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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「選挙候補者に試験を」話、完全な民間企画として参加を呼び掛ける形式なら?(討論会と同様)

ブクマ反応
b.hatena.ne.jp

まとめ
togetter.com


これは結論として否定されるべき話だと思うけど、「なにゆえに否定されねばいけないのか」をきちんと言葉にして論じると、民主主義の根本を考える非常に面白い教材となるものだと思う。

ちなみに大前提として、権力を通俗的に「立法、行政、司法」に分けるなら、司法が基本的に「試験」という学力によって、その権力を行使できる人間が選ばれている、という部分も抑えておきたい。

でまあ、選挙の立候補に試験通過を資格として入れるなら、学歴貴族の権力独占や、その試験問題や採点のイデオロギー的傾斜の危険、そもそも有権者から信託される、票数という民意より上の「試験の点数」を置く問題・・・・・・・など、多数あるが、どれもブクマの二番煎じになりそうなので略す。

ここから第二部。
こちらは、参考にしたツイートはあるが、ほぼ”一番搾り”、あまり誰も言ってない話だと思う。

試験を「義務」にしなくても、「呼びかけ」なら? 参加も拒否も自由で、その態度を有権者が判断材料にする、そんな一手法。

上のまとめにも収録されているけど、このツイートはなるほどと思うところがあった。紹介する。



正確にいえば、「なるほど」というより、「ああ、あの話か」と思ったのだった。
それは・・・・・・・・残念ながら20年以上前の話で(そうであることに驚いた!!!)いまやネット検索でも出てこない。記憶に基づく話として。

ジョージ・ブッシュ(息子)が最初に大接戦の末大統領となった2000年アメリカ大統領選の…その年か昨年かに、ブッシュは出馬を表明。大本命と目され、テキサス州知事の経験や「思いやりある保守主義」を掲げる氏は一躍大本命中の大本命となった。
だが…、最初に彼が失速したのは、あるテレビインタビュアーの、矢継ぎ早の質問…それも政策の是非などではなく、純粋に「知識」の有無を聞く話だった。
簡単にいうと、各国の指導者名を尋ねたのである。

質問者「ブッシュ候補に聞きます。パキスタンの指導者名は?インド首相は?台湾の総統はご存知ですか?」
ブッシュ「……君だってメキシコの副大統領の名前は知らないだろ?」
質問者「はい、そうです。でも私は大統領選に出馬しません」
(当時の報道の、記憶による。)

みたいなやりとりで、大反響を呼び、結果として支持率が急落した、と記憶している。この質問者は拍手喝采だったんじゃなかったかな。
ちなみに「知識不足」をしばしば追及されたのは、2008年大統領選挙における共和党副大統領候補サラ・ペイリンもそうだった、と記憶している。


これは「選挙立候補者の学力(教養)試験」に似たものであることは、間違いなかろう。


なので、「討論会」や「アンケート」の一環、類似物としての「選挙立候補者の学力(教養)試験」というものが出たら、それはそれで面白いし、民主主義社会と共存できるかな、と思う。
NPOでもメディア企業でも、どこでもいいが、そういうところが、何かの選挙に関して、立候補予定者に「うちでつくった学力(教養)試験を受けてください!結果を公表します」と呼び掛ける。
それに賛同して試験を受けるもよし、受けないもよし。見方を変えれば、候補者アンケートの設問が純粋に知識を問うもので、資料なしになるようなものである。(その範囲にとどまる)


それを断る人も、断る理由にそれなりの論を立てればよろしい。
「ペーパー試験の成績など、政治家の資質に無関係と思っています」
「私は自分の知恵ではなく、自分の周りに知恵ある人を集める能力に自信があるのです(※カーネギー墓碑銘論法)」
なんでもいい。その断り方が有権者の理解を得ればそれでいいだろうし「無知を隠して逃げているだけ!」「自分の能力に対する説明責任の欠如」と思われて選挙にマイナスならそれも仕方ない。それを勘案して討論会に出たり出なかったりするのは普通の選挙戦略だ。

そういう形での候補者の参加・不参加、そしてそれを有権者がどう見るか、はとりもなおさず、そのシステムへの評価でもある。
「この人のインタビュー番組に、この人が司会の討論会番組に出ないなんて、この政治家は…… 逃げている!だめだよ/見識がある!かえってエライ」は、司会やその番組の評価次第ってのはわかるでしょ。


www.buzzfeed.com



ちなみに、いろんな形で「あなたが有権者の審判を受けるべき選挙立候補者なら、〇〇をすべきだ」と投げかけるという手法は、ほかにもたくさんある。
それは、それぞれ本当に「答えるべき」かどうかは、これまた有権者の判断次第である。

・候補者が企業経営者なら、前年の納税額を資料を添えて公開すべきだ
・候補者が帰化した人物なら、その日付がわかる資料を公開すべきだ

そういう形の問いはいろいろある。参加するなら参加する、拒否するなら理由を述べて拒否する、その選択・説明を含めて評価される、ということは以前からもあっただろう。
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ちなみに、「知識を問う」ものでも、そりゃいろいろある。

「庶民感覚をもっているか」と、日用品の値段を聞くもあり
「皇室を敬愛しているか」と歴代天皇の名前を聞くもあり
自衛隊の指揮官となるかもしれない」で写真を見せて兵器の種類を聞くもあり・・・・・・


あるいは「沈黙の艦隊」で描かれた、討論会のように、正解の無い倫理的決断を各候補に問うような質問だってあり得る。

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もともと、作者がどこまでストーリーを考えていたかはよく分からないけど、人気が高まるにつれて次第に仕掛けが大掛かりになり、この「やまと」への対応をめぐって与党が分裂、総選挙になるシーンがある(たしか1993年の自民党の初下野と、同じ期間じゃなかったかな。)

このとき、公開討論が設定され、やまとへの対応をめぐって自主独立や平和主義、対米協調などある程度(当時の)日本の現状とリンクした討議がされたのだが、最後にこういう質問を司会者は発する。



これに対し、各党は答える。
(略、リンク先に回答画像あり)


実を言うと自分は、政治家への問いにこの主の抽象的な問いは…(後略)


※単行本16巻より


さらに想像をたくましくするなら「選挙に立候補する人は、ポリグラフ(ウソ発見器)にかかれ」という議論だってあり得るかもしれない。

……そして、これは実際に近い将来、米国できっと実現するような気がするが…米国大統領選の話だ。
候補をポリグラフにかける(笑)。
いや、なぜこれが実現するような気がするか…というと、プライバシーや人権論議がやはりこのあと、もう一段必要になるであろう警官採用への導入と違って
「あなたは、自ら望んで国民の代表になることを望んでいますね? なら、このウソ発見器に自発的にかかってもいいんじゃありませんか?さあどうします?拒否するんですか?別の候補のAさんは、もう既にこれに進んで参加しましたよ…?」
とテレビのトークショーで迫っていく、ということができそうだからだ
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