ソウル市長選、釜山の市長選でどちらも与党候補が大敗した。
本題に入る前に、これはまた別物としていうけど、
日本以上に保守系・進歩系の二大勢力が拮抗し(米国・台湾に近い)、「政権交代」が自治体レベルでもうまく行っている。
このことは何しろ軍政からの脱却が80年代後半だった国として驚くべきことで、たとえば今回だって政治的な暗殺や襲撃・軍のクーデターなどを懸念する声はほぼ皆無。党派抗争は民主政治である以上織り込み済みのもので、その党派性と分断によって、両方が両方の腐敗を洗い合うことで政治が浄化されるというのは事実だ。
この前、どうせなら現地新聞の日本語公式サイトを読もう!ということで紹介した時に、印象に残った記事。
m-dojo.hatenadiary.com
12人中5人。性平等を公約の前面に掲げた候補が、これほど多く出馬したことはなかった。
パク・ウォンスン前ソウル市長のセクハラ事件の余波で行われる4月7日のソウル市長補欠選挙は、候補者による性平等政策対決が観戦ポイントの一つ……記号6番のシン・ジヘ(基本所得党)、8番のオ・テヤン(未来党)、11番のキム・ジナ(女性の党)、12番のソン・ミョンスク(進歩党)、15番のシン・ジエ(無所属・チームソウル)候補が示した政治ビジョンと細部公約は、党の大きさや支持率だけでは評価できない意味を持つ。
彼らは概して性平等、不平等解消、労働権保障、気候変動への対応、性的マイノリティ尊重、動物の権利(アニマル・ライツ)などを重視…
この記事、結果的に自分が最初にブクマしたが、70以上もブクマとコメントがつくことになった
b.hatena.ne.jp
俺の影響力だなエヘン、と言いたいところだが、たぶん関係ない(笑)。
ちなみに、得票結果はどーだったんだろう?
おっとわかった…
ソウル市長選、前述のシン・ジエ氏含め、候補者12人中5名が女性候補者だった😄
— そんゆか (@songyuka_) 2021年4月3日
1番パク・ヨンソン「ソウル市大転換、やります」
6番シン・ジヘ「できるさ。ソウルベーシックインカム」
11番キム・ジナ「女一人でも暮らしやすいソウル」
12番ソン・ミョンスク「江南解体、平等ソウル」 https://t.co/DDkXbdflvX pic.twitter.com/aIlO7l9lrg
ソウル市長選の結果すごいね。7位までに女性が5人。公約のすべてが女性に関することだったキム・ジナ氏が4位。 pic.twitter.com/eAyqZlBZqV
— そんゆか (@songyuka_) 2021年4月8日
例の、敗北した女性与党候補が39.18%で、これはまた別物として
ほかのインディ系女性候補は
0.68%
0,48%
0,37%
0,25%
ということですね。健闘というべきではないでしょうか。儒教の伝統などもあり、さまざまな女性の地位問題がある一方で、かなりラディカルに女性の権利を主張する運動も活発だ云々を聞くが、まずはともかく、女性の権利に特化した主張をする政党が生まれ、そこから首長選や国政選挙に挑戦する勢力もある、というのはまことに目出度い。というかとっても進んでいるぅ。そういう政党や候補があまり目立たない日本、遅れてるぅ。韓国SUGEEE、日本DAMEEE。
…であるから、2021年にいやおうなく衆院の任期満了する日本。
来る衆院総選挙に際しては、女性の権利主張に特化する政党が、日本でも生まれて各選挙区で国政に挑むべきではありませんかっ。
或いは名古屋市長選など、各種の自治体の首長選にも、女性の権利主張に特化する、女性候補が複数登場するべきではありませんか。
いでよ日本のラルフ・ネーダー(2000年版)!!!
いや、待て待て。ラルフ・ネーダーって女性じゃなくて男性だろ。しかも「2000年版」って何よ?
さあ、そこで種明かしなんだが……
もう一度この数字を。
ソウル市長選の結果すごいね。7位までに女性が5人。公約のすべてが女性に関することだったキム・ジナ氏が4位。 pic.twitter.com/eAyqZlBZqV
— そんゆか (@songyuka_) 2021年4月8日
今回は、非常にまれな程、与野党に差がついたから、女性候補のこの0.68~0,25%の得票は良くも悪くも注目を集めないけど、
もしこれが大接戦だったら?
そしてこれらのインディ女性候補が出馬しなかったら、その票は本命2大候補のどちらに、より多く投票されていただろうか??
上のラルフ・ネーダー2000年版とは………、2000年はジョージ・ブッシュ・ジュニアとアル・ゴアの大接戦の大統領選が行われた年であり、ラルフ・ネーダー氏はそのときの大統領選で非常に印象的な役割を果たした人なんです。
もう覚えている人も少ないかな。
ja.wikipedia.org
2000年アメリカ合衆国大統領選挙
1996年に続いてネーダーはウィノナ・ラデューク副大統領候補と共に選挙戦を戦った。人々の中には、ネーダーのような独立系候補や第三の政党が、民主・共和両党による大統領候補討論会から除外されているために彼らは疎外されて選挙戦の支援を受け難くなっていると考える者も居り、このことから市民討論会が開催された。その一方で、共和党のジョージ・W・ブッシュと民主党のアル・ゴアが大接戦を繰り広げていた為、民主党支持者の中には勝利の目が無いのにも拘らず立候補していたネーダーを非難する者も存在した。ネーダーは、選挙費用の公費援助が受けられる得票率5%を目標にした。
結果、ゴアへの支持者の流出もあり、実際のネーダーの全国得票率は2.7%に留まった。しかし、投票方式問題が発生したフロリダ州やニューハンプシャー州では両候補の得票差を彼の得票が上回るという事態が発生した。専門家はこの事態がブッシュの勝利に対して大きな影響を及ぼしたと見ている。
こういった状況を避ける為、予め民主党は、接戦の州では「“ネーダーへの投票”=“ブッシュへの投票”である」というキャンペーンを張り、また、有権者の間では、ブッシュの勝利が磐石な州のゴア支持者がネーダーに投票する見返りに接戦の州のネーダー支持者がゴアへ投票するという行動も見られた。
このように、選挙戦のキャスティング・ボートを握っていたネーダー陣営は、民主党からの批判に対し、「地元テネシー州で勝てば自力でゴアは勝利できたのにゴア陣営は敗戦の責任をこちらになすり付けている」と反論し、さらに、上記の「戦略投票」に対しては良心に従って投票するよう求めていた。
ま、そういうわけで、日本では大都市の首長選や国政選挙に、女性の権利に特化した主張を行う候補・政党が……今までも無い訳じゃなかったんですよ、それは言っておく。
だが、今のさまざまな女性の権利の問題を受けて、またあらたに旗揚げして、ある程度の知名度・人気を見せるという例が生まれるだろうか。
生まれた場合、既成政党の得票にどういう影響を与えるか、は分からん。
- 作者:健太郎, 前田
- 発売日: 2019/09/21
- メディア: 新書