この記事の続編的性格があります。
世論調査で「投票に行った?」と聞くと実際の投票率より絶対に高くなる…この現象は何か?投票者バイアス?ただのウソ? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20180125/p1
この記事から。
韓国世論の6割超が南北首脳会談に賛成…若者層の動向に注目(徐台教) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20180216-00081691/
……蛇足になるが付け加えると、「数値の差は、調査方法が自動応答(あらかじめ録音された質問に番号をプッシュして答える形式)である点による」という。同社のイ・テクス代表が15日朝のラジオ番組「キム・オジュンのニュース工場」に出演した際に述べている。
これは「自動応答の方が、世論調査会社の職員との通話をするよりも正直な意見が出やすい」ということだ。
理由は「シャイ(隠れ)保守」の存在。韓国の保守層は同じ保守派の朴槿恵大統領が弾劾されたことにより、本音をさらけだすことに慎重になっているとの見方だ。
なお、リアルメーター社は2017年、韓国政治コミュニケーション学会の学術大会で、韓国内29の世論調査機関のうち、最も政治的な偏向性が少ない機関に選ばれている。
つい最近まで(基本的には)「機械の音声録音で自動調査するのは、対面調査より信頼性が低い」と言われたはずだし、それを前提としていたはずだったけど、いろいろ変わってくるのかな
— gryphon(まとめ用RT多) (@gryphonjapan) 2018年2月16日
そして、ここを見よう。超重要な証言がある。
名護市長選 結果を予感させたのは?|NHK NEWS WEB https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0214.html
……どんな選挙でも、勝敗を見通す上で重要なのが出口調査ですが、アメリカ軍普天間基地返還合意後の名護市長選挙の出口調査は独特です。
「基地移設容認派に投票した」と答える人の割合が、実際よりも少なく出る傾向があります。期日前投票の投票所は1か所。出口調査を行う報道各社も殺到し、有権者の方々には、いわば「衆人環視」のもとで回答をお願いすることになります。
しかし、半数以上は回答を拒否。市長選挙のたびに、市が二分されてきたこともあってか、「移設容認」と答えにくい雰囲気もあるのかもしれません。
激戦が予想された今回は、調査を拒んだ人たちが、どちらに投票したのかをつかむ必要がありました。選挙戦序盤、待ち構える調査員の脇を足早に通り過ぎた人たちに声をかけました。答えてくれた人全員が、新人の渡具知氏に投票したと話しました。別の日も、答えた8割〜9割が同じ回答。
このため、「稲嶺氏先行」という見方が少なくない中で、「渡具知氏にも勝機あり」という、ふわっとした感触を持ちながら、取材を進めました。
いやいや、どれもこれもマズイっしょ。
そういえば、こんなのもあった。
ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)
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…トランプの支持者は今も日々増えている。そして予備選以上に、 本線ではトランプは得票を伸ばすだろう。理由はいたって単純。みんなが本音で投票しやすくなるからだ。
オハイオ州の予備選では、有権者は投票所の受付で投票用紙を選ぶ必要があった。共和党支持なら共和党用の紙を、民主党支持なら民主党用の紙を受け取り、それぞれに印字されている候補者の中から、意中の人を選ぶ。つまり受け取る段階で、支持政党をはっきりさせないといけない。選挙管理委員会の人や周囲の人が見ているわけだ。ところが本選挙では 投票用紙は共通の一枚になる。共和党候補の名前も民主党の候補の名前も同じ用紙に印字されている。つまりずっと民主党支持だった人が誰にも知られることなく共和党候補のトランプに投票できるようになる。無党派だった人も同じだ。
私は保証するよ、相当数の民主党支持層と無党派層がトランプに投票することになるだろう。予備選ではトランプ氏ということを他人に知られたくなくて今日は頭の用紙を受け取らなかった人々が今度は本当に投票できるからだ。
(ルポ トランプ王国 金成隆一)
実を言うと、自分が「世論調査の回答と実際の投票行動にギャップがある。これは目に見えないプレッシャーを一般の選挙民が感じていることを意味する。民主主義にとってゆゆしき問題ではないか」という話を最初に聞いたのは、元朝日新聞記者で選挙関係の報道に強く一方でアカデミックな選挙制度やシステムの研究をしていたことで知られる石川真澄氏の著書だった。なんという本かは失念したのでわからないが。
そこでは多分、70年代か80年代だったと思う。
「共産党の支持率が得票率とギャップがある」という話が出てきたのでした。
もちろん共産党は「積極的な支持はしていないが、議会の反対勢力としてはあった方がいい」「絶対当選する現職への批判票」などの「支持者じゃないけど投票する層」があるが、それも踏まえた上で「共産党に投票しましたと、出口調査などで答えにくいそんな社会的風潮があるのではないか」というのが石川氏の懸念だった。
それと同じ構造が、例えばトランプ支持や名護市長選の新人支持で出たとすると、これはなんとなく深刻な話なのかもしれない。