そしてこちら。

今、法的に家族になろうという場合は「養子縁組制度」のもと、養子縁組の選択肢をとることになります。
成人同士の「養子縁組」制度は世界でもあまり例がないと言われますが、相続対策と同様、同性婚の代替制度ともなってきました。

しかし、家族となっても「親子」。
民法の身分関係を勉強していると「戸籍には実態を反映したものが記載される(べき)」という原則論に当たります。
とするなら、彼ら、彼女たちは「夫夫」「妻妻」として登録されるべきですし、そこに何ら問題はないと思っています。つまり、実際に婚姻している状態で暮らしている訳ですから、望めば法的担保を受けられる制度を構築するべきだと思います。

実態を反映すべきだから認めるべき??

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フィクションながら、この二人に幸あれ。
ただ、自分は以前から、この同性婚の代替としての利用も含めた「養子縁組制度」の法哲学にはちょっと注目してきた。
というのは、戦後日本屈指の名優として人気だった、ある老男性俳優が、ある若い女性を「養女」にしていたが、実際には夫婦的な関係だったのではないか?という報道が、その俳優の死後になされたこともひとつの要因。
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高倉健 七つの顔を隠し続けた男

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また「戸籍には実態を反映しなければならない」論だと、戸籍上の「複婚」は推進論となるんじゃないかな。赤塚不二夫とか荻上チキ各氏みたいな夫婦関係がゴロゴロしてるとは言わないが、いわゆる「夫、妻とは別の愛人がいる」という状況は、よろしく「戸籍に実態を反映し」なければならない、と。



そういう実例から見ると、そもそもが

民法の身分関係を勉強していると「戸籍には実態を反映したものが記載される(べき)」という原則論に当たります。

なる原則に対し、「それは、本当にそうあるべきなの?」との疑問が浮かぶのです。
だって「家族の在り方には多様性があっていい」んじゃなかった?
ほい、かいてましたよ、2015年に。
m-dojo.hatenadiary.com



以上、考察の参考になれば幸いです>id:hate_flag さん