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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「家族の在り方は多様でいい」―同性婚も、離婚後も2人で子育ても、愛する人を「養女」にすることも。或いは近親婚や複数婚も。

同性婚禁止を違憲とした連邦最高裁の判決文の結びが歴史の教科書にに残るレベルだと思うので趣味で翻訳(意訳)してみた。 - http://togetter.com/li/839844

というtogetterの、すでに150近くついている「コメント欄」に面白い考察があったので、抜粋して紹介したい。

くりあ @Clearnote_moe 3日前
歴史的であるし言いたいことも理解するのだが。「婚姻ほど深い『結合』はない。なぜならば、婚姻は愛を、忠誠を、献身を、犠牲を、そして家族の究極の理想を体現したものである」に強烈な拒否感を覚えた。「究極の理想を体現するためには結婚せねばならない」という圧力であり「結婚できないから同性愛者は不完全である」という差別の背景ではないのか。結婚を神聖視しすぎなキリスト教的宗教観の下ではこういわざるを得ないんだろうが、非常に気持ち悪いと思った。
  
RAM @PLAPAPA 2日前
これは、纏められコメの人の感情を抜きに読むと『同性婚だけを合法とした州法は違憲』と言っているに過ぎません。ここから、各州は州法改正にかかるのですが、この判決にそって『婚姻自体を州法で規制しない』と言う選択肢も出てきます。つまり、全員が事実婚状態。これも『アリ』なのですね。保守色の強い州では、そうなる可能性もありえて、興味深いですね。
 
どうぐやSZN @DoguyaMarimo 2日前
仮に「結婚なんて所詮制度上のもの。人間の関係にはもっと大切なものがあるよ!」って考えの人がいたら、同性婚は置いといても「これは名文!」とは思わないというよりむしろ反発するんじゃないかな。って話をしているよ。
  
きゃっつ(Kats)⊿6/28LV @grayengineer 2日前
そもそも制度としての婚姻の目的と意義は何か?という議論が全然出てこないのはなぜなんだろう。いつも疑問に思う
  
漫湖不動産(駒田少佐) @ltcmdr_komada 2日前
↑の判決文の「意見」を読んでると中々尖った表現がぞろぞろ出てくるんだよね。何が言いたいかと言えば、アメリカの同性婚判決でも「意見」の中に「そもそも家族の究極の理想の形態が婚姻であるという道徳的価値観が、同性婚を肯定する根拠であるとされることは、婚姻を選択しない家族の形態を取る者を無視するという点において、無条件に肯定することには憚りがある。」などと書いてあれば面白いんだけどね。
 
漫湖不動産(駒田少佐) @ltcmdr_komada 2日前
http://www.supremecourt.gov/opinions/14pdf/14-556_3204.pdf  concurring opinion(補足意見)無かった。残りは反対意見だね。やっぱキリスト教の強いアメリカじゃ複婚制度が認められる余地はなさそうですね。
 
漫湖不動産(駒田少佐) @ltcmdr_komada 2日前
判決理由が結構重要なのは、尊属殺重罰規定の多数意見がいわゆる「親子の忠孝」を自明としている点で、そういった道徳律を憲法に持ち込むことが良いのかというのがあるんで、アメリカの最高裁判決の判決理由に「結婚が家族形態の理想」と書いているのはいかがなものかと疑問を挟むことは何らおかしなことではない。ただ、アメリカ的価値観から言えばおそらく家族形態の理想形が結婚なのだろう。やっぱアメリカンなんですよ。
  
どうぐやSZN @DoguyaMarimo 2日前
で「婚姻関係が特別で究極で他に変え難いものだから同性愛者にも与えるべき」って言ってるのに「婚姻関係以外を下位に見てるわけじゃないだろ」は嘘でしょ。婚姻至上主義じゃなかったら「婚姻じゃないけど同等権利のパートナー制度を作りますよ」で終わりじゃん。そうでないのはパートナーが下だからだよね。その価値観が悪いってことじゃなくて。
   
漫湖不動産(駒田少佐) @ltcmdr_komada 2日前
パートナー制度が憲法上問題になることはなさそうな気がする。婚姻制度が異性カプルの場合に認められて、同性カプルに認められないから修正14条違反を問われたが、パートナー制度は新たに創設すればいいので、これが存在しない事が14条違反になるという理論構成は難しいとおもう。パートナー制度が出来た後、婚姻制度との差別的な取り扱いが存在する場合に14条違反が問われるのかと言えばそうかもしれないし違うかもしれない
  
slips @techno_chombo 2日前
grayengineer まぁ同性婚を認めないことがが合衆国憲法に違反しているかどうかということだけが今回の判断なわけで、「そもそも婚姻って何よ?」まで踏み込んで国内を泥沼にする必要まではないんじゃないでしょうか。今のアメリカの現状だとこの判決だって割と泥沼よ。
  
きゃっつ(Kats)⊿6/28LV @grayengineer 1日前
リベラリズム的なメタ価値論から婚姻を論じる人もいるんだろうけど、それはアメリカのマジョリティとは明確に違うと思ったほうがいいよ。アメリカだけではなくてたいていの国はそうだと思うけど、建国の理念なり国の中心となる一定の価値というのが必ずあって、完全な価値中立を目指している国や実現している国なんてないし、今後もおそらく出てこない。それはリベラリスト桃源郷であって現実の国家の姿ではない
 
きゃっつ(Kats)⊿6/28LV @grayengineer 1日前
国が特定の価値を支持することを、メタ価値論的に批判するのは、多数派が支持する価値を否定する少数派の存在ゆえに認めない、ということになるので、ある意味少数派の独裁なんですよ。安保理常任理事国の拒否権と同じです。多くの民主主義国家はそういう方針は取っていないでしょう。
 
きゃっつ(Kats)⊿6/28LV @grayengineer 1日前
価値の共存を模索することは大事なことなんだけれど、かといって価値の選択そのものを「他の価値を認めない差別」というように否定するのは行き過ぎで、個人にせよ組織にせよ国にせよ、ある程度は価値の選択というものをしなければいけない部分は必ずあるわけです。たとえば立憲主義にしろ民主主義にしろ、相対化すれば多数ある中のひとつにすぎないけれど、国としてひとつを選択している現実があるわけなのでね
 
きゃっつ(Kats)⊿6/28LV @grayengineer 1日前
このリベラリズム的メタ価値論と民主主義国家の法と制度、という議論は、いわゆる夫婦別姓選択制度の議論でもたびたび出てきた話で、そこで問題になるのは、マジョリティの選択する価値に対して説得的に否定できない(多数派に受け入れられない)場合に限ってメタ価値論で否定しようとする姿勢で、つまり独裁の剣としてメタ価値論が使われてしまうことなんですな。
 
電荷 @e_denker 1日前
まあ現状ではこれが精一杯ということなのでしょう。実際は、ポリアモリーの人はどうするんだとか、友情結婚がもっと認められるべきだとか、もう結婚そのものが時代遅れだとか、婚姻制度とその周りのイデオロギーについてはまだ色々と議論があるんですけどね。この判決文に違和感を覚える人が多いのなら、いずれはそういった方向にも話が進んでいくんじゃないかと思います。

もう少し厳選したかったが、残すとなるとついついアレもコレもとなってしまうな。150のコメントから、選んだこれらの内容で、自分が「同性婚」のテーマで知りたい、語りたいテーマって大体分かると思う。
過去記事でも端的に書いているのだが

同性婚(結婚)制試論…愛と家族と「私」と、法と制度と「公」。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120512/p4

「婚姻制度」は一種の”パッケージ契約”。それは可能か?個別契約は不可能か?そもそも「公」に定めるべきか? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150222/p3
 
私の提言、渋谷区で実現…同性カップルに「結婚に相当」と証明書を発行。そこから生まれる課題や論点は? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150212/p2

そのへんから、今度はキーワードを抜き出してみる。
『これら(※配偶者相続権、税制・社会保障における優遇など)の諸権利を認めることと、それが「結婚」であるかどうかは、不可分ということではない』
 
『従来の男女間の「結婚」だって、結局こういう法的権限の話なのか、それを超えた宗教的、道徳的な何かのアレなのか、それは「内縁関係」というものを考えれば分かる』
 
『結婚はそもそも「国が認める」「法が認める」ことが必要なのか、もっと別の権威や由来によって成立する何ものかではないのか?』
 
『ぶっちゃけ同性婚の問題は、論理的に突き詰めれば近親婚の問題と相似形だ。ほかにも「1人が、複数の異性を同時に愛する。その複数の異性と、同じようにパートナーシップを結びたい(※イスラム教の伝統的な教えでは全く合法です)」というのもしかり』
 
『(日本法上の)婚姻は(1)共同体形成機能と(2)嫡出推定機能が混在した不純契約だから。同性間において(2)の機能は意味がないのだが、元々両者を結合させておく論理的必然性はなく、いわば悪質な抱き合わせ販売である。』(※これは大屋雄裕氏の文章の孫引きです)
 
『結婚って結局、(※相続権や貞操義務などの)細かい権利の包括契約じゃないの?それを個別に選んで選択できないってのはOKなの?』



はー、つかれた。引用だけで膨大になってしもうた……。
こういう問題意識があるっちゃあるわけです。「同性婚は神の意思に反するか」とか「同性婚は子供が生まれないから不自然か」みたいな話とはまったく別の議論をしてる、ってことでひとつ理解してほしいっすね。


で、続ける。


たとえば仮に、「本来的には妻のような関係」の女性を「養女」として財産を残す―こういうのも「多様な家族の在り方」のひとつだろう。

実は見出しの話は、最近亡くなった大映画スターの実際の話から連想したのだが、それを報じた過去記事を見直すと、そう匂わせる描写はいろいろとあるものの、はっきり書いている話ではない(まあ、書けるエビデンスが出てくるようなものでもないわな)。


だからそれは除いて、一般論、抽象論とする。

・愛する男女のカップルがいました。性的関係もあります。
・彼と彼女は、相続権や控除、手術の立会い、ビザ獲得などの諸権利を認めてもらいたいと思った。
・だが、いかなる選択か…たとえば離婚に応じない前夫前妻がいる、でも、亡くなった前夫前妻に再婚しない誓いを立てたでも、或いは好みでもなんでもいいでしょう。
・そこで2人は養子縁組で血縁となった。もちろん実際上は、性的関係も続けており、実質的に旧制度では「夫婦」に近い。

こんな人たちがいるのも、「多彩な家族の形態」の1つでありましょうな。
というか、少なくとも日本の現行制度では、まさに同性カップルが、通常の同性婚が無い故に(かな?)、養子縁組制度で代行している(?)ことは有名な話だ。


いや、ここで「代行している」と決め付けるのもおかしな話やもしれん。
それを積極的に選んでいるのかもしれないのだから。



だが、こういう人もいるだろう。
「養子縁組をしたからには親子。実質的な妻(夫)を養子にしているというのは、近親間、親子間でふしだらな関係にあるということでケダモノ同然」


しかし、多様な家族のあり方を認める視点から考えれば、こんなのは因循姑息なふるーい発想でありましょう。「多彩な家族のあり方」とは、多分たとえば、こういうものも含めるのですな。


で、実際に結構、日本だと「名目は養女(養子)ですが、実は愛し合うパートナーなんです」というのが「はーなるほどねえ、確かに確かに」とけっこう、受け入れられやすい土壌があるような気がするんですね(データは無い)。

それはまさにキリスト教儒教も生活のドグマとしては深いところまで根を降ろさない国柄で、遊牧民族がしょっちゅう長城の中から批判された、「兄が亡くなったら未亡人になった妻は、その弟と再婚する」なんてことがこっちでもフツーに存在したりとかがあるのだから。

まあ、めでたい話ですな。


ちなみに上記togetterのコメント欄でこういうpdfが紹介されていた。メモ。

法律論叢第六十九巻第三・四・ 五合併号( 一 九九七・二)
わが国における同性愛者をめぐる家族法上の諸問題
星野茂
目次
一はじめに
二婚姻と同性愛
三養子縁組と同性愛者

https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/1421/1/horitsuronso_69_3-4-5_237.pdf


同性カップルが法律上婚姻できないという現実の前で、どうしても同じ戸籍に入りたいという願望のもとに、当該カップルの間で養子縁組をおこなう事例があるといわれている。もちろん、このような養子縁組は親子関係そのものを創設しようという意図からでているものではなく、いわば便法に過ぎない。それゆえ、このようなカップルの…

(略)
まず、そもそも婚姻とは何か、法律婚制度の目的は何かという根本的な問題が問い直されなければならない .さらにその上で、夫婦とは、親子とはいかにあるべきものなのかという問題も解決されなければならないであろう。

そうだ、タイトルに「離婚後に二人で子育て」と入れたのは、実は今4刷とベストセラーの「弟の夫」での話なんです、書き忘れていた。


要はこういう話で、「弟の夫」を迎えているホスト側の男性は異性愛者だが、離婚して一人で娘を育てている。
だが元妻、娘のお母さんは現在は決して関係が悪いわけでなく、時折家を訪れて彼と談笑し、一緒に娘と遊ぶ。

はためには「なんで離婚したの?」「いっそ、復縁しちゃえば?」となる…というか、はためどころか、娘自身がそれを望み、口に出す。まあ当然かもしれない。

だが、彼はいう。
「彼女はすてきな女性だ。だが、夫婦としてはだめだったんだ」
「夫婦で一緒に子育てするのが、決して『普通』だとは思わない。こういう家庭だってあるんだ」と。


そうか、統計的にいえば「離婚して、一人で子育てするシングルファーザーだが、時折元妻もその育児を手伝い、友人のように付き合う家庭」というのだって”マイノリティ”に属する家庭だ……弟の、同性婚の夫を戸惑いつつ、失敗しつつも基本的に受け入れようとしているのは、そういう視点から見れば分かりやすいかも。